週末を利用して日帰りで粟国島に遊びに行ってきました。搭乗する機材は航空マニア垂涎のDHC-6-400 ツインオッター。当機を旅客輸送として採用している日本の航空会社は「第一航空株式会社(First Flying Co., Ltd.)」のみ。なお、当該区間は2015年に粟国空港で滑走路逸脱事故が発生し、その代替として運行を開始したエクセル航空によるヘリタクシーも墜落事故が生じるなど、受難の歴史を背負った航路でもあります。
「第一航空?そんな航空会社あったっけ?」安心してください。その反応が普通です。
第一航空とは大阪府八尾市の八尾空港を本拠地とする航空会社であり、主に軽飛行機やヘリコプターを用いた遊覧飛行、操縦訓練、チャーター輸送などを展開。ホームセンターで有名な「コーナン商事株式会社(東証プライム上場)」がオーナーです。
第一航空とは大阪府八尾市の八尾空港を本拠地とする航空会社であり、主に軽飛行機やヘリコプターを用いた遊覧飛行、操縦訓練、チャーター輸送などを展開。ホームセンターで有名な「コーナン商事株式会社(東証プライム上場)」がオーナーです。
当社のオフィスならびにチェックインカウンターは那覇空港の1階、沖縄フリークの間でカルト的な人気を誇る「空港食堂」の手前、ガチャやクレーンゲームのエリアの隣に位置します。大手航空会社の国内線に比べると著しく早くチェックイン手続きをするよう指示があるのですが、営業開始時間の7:30に訪れると、まだドアは閉まったままでした。ちなみに日曜定休です。
オフィス内は観光案内所のような雰囲気で、バスのチケットでも手配するかのような勢いです。スタッフのオッチャン・オバチャンたちも親しみやすく雑談に花が咲き、お茶でも出てきそうな朗らかさです。
ちなみにどうしてこんなに早く集合させるのかというと、小型機のため預け荷物や持ち込み荷物のサイズ・重量制限が一般的なジェット機よりも厳格であり、場合によってはその場で体重測定を行い細かな重量配分計算をすることもあるからのようです。
私は往路は航空機、復路はフェリーという旅程を組んでいたのですが、海況によっては船が出ないこともあるそう(画像は沖縄県公式ウェブサイトより)。心配してくれたオッチャンが港のフェリー会社に「今日もちゃんと船、出るよな?」と電話で確認までしてくれました。年間数百万円を投じても塩対応なクソエアライン(J〇Lすなわち日本航空)とは一線を画すホスピタリティです。
時間になるとオバチャンの先導のもとバスロータリーへ。そこからワゴン車で沖止めの飛行機へと向かいます。ワゴン車に乗り込む前に保安検査を行うのですが、ディズニーランドへの入場程度の簡易ボディチェックなので、これはこれで不安になります。
ワゴン車内では安全のためのビデオが流れます。新規参入したYouTuberの動画のような手作り感があってエモい。ちなみに制限エリア内に入る際は、ワゴン車に爆発物が仕掛けられていないかの綿密なチェックが行われました。
滑走路を10分近く走り、我々が乗り込む機材へと到着。黄色い車は給油車でしょうか。ガソリンスタンドのそれとそう変わらない太さのホースが機体へと繋がっています。前述した「コーナン」のロゴがクールです。ところで、畑違いに見えるホームセンターと航空会社がなぜ繋がっているのかというと、コーナン創業者の疋田氏は自身もパイロット免許を持つほどの無類の航空機好きであり、その個人的な情熱と社会貢献、すなわち日本の離島航空路線が直面している「機材の大型化に伴う小規模空港からの撤退」という構造的問題への挑戦の両面があると言われています。
客席は19席と少なく、また、座席はバスの補助席のようであり、お世辞にも座り心地が良いとは言えません。これだけコンパクトな機材なのだから、チェックイン時の体重測定や預け入れ荷物の厳格な重量制限が求められるのでしょう。デブが片方ばっかりに座ると傾いてひっくり返っちゃうのだ。
パイロットとの距離はアルファードの後部座席と運転手程度であり、客室と操縦席が近い構造に驚かされます。目の前に広がる膨大な数のスイッチ。そのひとつひとつに意味があり、それらを完全に把握して操るパイロットの技量には敬服するばかりです。航空ファンがこのフライトを目当てに島へ向かうのも納得で、まさに空飛ぶ観光資源と言っても過言ではありません。
離陸して間もなく、左手には慶良間諸島と思われる島影が見えてきました。あいにくの曇り空ではありましたが、それでも眼下には鮮やかなエメラルドグリーンの海が広がり、島々を縁取るサンゴ礁が低空飛行ゆえに手に取るように分かります。
通常の旅客機とは異なり、低い高度を維持したまま進むため、まるで生きた地図を眺めているかのような圧倒的な臨場感があります。雲の下を縫うように飛ぶこの高度感こそ、ツインオッターという機体でしか味わえない贅沢な時間と言えるでしょう。
離陸からわずか十数分、早くも前方に粟国島の島影が見えてきます。着陸の直前にはファンサなのか島の全景をぐるりと回り込むルートを通ってくれ、島全体を上空から見下ろすその光景はまさにGoogleマップを実寸大で覗き込んでいるかのよう。低空で旋回しながら高度を下げていくという、この機体ならではのダイナミックなアプローチに思わず胸が高鳴りました。
着陸時は風にあおられ、機体がかなりの勢いで左右に振られるのを感じました。この小さな機体ならではの操縦している手応えがダイレクトに伝わってくる感覚は、車でいえばカートを操っているような一体感があり堪らない臨場感があります(画像はGoogleマップより)。
無事に着地した後は、預け入れ荷物が台車に乗せられてガラガラと運ばれてきます。チェックイン手続きをしてくれたオバチャンから「はい、どうぞ」と直接手渡しされるその光景は、どこか素朴で思わず頬が緩んでしまうような可笑しみがありました。ちなみに他の搭乗客の荷物はコストコでの買い出し率が高めです。
剥き出しのエンジン音を楽しみ、眼下の絶景に興奮する時間は最高のアトラクションでした。しかし、この空飛ぶ観光資源を支えているのは、大手エアラインが採算性の低さから撤退していったという離島航路が直面するシビアな現実です。
もしコーナンという後ろ盾がなければ、あるいは飛行機好きという創業者の個人的な情熱がなければ、この航路はとっくに地図から消えていたかもしれません。私が楽しんだ手触り感のあるフライトは、実はいくつもの偶然と、誰かの強い意志によって首の皮一枚でつながっている、極めて危うい奇跡のようなもの。「なんでも揃う、をこれからも。」――そんなコーナンの決意は、どうやら離島の空の地図までも、その広大な守備範囲に収めていたようです。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。













