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登良屋(とらや)/関内

1958年(昭和33年)創業の「登良屋(とらや)」。横浜・関内エリアを代表する老舗天ぷら屋さんであり、食べログでは百名店に選出されています。各線関内駅からすぐで、伊勢佐木モールから路地を入ったところにある昭和の風情ある建屋が目印。ちなみに写真のファサードは「飾り玄関」で、創業から現在に至るまで一度も入り口として機能したことはないそうです。
店内はカウンター席とテーブル席、お座敷の用意があり、定食として臨んでいる方、酒のアテに天ぷらを活用している方、飲み会使いしているグループと様々。黒電話のジリジリという音が時折り鳴り響く昭和情緒あふれる空間です。ちなみに最近の若年層はダイヤル式の黒電話の使い方がわからないケースが多いようで、最初に数字の部分をプッシュボタンのように押してしまうとのことです。
天ぷら屋さんではありますがお刺身も大の人気メニューであり、「盛り合わせ」を注文したい場合は事前の電話予約が必要なほど。予約ナシで私がお邪魔した際は「カツオであれば小盛りで用意できる」との案内があり迷わず注文。一切れが大きく分厚く豪快で、天ぷら屋ならではの目利きの確かさが刺身にも遺憾なく発揮されています。 
天ぷらはバッチ処理の一斉提供スタイルのようで、私は訪問したタイミングが悪く提供まで30分近く待ちました。それでも見るからに旨そうなビジュの良さで待ち時間に係るストレスは雲散霧消。色は濃く胡麻油の香りをプンプンにまき散らしており、衣も薄くサクサクとしたクリスピーな食感が印象的。
「1人前」で注文すると白身魚にイカ、アナゴ、マイタケ、ナス、ししとう、サツマイモというラインナップ。エビだけはどのセットにも含まれず追加オプション扱いなのが面白いのですが、噛んだ瞬間にぷりっとした弾力が口いっぱいに広がり、胡麻油の風味と甲殻類ならではの濃厚な旨みが一体となり本当に美味しかった。ちなみに店内に価格表は一切ないのでお会計までドキドキです。
「16時まではサービスでゴハンとお味噌汁をお付けできますが~」との案内があったので迷わずお願いしました。ふっくらと炊き上げられた白米は天ぷらの旨みを吸った天つゆとの相性が抜群で、飾りのない正直な美味しさがあります。おかわりもOKで、これがサービスでの提供とは気前の良い店である。
気になるお会計は3,630円とぶっとびお値打ち価格。うひょー、こんなことならもっとバンバン追加注文すれば良かった。都心の老舗有名店の半額以下の価格設定であり、何よりしっかり旨いのが堪らない。次回はグループで訪れ、きちんと刺身の盛り合わせを予約し、お酒もバンバン楽しみたいと思います。

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てんぷら近藤の主人の技術を惜しみなく大公開。天ぷらは職人芸ではなくサイエンスだと唸ってしまうほど、理論的に記述された名著です。スペシャリテのさつまいもの天ぷらの揚げ方までしっかりと記述されています。季節ごとのタネも整理されており、家庭でも役立つでしょう。

天ぷら北川 (てんぷら きたがわ)/恵比寿

「サスエ前田魚店」から仕入れた極上の魚介を使用するとして耳目を集める「天ぷら北川 (てんぷら きたがわ)」。2025年オープンの新しいお店ながら、いきなりミシュランガイド東京のセレクテッドレストランに選出され話題となりました。場所はJR恵比寿駅西口から線路沿いに坂を登ったあたりに位置し、「恵比寿えんどう」のすぐ近くです。
店内は緩やかな角度のL字型(?)カウンターのみ(写真は食べログ公式ページより)。席間が狭く隣客のスマホを操作する肘がガンガン当たって腹たつのり。なお、カウンターでのマナーについてはフォーブスの連載で整理したばかりです。

村田直彦シェフは静岡県出身で、鮨屋の家系ながらラーメン店を経営したり、天ぷらをほぼ独学で学んだりと異色の経歴です。店名が「天ぷら北川 」なのは恵比寿の七不思議のひとつでしょう。
アルコールは生ビールが900円、「日光ベルジャン ホワイト」が1,400円、日本酒が1,500円~と、この手の飲食店としては悪くない価格設定です。ソムリエが関与しているようで、天ぷら店としてはワインが充実していました。

妙に店主に酒を勧めたがる客筋ですが、「お酒は好きですが仕事中は飲みません」とキッパリ断っていて実にクール。その代わりに飲む専門のヘルプのニイチャンみたいなのがいてホストクラブみたいで面白かった。
初手は銀杏。モチモチとした弾力があり、独特のほろ苦さが噛むほどに甘みへと変わります。油の熱を通すことで風味がより一層華やかに。乾杯酒のちょうど良いアテです。
車海老。こちらも酒のアテ界隈であり、まるで濃厚な海老煎餅を食べているような凝縮された旨みを楽しみます。続く胴体部分は中心部を絶妙な半生に仕上げ、甘みのピークを引き出します。軽い衣が海老の持つ水分を閉じ込め、口の中でプリッと弾ける食感を演出します。
ちなみに当店の天ぷらは160度から170度という低い温度で揚げているそうで、衣という密閉空間の中で素材を優しく蒸し上げるスタイル。紙でなくお皿に直置きするのもありそうでない試みです。
卓上調味料(?)として、天つゆ、大根おろし、レモン、塩が用意されており、いずれも気前よくお代わりを持ってきてくれます。それぞれのタネにつきオススメは提示してくれるものの、結局お好きな食べ方で何でもOKという懐の深さです。
大浦ごぼう。1年以上熟成させることでその風味をジワジワと高めており、土の力強い香りはそのままに、熟成によって生まれた複雑な甘みが加わります。繊維質がしっとりと柔らかく、実に滋味深い味わいです。
金目鯛。「サスエ前田魚店」がウロコを柔らかく仕上げてくれているそうで、ウロコの一枚一枚がパリっと香ばしい。身はふっくらとジューシーで、煮付けや刺身とはまた違う金目鯛の魅力を感じ取ることができます。
活け締めのアジ。この時期のアジは桜海老を食べて育っているそうで、身に特有の甘みと香りが宿っています。上手く言えませんが、これぞサスエといった魚のニュアンスが感じられ、悔しいが旨いと思わず唸ってしまいます。
ホワイトマッシュルーム。あえて水分をたっぷり含んだ状態で揚げており、口に含むと閉じ込められていた熱々のエキスがスープのように溢れ出し、濃厚なキノコの香りが爆発します。シンプルながらも素材の水分管理の巧みさを感じさせます。
焼津は大井川のハマグリ。衣の中に閉じ込められた濃厚なエキスが噛むと同時に弾け飛びます。火を通しすぎないことで身は硬くならず、あくまで柔らかく弾力のある歯ごたえをキープ。小ぶりではあるものの凝縮されたミネラルを感じます。
ここで油を交換。ハーフタイムショーに葛そうめん。小麦の香りと葛特有のツルリとした喉越しが同居しており、繊細な極細麺ながら独特のコシが心地よい。冷たく締められた出汁と共に頂くことで、天ぷらの余韻を綺麗に流し去ってくれます。
イワシ。皮と身の間にあるゼラチン質と脂がトロリと溶け出し、口の中でソースのように広がります。青っぽい濃厚な旨味も心地よく、家庭では絶対に楽しむことのできない味覚です。
カブ。水分量の多いカブを衣でコーティングしてじっくり加熱することで、内部でカブ自体の糖分が凝縮されています。まるで梨やメロンのような瑞々しさ。冬の根菜の王様と呼べる味わいでしょう。
活け締めのサワラ。ほどよくレアに仕上がっており、しっとりとした質感とその甘味を楽しみます。上品な脂もたっぷりで、口の中でバターのように溶けていく感覚は、天ぷらという調理法の凄みを感じさせます。
ふきのとう。春の息吹を感じさせる苦みが主役であり、揚げ油の香ばしさや衣の甘みとマッチして、大人の味覚を刺激します。この苦爽やかさはビールによく合う。
お口直しに佐渡島の糸もずく。ごくごく細く、シャキシャキとした繊細な歯応えが印象的。揚げ物の連続の中、クライマックスに向けての期待を繋いでくれます。
赤ナス。厚めにカットして揚げることで外側はサクッと、中はロトロの食感に。コンフィというかなんというか、果肉の密度の高さと甘みが感じられる瑞々しさを楽しみます。
穴子。目の前で半分に割る際のサクッという音が期待を高め、未だ表面の脂が泡立っているのが食欲を刺激します。皮目はパリッと香ばしく、中の身は雪のように白くホクホク。ボリュームがありながらも決して重たさを感じさせません。これが、天ぷらだ。
〆のお食事はかき揚げの天丼。タネはカマスとレンコンで、カマスの身のふっくら感と、レンコンのシャキシャキ、そして衣のサクサクという三重奏が楽しめます。甘辛いタレを湛えた衣が炊き立てのゴハンに絡まり、最後の一口まで箸が止まらない、構成力の高い天丼です。
デザートにミルクのアイスと柿。柿のねっとりとした甘みと、アイスの冷たさが、食事の熱を穏やかに鎮めてくれます。

以上のコースが2.5万円ほどで、軽く飲んでひとりあたりの支払金額は3万円ほど。「サスエ前田魚店」の存在感はもちろんのこと、カラッと揚げる江戸前天ぷらとは異なる低温でじっくり揚げスタイルが記憶に残りました。店主は一時期「てんぷら近藤」でも学んだそうですが、あそこなんかより当店のほうが全然美味しい。というか北川って誰なんだよマジで。

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長崎天麩羅 こうてん 恵比寿店

長崎の伝統的な天ぷら文化を東京で楽しめるカジュアルな和食店として2025年に開業した「長崎天麩羅 こうてん 恵比寿店」。長崎の食文化を広めんとする「株式会社デジマテラスダイニングス」による運営であり、恵比寿の焼肉店「牛吉日和」も同社による経営のようです。
店内はながーいカウンター席にテーブル席がいくつかと個室の用意があります(写真は食べログ公式ページより)。1,500円のランチを摂るにはスタイリッシュですが、夜に1万円を超えるコース料理で接待、という雰囲気ではないように感じました。後述の通りランチがオススメのお店です。
私は1,500円の「天麩羅ランチ膳」を注文。海老1尾、魚介2種、野菜3種、とり天に加え、小鉢やイカの肝和えまで付随し、しかも天ぷらは揚げたてを順々に出してくれるスタイルです。恵比寿という立地を考えれば破格の値付けと言えるでしょう。
まずは「大海老」と「かしわ天」。「大海老」と呼ぶには厚かましいサイズ感ですが、味は普通に美味しいです。「かしわ天」もよくある天ぷら定食の一員に準じた味わいです。
野菜の部はまいたけ、ししとう、なす。これらもやはり「金子半之助」「たかお」などの天ぷらチェーンと同等の味わいです。夜のコースでも同じ仕入れなのか心配になってきました。
魚介の部はイカとキス。これまでのタネに比べると中々に上質です。
ゴハンは一般的な定食屋の品質に同じ。大盛やおかわりは別料金ですが、天丼やカレーなどのメニューであればもう少し量が多いように見えました。
お漬物にイカの肝和え、小鉢も付きます。ただし「金子半之助」「たかお」などの系列であれば卓上の壺を置かれ実質食べ放題であることを考えると、ついつい比べてしまいます。
色々と書きましたが、これだけ食べて1,500円という価格設定は恵比寿エリアという意味では良心的。天丼やカレー、うどんなどの選択肢もあり、近所の方が頻繁に通うこともできそうです。

一方で、店構えや天ぷらの質を考えると夜にお邪魔するにはちょっと躊躇してしまう自分がいる。まずはランチを試し、自分の好みかどうかを判断してみるのが良いかもしれません。

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天ぷら すずき/蒲田

フライト前後に蒲田に立ち寄り食事を済ますのがマイブーム。「やきとり酒場55(ゴーゴー)」に引き続き、この日はJR蒲田駅近くの「天ぷら すずき」。にお邪魔しました。西口を出て「サンロード」と呼ばれる地域密着型のアーケード街の奥に位置し、JR蒲田駅から歩いて5分ほどです。
店内は20席ほど。調理場を囲むように配置されたU字型のカウンターで構成されています。広くないお店なので、大きな荷物や過度にモコモコしたダウンジャケットなどは取り扱いに困るかもしれません。ごま油を用いて揚げているのは嬉しいのですが、かなり匂いがこもる設計であり、髪や衣服にバリバリ香りが移ります。
私は1,600円の「上天ぷら定食」を注文。さっそく名刺代わりのスペシャリテ「半熟卵天」が供されました。薄めの衣をまとった卵を箸で割ると、中から鮮やかなオレンジ色の黄身がトロリと流れ出し、白米の上に乗せてスペシャルなTKGを楽しみます。
続いてキス、イカ、エビ。タネの質は値段相応ですが、ごま油の香ばしさがゴハンとの相性を高め、また、アルコールのアテとしても機能する力強さを感じます。塩で食べても良し、天つゆで食べても良し。
ちなみに卓上にはゴハンのお供として「鶏そぼろ」と「高菜明太」が置かれており、これらを熱々の白飯に乗せれば、天ぷらが来る前に一杯平らげてしまいそうになる破壊力があります。半熟卵の天ぷらにそぼろをかけてオリジナル親子丼風にしている方も多かった。
シジミの味噌汁。珍しく白味噌仕立てであり、まろやかな甘みとコクが特長的。シジミ由来の旨味が身体の芯に染み渡るのも心地よい。ネット上の情報によるとゴハン味噌汁はお代わりOKのようですが、無限に食べ続けて永久機関として発電できる勢いなので控えておきました。
サツマイモ。厚切りにされたサツマイモは、じっくりと火を通すことでデンプンが糖に変わり、ホクホクとした食感と共に自然で力強い甘みを放ちます。
ナス。カリッと揚がった衣を噛み破ると、中から熱々の水分と油を含んだナスのエキスがジュワッと溢れ出します。めちゃんこ熱いので、天つゆにたっぷり浸すのがおすすめです。
鶏ムネ肉。とり天風の味わいで、柔らかく筋っぽさもありません。鶏肉自体の味付けは控えめなので、塩や天つゆで味変しながら楽しみましょう。
アナゴ 。皮目のゼラチン質が加熱されてトロリとし、身はふっくらと柔らかくほどけます。白身魚よりも濃厚な脂の旨味があり、サクサクの衣との相性は抜群です。
以上の「上天ぷら定食」が1,600円。いくつか追加で注文するつもりだったのですが、セルフクリエイトした鶏そぼろ高菜明太丼の活躍もあってもう満腹。見事な費用対カロリーです。天ぷらをつまみながら飲める「ちょい飲みセット」もあり、活用方法は貴方次第。「博多天ぷら たかお」のような天ぷら食堂とはまた違った魅力のあるスタイルでした。

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