川せみ/目黒

目黒駅から雅叙園方面へ行人坂をずうっと下った先にある「川せみ」。何てことのない住宅街にある蕎麦屋なのですが、ランチタイムは行列必至の人気店です。
行列を避けるためオープン直後を狙いました。カウンター席が5~6席にテーブル席がいくつか。蕎麦屋にしてはスタイリッシュであり、夜に飲みに来るのもカッコイイかもしれません。
「2色そば+鴨汁」を注文。1,580円です。当店の蕎麦は石臼挽きの国産蕎麦粉を用いており、当店にて練って伸ばして切って茹でています。そば粉は季節ごとに産地や種類が変わるそうです。
まずは普通(?)のそば。中太麺であり、見た目以上にコクコクとしたコシが感じられます。なるほど旨い。私は蕎麦について全く詳しくはありませんが、それでもこれは一味違うと感じられるほどです。
こちらは鴨汁。鴨のエキスがしっかりと溶け込んでおり、出汁や醤油だけでなく甘味もはっきりとしているのが特長的。鴨肉の美味しさはもちろんのこと、つくねが殊更に旨い。キノコやネギもたっぷり。
続いて2色目の田舎蕎麦。香りがプンプン、コシというか歯ごたえというか噛み応えというか、とにかくワシワシとした食感が楽しい。口いっぱいに頬張ると蕎麦の風味が爆発。私の好きなタイプのお蕎麦です。
平日のランチタイムにはゴハンのサービスもあります。この日はタマネギだったっけなあ。米そのものの美味しさのほか、炊き加減や仄かな味付けなど、脇役にしておくには惜しいクオリティのライスでした。
蕎麦湯で〆てごちそうさまでした。蕎麦とは割高な食べ物なので、この質と量で1,580円というのはリーズナブルと言えるでしょう。この日は寒かったので思わず鴨汁を注文しましたが、同じ値段で天せいろだと、盛りだくさんの天ぷらを味わえるそうなので、今度はそちらを頼んでみようかしらん。目黒で蕎麦ならココ。オススメです。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

La Sena(ラ セナ)/高岳(名古屋)

栄と新栄町と高岳の重心部分にある「La Sena(ラ セナ)」。アーネストホーストのジムのすぐ近くにあります。
お店は結構広く、厨房を取り囲むカウンター席にテーブル席がいくつか(写真は食べログ公式ページより)。壁一面のガラス窓が開放的で気持ちよく、良い季節にはテラス席も設けられるそうです。

ブラウンを基調とした温かみのある店内は中央にオープンキッチンを構えています。壁一面がスライド窓で造られているので広々とした開放感を感じながら食事を愉しむことができます。
乾杯の泡は何と南アフリカ産。初見の客の1杯目に起用するには中々の冒険です。
アミューズはサバ。独特の香りと酸味が先の泡に良く合う。
脂の乗ったサーモン。コッテリとろんとした舌ざわりで美味。マスの卵のプチプチ感にも遊びがあり、ニンジンの味が強いキャロットラペもグッドです。
パンは自家製。小さなロールパンは郷愁を誘う優しい味わい。この後、ジャガイモを練り込んだパンも出てきたでのすが、そちらも美味しかった。
温かいキャベツのスープ。野菜の甘味がしっとりと染み込んでおり内蔵に優しい。
マダカ。初めて聞く魚の名前ですが、今ぐぐってみるとスズキのことだそうです。ちょっと火を入れ過ぎているのか皮には苦みが生じ、身からは水分が脱落しているのが残念。ソースとカブは美味しかった。
メインは三元豚。オーソドックスで美味しいのですが量が少なく感じました。
デザートはシブースト。生地にクリームをのっけて表面を炙るシンプルな甘味ですが、素朴で美味しい。
お茶菓子とハーブティーで〆てごちそうさまでした。

コース料理にグラスを3杯飲んでお会計は1万円弱。まあ、こんなもんでしょうか。料理につき、味は良いのですが量が少なく、思わずこの後に「なるとや」にラーメンを食べに行ってしまいました。ワインのチョイスは興味深いので、すごく美味しいツマミが出るワインバーぐらいのノリで行くとちょうど良いかもしれません。あと小食の女子。

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仕事の都合で年間名古屋に200泊していたことがあり、その間は常に外食でした。中でも印象的なお店をまとめました。

食通たちが鰻の魅力とこだわりを語り尽くす一冊。よしもとばなな、沢木耕太郎、さくらももこ、椎名誠、村上龍、村上春樹、島田雅彦、五木寛之、遠藤周作、群ようこ、などなど最強の布陣が送るアンソロジー。

Mr.FARMER(ミスターファーマー)/恵比寿

恵比寿駅に直結するアトレのレストラン街に入居する「Mr.FARMER(ミスターファーマー)」。表参道、新宿、駒沢、日比谷、木更津、横浜に次いで7店舗目となる出店です。屋根が高く採光が良くグリーンに溢れており、まるで屋外にいるかのような誂えです。
全国約100軒の生産者から届く野菜が自慢であり、ヴィーガン、グルテンフリーといった流行のメニューが並びます。ただし、ネットには「パワープロテイン」とも推していましたが、そんなにタンパク質タンパク質したメニューは見かけませんでした。
ドリンクバーが有名だそうですが、ランチに追加料金で390円と微妙に高い価格設定なので、「水でいいです」作戦。しかしながらその水はデトックスウォーター的映える液体が数種類も並んでおり「水でいいです」作戦が功を奏しまくりです。
私の注文は「ヴィーガンロコモコ」。ブラウンライスを土台にキヌアやアボカド、ソテーしたケール、ピクルスなどヘルスコンシャス。トップを飾るのは大豆のマヨネーズ(?)であり、目玉焼きではありません。ソテーしたケールの味付けがはっきりしており、ピクルスの酸味も強烈。メキシカンサルサソースも結構辛い。見た目以上に男っぽい料理です。
真打は「大豆ミート」。国内外で話題の代替肉であり、洋風がんもどきのような味わいです。決して不味いわけではありませんが、まさにフェイクなミートであり、肉の代わりにはならないでしょう。過度に期待せず、こういう食べ物だと割り切って臨んでください。
美食の追求というよりはファッションな印象が強いお店でした。ティータイムにはスイーツとドリンクバーがセットで1,200円と悪くない価格であり、そのスイーツもグルテンフリー&ヴィーガン揃いと興味深い。ダイエット中だけど外食はしたいギャルにオススメなお店です。腹いっぱい食べたい男子はちょっと違う。

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恵比寿も十番に負けず劣らず良い街ですよね。1度住んで、片っ端から食べ歩いてみたいなあ。よそ者ながら印象に残ったお店は下記の通り。
恵比寿を中心に話題店が整理されています。Kindleだとポイントがついて実質500円ちょい。それにしては圧倒的な情報量。スマホやタブレットに忍ばせておくと出先で役立ちます。

鮨 仙八(せんぱち)/熊本市

熊本随一の繁華街の雑居ビル地下にある「鮨 仙八(せんぱち)」。ミシュラン2ツ星と九州でも最高クラスの評価を得ており、食べログでも3.98と人気のほどが伺えます。基本的には1回転ですが、金曜日と土曜日は2回転。ランチも営業しているとのこと。
店内はL字型のカウンターと個室の4名がけテーブルが1卓。カウンターは12席であり、コロナ対策のパーティションもあって割に圧迫感があります。また、従業員同士での掛け声が巨大でしばしばびっくりするので心臓の悪い方はご注意を。

中原貴志シェフは四代続く鮨職人の家に生まれ育ち、福岡「とき宗」や西麻布「鮨 真(しん)」を経て独立開業。
ビールは小瓶が700円、日本酒は片口で千円前後と悪くない価格設定です。熊本のものを中心に九州の地酒が取りそろえられているのが嬉しい。もちろんワインや焼酎なども用意されています。
ヒラメで開幕。ヒラメは当然の美味しさですが、何と言っても肝醤油がマックス美味しいですね。麗しき天然マヨネーズのようなコッテリとした味覚です。
タチウオはフキノトウの味噌と共に。この魚を生で食べることは珍しく、加えて味噌風味というのも面白い。慌ててビールから日本酒へと移行します。
シラウオは桜の葉で蒸した優しい香り。菜の花や空豆など、春を感じさせる味わいに舌鼓。
白子そのままではなくムース状にしてからトマトのジュレで覆い、ヨーロッパ系の前衛的な料理のよう。かなりさっぱりとした味わいなので、冒頭に持って来ても良かったかもしれません。
毛ガニの餡に里芋を揚げたもの。こちらは中華料理風であり、真っ当な鮨屋でありながらかなり攻めたツマミを用意してくれるのが楽しい。
ここから握りに入るのですが、このアオリイカには度肝を抜かれました。フワフワというかテロテロというか今までにない舌ざわりであり、清廉な饅頭を食べているかのようです。じっとりとした甘味と旨味を湛えた会心の出来栄え。恐れ入りました。
酢締めのキス。そうそう、当店の大将は握りの速度が半端ないですね。しかもただスピーディーなだけでなく、タネやシャリが手の中で踊るように握り込まれていくのが面白い。外人をお連れすれば軽くどよめくことでしょう。
マアジも傑作。小ぶりながらその味わいが凝縮されており、あともうひとつとおかわりしたくなる、後を引く美味しさです。
イワシはワサビがわりにアンチョビを忍ばせており、スパイシーで強烈な旨味が酒を呼ぶ。これはキリっとした白ワインにすれば良かったかな。
赤貝は手榴弾のように大きく食べ応え抜群。まさにムシャムシャといったオノマトペがピッタリの1カンでした。
ブリは脂の乗り切った味わい。かなりどでかいタネではありますがシトシトと包丁が入れられており一口で優しく噛みほぐすことができます。
羽カツオ。初めて聞く魚の種類(?)であり、血の気の多いカツオの味わいがよりマイルドになったなという印象。

ところで当店の魚の殆どは熊本の田崎市場から仕入れているそうで、いきおい地元のものが多くなります。これは観光客にとっては嬉しいシステムです。
サワラもしっとりと旨味が増しており渋い味わいです。瀬戸内で食べるピチピチのサワラとはかなり印象が異なる。
赤身のヅケは直球勝負の味わい。パンチの強いシャリと共に握りながら酒の進む一品です。
中トロは一転なめらかな味わい。赤身と脂の美味しいとこ取りといった味覚であり、世の鮨通も納得の美味しさでしょう。
特大の車エビ。これはもう、本当に巨大としか言いようがなく、口の中で海老の食感が渋滞しています。内側には海老の味噌(?)が仕込まれており、参りましたといった味わい。
「お椀をご用意していますが、いかがなさいますか?」と問われ当然に頂くのですが、後から明細を見ると1人につき500円づつ別につけられていました。いや別にそんぐらい構わんけど「変なこと聞いてくるなあ」と微妙な空気になるので最初からコースに含んでおけばいいのに。今夜で唯一謎な仕組みでした。
ウニは程よいサイズ感であり、海苔の濃厚な磯の風味とバランスがとても良い。
トコブシのリゾット。やや緑がかったセメントのような色合いであり、その濃厚な味わいが外観からですら確認することができます。旨い。日本酒が、旨い。
巻物はひもきゅう。この日は2回転目もあり、その他の巻物を追加注文できる雰囲気ではなかったので(実際どうなんだろう?)、好物のカンピョウにはたどり着けず。
海老の風味に満ちた玉子でフィニッシュ。ごちそうさまでした。

以上を食べ、割に気前よく日本酒を飲んだにも関わらずお会計はジャスト2万円に整いました。どひゃー。都心の狂った価格設定の鮨屋に比べると拍手を送りたくなるほどの費用対効果の良さです。シャリの味は強く、タネも大きめ。何より握りの数が多い。ズバリ私好みの鮨屋です。全体としてかなり味が濃い仕様となっているので左党にオススメ。熊本を訪れた際には是非どうぞ。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。