セントラム グリル&ワイン(CENTRUM GRILL & WINE)/梅田

ヒルトン大阪のダイニング「セントラム(CENTRUM)」。2階レストランフロア中央に位置し、2024年秋に「アメリカンステーキハウスをテーマに、メニューを一新した」との発表がありました。雰囲気ヒルトン東京の「メトロポリタングリル(Metropolitan Grill)」に似ています。
店内は広々としており、席間にもゆとりがあります。照明は落とされ、キッチンの薪火のメラメラが眺めていて心を落ち着ける。ちなみにワインセラーに囲まれたプライベートルームもあるそうです。
飲み物の価格設定は独特です。ビールやソフトドリンクの値付けが高く、ワインが相対的にお値打ちに感じます。普通のビールは1,800円、クラフトビールは1,900円と大差ないので勢い後者に手が伸びてしまい、その後はグラスワインを楽しみました。
この日はアラカルト注文とし、こちらは「セントラムコブサラダ」。「スモーク丹波鶏、ダービードレッシング」と補記されており興味をそそられましたが、まあ、普通のコブサラダです。ちょっと量が少ないかなあ。
こちらは「シーザーサラダ」。クラシックな仕様で味は悪くないのですが、なんせ量が少ない。アメリカ人がヒルトンに泊まりアメリカ料理店を訪れ、そのつもりで注文するとびっくりするのではなかろうか。
仕入れ次第ですが、この日はトマホークステーキの用意があることで、是非にとお願いしました。1.5キログラムでの提供で可食部は1キロほど。望むところである。
パンはホテルのベーカリーでの自家製。天然酵母を用いたサワーブレッドであり、外皮はカリカリ中身はモッチリと後を引く美味しさ。なのですが、先の肉塊を見てしまうと恐る恐る食べがちです。
トマホークステーキの焼き上がりには時間を要するとのことだったので、もう少しツマミを追加します。こちらはフルーツトマトとブッラータであり、弾けるトマトのジューシーさと、クリーミーなチーズのハーモニー。シンプルながらも贅沢な味わいです。
揚げたてのイカのフリット。衣のサクサクとした軽快な食感が心地よく、イカそのものにはプリッとした弾力があり、噛むほどにじんわりと磯の香りが広がります。急に追加で注文して数分でパっと出せるチームワークも素晴らしい。
トマホークステーキが焼きあがりました。自然と湧き上がる嬌声。もうビジュから美味しいですね。骨付きの肉塊はまるで原始時代を思わせる迫力で、テーブルに現れた瞬間に心を鷲づかみにしてくれます。
撮影会が終わると手際よく食べやすいようにカットしてくれます。外はカリッと香ばしく、中はジューシーで柔らか。噛むたびに濃厚な肉汁が溢れ、牛肉の旨味が口いっぱいに広がります。骨の周りの肉は特に風味が強く、誰もが笑顔になるパワーがある。赤ワインソースも用意してくれ、順調に味変を行い4人であっという間に平らげてしまいました。
付け合わせの美味しさも見逃せません。カリカリに揚げられたハンドカットのフライドポテトに淡路島産の玉ねぎを用いたオニオンリング 。フライドポテトは、外はカリッと黄金色、中はホクホクの柔らかさで、(比べるのも可哀そうですが)先日お邪魔した日本一美味しいと噂のマクドナルドとは段違いのクオリティです。
もう少し食べれそうだということで、デザートは2人前のプレートに加え、もう2種を単品で注文しました。今夜は10,000キロカロリー超えである。見た目はアメリカンなスイーツですが、その実質は思いのほか繊細な味覚であり、自らの技量とお店のコンセプトに折り合いをつけるパティシエの苦悩が感じ取れます。
以上を食べ、それほど飲まなかったのでお会計はひとりあたり1.5万円ほど。ホテルのダイニングでこれだけの牛肉を腹いっぱい食べてこの支払金額は大変お値打ち。とりわけサービスが素晴らしく、親戚のオッチャンたちが朗らかに接してくれるような温かみを感じました。

気取った接客で客に高級感を押し付けるのは簡単ですが、当店の、ゲストをリラックスさせる雰囲気づくりは中々できるものではありません。厨房との連携を含め、ホテルとしての総合力が身に沁みたディナーでした。お祝い事や会食等に安心してご利用下さい。私が保証します。

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ここ数年で滞在した高級・有名とされているホテルを一覧化し◎〇△×と記した

年間を通じて外泊が多いので、ここ数年で滞在した高級・有名とされているホテルを一覧化しました。

◎〇△×と記していますが、これは私が滞在した時点における感想であり、価格や為替の変動、混雑度合い、当時のスタッフの対応など偶然に因る部分も多いので、話半分に捉えてください。また、ハイアットやヒルトンは最上級会員であり、ひらまつは株主なので、素で予約する場合とは対応が異なるかもしれません。

費用対効果も重要視しています。お金に糸目をつけないお金持ちの方々とは観点が異なることをご承知おきください。

ところで、私は子連れ客とそれをコントロールできない宿泊施設を憎んでおり、そういった客層が支配的なホテルは自然と△や×が多くなります。しかしながら、これは見方を変えれば家族旅行に向いたホテルを選ぶ指標となり得るかもしれません。


【ハイアット】
<北海道>

<関東>
△:ハイアットリージェンシー東京ベイ

Mount Street Breakfast Bar(マウント ストリート ブレックファスト バー)/パース(オーストラリア)

「パーメリア ヒルトン パース(Parmelia Hilton Perth)」からキングスパークにお散歩に行こうとグーグルマップを眺めていると、偶然目に留まった「高評価」の文字。試しに向かってみると、なるほど地元民に人気の朝食レストランであることが見て取れます。
予約席が多いですが、回転の速い店でもあるので、なんやかんやで着席できます。閑静な高級住宅街にあるためか、客層も安定しているように感じました。
まずはフラットホワイト。オーストラリアとニュージーランド発祥のコーヒーで、エスプレッソベースの飲み物です。濃厚なエスプレッソにスチームミルクを加え、薄いフォーム層で仕上げます。カフェラテよりミルクの泡が少なく、カプチーノより滑らかでクリーミーな口当たりが特長的。豆の風味とミルクの甘みが調和し、シンプルながら奥深い味わいが魅力的です。
私は「スマッシュアボカド」を注文。ローストしたビーツにヒヨコ豆、フェタチーズ、ポーチドエッグがトーストの上に並べられます。きれいに盛り付けられ、新鮮な食材が際立っていました。
4ドルの追加でお願いしたホウレンソウ。かなりの量をたっぷりのバターで炒めており、野菜の味が濃い。緑の味わいが強く、追加でお願いして本当に良かった。
連れは「クリスピーファラフェル」を注文。ちょっとだけ交換こしましたが、ベジタリアン向けのメニューながら風味豊かで素直に美味しい。スパイスのバランスが良く、フムスやタブレとの調和も見事です。
以上を食べ、お会計はひとりあたり2-3千円。ラグジュアリーホテルの朝食と同等かそれ以上の食後感を得てこの支払金額は大変お値打ち。オセアニアはこういうレストランがどの町にも普通に存在するのが素晴らしい。日本にもこういう朝食しっかり摂る系のレストランがもっと根付いて欲しいなあ。

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Gage Roads Brew Co(ゲージロードブルワリー)/フリーマントル(オーストラリア)

フリーマントル駅から港の方向へ歩いて10分ほどの場所にある「Gage Roads Brew Co(ゲージロードブルワリー)」。オーストラリアで唯一の上場醸造所であり、従業員が20%以上の株式を所有する独立系企業として運営されています。
当醸造所は英国との海洋貿易で使われていた倉庫を改築し、2022年にオープンしたばかり。州政府のウォーターフロント再開発プロジェクトの一環として、観光と地域活性化に貢献しています。
どデカいタンクがズラリと並び、飲みベが上がります。ちなみに当店は予約不要で子連れもペット連れもOKと懐が深い。実に活気があり、港を行き交うコンテナ船を眺めながらタンクから直接注がれる新鮮なビールは格別です。
個別に注文するビールのほか、「パドル」という複数種の飲み比べセットの用意もあります。ワインやカクテルなどもありますが、ゲストの大半はやはりビールを楽しんでいました。ところでレストランも併設されており、西オーストラリア産の食材を使用した料理を提供しているのですが、飲み物だけを楽しんでいるゲストが殆どです。
ちょうどクルーズ船が出航するところで、あれは恐らくプリンセスクルーズ社のクラウンプリンセス号だと踏んだのですが、本当にその通りでびっくりしました。久しぶりにクルーズ旅行に行きたいなあ。まずはニュージーランドとオーストラリアの周遊あたりから再開したい。

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瀬川屋(せがわや)/恵比寿

恵比寿駅から歩いて数分の場所にある「瀬川屋(せがわや)」。ご夫婦で営むアットホームな小料理屋であり、イマドキの恵比寿のイメージを良い意味で裏切ってくれるハードボイルドな建屋に入居します。
店内はカウンター席を中心に小上がりに数卓。ご常連のひとり客が多く、四捨五入すると家族に近い空気感です。「たつ家 二代目達磨(たつや にだいめだるま)」の上階に位置するため、レイアウト(構造)が似通っています。
お酒は気持ち良いほど安いですねえ。例えば写真の小瓶300ミリリットルは千円で、ビールも中瓶で680円です。隣のご常連はキープしている焼酎ボトルを順調に消化しており、うっかり手伝いそうになりました。
お通しも凝っていて、手間暇をかけて丁寧に調理しているぞという心意気が伝わって来ます。キャベツだけ出して500円を徴収する居酒屋チェーンは反省するように。
アジのお造り。鮮度が良く、輝く銀色の皮とプリッとした身が心地よい。口に入れると仄かな甘みと濃厚な旨味が広がり、脂の乗りは軽やかで爽やかです。
揚げ出し豆腐。カリッとした衣に包まれた熱々の豆腐が堪らない。中はとろりと滑らかで、香り高いだしがジンワリと染みます。日本酒との相性が抜群だ。

ところで注文はいっぺんに済ませたのですが、料理の提供の順序性は無く、他のゲストの注文状況に合わせ効率を重視して調理に取り組んでいるように思えました。
菜の花のおひたし。鮮やかな緑の菜の花はシャキッと歯応え良く、ほろ苦さが心地よい。優しい出汁の旨味と共に、シンプルながら素材の持ち味が輝きます。
ヤリイカの刺身。ネットリとした口当たりに上品な甘みが味蕾を撫でていきます。醤油とワサビをつけると更に甘味が引き立つ不思議。
茄子の揚げ煮。トロリと柔らかな茄子が主役であり、カリッと揚げた茄子とお出汁が調和します。野菜だけでここまでコクのある料理をクリエイトした和食って凄いと思う。
〆に穴子丼。いわゆる鰻丼的なモノを想像していたのですが、玉子でとじるタイプという嬉しい誤算。ふっくらと煮た穴子とふわとろ卵が見事なハーモニーを奏でます。甘味強め醤油強めのタレ(?)と共に白ゴハンを掻き込む幸せといったらない。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり7-8千円といったところ。これだけ上質な魚介類を楽しんでこの支払金額はリーズナブル。次回は焼魚や煮魚あたりも試してみたい。恵比寿の派手派手な飲食シーンに食傷気味になった紳士淑女は是非どうぞ。

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恵比寿も十番に負けず劣らず良い街ですよね。1度住んで、片っ端から食べ歩いてみたいなあ。よそ者ながら印象に残ったお店は下記の通り。
恵比寿を中心に話題店が整理されています。Kindle Unlimitedだと無料で読める。それにしては圧倒的な情報量。スマホやタブレットに忍ばせておくと出先で役立ちます。

ラルフズ バーガーレストラン(Ralph's Burger Restaurant)/コザ(沖縄市)

米軍多めのコザにおいてナンバーワンのハンバーガーショップと名高い「ラルフズ バーガーレストラン(Ralph's Burger Restaurant)」。食べログでは百名店に選出されており、テレビ番組の「アゲアゲめし」でも紹介されました。場所はコザゲート通りと国道330号線が交わる胡屋十字路から南西へ歩いて7-8分といったところです。
古き良きアメリカを思わせる内外装で、木目調のテーブルや壁材が目に優しい。カウンター席とテーブル席に加え、ちょっとしたテラス席もあります。入店すぐのカウンターで注文を済ませ先払いし、座って待っていると料理を持ってきてくれるモスバーガースタイルです。
ドリンクセットの料金にプラス200円でアルコールも注文OKとなります。こんなに気持ちいい雰囲気の中でコロナを飲んでこの値段は特筆大書すべき美点と言えるでしょう。
「ダブルチーズバーガー」は2,000円。ちなみにポテトは自動的に付随します。肉厚のビーフパティ2枚にたっぷりのチーズ、レタスにトマト、グリルオニオンが組み込まれており、縦に高く口を大きく開けてかぶりつくスタイルです。注文が入ってから調理に取り掛かるので、ジュジュウと焼ける音と香りに食欲が刺激されます。
このハンバーガーは美味しいですねえ。まず、バンズが素晴らしい。バターの香りたっぷりで、嚙みしめるたびに小麦のふくよかな風味が口腔内に広がります。パティは程よく粗さを残しており、ガシガシと肉喰っている感に満ちている。肉そのものが旨い。
こちらは「ラムアボカドベーコンバーガー」。パティにラムを用いており、なるほど羊肉特有のミルキーな香りが鼻孔をくすぐります。アボカドのリッチな味覚に加え、ベーコンのスモーキーな香りと旨味、脂の甘味も心地よい。ただ、ちょっと味が多すぎるきらいがあるので、個人的にはビーフのみで押してくる「ダブルチーズバーガー」のほうが好みでした。
カフェラテも気合が入った味覚であり、コーヒー単体としてとても美味しい。数日前に訪れた「ダグズ・バーガー 宮古島本店(DOUG'S BURGER)」では酷い目にあったので、ようやく心の安寧を手に入れることができました。
美味しかった。わが心のハンバーガー・ベスト5に入ります。こんなに素晴らしい肉料理をビールまで付けて2千円台で楽しむことができるのだから、沖縄は豊かとしか言いようがない。那覇からのアクセスは少々悪いですが、北部に向かう際にコザ観光も兼ねて、是非とも立ち寄ってもらいたいお店です。オススメ!

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沖縄通を気取るなら必ず読んでおくべき、大迫力の一冊。米軍統治時代は決して歴史のお話ではなく、今の今まで地続きで繋がっていることが良くます。米軍の倉庫からかっぱらいを続ける悪ガキたちが警官になり、教師になり、ヤクザになり、そしてテロリストへ。沖縄戦後史の重要な事件を織り交ぜながら展開する圧巻のストーリー構成。オススメです。