蓮香(レンシャン)/白金高輪

麻布十番の人気中華「ナポレオンフィッシュ」の立役者、小山内耕也シェフが白金の地に独立。発酵食品を中心とした中国各地に伝わる田舎料理や受け継がれる家庭料理を日本の環境の中で再現します。
小山内耕也シェフは「銀座アスター」でそのキャリアをスタートさせ、渋谷「月世界」や麻布十番「ナポレオンフィッシュ」を経て独立。日本に馴染みのない中華料理を伝導するエバンジェリストのひとりです。四ツ谷「南方中華料理 南三」のシェフも当店で働いていたそうな。
ワインや紹興酒のボトルは2,900円均一であり、神田「味坊」のように冷蔵庫から自由に選んで持っていく形式です。個人的には中華料理のような多彩で脂の強い料理に酸味主体のワインは合わせにくいと考えているので、これぐらいのカジュアルなワインをガブガブ飲むのがちょうど良い。
コース料理1本です。まずは小鉢の盛り合わせ。蒸しヤングコーンに細切り豆腐、キュウリとタコ、トマトサラダ。いずれも馴染みのないスパイスが多用されており、家庭では絶対に再現できない味覚。
空心菜。なんてことのない炒め物なのですが、ニンニクを始めとした謎調味料で仕上げられており、唯一無二の味わい。
エビとマコモダケ、ブロッコリーをはやり謎スパイスで仕上げます。一見はシンプルな料理であるのに、複雑で奥行きのある味わい。すごいセンスである。
蒸したウナギをサツマイモの春雨で頂きます。ウナギとパクチーを一緒に食べるのは初めて。パクチーの清涼感とウナギの芳醇な味わいが良く合います。
ナスと台湾バジルの炒め物。じっとりと味の深いナスとふくよかな香りのバジルの饗宴。ナスのトロリとした舌触りも絶妙であり、粘り強い味わいでした。
発酵大豆。粒が大きく歯ごたえもあり、まるで良質な落花生を食べているかのようです。漬物(?)の風味や挽肉のコクの引き出し方などどれをとっても一級レベル。こんなにも大豆を前面に押し出す料理は珍しく、きちんと美味しい。日本大豆協会から表彰されるレベルです。
古漬け高菜、牛肉、レタスの辛味煮込み。ぬわー、これは美味しいですねえ。横浜「景徳鎮」の水煮牛肉も美味しいですが、それよりも更に味覚が重層的に重なり、舌先がしびれて頭がおかしくなりそうです。ただ辛いだけでなく旨味も強烈。
カラスミチャーハン。熟度の高いカラスミであり、〆の炭水化物であるのにお酒が進みます。その辺の居酒屋が出すなんちゃってカラスミとは別物の料理と言えるでしょう。
こちらは汁なし担々麵。なんなんだこれは。深みのある調味の素晴らしさはもちろんのこと、何かを練り込んだセメント色の麺が異常に旨い。もっちりとした食感に厚みのある味わい。何とも形容しがたい豊満な汁なし担々麵でした。

以上を食べ、ビールとワインをそこそこ飲んでお会計はひとりあたり9千円を切りました。これは凄い。資本主義化が進む美食界に一石を投じる費用対効果の良さであり、日本人が一般に想像する中華料理のイメージを打破する多彩な魅力が当店にはあります。

「ナポレオンフィッシュ」は料理は文句なしに美味しいのに酒が妙に高く、ホールスタッフの感じが悪いのが非常に勿体なかったのですが、当店ではそれらの課題が全て解決され、およそ中国料理というジャンルにおいてはひとつの頂点に達したと言えるお店。良く飲み良く食べる友達と共にどうぞ。

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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
1,300円としてはものすごい情報量のムック。中国料理を系統ごとに分類し、たっぷりの写真をベースに詳しく解説。家庭向けのレシピも豊富で、理論と実戦がリーズナブルに得られる良本です。