赤坂 桃の木(もものき)/紀尾井町

三田いちばんの中国料理店として好評を博した「御田町 桃の木」が「赤坂 桃の木(もものき)」として装いも新たに東京ガーデンテラス紀尾井町に移転オープン。食べログでは百名店に選出されています。
店内は典型的な高級中国料理店であり、ガラスの壁面から飛び込んで来る眺望が気持ちよい(写真は食べログ公式ページより)。個室も用意されており、接待の気配がバリバリに感じる客層です。
シャンパーニュがグラスで1,700円と謎にお値打ちだったので、うっかり注文してしまいました。この手のレストランしては破格の値付けと言って良いでしょう。ちなみにビールはグラスで1,300円とかそんなだったので、まあそんなもんか、というお気持ちです。
前菜の盛り合わせ。ワラサを中華風にアレンジした小鉢や広東風のチャーシューなどは無難に美味しい。添えられた山クラゲのコリコリサクサクとした歯ごたえも楽しい。
フカヒレとウコッケイの蒸しスープ。ウコッケイの深い旨味とコラーゲンのとろみがスープに溶け合い、濃厚な味わい。上品な余韻も長く続きます。
海老のマンゴーマヨネーズ和え。エビの美味しさはもちろんのこと、マンゴーの風味をきかせた甘酸っぱいマヨネーズソースが絶品。海老の弾力ある食感と、マンゴーのコクと爽やかな甘みが融合し、濃厚なのに後味は軽やか。
季節の蒸し魚~香港スタイル~。この日のお魚はスズキであり、その淡白で柔らかな身を蒸し上げることでしっとりと滑らかな口当たりに。醤油ベースのソースに生姜やネギの香りが溶け、魚の甘みを引き立てます。シャンパーニュに良く合うひと品です。
香港黒酢の酢豚。当店のスペシャリテであり、カリっと揚げた豚肉を黒酢と醤油で調味します。ザクロの粒が爽やかなアクセントを添えており、モダンで洗練された豚肉料理です。ややもするとフランス料理的なニュアンスも感じられました。
〆のお食事は「蓮の葉ちまき」。蓮の葉で包み蒸し上げており、もち米のもっちりした食感に、蓮の葉の清涼な香りが移り、ほのかな甘みと旨味が広がります。ただ、ちょっと量が少ないかな。追加料金を払ってチャーハンにしてもらえば良かったと、過ぎ去りし日の幻影が、今も胸を焦がします。
デザートはデザートのオーギョーチとココナッツ団子。いずれも悪くないのですが、フランス料理界隈としてはこの価格帯でこのシンプルなスイーツは物足りなく感じました。
温かいお茶でフィニッシュ。ごちそうさまでした。以上のランチコースが8,000円で、酒やら何やらでお会計は1万数千円。味は良いのですが、とにかく量が少なく割高に感じました。商業施設に移転して来た名店の典型例であり、家賃と人件費を食べている感が支配的です。空間や接客は間違いないので、あくまで会食などの用途に向いた店と割り切って訪れましょう。おつかれさまでした。

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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。

本場志向で日本人の味覚に忖度しない中華料理が食べたい方へ捧ぐ書。東京の、中国人が中国人を相手にしている飲食店ばかりが取り上げられています。ある意味では中国旅行と同じ体験ができる裏技が盛りだくさん。

アスパイア ラウンジ(Aspire Lounge)/パース空港(オーストラリア)

パース国際空港(Perth International Airport)のターミナル1出国審査・保安検査後にある「アスパイア ラウンジ(Aspire Lounge)」。ANAの利用なので同じスターアライアンスのニュージーランド航空のラウンジに通されると思いきや、独立系の本ラウンジに案内されました。このあたりのルールは良く知らない。
このラウンジは変わってますねえ。中二階が延々続くような構造であり、ラウンジの全容が把握しにくい独特なレイアウトです。モダンな内装であり、あまり空港のラウンジっぽくありません。
入ってすぐにはボックスシートなどもあるのですが、全て「予約済」の札が置かれており、この空間はどうやって予約するのだろう。成田行きの便の直前は日本人ゲストでごった返し、座席が充分に行き渡っていないのが気になりました。
レッドアイフライトなので、登場前にシャワーでキレイキレイします。シャワーブースは3つしかなく早い者勝ちで、プライオリティパス会員などは追加料金を要するなど過酷な環境です。前述の通り場面で大混雑するラウンジなので、シャワーは利用できて当然と思わないほうが良いかもしれません。もちろん風呂キャンセル界隈には心配無用です。
飲み物はセルフサービスでなく、バーカウンターでのオーダー形式。ちょっと面倒だなと思いつつも、飲み放題だぜグヘヘヘみたいな酔っ払いも制限されるので、これはこれでありよりのありに感じました。地元のワインやビールが置かれているのが嬉しいです。
食事は独立系のラウンジとしては結構充実してて、サラダ類からハムやチーズなどのツマミ類、温かい料理もいくらか用意されています。
麺料理はホッケンミーだったっけな。オーストラリアの僻地で日本人がマレー半島の料理を楽しむ姿は中々にシュールです。スイーツ類も充実しています。
あまり満腹になっても機内で熟睡できないので、サラダとちょっとした肉類に留めます。野菜の質は悪くなく、パース市内のホテルの朝食よりも余程レベルが高い。
Aspireだなんて随分と仰々しい店名だなと身構えてお邪魔しましたが、ラウンジとしては独特のポジションで面白みがありました。無駄にお洒落で座席や電源は多くないため、ガッツリ仕事をするには厳しい面もあるため、そのあたりはよく理解してお邪魔しましょう。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

Frankie's on Rotto(フランキーズ オン ロット)/ロットネスト島(オーストラリア)

ロットネスト島で最も賑やかなエリアにある「Frankie's on Rotto(フランキーズ オン ロット)」。ロットネストベーカリーの向かいという分かりやすい場所にあり、船着き場からも歩いて5-6分といったところです。
系列の飲食店を島内にいくつか展開していますが、当店を特徴づけるのは、クォッカに最も出会いやすいレストランのひとつだという点でしょう。テラス席はもちろん、お店の目の前のベンチにもジャンジャン遊びに来てくれます。
「フラットホワイト」はラージサイズで6ドルと、ド観光地にしては良心的な価格設定。濃厚なエスプレッソにスチームミルクを加え、薄いフォーム層で仕上げます。エスプレッソのほろ苦さとナッツのような風味が際立ち、ミルクのまろやかな甘みがバランス良く調和しています。
「Grilled Salmon Salad」は、香ばしいグリルサーモンとクリーミーなボイルドエッグが主役。グリーンビーンズやチェリートマトのフレッシュな甘酸っぱさ、オリーブとケイパーの塩気あるアクセントが効いています。レモンとディルのドレッシングが爽やかさをプラスし、ベビーポテトでほくほく感も。全体的にさっぱりながらコクもあり、食感のコントラストが楽しい。
「Fish & Chips」は、サクサクのビール衣で揚げたバラマンディフィレが淡白ながらも実にジューシー。ミックスサラダのシャキシャキ感が爽やかさを加え、カリッとホクホクのフライドポテトが満足感をプラスします。バジルアイオリのクリーミーな味わいとバジルの香りが魚とポテトを引き立て、レモンを絞ればさらにさっぱり。
以上を2人でシェアし、大ぶりのエスプレッソ飲料をゆったり楽しんでお会計はひとりあたり3,000円ほど。繰り返しますが、ド観光地にしては悪くない価格設定です。何より食材が上質で、きちんと美味しいのが良いですね。日本の観光地、とりわけスキー場における非人道的な費用対効果を考えると良心的。円安だ何だと躊躇することなく安心して注文しましょう。

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かん袋(かんぶくろ)/堺(大阪)

堺が誇る銘菓と言えば「かん袋(かんぶくろ)」の「くるみ餅」。創業は鎌倉時代末期の1329年と、日本でも屈指の歴史を誇る甘味処であり、まさに生きる文化遺産と言えるでしょう。食べログでは百名店に選出されており、堺駅のタクシー乗り場から「かん袋まで」とだけ告げると、それだけに運ちゃんに通じる超人気店です。ちなみに創業時の店名は「和泉屋」でしたが、その後、豊臣秀吉が「かん袋(かんぶくろ)」という名を授けました。
週末は10時の開店と同時に行列が生じ、毎日売り切れ仕舞いという超人気店。アクセスが非常に悪いため、インバウンドどころか府外のゲストも無縁であり、大阪弁しか聞こえてきません。子連れのゲストも多く、地元に愛された甘味処です。
メニューは「氷くるみ餅」と「くるみ餅」の2種のみ・現金のみという硬派なお店。レジで注文・会計を済ませ、木製の番号札を受け取り、席で待つシステムです。イートインとテイクアウトは同じ列であり、回転が早いため行列でも待ち時間は比較的短く済みます。我々は日曜日の10時過ぎに訪れましたが、入店から食べ始めまで20分程度の待ち時間で済みました。
左が「くるみ餅」で、右が「氷くるみ餅」。違いはカキ氷がかかっているかどうかであり、その価格差は僅か10円です。ちなみに「くるみ」と言いつつ胡桃は用いられておらず、餅を餡で「くるむ」という製法に由来します。
主題の「くるみ餅」。ひと口サイズの柔らかい餅を、鮮やかなうぐいす色の滑らかな餡で包んだ、シンプルながらも奥深い味わい。この緑色の餡は青大豆を原料としており、枝豆のような風味を持つことから、「ずんだ餡」に似ていると表現する人もいます。餅の優しい甘さと、餡のまったりとした上品な甘さが絶妙に調和し、2人前でも秒で食べ切ってしまいます。しみじみ系ながら中毒性のある味わいです。
こちらは「氷くるみ餅」。「くるみ餅」にカキ氷をかけたものであり、甘さが氷で和らいでスイスイ食べ進めることができます。氷そのものは一般的なものなのですが、不思議と依存性があり、あとひと口もうひと口と食べ進める手が止まりません。まさに病みつきになる味覚です。
持ち帰りは立派な壺に入れてくれビジュ爆発。賞味期限は本日限りであり、通販はもちろんデパートの催事などにも出展しないため、通オブ通な手土産です。東京で言うと「空也(くうや)」的なポジションと言えるかもしれません。

ちなみに私は母の日に5人前をテイクアウトしたのですが、オトンとオカンがものの10分で全てを平らげていました。
もちろんこれだけのために堺を訪れるのは厳しいでしょうから、「さかい利晶の杜(千利休と与謝野晶子をテーマに、堺の歴史・文化を発信する観光施設)」や「仁徳天皇陵」などの観光地巡りの途中に立ち寄るのが良いでしょう。グルメな方は「鮨 おおが」とセットでどうぞ。

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男、かつ、左党の割にスイーツも大好きです。特にチョコレートが好きですね。JPHが基準なので、スイーツの評価は厳し目かもしれません。

難解な理論をユルいトーンで柔らかく読み解く専門書。チョコレートに係る基本的な素養から、文学や映画など芸能との関係まで解かり易く解説。ぜひチョコレートを食べながらのんびりと読んでみましょう。

魚と日本酒 たけ美(たけみ)/目黒

目黒は権之助坂を下ってセブンを左に入った路地にある「魚と日本酒 たけ美(たけみ)」。近隣の勤め人の間で圧倒的な支持のある海鮮系の居酒屋です。私の大嫌いなフランス料理店「セラフェ(Cellar Fête)」の上階に位置します。
店内はカウンター席が主軸で10席強にテーブル席も1卓見かけました。近くにはAmazonのオフィスがあり、妙に外国人の多い定食ランチです。カウンターにはテイクアウトの弁当も並行して詰め込まれており、これがもう旨そうで旨そうで、期待は膨らむばかりです。
私は1,470円の「天然ぶり煮付け刺身セット」に加え、380円の「鶏から揚げ」をつけてもらいました。総額1,850円なのですが、この支払金額でこのパーティー感は最高だ。アメリカで食べたら80ドルぐらいしそう。妙に外国人が多い気もわかる気がします。
まずはサラダ。定食のオマケというレベルを超えており、(恐らく)自家製のドレッシングも含めてグッドです。
小鉢もあって、写真のシイタケの他、玉子焼きに冷や奴も付いてきました。真昼間ですが冷酒が欲しくなるラインナップです。
主役の「天然ぶり煮付け」。新鮮な天然ぶりを丁寧に調理しており、濃厚な旨味が際立つ逸品です。醤油とみりんの甘辛い煮汁がぶりの脂の乗った身に染み込み、臭みなく深い味わいを引き出します。ご飯が進む濃いめの味付けなのも凄くいい。
「刺身セット」のクオリティもかなりのもので、120円の追加料金でこのお刺身が付いて来るだなんてマジ神イベ。他にも焼魚や煮魚などがありますが、必ず「刺身セット」にしましょう。必ずです。
ゴハンは大盛無料で、白米か玄米かを選ぶことができます。先に外国人が多いと記しましたが意識高い系の女性客も多く、店内のゲストは皆、玄米をチョイスしていました。
追加でお願いした唐揚げ。思い切りの良い調味で、皮と身の凝縮感と一体化し、玄米がバクバク進みます。これはビールが欲しくなる。
きちんとしたお味噌汁も付きます。お出汁のボディがはっきりとしており、やはりライスを呼ぶ味覚です。
美味しかった。これだけ食べて1,850円というのは大変お値打ちであり、その他のメニューも全て試してみたくなりました。また、夜は飲み放題付きのプランもあるようで、いずれそちらも試してみたい。大好きだ愛してる。
    
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目黒は焼鳥やトンカツ、カレーにラーメンと生活に密着した飲食店が多く、そのいずれのレベルも高い。地味ですが豊かな食生活が約束されている街です。
市や区など狭い範囲で深い情報を紹介する街ラブ本シリーズ。2015年の『目黒本』発売から約4年の年月を経て、最新版が登場!本誌は目黒に住んでいる人や働いている人に向けて、DEEPな目線で街を紹介するガイドブックです。