ザ・テラス (THE TERRACE)/恵比寿

恵比寿のウェスティンのオールデイ・ダイニング「ザ・テラス (THE TERRACE)」。月替わりでビュッフェを提供しており、6月にお邪魔した際は地中海がテーマでした。ちなみに11:30入店13:00までの滞在プランだと4,300円と値引きがききますこれ豆な。
店名の通りパリっとしたテラス席があり海外のリゾート地に来たかのようです。ただし外で食べるには暑い日だったので、我々は店内の窓際席にしてもらいました。少し高くなったボックス席などもあり、着く席によってかなりドレッシーなので、きちんとした格好で訪れましょう。おひとりさまも多く、さあ食べるぞという決意を感じます。
「コロナ禍においてビュッフェ?」という疑問を持たれるかもしれませんが、このあたり感染症対策は完璧で、前菜類には全てプラカップが被せられており、神経症的な拘りを感じした。ゲストとしては小皿をヒョイヒョイ持っていくだけであり、取り分けるための行列なども生じなく、このシステムは永続化して欲しいところ。
温菜類も全てスタッフが取り分けてくれます。モノによっては二度揚げしてくれたりとひと手間が加わっており、やはりこれまでのビュッフェよりも質が向上している気がします。デブが意地汚く山盛りに盛り付けて残す、みたいなことも無くなるでしょう。
圧巻はスイーツ類。ビュッフェのスイーツってビュッフェ味しかしないことが多いですが、当店のそれは中々のクオリティ。ソフトクリームはクレミアを起用しており、そのへんで食べれば500~600円は要することを考えればかなりの気前の良さです。
満遍なく食べるつもりでしたが、小皿の前菜が種類豊富で色々美味しかったので、結局コレばっかし食べてました。スパークリングワインの飲み放題プランもあるようで、もうこの前菜たちと泡だけで1日が仕上がってしまうかもしれません。
担々麺は上階「龍天門(リュウテンモン)」のそれに方向性が沿っており、きめ細やかなゴマの風味がクリーミーに内臓に沁みわたる逸品。ビュッフェでの麺類とは考えられない質の高さです。
飲み物はドリンクスタンドからではなく、オーダー制で淹れたてを持って来てくれます。カフェラテがベンティサイズひいてはビールのジョッキ級の大きさでやって来るのが見物です。
冒頭に記した通り、お会計は税サ込で4,300円。これはお値段以上ですねえ。気持ちの良い空間にきちんとした接客、清潔な料理。この価格でやっていけるのかと心配になるほどの居心地の良さでした。

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恵比寿も十番に負けず劣らず良い街ですよね。1度住んで、片っ端から食べ歩いてみたいなあ。よそ者ながら印象に残ったお店は下記の通り。
恵比寿を中心に話題店が整理されています。Kindle Unlimitedだと無料で読める。それにしては圧倒的な情報量。スマホやタブレットに忍ばせておくと出先で役立ちます。

鮨処 有馬/すすきの(札幌)

札幌の人気の鮨屋では5本の指に入るでしょう。すすきのは雑居ビル4階に入居する「鮨処 有馬」。ミシュラン1ツ星で食べログは3.99でブロンズメダル獲得。
割に広い店内なのですが、カウンター7席のみと客数を絞っています。今どき珍しく電話のみでの予約受付ですが、私調べによると、予約手段がハイテクになればなるほど脳内がデジタル植民地化された六本木系ゲストが増えるので、客層を維持するという意味では良い試みです。
禁酒法の際にお邪魔したのでノンアルコールビール1択。全てコロナのせいであり当店に責はありませんが、ノンアルコールビールに660円を費やすのはやはり悔しい。また、つけ場に出る料理人は大将ひとりなのですが、なぜか電話に出るのも大将で、そのたびに3~5分はテンポがズレるという謎運用はなんとかならんもんか。
まずは大和蒸(やまとむし)。ゴロゴロとした海鮮にヤマイモが覆いかぶさるように蒸されており、山海の珍味が勢ぞろい。今夜の出来高を予感させる逸品です。
エゾバフンウニをヒラメで巻いて、出汁のジュレで滞りなく攻めてきます。文句なしに旨い。
続いてエゾアワビを蒸して肝のソースをとろり。淫靡な味覚に悶絶した後はシャリが追加で投下され、美味しいタレを余すところなく頂きます。
にぎりに入ります。まずは松前で獲れたヤリイカ。甘ったるいイカというわけではなく、しっかりとした土台を感じるイカした味覚です。
白糠町で獲れたマダコ。聞いていると全てのタネが北海道産のものであり、道外のゲストとしては堪らない構成です。
戸井のトロ。大間の対岸にある漁港であり、つまり大間のマグロです。私はマグロについてそれほど詳しくないのですが、それでもこのにぎりのシンプルな美味しさには舌を巻きました。
オホーツク海のホタテ。こちらもシンプルに、これはホタテであると脊髄反射で認知できる美味しさです。
ニシン。個人的にこの夜いちばんのヒット作。ニシンって雑な料理に使われる雑な魚だと思っていたのですが、こんなにも官能的な余裕のあるタネなのですね。本当に美味しかったのでおかわりしました。
森町のボタンエビ。しかもダブル。軽く湯引きしたユビキタス社会であり、半レア状態で甘味が増しています。美味しいなあ。
羅臼のキンキ。大好きなタネなのか、先のボタンエビの味の強さに引っ張られ、相対的に淡白に感じました。キミとは違う形で出会いたかったよ。
小樽のシャコ。これはまあ、シャコですね。前夜に山ほどシャコを食べて来たので、タイミングが悪かったのかもしれません。
先のホタテと同じところで獲れたホッキ貝。独特のクセがクセを通り越してクセになる味わい。
ヒメマス。一転して淡水魚ですが、なかなかどうして濃い味を発揮してくれます。
毛ガニのほぐし身と、別のカニの内子の塩漬けを混ぜ込んでにぎります。くわー、旨い。日本酒が無いことを呪ってしまいそうな美味しさです。
お椀は意外にシンプル。これまでの特徴的な芸風に比べると穏やかな味わいです。
〆の太巻きはアナゴにタマゴにキュウリなど。美味しいのですが、やはりこれまでの芸風に比べるとインパクトに欠けました。

いくつかおかわりした結果、お会計はひとりあたり2万円。コスパが良いという前評判を考えると、酒抜きにしては思ったよりも高くついたなという印象です。それでも都心のちょづいた鮨屋の3~4割引といったところで、また、地元の魚介類に拘っていることを考えれば、道外のゲストにとってはナイスなお店でしょう。札幌を訪れた際には是非どうぞ。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。

ラ・ボンバンス(La BOMBANCE)/西麻布

西麻布の交差点から高樹町方面へ。富士フィルムの少し手前の地下にある「ラ・ボンバンス(La BOMBANCE)」。店名はフランス語で「ごちそう」の意味ですが、れっきとした日本料理店です。
ほそながーいテーブル?カウンター?が鎮座する、独特の内装の店内。飾られたよくわからない小物などを含めて西麻布的な要素に満ち溢れています。
岡元信シェフは新潟県長岡市出身。日比谷「鴨川」や紀尾井町「福田家」などで腕を磨き、2004年に当店をオープン。ベースは日本料理ですが、舶来品の食材を積極的に用いるなどフュージョン系の和食という印象です。お品書きの表記がかなりやばい。
まずは沖縄産トウモロコシのかき揚げ。素材の味が強く美味。ちなみにシイタケ嫌いの好物はトウモロコシのかき揚げとウズラの卵です。ところで今夏、当グループは沖縄の古宇利島にホテルを開業するそうです。
小鉢がたくさん。牛のタルタルやコロッケなど、やはり洋モノの色合いが濃い。お酒に合いそう。ちなみに当店はコンプライアンス意識が高くアルコールは全てNGだったのが心残りです。
お椀はスッポン。白玉団子の中にはスッポンのほぐし身が詰まっており、迫力のある味覚です。お出汁もスッポンなのですが、ショウガ(?)など他の素材の味のほうが目立っていました。
生ハムのリゾット。照り焼きしたフォアグラにトリュフをトッピングするなど、わかり易い味覚です。
焼き物は太刀魚。ベーシックな焼魚であり、見た通りの味わいです。
ナスの酢びたしに牛肉の炙りをトッピング。やはり欧米風の足し算の料理。でもちょっと酸が強くてお酒と合わせるの難しそう。
お食事は新ショウガの炊き込みご飯。炊き立てを用意してくれ、食べきれなかった分は持ち帰ることができます。
デザートにつき、左上の白いやつはブラインドで何かを当てよと店側が煽って来るのですが、覚悟していたよりも全然カンタンなので拍子抜け。

お食事だけでお会計はひとりあたり7千円。今回はランチなのでまあこんなもんかというお気持ちですが、ディナーにこの方向性で酒を飲んで2万円という客単価は色々とアレかなあ。良くも悪くも西麻布らしいお店でした。

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和食は料理ジャンルとして突出して高いです。「飲んで食べて1万円ぐらいでオススメの和食ない?」みたいなことを聞かれると、1万円で良い和食なんてありませんよ、と答えるようにしているのですが、「お前は感覚がズレている」となぜか非難されるのが心外。ほんとだから。そんな中でもバランス良く感じたお店は下記の通りです。
黒木純さんの著作。「そんなのつくれねーよ」と突っ込みたくなる奇をてらったレシピ本とは異なり、家庭で食べる、誰でも知っている「おかず」に集中特化した読み応えのある本です。トウモロコシご飯の造り方も惜しみなく公開中。彼がここにまで至るストーリーが描かれたエッセイも魅力的。

温味(ぬくみ)/中島公園(札幌)

すすきのから中島公園へと移転した「温味(ぬくみ)」。ミシュラン2ツ星、食べログ百名店入りと札幌が誇る日本料理の名店です(写真は公式ウェブサイトより)。私は2015年のすすきの時代にお邪魔したことがあり、実に6年ぶりの訪問です。
新店舗は趣味人の邸宅のような一軒家であり、1階に個室、2階にカウンターとテーブル席という構成。方々に窓が配されており、自然光とグリーンが目に優しい。

山本真樹シェフは札幌生まれ。地元の名店「古屋(こや)」で修業し、大阪「かが万」で腕を磨き、香港日本総領事公邸料理人として香港へ渡った経験もあります。帰国後は「ザ・ウィンザーホテル洞爺」を経たのち、当店を開業。
うすい豆のふくませ煮。緑の味の濃いお豆さんをサッパリとしたスープと共に頂きます。
トウモロコシの揚げおこわ。おこわを揚げているのではなく、おこわにトウモロコシのかき揚げ(?)を混ぜ込んでいます。素朴ながら記憶に残る味わいです。ちなみにシイタケ嫌いの好物はトウモロコシのかき揚げとウズラの卵です。
お椀はオコゼに加賀きゅうり、じゅんさい。品の良いスープにじゅんさいのチュルっとした食感が程よいアクセント。
お造りはヤリイカにヒラメ、関アジ。ヒラメのジットリとした食感に奥行きのある旨味が心に残る。量がたっぷりなのも嬉しい限り。
八寸は左上の空豆とウニの自然な取り合わせが良いですね。いやらしい派手派手しさはなく、互いに互いを褒め合うような組み合わせです。
エゾアワビの石焼。新鮮なアワビをチンチンに熱した石でチロっと焼きつけます。モリっとした食感に淫らな風味が咲き乱れる。
鮎はシンプルに塩焼きして蓼酢で頂きます。美味しいのですが、まあ、よくある一般的な鮎です。
炊き合わせは賀茂茄子にアスパラ。賀茂茄子は一度揚げているのかザクっとした食感に香ばしいかおりが鼻に抜けていくのが心地よい。
お食事はシャコとジダケの炊き込みご飯。ベースとなるライスに味が行き渡っており、シャコを抜きにしても米料理そのものとして旨い。
水菓子は夕張メロンに黄金柑を白ワインのゼリーと共に。シンプルながら品質の高さを伺わせる風味です。

禁酒法の時代に訪れたので、お食事だけで2.5万円ほど。お酒をそれなりに飲めば3万円といったところでしょうか。むかし訪れた時の方がもっと荒削りでパンチのある料理であり、費用対効果も良かったような気がするのですが、まあ、昔の思い出は美化されるものである。

店構えや価格帯を考えると接待向きかもしれません。札幌出張者は現地の偉い人におねだりしてみましょう。

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黒木純さんの著作。「そんなのつくれねーよ」と突っ込みたくなる奇をてらったレシピ本とは異なり、家庭で食べる、誰でも知っている「おかず」に集中特化した読み応えのある本です。トウモロコシご飯の造り方も惜しみなく公開中。彼がここにまで至るストーリーが描かれたエッセイも魅力的。