UDON BUZEN(うどんぶぜん)/麻布十番

元々は斜向かいの路面店だったのですが、2018年秋に移転オープン。今回のお店は何とビルの7階。不安定な動きをするエレベーターが上昇時間を長く感じさせる。
うどん屋とは思えない内装に驚き。日中は明るい光が差し込み海沿いのカフェのよう。夜は夜でカジュアルなバーのようでもあり、なるほど飲み物メニューやツマミが充実しているのもそのせいなのかもしれません。生ハムのスライサーがあるうどん屋は世界でもここだけでしょう。
ランチタイムは11:00~17:00と長め。十数種類ある様々なうどんに+200円で卵かけご飯をつけることができます。もしくは天丼とかけうどんのセット。
「小天丼セット」を注文。980円です。そうだよなやっぱランチのうどんのセットってこんな感じだよな。先日うどんにミニ丼を付けて2,000円を超えた悪夢を思い出しました。
「讃岐でもない、稲庭でもない “第三の麺”と呼ばれるうどん」と称する自慢のうどん。確かに艶っぽい光沢を放つ細切り麺ではあるものの、それとなくコシは残り、喉越しも滑らか。スープは割にはっきりとした味わいであり量もたっぷり。
セットの天丼は、まあ、オマケ味といったところでしょう。サツマイモの味が支配的であり、天丼というよりもサツマイモ丼です。ゴハンは一般的な定食屋のそれであり、タレは甘味が強く私の好みではありませんでした。ただし先のスープと共に口に含めばそれはそれでありよりのあり。
デザートにわらびもち。心あたたまる味覚です。

十番で980円のランチという意味ではこんなものでしょう。やはり夜に単品で来るより割安感がある。通しで営業しているのが便利ですね。加えて夜は飲み放題付きの宴会メニューもあるようなので、ちょっとした飲み会などに使うのも悪くないかもしれません。


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エンパイア・ステーキハウス(Empire Steakhouse)/Midtown West(NY)

六本木は芋洗坂に海外初出店として耳目を集めた「エンパイア・ステーキハウス(Empire Steakhouse)」。そのニューヨーク本店を訪れました。
当店も「ピーター・ルーガー(Peter Luger Steak House)」から独立したクチ。ジャック、ジェフ、ラスの三兄弟がピーター・ルーガーで合算25年を過ごし、今や全米No1レストランガイド「ザガット・サーベイ」への掲載常連店となりました。

「ふうん、25年ねえ。日本にはさ、女は25歳まで、って男が多いよね。口に出さないだけかもしれないけれど、そう思っている男がすごく多い。女にシワがあってはならない。シミがあってはならない。白くなければならない」だったら壁にでも話してろよ、彼女は男のように腕を組んだ。
「クイックランチ」というお得なセットメニューがあったのでそちらを注文。まずはセットのサラダから。アメリカらしい雑なサラダですが、野菜は新鮮でドレッシングもわかり易い味わいであり結構好き。

うーん、それは極端な例じゃないのかな。私は日本男児の名誉をかけて主張する。少なくとも僕は年齢で人を判断したりはしない。その証拠に、「あなたの初婚は9コ上のバツイチだったって言うんでしょ?それは確かに何よりもの証明だよね」彼女は私の言葉を遮って言う。
胃袋にスペースを空けておくためにパンには手を付けず。アメリカってパンだのポテトだのを出しすぎる傾向にありますよね。必要十分な量だけを提供してもう少し安くならんもんか。

そうそう、もう少し僕のことを宣伝させてもらうと、僕が仲良くしている女の子の中央値はアラサーで、75パーセンタイルには60代の女性も入っているよ。ちなみにキミは僕よりも10も年下だ。年齢なんて関係ない。僕はキミのことを人間として魅力的に思っていて、たぶんキミもそう思ってくれていて、母国を離れて一緒にステーキを食べている。もう、極東のロリコン共なんて放って置いて良いんじゃないのかな?
真打登場。ミディアムレアのフィレステーキです。当店もピーター・ルーガーなどと同じく、USDA格付最高位プライムグレードのアンガスビーフを、専用熟成庫で1か月近く熟成させ、900℃のオーブンで焼き上げています。

思いきり火を通したガーリック風味のブロッコリーに、折り目正しい滑らかな舌触りのマッシュポテト。この組み合わせは伝統であり殿堂でもある。
さすがにポーターハウスの迫力には劣るものの、ステーキとしては最上位のレベルに属するでしょう。酷く旨味の強い肉であり、やはり噛みしめるほどに複雑な味覚が交錯する。肉・塩・胡椒。どうしてこれだけの組み合わせでこんなにも美味しいのでしょうか。それでいて代金は実にリーズナブル。
ソースはBenjamin Steakhouseと同様に不調法な作り置きに感じました。味覚は推して知るべし。肉が旨いので、塩コショウだけで充分である。

ロリコンに人としての味わいや教養の重要さを説いたって無駄だよ。彼らにそれを理解してもらうのは、力学に反すると言っても過言ではない。キミが何者かはキミ自身が決めれば良いんだ。珍しく説教臭く話す私。ニューヨークでの滞在時間が残り僅かという焦燥が私をそう駆り立てたのかもしれません。
お酒を飲まずにチップと税を込みで3,500円。これは素晴らしい費用対効果ですねえ。フォルクス程度の支払金額で世界最高峰のステーキを堪能。これぞアメリカの醍醐味です。そう考えると、日本のステーキハウスの値付けは高すぎだ。今後、日本において高級ステーキハウスの敷居は跨がないよう心に誓いました。


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焼肉ではなく、洋風の肉料理をまとめました。ステーキやローストビーフがテンコ盛り。赤ワイン片手にガブガブ楽しみましょう!
レストランでの火入れを家庭で再現することに主軸を置いた稀有な本。「焼く」「揚げる」「ゆでる」「蒸す」「煮込む」「混ぜる」「漬ける」など、基本的な調理ほど論理的に取り組む必要があることを得心しました。肉の基本。これを知ると知らないでは大きく姿勢が異なります。

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プレヴナンス(Prévenance)/外苑前

 外苑前駅から徒歩数分。コンクリート打ちっぱなしのかっちょええビルの1Fに入居する「プレヴナンス(Prévenance)/外苑前」。店名はフランス語で「心づかい」を意味します。
静井弘貴シェフは丸の内「サンス・エ・サヴール」やニース「Keisuke Matsushima」などを経て、神宮前「Restaurant-I」の料理長となりミシュラン1ツ星獲得に貢献し独立。
一休の食前酒付きプランで予約したのですが、あまり美味しくない泡を僅か数センチといった仕様。うーん、こんな上辺だけの量なら出さないほうがまだクールと言えるでしょう。
アミューズがシャレオッティ。チップスやエクレア、ムースの味覚が多様であり食欲を増幅させてくれます。ちなみに当店で用いられている野菜につき、かなりの部分をシェフの自家農園から用いており、食材に対する信念が伺えます。
カブのフラン。おおおー、これは見て楽しい、食べて美味しい素晴らしい料理です。滋味あふれるカブの味わいにゴロゴロとたっぷり入ったシラスたち。半液状ながら非常に食べ応えのある1皿であり、シェフのセンスを感じた瞬間でした。
自家製のブリオッシュ。あつあつホクホクと食べる楽しみを与えてくれます。自家農園にせよ自家製パンにせよ、なんでもかんでも自分でやっちゃうもんね精神には舌を巻く。
才能を感じさせるホワイトアスパラガス。ホワイトアスパラガスは見てくれがダサくて食欲を盛り上げてくれないことが多いですが、当店のそれは何ともイケメンに仕上げてきました。オランデージソースで王道な味わいを実現しつつもホタルイカで旨味を付与したり、ニンニクやイカスミでコクを添加したりと味覚の直感パラダイス。
五島列島から直送されたヒラメ。ホクホクとした食感と優しく清澄な味わいで心が安らぎます。菜花とそのソースも自家農園由来のものであり、一口食べるごとに身体が健康になっていく気がしました。
グラスワインは千円台前半から用意されておりバラエティ豊か。今回はあまり酔っぱらえない事情があり1杯に留めましたが、ペアリング等も用意されておりディナーで訪れても楽しそうです。
メインは牛ハツ。なんともマッチョな食感の心臓にピシッと一筋美しい火が入っています。見た目通りの筋肉質な味わいであるものの、臭みやエグ味などはひとかけらもない。付け合わせの揚げた芽キャベツや味噌のクランブルなど実にセンスが良く、本日一番の料理でした。
デザートはブラッドオレンジにタイムのアイス、チョコレートのソース。タイムのアイスが素晴らしいですね。おお、タイムだと思わずひとりごちてしまう程のタイム味であり、オレンジの酸味やチョコレートのコクに意外に合う。
小菓子は柑橘系のフィナンシェにカシスのギモーヴ。最後の最後まで手抜きのない、好感の持てる料理の数々でした。
コーヒーを飲んでお会計。信じられません、料理だけだと5,000円で税サ込です。こんな有意義な5,000円があるか?世のサラリーマンたちよ、金曜夜に行きたくもない飲み会に行くのはもうやめて、土曜のランチでプレヴナンスにいらっしゃい。
素晴らしいお店でした。この記事内で「センス」という単語を何度記したかわからないほど、シェフのイケてるセンスがビンビンに感じられました。ところどころテンポが悪くなる場面も見られましたが、この価格設定であれば文句は言えません。早い時間の予約だと終盤の皿出しが遅くなり、遅い時間の予約だと序盤のスピード感が失われるでしょうから、そのつもりで時間を読みながら訪れましょう。次回は夜にお邪魔したいと思います。


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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。

蒼龍唐玉堂(そうりゅうとうぎょくどう)/麻布十番

けやき坂ツタヤの斜向かい。古くは「肉とワイン(店名不明)」や最近では「虎春」などの料飲店が出店しては退却していく曰くつきの物件に、我らが「際コーポレーション」がチャレンジ。
「虎春」そのままの居抜きなのか店内の印象はそれほど変わらず。カジュアルな中華料理店のそれではありますが、掃除がきちんと行き届いており実に清潔です。
際コーポレーション」と言えば黒ゴマ担々麺。濃密な塩気と旨味にガツンとくる山椒とゴマの風味。ほどよい辛さは健やかなスパイス。スープのドロドロ感が溜まらなく、たまに食べたくなるジャンクでチャイナな味覚です。
麺が旨い。うどんにほど近い太目の麺は、瑞々しい弾力もありコシもある。麺としてかなり美味しい部類に入るので、大盛り100円は妥当な価格設定です。
ランチは120円の追加料金で3粒のギョーザ。単品だと5粒で390円ということを考えるとお買い得です。程よい厚みの外皮がバリっと強火で焼かれており、ザクザクと食べ応え抜群。タネは小籠包のようにジューシーなエキスを湛えており、セットで必ず付けるべき1品でしょう。
消費税を含めて1,080円。大満足のランチでした。もちろんチェーン店のラーメンなので、それなりの雑な味ですが、まあ、1,000円のランチはこれぐらいの暴力的な味覚のほうが記憶に残るものである。今度は夜に、サク飲みに来てみようっと。


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当店の近所の中華料理店は下記の通り。どの店も圧倒的にランチがお得です。十番で中華は昼がオススメです。
  • 火鍋 三田 ←なんて素敵な地獄絵図。暑い夏に最適なレストラン。
  • ナポレオンフィッシュ ←中国の少数民族料理。今までに無い調味料の使い方!当店に限っては夜も良いです。
  • 飄香 ←夜は高級店ですがランチは驚くほどリーズナブル!
  • 永新 ←単品モノは高いですが、スープの旨さに悶絶!
  • 登龍 ←ギョーザが1人前2,000円という地獄。
  • 御膳房 ←ここもランチ。ランチコースもありますが、一番安いセットメニューで充分。
  • 萬力屋 ←チェーン店ですが結構おいしくリーズナブル。
  • 北京 ←こういうお店、結構好き。
  • 富麗華 ←中国飯店グループの旗艦店。ですが、高いだけです。
  • 紫玉蘭 ←富麗華のセカンドライン。ランチは800円~と一気にお得に。
  • 麻布十番グルメまとめ ←ほぼ毎日、麻布十番で外食しています。その経験をオススメ店と共に大公開!
 
東京カレンダーの麻布十番特集に載っているお店は片っ端から行くようにしています。麻布十番ラヴァーの方は是非とも一家に一冊。雑誌なので売り切れ注意!

Blue Hill At Stone Barns/Tarrytown(NY)

NY在住の友人より「マンハッタンから少し離れるけど、話題沸騰のお店がある。もし興味あるなら鬼電しておくけど?」とのお誘い。ニューヨーカーですら予約の取りづらい人気のレストランであれば、行かないわけにはいきません。
調べてみると、The World's 50 Best Restaurantsの2018年版で12位を受賞しているミラクルなお店でした(画像は公式ウェブサイトより)。シェフの名はダン・バーバー(Dan Barber)。ネットフリックスの「シェフズテーブル」という番組でも特集が組まれており、「食材を自ら栽培、飼育することにこだわり、食品業界に革命的な提案をし続ける有名シェフ」とのこと。
シェフはタフツ大学卒業後にフランス料理の世界に入り、レストランの経営はもちろん食や農業をテーマに新聞や雑誌に寄稿するなど、アメリカのその手の世界ではかなりの有名人らしく、オバマ大統領の審議会に名を連ねていたことも。「シェフが書いた本、図書館で予約してるんだ。オーディオブックで、シェフ本人が朗読してるんだって」ほほう、ニューヨークの図書館ではオーディオブックが借りれるのだね。
ニューヨークのグランドセントラル駅で在来線(という表現で良い?)の切符を求め、乗車時間1時間という小旅行。マンハッタンから車で直で行けばドアドア小一時間でも行けるそうです。
ハドソンラインのTarrytown駅に到着。これもまたニューヨークなんだ、と逆感動するほど何も無い駅です。
駅前でたむろしているタクシーに乗り込み10分のドライブ。タクシーにメーターはなく、「このあたりではフラットレートで15ドル」とのことです。ちょっと不安なシステムですが、復路はUberで似たような料金だったので、たぶんそういうものなのでしょう。
グラセン11:00過ぎの電車に乗って12:30に到着。なんじゃこのどデカい建物とその敷地は。まるでディズニーランドに来たかのようなウキウキ感。
敷地内には我々が予約しているレストランの他、ウォークインで注文できるカフェや売店なども併設されており、ピクニックがてら車で遊びに来ている家族連れも多い。
売店ではこの地で生産している野菜や肉なども販売されています。
予約確認のメールに「予約時間の30分前には到着しておくことをオススメする」と記載されており、何それ何のための予約時間だよ意味不明、と軽く流していたのですが、なるほど併設された農場や牧場をじっくりと散策するための時間なのですね。
スタッフから手渡されるマップ。地図のあるレストランは世界広しと言えど当店ぐらいでしょう。
我々が訪れたのは3月下旬であり、気温はまだまだ10℃前後。屋外の農場は冷え冷えとしており、その代わりに温室での栽培が盛んでした。今から食べるものが地面に生えてるって凄くいい。
鶏さんや豚さん、牛さんもいます。今から食べるものが目の前で生きている。色々と考えさせられます。絶対に残したりはしないからな。そうだよな、ビニールでラッピングして冷蔵庫に陳列なんかするからみんな食べ物を残すんだ。
レストラン棟に戻ってきます。敷地内をやや駆け足で巡ってもたっぷり1時間を要しました。緑が青々と生い茂る季節であればもっと気持ち良くて、贅沢な時間も続くんだろうなあ。
お店に入りコートを預けると、まずはウェイティングスペースに通されます。セントヘレナの「Meadowood」にせよ、アメリカ人はこういう空間づくりが本当に上手い。
ウェルカムドリンク(ターメリックを用いた紅茶?)を楽しみながら、支配人より本日のコンセプトなどについての説明を受けます。「今日は記念日か何かで?」との問いに対し、連れが「いえ、彼はファーストクラスで世界を周りながらその地で一番のレストランを巡っているんです。明日はロンドンへ発つみたい」と支配人を煽り始める。たまたまその支配人がロンドン出身のイギリス人だったので、食いつき方が半端ない。
ダイニングに通されます。体育館のように屋根が高く、観賞用の木々もふんだんに配置されており見事な空間構成です。13:30に入店したのですが、あり?結構空いている?いえいえそうではなく、結論から述べるとトータルの食事時間は5時間であり、少しづつズラしながらゲストを受けているようです。我々の食事の中盤にはすっかり満席に埋まっていました。
カルト・ブランシュよろしく白紙が渡され、いよいよ食事のはじまりはじまり。
針を刺してプレゼンテーションされる生野菜。大した調味はされていないものの、とにかく野菜の味が濃い。
大きいボウルにちょこんと置かれたニンジンはそのまま手でつかみます。ニンジンとしては美味しいですが、ちょっと演出は過剰気味。
ビーツジャーキー。あの赤い野菜のビーツをビーフジャーキーのように燻製しています。なるほど燻製の香りが豊かなビーツであり、ビーツとしての新たな味覚の発見でした。

ちなみに、当店では基本的にその料理を作った料理人が直接ゲストのテーブルまで持って来てくれ、これこれはかくかくしかじかで、と丁寧に説明をしてくれます。
コールラビ(キャベツとカブのあいのこ的な野菜)にナスタチウムとプラムのタレ。美味しいのですが、ひたすら手づかみの生野菜が続くのでちょっと飽きてきます。
Chufa MilkにSASSAFRASの粉。このあたり知らない食材だらけで英語にもついていけず、味も大して美味しくないのであまり興味が持てませんでした。家に帰ってググってみると、どうやらタイガーナッツという木の実(?)から抽出された植物性のミルクだそうな。
SASSAFRAS(ササフラス)とは芳香があり香料原料として用いられる樹木。だからといって枝を目の前ですりおろされるとびっくりする。連れが若干引いているのを私は見逃しませんでした。
野菜中心であろうということで、ワインはニューヨーク産のシャルドネを1本。ぜんぜん知らないワインでしたが、アメリカらしいボリュームに程よい酸味が感じられ結構おいしい。やはり地産地消というのはいいことだ。
干し草の山からニードルと呼ばれるスナック(?)を食べます。干し草はもちろん食べることはできず、ニードルそのものもプリッツのほうが美味しい。ううむ、だんだんついていけなくなってきた。
ふかしたサツマイモに発酵させた葉っぱを巻き付けます。桜餅のサツマイモ版といったところでしょう。
こちらはトウモロコシを揚げたもの?こつぶっこ的な味わいでスナックのようでした。
これはレタスと海藻かなあ?ピクルスのような酸味も感じられました。
ウィンターメロン(冬瓜)と生ハム。ウィンターメロンはじっくりと火を通し味付けしてから冷やしており、スイカっぽい味覚に寄せているのが面白い。生ハムはまあ普通の生ハムです。
キャベツの寿司。おれたちは日本人だぞ、ふざけているのか、と思いきや、旨い。悔しいが旨い。これまで殆ど調味をしていない料理が続いていたので、余計に美味しく感じたのかもしれません。
キノコを揚げたものにマスタードソース。ファストフードを模したダジャレっぽい作品。特に美味しくはありません。
フォアグラとチョコレート。突如野性味を感じるどぎつい一口。チョコレートの風味も強烈であり、これまでの仙人のような食事との対比がファンキーです。
ピクルスは昨年この農場で収穫された野菜。農場一体型のレストランと言えでもその食材を全て賄っているわけではなく、自給自足率は25%とのこと。残りは他の自家農園や契約農園、保存食化したものを用いているそうな。
カトラリーは一通りのセットが与えられ好きなものを使う仕組みです。私は真っ先に箸を利用したのですが、そのままキープするという概念が無いらしく、真っ先に下げられてしまったので、箸の見せ場は次の1皿だけでした。
再びサツマイモ。いくつかのスパイスとハーブ類を身にまとい、脇には当農場産のヨーグルトを。
こちらはマリネした白身魚。カルパッチョ的な存在なのかなあ、久しぶりにタンパク質を感じる味わいでとても美味しく感じました。
オート麦で造られたパン。一般的な小麦よりも野性味に溢れ大地を感じる味わいです。付け合わせはマメ科の植物の葉っぱでしょうか。
ドンコ・マッシュルーム。海外のレストランで「シイタケ・マッシュルーム」と聞くことは増えましたが、「ドンコ」と表現するお店は初めてです。これが、旨い。シイタケの旨味と香りの活用はもちろん、ソースの表現力も確かなもの。これは和食の料理人にとっても勉強となる1皿でしょう。
チャーサイのクラムチャウダー。チャーサイを用いるのはOKなのですが、テーブルに生のまま丸々ドンと置くのは実にシュールで笑えるプレゼンテーションです。気が散って味はよくわかりませんでした。
鶏から取った出汁に先のピクルス液を混ぜ、スープだけを味わう1品。鶏の旨味が実に濃厚であり天下一品のスープを上品にしたような味わい。ピクルス液の酸味ともバランスが良く、本日一番のお皿です。
「カトラリーをお持ちになってコチラへどうぞ」と案内されたのはキッチン。「ヘイ!らっしゃい!」的な元気いっぱいの掛け声で料理人たちに出迎えられ興奮は最高潮。
更にはしばらくここに滞在し、調理風景を見ながら食事を続けてもらうとのこと。これまで食後にキッチンを案内されたことは何度かありますが、キッチン内で食べるのは初めてかもしれません。花瓶の中のバラはラディッキオ(チコリ)で作られており、サクサクとオツマミとして食べることができます。
こちらのファームで造られたソーセージとジャガイモを、、、
大きな皿(?)にペイントされたソースと共に頂きます。味わいとしては日進ワールドデリカテッセンで調達するシャルキュトリーと大差ありませんが、やはり食べる空間や勢いというものは、食事をする上で重要なファクターなのだ。
ソーセージを食べ終わった後は、レストラン内の様々な設備へと案内してくださいます。
屋外にある燻製マッシーン。ここで生産された食材をここで燻製し、そのまま料理として出すだなんて、料理人として最高の環境だろうなあ。
こちらはベーカリー。レストランで出すものはもちろんのこと、併設のカフェや売店で販売しているものはコチラで焼かれています。
テーブルに戻るとコース料理が再開されます。こちらは牛の脊髄のサラダ。
語幹としてはグロいですが、味の濃いコラーゲンをスパイスと共に当農場で生産した緑の葉っぱと合わせて食べるのは乙な味。ロンドンの肉料理の名店「St.John(セント・ジョン)」のスペシャリテによく似た料理でした。
先のベーカリーで焼かれた全粒粉のパン。白眉は備え付けのバター。もちろん当牧場で生産されたものであり、衝撃的と評すべき新鮮さと濃厚さでした。バターだけでなく、バターミルクも味わうことができます。
ようやくメインディッシュに到達。皿数が多くていい加減書くのに疲れてきました。こちらのお肉も当牧場で生産されたものであり、シンプルに焼いて塩で食べる素朴な味わい。美味しいのですが、まあ、普通です。皿が冷たく肉の温度を奪っていき、プレゼンテーションに気を取られすぎたきらいがあります。
グラスでワインを頂きます。ローカルなものが出てくると思いきや、めっちゃフランスのワインでちょっと笑ってしまいました。このあたりの拘りはあまりないようです。
ステーキに合わせて(?)供されたポテトチップス。これはまあ、普通のポテトチップである。どうしてここにきてこれを出したのか意図がわかりかねる。
〆の野菜は私と連れで違うものが用意されました。私はパースニップというニンジンに似た根菜。ニンジンとお芋の中間の食感ならびに甘味であり、結構な量に腹が膨れます。連れはニンジン。それにしてもどうして異なる料理を持ってくるのか。たまにこういうことをするレストランがありますが、誰得なのでしょう。
メープルシロップは50%、70%、100%などの精製度合い(?)別に用意され、
カキ氷のタレとして入っています。これは面白い試みですね。%によって味わいが全く異なり、同じ素材でこうも印象が変わるものかと感心しました。
こちらはオートミール(?)と日本酒のムース。うーん、最後の最後で企画倒れ感があります。不味くはないのですがノッペリとプレーンな味わいであり、それでいて量が多く飽きがきます。ヘーゼルナッツの風味は良かった。
夏の果物を保存食化し、天然のたっぷりのハチミツと共に頂きます。フルーツの凝縮感が凄まじく、やはり素材の力は偉大であると感心。

最後に冒頭の支配人が挨拶に訪れます。今後ロンドンではどの店に行くつもりかと訊ねられたので、「St.John(セント・ジョン)」と伝えると、なんだか妙にツボったらしく「あれは良い店だ、グッドチョイスだ」と5回ぐらい言ってました。こういうの、何だか嬉しいな。
冒頭の白いメニューは厨房内の指図書に用いられていたようで、皿出しの順序などの符牒が記されていました。ちなみにキッチン内で気づいたのですが、各テーブルはカメラによって監視されいたのです。なんと、客の食べるスピードをライブ映像で読み取りながら提供タイミングを合わせていたのです。あな恐ろしや。
店を出たころにはすっかり日が暮れていました。それもそのはず、一通り食べきるまでに5時間も要していました。マンハッタンから往復で3時間、農場などの見学で1時間、食事で5時間と、まさに1日がかりの食体験。ある種エンターテインメントを軸に据えた企画モノレストランであり、純粋に美味しい料理かと問われるとちょっと違いますが、このコンセプトはありよりのあり。「なんだか今日はニューヨークでの食生活の集大成ってカンジだなあ。タケマシュランと来れて良かった」とは波乱に満ちた華やかな20代をおくる連れの談である。


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