堺が誇る銘菓と言えば「かん袋(かんぶくろ)」の「くるみ餅」。創業は鎌倉時代末期の1329年と、日本でも屈指の歴史を誇る甘味処であり、まさに生きる文化遺産と言えるでしょう。食べログでは百名店に選出されており、堺駅のタクシー乗り場から「かん袋まで」とだけ告げると、それだけに運ちゃんに通じる超人気店です。ちなみに創業時の店名は「和泉屋」でしたが、その後、豊臣秀吉が「かん袋(かんぶくろ)」という名を授けました。
週末は10時の開店と同時に行列が生じ、毎日売り切れ仕舞いという超人気店。アクセスが非常に悪いため、インバウンドどころか府外のゲストも無縁であり、大阪弁しか聞こえてきません。子連れのゲストも多く、地元に愛された甘味処です。
メニューは「氷くるみ餅」と「くるみ餅」の2種のみ・現金のみという硬派なお店。レジで注文・会計を済ませ、木製の番号札を受け取り、席で待つシステムです。イートインとテイクアウトは同じ列であり、回転が早いため行列でも待ち時間は比較的短く済みます。我々は日曜日の10時過ぎに訪れましたが、入店から食べ始めまで20分程度の待ち時間で済みました。
左が「くるみ餅」で、右が「氷くるみ餅」。違いはカキ氷がかかっているかどうかであり、その価格差は僅か10円です。ちなみに「くるみ」と言いつつ胡桃は用いられておらず、餅を餡で「くるむ」という製法に由来します。
主題の「くるみ餅」。ひと口サイズの柔らかい餅を、鮮やかなうぐいす色の滑らかな餡で包んだ、シンプルながらも奥深い味わい。この緑色の餡は青大豆を原料としており、枝豆のような風味を持つことから、「ずんだ餡」に似ていると表現する人もいます。餅の優しい甘さと、餡のまったりとした上品な甘さが絶妙に調和し、2人前でも秒で食べ切ってしまいます。しみじみ系ながら中毒性のある味わいです。
こちらは「氷くるみ餅」。「くるみ餅」にカキ氷をかけたものであり、甘さが氷で和らいでスイスイ食べ進めることができます。氷そのものは一般的なものなのですが、不思議と依存性があり、あとひと口もうひと口と食べ進める手が止まりません。まさに病みつきになる味覚です。
持ち帰りは立派な壺に入れてくれビジュ爆発。賞味期限は本日限りであり、通販はもちろんデパートの催事などにも出展しないため、通オブ通な手土産です。東京で言うと「空也(くうや)」的なポジションと言えるかもしれません。
ちなみに私は母の日に5人前をテイクアウトしたのですが、オトンとオカンがものの10分で全てを平らげていました。
もちろんこれだけのために堺を訪れるのは厳しいでしょうから、「さかい利晶の杜(千利休と与謝野晶子をテーマに、堺の歴史・文化を発信する観光施設)」や「仁徳天皇陵」などの観光地巡りの途中に立ち寄るのが良いでしょう。グルメな方は「鮨 おおが」とセットでどうぞ。

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