高級レストラン"また行きたい"偏差値【2026年最新版】

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  • 私の主観的な"また行きたい"偏差値です。味や店の優劣ではありません。


高級レストランでナメられないためのマナー集

高級レストランには一種独特の雰囲気があります。「なんだか店に値踏みされているようで居心地が悪い」と感じる方が多いかもしれませんが、その通り、店は客のことを値踏みしています。

「お客様は平等に扱う」なんてのは大ウソです。レストラン業界には『ソワニエ(大切におもてなしするべき客)』という言葉があるくらいであり、一流の客や金払いの良い常連・重い客に対しては恭しく接し、どう見ても場慣れしていない一見客に対しては、人間だもの、おざなりな対応になるものです。

そこで、「高級レストランにあまり行ったことは無いが、ナメられたくはない」と考えるワガママな貴方のために、高級レストランにおけるマナーを整理しました。結構な長文となってしまったので是非ブックマークして頂き、必要に応じて読み返して頂けると幸いです。

Besh Qozon(ベシュ カザン)/タシケント(ウズベキスタン)

タシケント北部のユヌサバード地区、テレビ塔の至近距離に位置する「Besh Qozon(ベシュ カザン)」にお邪魔しました。かつて「中央アジア プロフ センター」と呼ばれたこの施設は2016年にユネスコの無形文化遺産にも登録されたウズベキスタンの国民食「プロフ(オシュ)」の聖地。タシケント市内に4店舗を展開し、従業員は700人超、年間400万人以上ものゲストが訪れるというバケモノじみた集客力を誇る巨大チェーンです。
店名の「Besh Qozon」は「5つの鍋」を意味しますが、屋外のオープンキッチンには直径2メートルを超える巨大な鋳鉄製カザン(鍋)がそれ以上の数並び、薪の直火で一度に数百人から数千人分のプロフが炊き上げられています。
1台のカザンで最大1,000人分、あるいは5,000kg規模の材料を一度に処理できるというそのスケールは、単なる調理を超えた食のパフォーマンス。職人が大きなシャベルのような道具で米や肉をかき混ぜるライブ感あふれる光景に圧倒されます。訪れる客は食事の前にこの調理エリアを通り抜けることで、プロフが完成するまでのもうもうと立ち上る蒸気とスパイスの香りを全身で浴びる儀式を体験することになります。
なお、プロフという料理は巨大な鍋で一度に大量に炊き上げ、それを数時間かけて提供するという特性を持っています。そのため午後遅い時間には人気のメニューから容赦なく売り切れの憂き目に遭うのが常態化しています。これは鮮度の高いプロフを提供し続けるという品質保持の裏返しでもあるのですが、せっかく訪れたのに目当ての品にありつけないのは悲劇でしかありません。ベストな状態である炊きたてを狙うべく、万難を排して11時半〜12時頃に突撃するのが、当店を楽しむための絶対条件です。
店内へ入ると、ソ連時代のブルータリズム建築を彷彿とさせる高い天井と広大な空間が広がります。内部装飾には精緻なウズベキスタンの伝統的意匠が施されており、巨大なシャンデリアや中央アジア特有の幾何学模様が刻まれた柱、そして何百ものテーブルがズラリと並ぶ様子は、さながら「プロフの宮殿」と呼ぶにふさわしい威容です。
ちなみに屋外にはテラス席も用意されており、乾燥したウズベキスタンの熱気と風を感じ、そびえ立つテレビ塔を望みながら開放的な気分でプロフを掻き込むのもまた一興です。宮殿のような屋内で厳かに食すか、オープンエアでワイルドに楽しむか、その日の気候や気分に合わせて座席を選べるのは、このマンモス店ならではの強みと言えるでしょう。
巨大なホールの座席運用は至って合理的、というか放任主義です。入り口で案内を待つような野暮なことはせず、空いている席を見つけて勝手に陣取ればOK。着席するとほどなくして、忙しなく立ち働くスタッフがテーブルへとやって来ます。言葉の壁に怯む必要はありません。メニューを指差すだけで注文はすんなりと完了し、あとは席で待っていれば熱々のプロフが運ばれてくるという寸法です。この荒削りながらもシステマティックなオペレーションが、1日数千人を捌くマンモス店の回転率を支えているのでしょう。
ちなみにプロフのメニューは写真付きで何とか理解できるのですが、サラダ類は文字列のみの表記であり、グーグルレンズで読み取るなどまごついていると「こっちに来い」とサラダの待機場所へと連れてこられ、ここで指差しオーダーさせてもらいました。言葉なんてできなくても何とかなるのだ。
イスラム圏の大衆食堂であるためアルコール類の提供は無く、「ノンアルコールモヒート」で乾杯。フレッシュなミントとたっぷりのライムの酸味が効いた爽快な一杯です。ウズベキスタンの乾燥した気候とこれから始まる脂ギッシュなプロフに対する食中ジュースとして、実に理にかなったセレクションでしょう。見た目にも涼しげなグリーンが、茶色系の多いテーブルに彩りを添え、現代的なウズベキスタンのランチスタイルを演出してくれます。
サラダは2種を注文。まずはプレーンな「アチチュク」。完熟トマトにキュウリ、スライス玉ねぎを塩で和えただけのシンプルな代物ですが、ウズベキスタンの強烈な太陽を浴びて育った野菜は暴力的なまでに味が濃い。素材本来の力強さを感じる、引き算の美学が詰まった一皿です。

もう一つは伝統的な濃縮ヨーグルト「スズマ」で和えたタイプ。中東のザジキやインドのライタにも似ていますが、よりコクが深いのが特徴です。乳酸菌の働きが消化を助け、ディルやコリアンダーなどのハーブが清涼感を与えてくれます。これらが後述するプロフの油分を洗い流す最強の脇役となります。
まずは「TO'Y OSH(トオイ オシュ)」。結婚式などのお祝いで供されるプロフです。牛肉や羊肉の塊に、黄色い人参(ムシュナク)、レーズン、ひよこ豆がたっぷりと炊き込まれています
。米一粒一粒が黄金色の油膜を纏い、人参の優しい甘みとレーズンの酸味が絶妙なバランスで迫り来る。カロリーの暴力ですが、食べる手が止まりません。ちなみに写真は0.7人前のスモールサイズですが、日本のラーメン大盛ぐらいの食べ応えがありました。
続いて「CHOYXONA OSH(チャイハナ オシュ)」。こちらは男子(?)が集まって作るワイルドなスタイルであり、米はより茶色く色づき、羊の脂(ドゥンバ)の香りが強烈に鼻を突き抜けます。トオイ オシュのようなお上品な甘さはなく、ニンニクや唐辛子が丸ごと炊き込まれており、ほのかな辛味とパンチの効いたコクが米に浸透しています。トッピングによる装飾よりも、肉と油、そして火力の強さが生み出す米の旨さそのものにフォーカスした味付けと言えるでしょう。ガツンとした食べ応えを求める現地の常連客に人気が高いのも頷ける、男のための炭水化物です。
ちなみにいずれの注文も「Komplet(コンプレット)」というトッピング全部のせバージョンでお願いしました。プロフという料理はも元来おもてなしの料理であり、トッピングが最初から全部乗っている状態こそが完成形とされているそうです。

ちなみにトッピングは「カジ」という馬肉の特製ソーセージのスライスにウズラの卵が2つ、「ドルマ」というブドウの葉で肉や米を包んで蒸したものであり、それぞれから出る独特のスパイス感や塩気がプロフの油と混ざり合い、より重厚で複雑な味わいになっているような気がします。
食卓に置かれた伝票を手に取ってお会計へ。支払いは現金のほか、VISAやMasterCard、さらには現地のモバイル決済システムやKaspi(カザフスタン経由の送金)など、多様な決済手段に対応しており、国際的な観光インフラとしての成熟度を見せつけられます。ちなみにトイレは有料(3,000 SOM)ですが、1日に数千人が利用する施設を清潔に維持しなければならないので仕方ないのでしょう。
腹がはち切れるほど炭水化物と脂を摂取して大満足。ウズベキスタンという国を胃袋でダイレクトに理解するための壮大なエンターテインメント施設です。いずれのプロフも700-800円で、サラダ類も300円かそこらなので、コスト度外視でバンバン注文しましょう。オススメです。

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創作料理 中山(なかやま)/若狭(那覇市)

大阪の有名店で修業を重ねたとされるシェフが那覇市若狭に「創作料理 中山(なかやま)」を開業。若狭は沖縄県内最大の歓楽街である松山エリアに隣接する地区であり、美栄橋駅から歩いて15分ほど。夜の経済活動が活発なエリアに位置しながらも、大通りから一本入った静かな立地です。
店内はカウンター席と掘りごたつ席で、トータルでは20席ほどでしょうか(写真は食べログ公式ページより)。少人数のグループから大人数の宴会まで柔軟にレイアウトを変更できそうです。
オリオンドラフトの大ジョッキが750円で、これはお値打ちと思い注文すると、え?あれ?これで大ジョッキ?これなら他の店の中ジョッキと変わらんくない?また、日本酒は1合で1,540円とまあまあ高く和らぎ水をお願いすると1杯380円も課金されていました。加えて、目の前で明示的にミネラルウォーターが注がれるのであれば理解できますが、奥でジャーってやってきて1杯380円というのは、やってんなあというお気持ちです。
お通しは凝っていて、タイの揚げものにタルタルソースが添えられています。ふっくらとしたタイの白身がサクッと揚がっており、上品な脂の甘みが口の中に広がります。
生くらげの土佐酢。生ならではのコリコリとした瑞々しい弾力が武器であり、合わせる土佐酢は、出汁の旨みが効いた角のないまろやかな酸味が特長的。食欲を程よく刺激するスターターです。
ミミガーの酢味噌和え。薄くスライスされたミミガーは、特有のコリコリした軟骨の食感が心地よく、臭みは一切ありません。ここに絡む酢味噌は白味噌の柔らかな甘みとツンとこない絶妙な酸味のバランスが心地よい。
お造り盛り合わせ。沖縄近海の鮮魚が並び、中でもセーイカのコブ締めが良いですね。セーイカ特有のねっとりとした濃厚な甘みが、昆布の旨みを吸うことでさらに凝縮され、舌に絡みつくような官能的な食感へと進化しています。
〆鯖と香味野菜の海苔巻き。脂の乗った〆鯖をたっぷりの香味野菜と共に海苔で巻きます。なのですが、その作業中に他のゲストのお会計が横入りし、現金払いでチャリンチャリン触った手で再び巻物の作業に戻ったので、衛生面に係る意識は私との間に大きな隔たりがありました。そんな気分で食べるツマミの味など中くらいである。
気を取り直してミノ。軽く揚げているのかホルモン特有の弾力を残しつつ表面はサクサクとスナックのような口当たりであり、噛む楽しさを教えてくれます。高温の油で揚げているので、衛生面においても問題ないでしょう。
蓮根まんじゅう。すりおろした蓮根のモチモチとした粘りと粗く刻んだ箇所の対比が鮮やかで、それらを包み込む銀餡の優しい出汁の風味が五臓六腑に染み渡る。滋味深く上品な味わいに仕上がっています。
西京明太子焼き。西京味噌と明太子とのコラボであり、酒飲みのための極上珍味が爆誕しました。明太子の刺激的な辛みが西京味噌の芳醇な甘みによって角が取れ、まろやかで奥深いコクへと昇華しています。日本酒をもう1合おかわりだ!和らぎ水は1杯380円だ!
デザート代わりにイチヂクとチーズの挟み揚げ。加熱されることでイチヂクの甘みが濃密に変化し、とろりと溶け出したチーズのコクと混ざり合います。甘じょっぱいハーモニーが堪りません。これは白ワインにも合いそうだ。
以上を2人でシェアし、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり1.2万円。料理は悪くないのですが、ドリンクに対する考え方や衛生面で違和感を覚えました。手を洗う作業を省略して数十秒時短し、水で小銭を稼いで何がしたいんだろう。

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[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

くろぎのおかず [ 黒木 純 ]
価格:1,650円(税込、送料無料) (2024/1/20時点)

黒木純さんの著作。「そんなのつくれねーよ」と突っ込みたくなる奇をてらったレシピ本とは異なり、家庭で食べる、誰でも知っている「おかず」に集中特化した読み応えのある本です。トウモロコシご飯の造り方も惜しみなく公開中。彼がここにまで至るストーリーが描かれたエッセイも魅力的。

BUTAKIN(ブタキン)/六本木

六本木では珍しい二郎インスパイアの「BUTAKIN(ブタキン)」。芋洗坂近くのファミリーマートの奥出入口の目の前に位置し、六本木駅から歩いてほんの数分。朝の11時から翌朝の6時までと、凄まじい営業時間の長さです。
店内はカウンター席のみで10席強。二郎系特有の圧は無く、客もスタッフも皆マイルド。清潔感があり、ティッシュや紙エプロン、レンゲや爪楊枝などの用意もあり実に丁寧。いつ行っても全然並ぶことが無いのが便利なのですが、フードデリバリー勢が活発で、厨房は常に忙しそう。
券売機で食券を購入し席に着きます。二郎系のコールのパターンは色々ありますが、当店は着席時に全て伝えるシステム。案内書きにある「ニンニク入れますか?」を待っていたのですが、「お好みは?」と想定外の掛け声で、気の小さい私は取り乱してしまいました。
私は「小ラーメン」の「カタメ、ニンニク抜き、やさいマシマシ、アブラ少なめ」で注文。味玉をトッピングし、合計で1,250円です。

「やさい」はモヤシとキャベツの組み合わせで、モヤシの量が支配的であり、四捨五入すると「もやし」です。一般的な二郎のマシマシよりも量が多く、当面はチャーシューもやし定食として取り組む必要があります。
肉は断面が数センチはあるかという肉塊でボークステーキのような印象を受けました。しっかりと醤油ダレが染み込んでおり、単体で食べても十分な満足感がありますが、スープに沈めて温めることで脂が溶け出し、さらなるジューシーさを味わえます。箸で持ち上げるとホロホロと柔らかく、オリエンタルなプルドポークのような味わいです。
スープは醤油ベースで思いのほか穏やかな味わい。ドロリとした濃厚なコクはなく食べ疲れしません。人によっては物足りなく感じるかもしれませんが、この野菜と麺量をクリアするためにはこれぐらいフラットなスープでちょうど良いでしょう。

味玉は黄身がカッチカチのものを覚悟していましたが、綺麗な半熟で嬉しい誤算。生卵で注文し、すき焼きのようにして食べている人もいました。
麺が美味しいですねえ。二郎系インスパイアの象徴とも言える極太の平打ち縮れ麺が採用されており、特筆すべきはその圧倒的な密度と食感。小麦の香りが強く、力強く噛み締めるたびに麺自体の甘みが広がります。ワシワシ・ボキボキとした独特の噛み応えがあり、重量感のある啜り心地が胃袋を直撃します。小サイズでも250gという一般的なラーメンの2倍近い量がありますが、その旨味ゆえに一心不乱に啜り続けてしまう魔力を持っています。
以上を食べて1,250円。二郎系としては中々のお値段ですが、「ラーメン二郎 目黒店」のように行列することなく、怖い雰囲気もなく普通にラーメンとしても美味しい。二郎系の入門編として訪れるのはもちろんのこと、行き慣れた方がジェネリックとして活用するにも申し分ないクオリティです。六本木で背徳感を味わいたい際に是非どうぞ。

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六本木は難しい街です。おっと思えるリーズナブルな店から、高くてギラギラしてるだけのハリボテのようなお店も多い。私が好きなお店は下記の通りです。
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ここ数年で滞在した高級・有名とされているホテルを一覧化し◎〇△×と記した

年間を通じて外泊が多いので、ここ数年で滞在した高級・有名とされているホテルを一覧化しました。

◎〇△×と記していますが、これは私が滞在した時点における感想であり、価格や為替の変動、混雑度合い、当時のスタッフの対応など偶然に因る部分も多いので、話半分に捉えてください。また、ハイアットやヒルトンは最上級会員であり、ひらまつは株主なので、素で予約する場合とは対応が異なるかもしれません。

費用対効果も重要視しています。お金に糸目をつけないお金持ちの方々とは観点が異なることをご承知おきください。

ところで、私は子連れ客とそれをコントロールできない宿泊施設を憎んでおり、そういった客層が支配的なホテルは自然と△や×が多くなります。しかしながら、これは見方を変えれば家族旅行に向いたホテルを選ぶ指標となり得るかもしれません。


【ハイアット】
<北海道>

<関東>
△:ハイアットリージェンシー東京ベイ

sincerita 拓(シンチェリタ タク)/高岳(名古屋市)

2024年4月にオープンし、さっそくゴエミヨへの掲載の運びとなった「sincerita 拓(シンチェリタ タク)」。店名「sincerita」はイタリア語で「誠実さ」を意味します。高岳駅から歩いて7-8分の場所に位置し、予約は1年以上待ちが当たり前の大人気店「イル アオヤマ」の跡地ということで、風水が良さそうです。
店内はカウンター8席のみのライブキッチンスタイル。私はお邪魔したことがありませんが、「イル アオヤマ」時代から殆ど変わらない居抜きのようです。一斉スタートであり、最初に予約を入れた人の時間がその日の開始時刻となります。

前田拓也シェフは愛知県小牧市出身。イタリア・プーリア州の1ツ星レストランなどで経験を積み、帰国後は銀座「ブルガリ イル リストランテ」や「リストランテ クロディーノ神楽坂」、南青山「エトゥルスキ」などを経たのちに当店を開業しました。
アルコールにつき、何故かビールのラインナップが充実していたので、それに乗っかることにしました。コエドが千円程度で楽しめるとは、この手のレストランとしては良心的。ROCOCO Tokyoを3,000円とかで置く店は人の心を失っていると思う。
まずはグリーンピースのスープ。春の訪れを告げる鮮やかな緑のスープは適度にザラつきがあり、グリーンピース本来の力強い甘みと香りを楽しむことができます。トリュフも適量で程よいアクセント。そこへ揚げたそら豆のクリスピーな食感と香ばしさが加わります。
フォアグラのサンドにほおずき。濃厚なフォアグラの脂の甘みを、食用ほおずきのフルーティーな酸味と独特の香りが鮮やかに引き立てます。ありそうで無い組み合わせですが、ありよりのあり。ほおずきのジューシーな果汁が、口の中で溶け出すフォアグラの重さを軽やかに中和します。
甘エビの魚醤マリネし、ブッラータやキウイ、キャビアと共に愉しみます。ねっとりとした甘エビの甘みを魚醤が引き締め、クリーミーなブッラータチーズが全体を優しく包み込みます。キウイの爽やかな酸味とキャビアの塩気が心地よいアクセント。ソースにはトマトのエキスを凝縮したものを用いており、ひと皿で甘・酸・塩・旨がバランス良く共鳴します。
サワラを生ハムとバジルで巻いて揚げ、カツとして仕上げました。これはとっても美味しいですねえ。サクッとした衣の中から溢れるサワラの肉汁と、加熱されて香りが増した生ハムの旨味が上手く組み合わさっており複雑玄妙な味わい。添えられたフレッシュなトマトが揚げ物の重さを払い、イタリアンらしい爽快感のある味覚に昇華しています。
グリーンアスパラの炭火焼きにカツオの藁焼き。瑞々しいアスパラの甘みと、燻香を纏ったカツオの濃厚な旨味が交わります。春の苦味を象徴するフキノトウや行者ニンニクのタプナードが野生味溢れるアクセントとなり、熟成された黒にんにくソースの深いコクが全体に重厚感を与えます。季節の滋味を凝縮したようなひと品です。
パンは全粒粉パンとフォカッチャを用意してくれるのですが、いずれも自家製の焼きたて。素朴な味わいながら単なる添え物ではなく、コースの進行を支え、ソースの最後の一滴までを味わい尽くすための重要なコンポーネントとして機能しています。
アマダイのウロコ焼き(揚げ?)。パリパリに逆立てられたウロコの食感と、対照的な身のふっくらとした柔らかさがいいですね。ソースはズッパ・ディ・ペッシェ(魚介スープ)を土台としており、魚介の旨味を極限まで詰まっています。
目の前で伸ばされカットされ茹で上げられるパスタ。麺には卵黄がたっぷりと練り込まれており、麺そのものが旨い。ソースはハマグリの出汁をベースにしているそうで、毛ガニと共に強烈な旨味が感じられます。菜花のほろ苦さが全体に春の輪郭を際立たせてくれるのもすごくいい。
メインは漢方牛のイチボの炭火焼。肉そのものの味を楽しむスタイルで、清らかな赤身の旨味を堪能します。ソースは牛出汁ベースでエシャロットの辛味と酸味が加わることで、肉の輪郭がくっきりと浮かび上がります。添えられた芽キャベツの甘みと行者にんにくのパンチが、野生的な満足感をさらに高めてくれます。
〆の炭水化物にイカスミのリゾット。こちらもアサリやハマグリのお出汁がベースとなっており、このパンチの強さで塩を一切用いていないとは驚きです。トッピングされたホタルイカを噛むと、その濃厚な肝の旨味が溢れ出し、リゾットのコクをさらにブースト。それでいて食べ疲れることのない、計算されたバランスが光ります。
デザートはイチゴのティラミスを再構築したもの。マスカルポーネのリッチでコクのあるクリームが、イチゴの鮮やかな酸味を優しく包み込みます。コーヒーの苦味の代わりにイチゴの香りが華やかに立ち上り、添えられた濃厚なミルクアイスが口の中で溶けることで、ひんやりとした軽やかな余韻でコースを優雅に締めくくります。
焼きたてのフィナンシェと紅茶でフィニッシュ。ごちそうさまでした。

以上のコース料理が2.2万円で、ビールやワインを加えてお会計はひとりあたり3万円弱。料理の質および量、ならびにシェフの華々しい経歴を考えれば実に良心的な価格設定です。日本の食材を多用しつつ独創的でありながら、きちんと美味しいのが素晴らしいですね。これは季節ごとに旬の食材を試したくなる。オススメです。

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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。