熟成魚や自家製の干物が自慢の海鮮居酒屋「海の日(うみのひ)」。ディープな飲食店やホストクラブなどが多く立ち並ぶ夜の街「女子大小路」に近接する地区に位置します。ミシュランではビブグルマンに選出され、食べログでも百名店に選出されています。
店内はテーブル席が主力ですが、カウンター席もいくつかあり、店主からの直接的な解説を受けることができる特等席と言えるでしょう。ちなみに当店は香水や匂いの強い柔軟剤等の使用を理由とした入店拒否のルールが名物で、それに基づいて追い返された連中の恨み辛みがGoogleマップの★1つとなって表れており、読み応えがあります。
お魚だけでなく日本酒にも力を入れており、日本中の銘酒が手軽な価格で提供されています。回転が速いからロスも少なくなり、結果としてリーズナブルな値付けになるという好循環。
まずは茶碗蒸し。まず目を引くのは大量のアオサ。海のミネラル感をたっぷりと感じ、また、桜の塩漬けが塩味とともに華やかな余韻を残します。中には桑名産ハマグリが組み込まれており、そこから溢れ出した濃厚な出汁が卵液と滑らかに一体化しています。
タケノコと新ワカメのきんぴら。春の息吹を感じさせる出会いものの組み合わせです。タケノコのシャキシャキとした瑞々しい歯ごたえと、新ワカメの柔らかな食感の対比が心地よく、噛むほどに溢れる自然な甘みと、甘辛い醤油の香ばしさが後を引き酒が進みます。
ウドのチュロス風。ウドを15分も揚げているそうで、揚げ物でありながら重さはなく、ウドの持つほのかな苦味と凝縮された甘みがビールにピッタリです。
お刺身については店主がゲストに教育的に介入し、手元でヅケとする方法などを直接指導してくれます。この日はマグロにキンメダイにアマダイ。いずれもしっかりと熟成されており、身はねっとりと甘く、脂が全体に回って芳醇なコクを放っています。
桜海老のさつま揚げ。香りがびっくりするほど強く、桜海老の殻から出る濃厚なエキスと身の甘みをダイレクトに楽しみます。力強い味わいで、桜海老より桜海老の味がする。
アンキモとクリームチーズをクラッカーにのせて楽しみます。アンキモのまったりとしたコクと脂の甘みをクリームチーズの爽やかさがまとめ上げ、重層的な旨味を作り出す。これはワインとも相性が良さそうな気がする。
ホタルイカと新玉ネギのサラダ。プチュッと弾けるホタルイカの濃厚な肝の旨味を、瑞々しく甘みの強い新玉ネギが優しく受け止めます。シャキシャキとした清涼感が後味をサッパリとさせ、お酒の合間のリフレッシュ。
ホタテは磯辺焼きスタイルで楽しみます。表面は食欲をそそる香りを纏い、中心部はレアに近い弾力と甘みを保っています。裏切ることのない王道の美味しさです。
にゅうめん。具材はタイと根セリであり、スープにはタイのエキスが凝縮されています。根セリの独特の力強い香りとシャキッとした歯ごたえが、繊細な鯛の出汁に野趣溢れるアクセントを加え、ホクホクとしたその身を楽しみつつ、私の心もホクホクです。
ニラ玉。旬のニラをお浸しにした上で温泉卵をトッピング。ニラからは強い香りが感じられますが苦味はなく、シャキシャキとした食感が活きています。そこに濃厚な温泉卵を絡めることで、黄身のコクがソースのようにニラを包み込みます。これは新しい「ニラ玉」の発見だ。
おっと、鶏の唐揚げだ。手羽元の身をくるりと丸めたチューリップ型で、中はジューシーに肉汁を蓄えています。魚介類ばかりでなくこういう遊び心もあるのです。
〆は焼きおにぎり。表面は香ばしく焼き固められ、そこに塗られたフキノトウ味噌のほろ苦さと甘辛さが、焼けた米の香りと共鳴します。添えられた茎ワサビのツンとした刺激も心地よく、口の中を爽やかにリセットしてくれます。
以上のコース料理が6千円ほど。旬の上質な食材を趣向を凝らして楽しんでこの支払金額は実にお値打ち。今回で当店のコンセプトは堪能できたので、次回はアラカルト注文でこれぞという逸品をたっぷり楽しみたい。
Googleマップのスコアが妙に低いのは冒頭に記した香水勢に因るものなのでお気になさらず。
「魚ト日本酒あたらよ」もそうでしたが、名古屋は粘着質なネガティブキャンペーン勢力が他の土地よりも多い気がする。
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