佐那河内村出身の店主が、村産・県産の食材にこだわって提供する「鳥ぼん 徳島本町店」。村で育てられた銘柄鶏「彩どり」や地鶏「阿波尾鶏」を使った鶏料理を安価に楽しむことができ、食べログでは百名店に選出されています。駅の近くにも支店がありますが、今回お邪魔したのは本町(ホンチョウ)のほうです。
店内は1階と2階に分かれており、我々は1階にご案内頂きました。1階は焼場を眺められるカウンター席とボックス・テーブル席、2階は宴会向けテーブル席があるようです。
ドリンクは安く、店主の地元・佐那河内村産のすだちを使ったチューハイが名物。また、「鳴門鯛」をはじめとする徳島の地酒も多く取り揃えられており、ノンアル勢のためには阿波晩茶が用意されています。この店は阿波が全て、全てが阿波なのである。
お通しはサツマイモを甘辛く炊いたもの。やはり徳島名産の鳴門金時でしょうか、甘辛く丁寧に炊き上げ、どこかホッとする味わいです。
親鳥皮ポン酢。若鶏とは一線を画す、親鳥ならではの力強い歯ごたえと凝縮された旨味をダイレクトに楽しむことができます。ポン酢でさっぱりと仕上げられ、コリコリした食感と酸味が良く合います。
豆腐サラダ。佐那河内村の「村のおっさん 桑原豆腐店」だそうで、舌触りが驚くほどクリーミー。まるでパステルのプリンのような口当たりであり、これは豆腐単品でバリ旨い。これまで私は豆腐は沖縄のものが一番と信じていましたが、いきなり先頭集団に飛び込んでくる美味しさです。
串焼きのハラミ。ホルモンに似た独特のシコシコとした弾力と、もも肉のようなジューシーで濃厚な旨味が同時に味わえるのが最大の魅力であり、噛むたびにジュワッと溢れ出る旨味と脂の甘みが堪らない。
看板メニューの「阿波尾鶏もも焼き」。阿波尾鶏特有の適度な歯ごたえと噛むほどに広がる濃厚なコクと旨味を、シンプルな塩焼きで最大限に引き出しています。鉄板に敷かれた玉ねぎスライスは鶏から溶け出た上質な脂と肉汁をたっぷりと吸い込み、鉄板の熱で甘みが引き出されて最高の名脇役。
パリパリピーマン肉詰め。ピーマンにつくね的な鶏肉餡を合わせた料理です。青臭さや苦味はなく、瑞々しい甘みが際立つ生ピーマンが爽快な食感と清涼感を与えてくれます。
せせり梅肉。鶏の首周りの肉を炭火でジューシーに焼き上げ、コリコリとした歯ごたえと脂の旨味に梅の酸味を重ねます。大葉が合わさることで脂のくどさが消え、力強い味わいなのに後味はサッパリ。
とろ皮。表面は香ばしく、中はその名の通り、とろけるような脂の甘みが広がります。一般的な鶏皮とは異なり、ゼラチン質の柔らかさとコラーゲンの旨味が主張しているのがいいですね。
チキン南蛮。阿波尾鶏をジューシーに揚げ、甘酢ダレとたっぷりの自家製タルタルソースを絡めます。タレが肉の芯まで染み渡り、上から惜しみなくかけられた具材感のある濃厚タルタルソースが全体をまろやかに包み込みます。阿波尾鶏というよりはタレやソースを楽しむひと品です。
厚揚げ。揚げたて・焼きたてであり、先のプレーンな豆腐とはまた違った表情を見せてくれます。鶏料理の合間の箸休めとして鶏肉の脂を中和する優しい味わいです。
スパイシー手羽元。初見では香辛料の刺激に気を引かれますが、やはり肉は骨周りが一番旨いなと再認識させてくれる味わい。ビールとの相性が抜群なガツンとした味わいです。
〆に親子丼。ブランド鶏とその玉子を用いた贅沢オブ贅沢なひと品で、満腹でもペロリと平らげてしまえる疾走感。お椀が鳥スープじゃないのがちょっと残念ぽよ。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり5-6千円といったところ。食材の質と量を考えれば信じがたい費用対効果であり、
フォーブスの連載における東京 VS 地方論で書いた、まさに地方型の実利の店。この店を悪く言う人はいないと思う。かけてもいい。
関連記事焼鳥は鶏肉を串に刺して焼いただけなのに、これほどバリエーションが豊かなのが面白いですね。世界的に見ても珍しい料理らしく、外国人をお連れすると意外に喜ばれます。
素人にとっては単に串が刺さった鶏肉程度にしか思えない料理「焼鳥」につき、その専門的技術を体系的に記しています。各名店のノウハウについても記されており、なるほどお店側はこんなことを考えているのかという気づきにもなります。