中華そば さとう/穴守稲荷

フライトシミュレーターの体験会場が穴守稲荷駅から徒歩数分であったため、せっかくのなのでこのあたりで評判の良いお店を検索。食べログでは3.78(2019年6月)と大変評価の高いラーメン店を発見しました。
下町風の街並みを抜けた道路沿いにある「中華そば さとう」。ラーメン店として伝統的な佇まい。土曜日の13時過ぎに訪れたのですが、お客は私ひとりだけでした。
メニュー構成は至ってシンプルであり好感が持てます。プレーンなラーメンが600円で食べることができるのは最近では珍しい。後から入ってきた客がカレーライスを注文しており、チラと覗き見してみるとカレーの王子様的な淡い色合いのルーであり、私の好みとはちょっと違うかもしれません。
細麺であるため注文後すぐに着丼します。スープ、麺、メンマ、チャーシュー、ネギと、ごくごくシンプルな構成。麺は味がしっかりとしみており美味。チャーシューは火を通し過ぎているのか、豚肉特有の臭みが前面に出ていたのでイマイチでした。食感もゴムみたい。
スープはクリアに澄み渡っており雑味などがありません。悪くないのですが、個人的にはラーメンに求めるテイストはジャンクな味覚なので、好みと違うなあという印象です。前日に「松戸富田麺絆」を食べたばかりなので、余計にそう感じたのかもしれません。麺もスープに呼応するかのようなベーシックな味わいでした。
600円という価格設定を考えればこんなもんでしょう。とは言え味わいのベクトルや学食や社食、パーキングエリアのラーメンであり、実に実にプレーンな1杯です。シンプルなラーメンを食べたい時にどうぞ。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

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ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山)

和歌山は岩出にある一軒家イタリアン。何と1日1組のみの営業です。大阪からは車で1.5時間はかかるであろう僻地であり、公共交通機関からも遠いので難易度が高い。
玄関を開けると感じの良いウェイティングスペースが広がっています。予約時間よりも30分も早く着いてしまったのですが(車なので時間が読みづらい)、置かれた本のセンスが良く、心地よく時間を潰すことができました。
予約時間となり、更なるウェイティングスペースへと通され、食前酒とアミューズを楽しみます。このあたりヨーロッパの本格的なレストランの進め方であり、期待がどんどんと高まっていきます。
食前酒が1杯自動的に付帯します。私は運転があるので自家製のレモン・スカッシュ。連れはブラン・ド・ブランでシュワっと乾杯。
アミューズも死ぬほど手が込んでいます。ここまで凝ることができるのは1日1組という営業スタイルのおかげでしょう。アミューズと呼ぶには勿体無いほどのクオリティであり、この時点で本日の勝利を確信しました。
こちらもアミューズのうちのひとつ。自家菜園で採れた野菜のピクルス。野菜の滋味が強く、漬ける酸の程度も程よい。「お客様の来店から逆算して収穫する」というスタイルは最強である。
アミューズの後はダイニングエリアへと移動。これだけの空間を2人で貸し切るという贅沢。皿出しのテンポは全て我々にチューニングされ、他の下品な客に雰囲気が左右されることもないので、100%食事と会話に集中することができます。
1皿目はトウモロコシのスープ。焼いてジュースを絞っただけのものなのですが、信じがたいほど旨い。この糖度の高さは何だ?まるでお汁粉じゃないか。個人的には初っ端に甘ったるいものを食べるのは苦手なのですが、そういった感情を超越するほどの味覚がありました。
紫色のジャガイモであるシャドークイーンと真鯛。魚の味覚の凝縮感が程よく、ジャガイモの力強さも感じられる程よい調味。それを人はセンスと呼ぶ。
タタキのように炙ったカツオの塊にリコッタチーズのソースとプチポンカナリア(黄色いトマト)を添える。ぷんと漂うカツオの香りにトマトの酸味が清々しい。量もたっぷり。
パンも当然に自家製。派手さはありませんが素材を感じさせるしみじみとした味わいであり、料理を邪魔せずバクバクと食べてしまいました。お土産にもいくつか持たせてくれ、自家製の魅力はこういった部分にあるのでしょう。
鰆は衣をまとって揚げて登場。これぞ完璧という火加減であり、カラッとした外皮からジュワっと広がる鰆のエキスまで余すところなく楽しめる1皿です。
イカと玉ネギ。和のテイストを含んだ前衛的な美術品のようであり、このままリビングルームに飾りたいほどです。イカのポーションは小さめで、どちらかというとタマネギを楽しむ1皿でした。
鮑にタイ茄子。それにイモの食感が堪らない。それぞれの食材のキャラがきちんと立っており、それでいてまとまりがある。調味は必要最小限に留められ、とにかく素材が美味しい1皿。
今が旬のヤングコーンに根セロリ、赤海老。並のレストランであればどう考えたって赤海老が主役足り得るのに、当店は野菜に目が向いている。ヒゲを纏ったジューシーなヤングコーンをザクザクと頬張る幸せ。
自家菜園の野菜とハーブ。見るからに旨そうであり、そして実際に旨いのである。ブラスのガルグイユも似たようなコンセプトかもしれませんが、野菜ひとつひとつのサイズが大きく、ムシャムシャと食べごたえがあります。
地元のホロホロ鳥。1分1秒も逃すまいと見極められた頂点の火入れです。ホロホロ鳥はそれほど好きな食材ではないのですが、当店のそれは別格。ジューシーで瑞々しく、しっとりとした噛みごたえ。真っ白な肉なのにグイグイとした味の濃さがあり、人生で一番美味しいホロホロ鳥でした。
お口直しの造形も実にクール。一般的なレストランのお口直しは偽カキ氷のような雑な物ですが、当店のそれはシェフの美意識が感じられる1口でした。那覇の嘘つき中華にこれが口直しだと教えてやりたい。
牛乳を煮詰めた(?)液体にカモミールと青梅のジュレ。見た目はただの白い液体なのに、想像を絶する味覚です。冒頭のトウモロコシと同様まさに素材といった味わいなのですが、ここまで濃厚で濃密なものになるのかと唸ってしまう。カンテサンスのアレはどうしてあんなに賞賛されているのかよくわからないのですが、当店のコレは誰でも直感的に旨い!と叫んでしまう魅力があります。
メインのデザートはココナッツのアイスにメレンゲに地元の桃。この皿についても何を食べているのかハッキリと解りやすい一方で、全体として統率の取れた味わい。最後の最後までパーフェクトでした。
小菓子も凄い。シンプルながらも当店のコンセプトを体現したかのような魅力があります。木苺かわゆす。
焼き菓子もアツアツで中身がトロっとした食感であり、最後の最後まで手抜きは一切なし。ごちそうさまでした。
完璧でした。今まで食べたイタリア料理(そもそもこれはイタリア料理か?)の中でダントツの満足度かもしれません。しかもお会計はひとりあたり2万円弱という信じがたい費用対効果です。これだけの料理をこの雰囲気の中この価格帯で提供できるのは世界広しと言えどもここぐらいしかないのではなかろうか。
レストランの未来は当店にあるのかもしれません。良質な食材を取り寄せて調理するのではなく、客が自ら食べに行く。最終型の料理を意識して栽培からデザインしていく。その日訪れるお客様のタイミングに合わせて収穫し、ベストな状態で望む。営業時間中はそのゲストのみに向き合う。

代々木公園の「été(エテ)」にも近い価値観を感じますが、当店は食材の生産から手がけているという意味でより高次元に感じます。また、ニューヨーク州の「Blue Hill At Stone Barns」もコンセプトとしては近いかもしれまでんが、あそこは値段が高すぎてちょっともう無理。つまり当店は素晴らしい。感動した。また絶対来る。今度はタクシーで来て絶対飲む。
ちなみに当店を知ったのはブルータスのイタリアン特集でした。この本は日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。


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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。



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點心飲茶酒館 祥門(テンシンヤムチャシュカン ショウモン)/中目黒

2017年春のオープン以来、安定的な人気を誇る飲茶店。中目黒駅前の大通り沿いスタバ横と立地が良く、予約も受け付けるしウォークインも歓迎という使い勝手の良いお店。
750円のメガハイボールで乾杯。バケツと見紛うほどの特大サイズのジョッキであり、レモンなんて丸々1個分がぶち込まれています。「へいへーい、乾杯!」この日は独身の専業主婦と昼から飲み始め、18時前の時点で2次会です。
よだれ鶏。注文して秒で提供されるスピードメニュー。辛味というよりも胡麻ダレのマイルドさが主張する優しい味覚です。
揚げギンナン。節分かというほどの量であり、このポーションで450円というのは大変お得。人生で一番ギンナンを食べた夜です。4粒刺さって1本数百円の気取った焼鳥屋の価値について考えさせられました。

「ゆうべは人数合わせの合コンに付き合わされたんだけど」苦虫を噛み潰したような顔で言う。「やれ収入がどうの、仕事がどうのって話ばっかりで疲れちゃった」
小籠包とエビ餃子。いずれもヒネらないベーシックな味わいで美味。エビが大きくプリっとした食感なのが嬉しい。

その話kwskと私は続きを促す。「〇〇(超大企業)の海外駐在員らしいんだけどさ、一時帰国祝いも兼ねて、可愛い子集めて飲みたいってコンセプトだったみたい」うーん、この時点で私とは大きく価値観が異なる。一時帰国という限られた貴重な時間をどうして知らん女と過ごすのか。
羽付きの焼き餃子は油を吸ってかやや重たい。ニンニクの量も多く、好みが分かれる餃子かもしれません。

「今は手取りが〇〇万円で、年収だと〇〇万円みたいな話をずっとしてるわけ。そんなのどうでも飯田橋なんだけど、アレンジした女の子からは『仕事上、重要な先輩だから、手厚く』ってお触れが出ててさ」彼女は全盛期のエメリヤーエンコ・ヒョードルのような表情で溜息をつく。確かに収入を自慢する人の気持ちは全くわからない。「おれって背が高いだろ?高いだろ?」って自慢しているのと同義じゃないか。
カニ入りの小籠包は、プレーンな小籠包にほんのちょびっとカニがトッピングされているだけであり、追加料金ほどの価値は見いだせない。普通の小籠包で充分に美味しいです。

「しまいには参加者それぞれの出身大学とか聞き始めて偏差値トーク。『オレは大学時代はモテた』みたいなことまで言い始めるわけ」過去を振り返るのは死に際だけでいいじゃない。彼女はときどき重みのある言葉を呟く。
辛味のきいた水餃子は先の餃子と一転して肉肉しい。それでもやはりニンニクの量は物凄まじく、当店の餃子とはそういう芸風なのかもしれません。

まあまあ、彼はちょうど仕事が軌道に乗り始めて、エキサイティングで仕方ないんだよ。人生には仕事よりも大切なものがたくさんあるってことは、30歳そこそこの男子は気づけないものだよ。私は同性のよしみとして見えない彼をフォローする。「は?30歳そこそこ?何いってんの?その男、50歳だから
麻婆豆腐は程よい辛さで甘味も強く、マイルドな仕上がり。美味しいのですが期待していたほど量は多くなく、街の中華料理屋のランチなどに比べると費用対効果は悪く感じました。

「やだ………何…コレ……信じられない」彼女は真剣というより深刻な表情でスマホを確認する。「に、にせんえん…ゆうべは女の子、2千円でいいよってLINE来た…。あああ!見て見て!あたし今、すっごく鳥肌立ってる!」なるほど確かにブツブツである。ワサビでもおろせそうだ。
メガジョッキで1杯飲み、色々食べ手ひとりあたり3,000円。これは中々リーズナブルですね。ひとりカウンター席でサラっと食べて帰る客も多く、使い勝手の良いお店です。飲み放題プランなどもあるようなので、気の置けない仲間とカジュアルに楽しみましょう。


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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
1,300円としてはものすごい情報量のムック。中国料理を系統ごとに分類し、たっぷりの写真をベースに詳しく解説。家庭向けのレシピも豊富で、理論と実戦がリーズナブルに得られる良本です。

関連ランキング:居酒屋 | 中目黒駅代官山駅祐天寺駅

歴代のスーパースターたちが眠る高野山の寺院に泊まる旅/和歌山

讃岐生まれの弘法大師空海。本当は二十数年滞在しなけりゃいけない遣唐使を2~3年でさっさと切り上げ、日本に戻って密教をブレイクさせ真言宗の開祖となった宗教家。その彼がメッカとして指定した聖地がココ、高野山です。
この手の話には疎い私ですが、この地に戦国武将など歴代のスーパースターが数多く眠るのは興味深く、また、バブル期にステータスのひとつとして建てられまくった企業墓などを眺め歩くのも面白い。締めくくりには寺院に泊まって精進料理という珍しい体験もして参りました。


■壇上伽藍
117の寺院が並び立つ真言密教の聖地、高野山。嵯峨天皇からオッケーが出てから空海が真っ先に整備へ着手した場所がココ、壇上伽藍です。19の堂塔が立ち並び壮観。京都の寺と比べて空いているのが凄くいい。


■金剛峯寺
2015年に1200周年を迎えた真言宗の総本山、金剛峯寺。「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部としてユネスコの世界文化遺産に登録されています。が、京都あたりのデザイン志向な外観とは異なり、その本質や意義に価値があるお寺なのでしょう。平たく言うとインスタ映えない寺であり、外国人などには理解が難しい観光スポットかもしれません。


■奥の院
弘法大師空海が眠る聖地であり高野山の信仰の中心であり、金剛峯寺とは一転して様々な意匠を凝らした墓石が立ち並び、実に映える地域です。
アンコールのバイヨンやボロブドゥールもかくやと思わせる不思議な魅力に満ち、不謹慎な言い回しではありますが、散歩していてとても楽しいエリアでした。
バブル期には高野山に墓を持つことが一種のステータスであったらしく、様々な企業のアイコンを模した企業墓がたくさんあるのも楽しい。
歴女にとっては歴代のスーパースターたちが眠る聖山としても意味合いも強いでしょう。織田信長、明智光秀、豊臣秀吉、伊達政宗、武田信玄・勝頼、上杉謙信・景勝、結城秀康、平敦盛、法然、親鸞、赤穂四十七士、初代 市川團十郎、松尾芭蕉など、錚々たる偉人たちが仲良く肩を寄せ合っています。
しかしはやり究極は弘法大師。他のメンバーたちは石ひとつぐらいなのですが、空海についてはひとつのエリアが定められており(この橋の先、ここから撮影NG)、とにかく尊敬のされ方が半端ありません。後世に名を残したいのであれば宗教最強説。政治家や軍人、文化人、芸能人では限界があるのかもしれません。


■高野山 別格本山 總持院
https://www.takemachelin.com/2019/07/soujiin.html
その日は高野山の宿坊(宿泊施設を兼ねた寺院)にお世話になりました。夜は精進料理、朝は6時から勤行という珍しい体験。詳細は別記事にて


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