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井泉 本店(いせん)/湯島

1930年(昭和5年)創業の「井泉 本店(いせん)」。もともとの呼び名はセイセンだったようですが、客が皆イセンイセン言うからイセンにしたという柔軟なマインドを持つとんかつ専門店。かつサンド発祥の店としても知られています。昭和の面影を色濃く残す木造風の外観が目印です。
店内はカウンター席、テーブル席、お座敷の3種類で構成されています(画像は公式ウェブサイトより)。お座敷は昭和30年代まで芸者衆が踊っていた歴史ある空間だそうで、お座敷の合間に口紅を汚さずに片手で手軽に食べられるよう、かつサンド爆誕したそうです。ちなみに全国的に有名なとんかつチェーン「とんかつ まい泉」は「井泉」からの暖簾分け説と、なんか揉めて正式な暖簾分けではない説があるようです。誰か詳しい情報求む。
私は看板メニューの「ヒレかつ定食」を注文。休日の16:40頃にお邪魔し、ファーストロットに間に合わず入店から30分ほどを要しました。ヒレカツにキャベツと豚汁、ゴハン、お漬物がついて2,200円。キャベツとゴハンはお代わりOKです。
ヒレかつ。きめ細かくサクサクとした軽い衣であり、歯を当てるだけで容易に千切れます。お肉も繊維が上手くほぐされており、なるほど「お箸できれるやわらかいとんかつ」という主張は伊達ではありません。お肉は繊細で上品。しっとりとした口当たりで脂っこさが一切なく、何枚でも食べ進められる洗練された味わいです。
また、卓上に置かれたソースが素晴らしいですね。 オリジナルの特製とんかつソースであり、酸味と甘みのバランスが当店のトンカツにピッタリ。キャベツは細かく千切りされており瑞々しくフレッシュな口当たりなのですが、このソースをかければ箸休め以上の存在感を放ちます。
ゴハンとお漬物はいずれもシンプルですが、安定感のある味わい。嬉しいのはおかわり自由である点で、出来立ての料理を白米と一緒に口にする体験は日本の定食文化そのものです。
とん汁も素晴らしい。人参・ゴボウ・ネギがたっぷり入った具沢山スタイルで色んな味がする。また、豚肉が入ることで旨みにコクが加わり、単なる付け合わせを超えた一品として成立しています。
以上の「ヒレかつ定食」が2,200円(画像は公式ウェブサイトより)。上質なトンカツとバリ旨い豚汁にお代わりOKなゴハンとキャベツをたっぷり食べてこの支払金額は実にお値打ち。創業から100年近く経つ今であっても客足が絶えない理由が良く分かりました。やはり老舗には老舗たる理由があるのだ。

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私は「とんかつ」という料理をそれほど好みません。だって、豚肉を脂で揚げるだけじゃないですか。それなのに、行列するは調理に時間がかかるわ結構高いわで、積極的に取り組もうとしないのです。したがって、私は物凄く「とんかつ」ならびに「とんかつ屋」について、検察官のようにシビアに評価しています。思い入れが無い分、信憑性は高いかもしれません。

トンカツだけでなく揚げ物全般について注力した興味深い本。トンカツを単なる洋食系の揚げ物から偉大なごちそうへと昇華させる秘訣が惜しみなく紹介されています。写真を眺めているだけで腹が鳴る。

富士㐂(ふじき)/中目黒

中目黒駅から池尻方面へ10分ほど歩いた場所にあるトンカツ専門店「富士㐂(ふじき)」。運営は多種多様な飲食業態を展開する「際コーポレーション株式会社」の運営です。ドンキの少し手前に位置し、メディアによっては「富士喜」という表記の場合もあります。
店内はカウンター4席ほどに加え、テーブル席が数卓。スタッフもゲストも外国人ばかりで、中目黒というロケーションを考えると妙なアウェー感があります。また、衛生教育が徹底されていないようで、せっかく青いグローブを着用しているというのに、その意図がまったくわかっていなさそうで、手袋のまま床に落とされた客のナプキンを広い、そのまま台拭きでテーブルを拭き、その勢いでソースの注ぎ口まで拭っていました。それだと清潔なのは手袋の内側の君の生の手だけだぞ。
私は「当店名物オリジナル 骨付きとんかつ」を注文。ゴハンと味噌汁を付けて3,060円です。構造がややこしく中々に分厚い肉でもあるため芯まで熱を通すのに時間がかかるようで、注文してから料理が出てくるまでに20分以上待ちました。時間に余裕の無い方は薄目のお肉で注文したほうが良さそうです。
主役の「骨付きとんかつ」ですが、これはあんまり美味しくないですねえ。最大の特徴は骨周りの脂身の多さであり、通常のロース以上に脂の層が厚く、食後感はかなりヘビーです。骨のキワを食べるは面倒だし、衣が剥がれやすくベチャつきやすい点も相まって、高くて時間がかかって食べづらい割には単に脂っぽいトンカツでした。
身の部分は肉汁が完全に抜けきり、繊維が収縮して硬さパサつきが際立っています。もちろんこれは骨付きという構造上の欠点であり、骨の周囲は火が通りにくいため芯まで加熱しようとすると、どうしても周囲の肉に火が入りすぎてしまうのでしょう。せっかくの贅沢なメニューでありながら、旨みよりも喉越しの悪さや筋っぽさが勝ってしまうのは、調理の難易度が裏目に出た残念な仕上がりと言わざるを得ません。
ライスは大盛は無料であるもものお代わりは有料で、その品質もそのへんの定食屋と大差なく、同価格帯のトンカツを提供する専門店に比べると意識が低いと言わざるを得ません。
味噌汁もビジホの朝食のようなジャーでずっと保温されているものであり、煮詰まっているのか何なのか、単に味噌が濃いだけで、四捨五入すると味噌です。この味噌汁のお代わりが150円というのは良識に抵触しても良い気がします。
際コーポレーションが手掛ける飲食店は結構好きなだけに、大変にガッカリしたディナーでした。以上のセットが3,060円。同じ価格帯の他の店と比べると食後感はだいぶ劣ります。ランチの安い定食であれば千円強で楽しめるようなので、近所のリーマンが昼食をパっと食べるぐらいに留めたほうが良いのかもしれません。お疲れ様でした。

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とんかつ太郎/古町(新潟市)

新潟のソウルフードとして知られる「タレかつ丼」発祥の地として有名な「とんかつ太郎」。創業は昭和初期に遡り、当時の新潟市中心部で堀沿いに並ぶ屋台のひとつとしてスタートしたそうです。沖縄のトンカツチェーン「とんかつ太郎」とは多分、関係ないはずです。
「売り切れる恐れがあり、また、ピークタイムは行列する」と脅されていたので、開店とほぼ同時にお邪魔しました。この時点での客入りは半分ほどでしたが、退店時には軒先に行列が生じていました。オペレーションはあまり良いとは言えませんね。注文が立て込んでいるというわけではないのに皆、テンパっており、見ているこっちがヒヤヒヤします。
カツが揚がるまでの間はサラダで繋ぎます。その大半がキャベツの千切りであり、一般的なトンカツ屋であれば無料で付随、かつ、おかわりOKなことも考えると、320円という価格設定には色々と考えてしまいました。
注文から15分ほど待って着丼。全国的に「カツ丼」といえば、豚カツを玉ねぎと共に割り下で煮込み、溶き卵でとじたものが一般的ですが、新潟のそれは薄く軽やかに揚げられたカツを、甘辛い醤油ベースのタレにさっとくぐらせ、炊き立ての白いご飯の上に整然と並べるスタイルです。「3枚カツ丼」が1,020円で、「なめこ汁」が180円、先のサラダが320円で合計1,520円と、中々のお値段です。
カツは一般的なとんかつとは一線を画し、豚肉を薄切りにし、きめ細かいパン粉をまとわせて揚げています。全体として軽やかな食感であり、タレは醤油ベースで甘辛く、食事というよりもスナックに近い感覚。ただ、一般的なカツ丼と異なり卵や玉ねぎなどが無いので、味覚としては単調で食べ飽きてしまいます。
ゴハンは新潟が誇るコシヒカリを用いており、なるほど旨い。カツよりもお米の美味しさのほうが印象に残りました。
「なめこ汁」は一般的な定食屋のそれであり、別料金で180円は割高に感じました。サイドメニューは全般的に割高なので、全予算をカツ丼に集中すべきだったかもしれません。
以上の合計が1,520円で、普通に美味しいですがちょっと高すぎるなあというお気持ちです。「かつや」のカツ丼は600円程度であり、あちらのほうが私好み。過度な期待はせず、あくまで新潟名物の聖地巡礼・観光スポットのつもりでどうぞ。おつかれさまでした。

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私は「とんかつ」という料理をそれほど好みません。だって、豚肉を脂で揚げるだけじゃないですか。それなのに、行列するは調理に時間がかかるわ結構高いわで、積極的に取り組もうとしないのです。したがって、私は物凄く「とんかつ」ならびに「とんかつ屋」について、検察官のようにシビアに評価しています。思い入れが無い分、信憑性は高いかもしれません。

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とんかつ いわい/大門

大門の大人気トンカツ専門店「のもと家」が「とんかつ いわい」としてリブランドオープン。細かな事情は存じ上げませんが、「のもと家」の店長(?)が営業権を買い取ったようです。相変わらず評判は良く、食べログでは百名店に選出されています。
平日の正午頃に訪れ、ビル階段で15分ほど待った後に着席。席が空けばすぐに案内するというよりも、ラーメン二郎的にある程度のバッチ処理で運用しているようです。「小学生未満のお客さまはお断りしております」「現金払いのみです」「一切のお待ち合わせをお断りしております」「少人数様(4名以下)の入店のご協力をお願いします」と注文が多く、ハードボイルドなトンカツ屋さんです。
私は「トリオ定食」を注文。ロース120g、ヒレ60g1枚、海老1本が盛り込まれて3,500円です。この他に山盛りのキャベツと具沢山の豚汁、ゆず大根、大盛無料のライスが付きます。
このエビフライは見事ですねえ。特大で弾力のある海老とサクサク衣が絶妙のバランス感覚をみせ、上質な天ぷらを食べているかのようです。たっぷりのタルタルソースも美味しい。山盛りのキャベツには自家製の大葉ドレッシングが良く合う。トンカツに入る前に満足しつつある私。
こちらはヒレカツ。当店の豚肉は鹿児島の「六白黒豚」という希少な黒豚を使用しているそうで、肉質が柔らかく、脂身のクセを殆ど感じさせません。どこまでもしっとりとした質感であり、噛むほどに味わい深い。
こちらはロース。脂身からは仄かな甘みが感じられ、肌理が粗くサクサク感の強い衣と共に品の良い味わい。茎ワサビをちょこんと乗せ、鹿児島のサクラカネヨ謹製の甘口醤油と共に口に含むと、トンカツのバウンダリーを超えた新たな料理の可能性を感じさせます。
ゴハンは大盛でお願いしました。マンガのような大盛で腰が引けましたが、「トリオ定食」のオカズ量であれば相手にとって不足はない。今夜は晩ごはん抜きにしよう。
豚汁にも六白黒豚を用いているそうで、とにかく具沢山で大満足。味噌にはやはりサクラカネヨのものを用いているそうで、このクオリティでおかわり100円というのは出血大サービスでしょう。
お口直しとしてサッパリとしたとしたゆず大根も付きます。こちらも丁寧に漬けられており、定食としての完成度の底上げを担ってくれます。
大満足でした。「のもと家」時代に訪れた際はパっとしなかった印象ですが、それは単に私の体調がパっとしていなかっただけなのかもしれません。数年あいだを空けて再訪すれば劇的に印象が変わるのが飲食店巡りの面白いところ。この日の私は終始ゴキゲンでニコニコしていた。

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とんかつ 大希(だいき)/蒲田

京急蒲田駅からデッキで直結する商業施設「あすとウィズ」の2階に入居する「とんかつ 大希(だいき)」。敢えてトンカツ激戦区にオープンし成功を収めた話題のお店です。改札から段差ナシに入店することができ、大きな荷物も預かってくれるので、フライト前後での利用に便利です。
土曜日の12時過ぎに到着し、待合室に先客は1組。「20-30分は待つかも。。。」と店員さんから案内がありましたが、けっきょく10分ほどの待ち時間で着席できました。なお、昼でも夜でも予約可能なので、フライトの時間が気になる方やグループでの利用の際は、そうすると良いでしょう。店内は明るく健康的な雰囲気で、カウンターのほか4人掛けのテーブルがいくつか用意されています。
定食を注文するとお通し(?)が出てきます。エリンギの煮込みにリエット的なひと品。見るとスパークリングワインは350円で提供されており、これは飲まずにはいられない。ちなみに一品料理も多く、夜はちょっとした飲み屋としても活用できそうです。
スペシャリテの「上白ヒレかつ」。低温でじっくりと調理するため時間を要しますが、待つ甲斐は大いにアリ。衣は白く断面はロゼ。お肉全体に均一に熱が回っており、しっとりとした口当たりで驚くほど柔らかく、肉の甘みと旨味を上手に保っています。しばらくご無沙汰しているので断定的なことは申し上げられませんが、「成蔵(なりくら)」のトンカツもこんな感じじゃなかったっけな。
味噌汁は豚汁に変更して頂きました。写真からは見えませんが、沖縄の味噌汁みたいに具材がたっぷりで、これ1杯でゴハン1杯イケてしまうほどです。500円近い追加料金を求められますが、その価値は十二分にあるでしょう。
羽釜炊きのゴハン。新潟県産の「新之助」を使用しているそうで、我が家と同じ仕様であり、思わず店主と握手をしたくなりました。ふっくらと炊きあがっており、コッテリと揚がったトンカツにピッタリです。おまけに大盛無料である。
卓上調味料として塩・だし醤油・和からし・とんかつソースが用意されていますが、「みぞれ汁」なるものも用意されます。カツオ出汁主体で明石焼きのおつゆのような味わいであり、鬼おろしにした大根がたっぷり入っています。そのままディップしても良し、〆に出汁茶漬けとして仕上げても良し。
こちらはカツカレー。吉祥寺「肉山」とコラボしたひと品であり、牛すじと牛ひき肉がたっぷりでコクがある。辛味もなかなか攻めており、体中の毛穴という毛穴から汗がにじみ出てきます。
カツカレーのカツは白いトンカツのそれと異なりプレーンなタイプですが、これだけで行列店に勝負できるほどのレベルの高さ。白いトンカツは値段が張るので、予算に限りがある方は、プレーンなタイプでも充分に楽しめるのでご安心を。
カツカレーであっても山盛りのキャベツが不随するのが嬉しいですね。ちなみに定食メニューであればキャベツはお代わり無料であり、キャベツが暴騰する中で大変な気前の良さと言えるでしょう。ドレッシングが色々用意されているのも嬉しい。
なるほど激戦区に敢えて出店するだけあって、素晴らしい味わいでした。トンカツだけでなく、カレーもゴハンも味噌汁もレベルが高く、これはもう、夜にも飲みに来るしかないと決心した瞬間です。羽田からのアクセスも良くジェットセッターにもオススメ。途中下車した甲斐がありました。

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