カープ 東京支店/神田

神田駅から徒歩数分、東京におけるカープファンの聖地ともいうべきお好み焼き屋があります。ピークタイムには行列が生じるほどの人気店。広島の本店は3フロアにわたりお好み焼き屋が密集する「広島お好み村」に入居しています。
コの字型の鉄板がドカンと置かれる店内。鉄板前のカウンターに横に並び、普通に飛び交う広島弁。平日昼間でも飲酒率が高く、広島の繁華街を切り取ってそのまま貼り付けたかのような雰囲気です。

調理をメインに行う鉄板からは遠かったので、誰かのインスタを引用します。伝統的な広島焼の製法に基づき整然と連続的に調理が進んでいく。あ、広島焼って言っちゃった殴られる。
「そば」か「うどん」を選ぶことができるのですが、王道の「そば」を注文。プレーンなものだと1,000円ですが、私はエビとイカが含まれた「全部入り」を注文。1,500円でした。ちなみにプラス100円で「1.5」にすることができ、近くのリーマンがそれを注文していたのですが、100円の差分とは考えられないほどの特大サイズでした。
関西風の混ぜ混ぜ系とは異なり、蒸し焼きの千切りキャベツ、そば、卵がミルフィーユのように重なり合います。ソースは前述の「お好み村」専用の「ミツワソース」を使用。普通に美味しいですが、エビイカ追加で500円はちょっと高いかな。プレーンなもので十分でしょう。
酒選びのセンスが良く、レモンサワーの「小笠原島レモン クラフトチューハイ」が実に美味しそう。今度は夜に、サイドメニューを含めてダラダラ飲みにお邪魔したいと思います。


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神田は良い街です。東京駅すぐ近くと至便であるのにも関わらず、5,000円も出せばしっかりと飲み食いができるお店が多い。気長に開拓していきたいと思います。

月刊『散歩の達人』のハンディ版。チャラついていない大人向けの硬派なガイドです。地図が解かり易く名所旧跡の紹介もしっかり。神田周辺をお散歩する際には是非。

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L'ombra(ロンブラ)/六本木

六本木の交差点からすぐ。イタリア全20州の料理とワインを出すと鼻息の荒い「L'ombra(ロンブラ)」。店名は直訳すると「木陰」ですが「ワイン1杯」の意味でも使われるそうな。
店内はコの字型のカウンター席が10に6席の個室がひとつ。我々は贅沢にも2人で1部屋使わせて頂きました。上路勇シェフはイタリア本国で腕を磨き、銀座「アロマフレスカ」、広尾「インカント」などで活躍。
料理に合わせたフルのペアリングでお願いすると、「それじゃ、お体が許す限りいくらでも飲んでいって下さい!」と、実質飲み放題という大盤振る舞い。そんなことを言われてしまうと始まる前からこのお店のことを好きになってしまいます。人間が飲める量なんて限られているのだから、これぐらい言い切ってゲストに気持ちよく飲み食いしてもらうのもひとつの戦略かもしれません。
ピクルスの酸味で食欲を呼び起こす。この時点で先の1杯目は空いてしまいました。個室ながら目ざとく空のグラスを見つけ出し注ぎ足すソムリエ。良いお店である。
生ハム、サラミ、フォアグラ。いずれも高品質で基本に忠実な味わい。塩気がワインを誘います。
「泡ばかりじゃ芸がないから」と、さっそく白をお持ちいただきました。D.O.C.G.のフィアーノ。南方らしく豊かな風味と強烈なアロマが印象的。
パンはセモリナ粉で。ザラりとした舌触りにローズマリーの爽やかな香りが心地よい。

「ねえねえ、次の料理の『リッボリータ』って何?」好奇心旺盛な連れは身を乗り出してヒソヒソ声で聞く。たぶん、トスカーナ州の郷土料理で、白インゲン豆と野菜とパンを煮込んだスープだと思う。動物性のものは一切使ってないけど、コクがあって美味しい料理だよ。
「お次は『リッボリータ』です。トスカーナ州の郷土料理で、白インゲン豆と野菜とパンを煮込んだスープです。動物性のものは一切使ってないでしが、しっかりとコクがあるお料理です」と、ソムリエ。彼と私の説明が丸被りでありクスクスと笑う彼女。心の歩調が合った瞬間である。
おや、新酒のメルロ。先の料理に赤を合わせるだけで攻めているのに、さらにノヴェッロとはやりますなあ。なるほどワイン単体で飲む場合と料理と合わせる場合とで大きく印象が異なり、興味深いペアリングでした。
当店のパスタはすべて手打ち。南の地方ではセモリナ粉、北の地方ではファリーナ粉を軸としているそうです。こちらはオレキエッテ。外観も食感も耳たぶののようにプニプニしており、小麦の風味もしっかりと感じられる見事な味わいです。サワラの旨味もちょうど良い。
またまた赤。しかも「Pelaverga」という聞いたことのないブドウ品種です。検索しても英語とイタリア語しか出てこない赤ワインを魚のパスタに合わせるというタッキースタイル。それでも不思議とフィットしているのが面白い。
マファルディーネというフリル状のパスタ。水分量が少ないのか、見た目以上にワシワシと食べ応えのある麺です。自家製サルシッチャの旨味だけで全体をまとめ上げる手腕にも脱帽。
Zidarichという、またまた知らないブドウです。イタリア語っぽくないですが、なるほど地域はフリウリと、オーストリアとスロヴェニアに面した州のものでした。

どうしてこんなわけのわからないワインを料理に上手く合わせられるのかをソムリエに問い質すと、彼は料理人でもあり仕込みも担っているとのこと。他方、シェフはソムリエでもあるとのことで、やっぱり料理人がワイン選びにまで踏み込むのって大切なんだなあ。なぜこの料理にこのワインを合わせるのかの説得力が増す。
白トリュフのリゾット。8,800円のコース料理に白トリュフが登場するのは日本広しと言えど当店ぐらいでしょう。そして白トリュフはさておきリゾットとしてとても美味しいのがポイントです。青山「テール・ド・トリュフ」は反省するように。
同志だと認めてくれたのか、2種のワインをお持ちいただけました。
それぞれをリゾットに合わせてみるのですが、なるほど口に含むものによって全体としての表情が変わるのが面白い。畢竟、ワインとはサイエンスである。
メインは仔羊の炭火焼き。甘味と旨味たっぷりの脂をまとった肉塊の表面をガガっと焼き上げており香ばしい味わい。マルサラのソースも奇をてらわずストレートに美味。
ヴァッレ・ダオスタのフミン。もちろん初めて飲むワインです。紫色が強い外観にスミレのような香り。はっきりとした酸。思ったよりもタンニンは軽く、心地の良い余韻。オーラスを飾るに相応しい1杯でした。
アルコールは終わった、と思いきや、ティラミスにガンガン酒がきいています。大人のスイーツで火照った身体をクールダウン。
小菓子も当然に手造りであり、素朴な味わいにホッコリします。

お会計はひとりあたり1.5万円。六本木でこれだけ飲み食いしてこの価格というのは素晴らしい費用対効果です。ワインは掘り出し物を提案するスタイルであり、ワインは血統が全てと信じ込んでいる人にとってはアレかもしれませんが、私のように美味しくてたっぷり飲めるなら銘柄は問わない族にとっては堪らないお店。サービス料は取らず会計は明瞭でアクセスも抜群。ワインバーとしてもデートでも接待もいける、およそ弱点の無いお店です。オススメ!


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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。



日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。

ベッセルホテル(Vessel Hotel)/石垣島

沖縄をリゾートとしてみる場合は高級ホテルに泊まろうと頑張るのですが、あくまでダイビングの拠点としてみる場合はドミトリーを含む安宿に泊まることが多い私。今回の石垣もダイビングのみを目的としていたため、1泊5千円のビジネスホテルに予約を入れ、特に記事にする必要もなかろうと写真撮影をサボって後悔。このホテル、すごく良かったです。
広さ21平米のクイーンベッドの部屋に予約を入れていたのですが、どういうわけかクイーンベッド2台のツインルームへアップグレードしてもらえました。清潔で機能的。ネットが遅いのが玉に瑕ですが、まあ、1泊5千円のホテルとしては良いほうでしょう。あくまでビジネスホテルであるため大部屋は無く、家族連れがいないためとても静かです。
誤算だったのは朝食。普段は朝食を食べない私なのですが、この日は早朝に「台風のため本日のダイビングは中止」との連絡が入ったため丸一日がヒマになり、朝メシでも食べながら時間をつぶすかあと会場に向かったのが運の尽き。
ラインナップがビジネスホテルの無料朝食にしてはかなり豪華、かつ、沖縄郷土料理が実に豊富だったのです。
アオサ入りの卵焼き、じゅーしー、アオサの佃煮、沖縄そばのヤキソバ、ゴーヤの天ぷら、パパイヤチャンプルー、ラフテー。ラフテーなど死ぬほどコッテリした料理まで朝食に加えてしまう心意気に拍手喝采。
野菜も豊富であり、島野菜が豊富なのも嬉しい。ハンダマ(葉表が緑色、葉裏が紫色をしており、加熱するとヌメリが出る島野菜)を置くビジネスホテルなど聞いたことがありません。
牛乳が「マリヤ乳業」であるのはもちろん、「ゲンキカフェ」「マリーブ」まで取りそろえるあたり、執念を感じます。
デザートに地元の果物があるのはもちろん、「ぜんざい」や「サーターアンダーギー」まで。その辺の定食屋よりも沖縄色が強い。
もちろんウインナーやスクランブルエッグなど、ビジネスホテル朝食の王道とも言うべき料理もマナーとして用意はされているのですが、誰も見向きはしていません。
朝から歯止めのきかない食欲を発揮してしまいました。食べ放題の沖縄料理が無料でついて1泊5,000円。1か月でも15万円。1年で180万円。10年で1,800万円。東京の生活って何だろうと、色々考え込んでしまった朝食でした。


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1年で10回沖縄を訪れることもあります。1泊15万円の宿から民宿まで幅広く手がけています。
TACが世に出した一風変わった沖縄本。もはやガイドブックではなく参考書の域です。非常に情報量が多く、かつ、うまく整理されており読みやすい。大判ではないので持ち歩きやすいのも素晴らしいです。オールカラーの割に高くない。数多ある沖縄ガイドブックの中では突出した存在です。

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センス(Sense)/日本橋

シグネチャー」「ケシキ(K’shiki)」「タパスモラキュラーバー」などミシュラン常連店が集うマンダリンオリエンタル東京。今回は私のお誕生日祝いということで、広東料理の1ツ星「センス(sense)」にお連れ頂きました(写真は公式ウェブサイトより)。
37階のため眺望が抜群。九龍の「天龍軒(TIN LUNG HEEN)」を彷彿とさせます。夜は東京ディズニーランドで打ち上げられる花火も見えるそうな。「たまには中華もいいでしょ?ココ、点心の食べ放題だから、大食漢の〇〇さん(私の名)と来ようって、ずぅっと前から企んでたの」
前菜3種盛りで開演。奥は肉をしっかりと煮込んだもので赤ワインが欲しくなる。北京ダックは王道の味わい。手前のクラゲはカットが大きくブリブリと歯ごたえがあり美味しかった。
スープは3種からのチョイスであり、私は「蟹肉入りパンプキンスープ」を選びました。スープは高級フレンチで登場するそれと同等の味覚であり、カボチャの甘味と出汁のバランスが素晴らしい。白眉はカニ。どうしてもカニは主役に置きたがる傾向にありますが、脇役として上手くアクセントとして存在していました。
「海老の香り揚げ 香港海鮮市場スタイル」。ネーミングセンスはちょっとアレですが、大ぶりの海老をガリっと高温で揚げており、ジャンクな調味と共に脊髄反射で旨い。これはあと10個は食べれるなあ、とニヤついていたのですが、コチラは食べ放題には含まれないとのこと。しゅん。
さてお待ちかね、ここからは点心のメニューの中からお好きなものをお好きなだけ。注文する数も自由自在であるため、我々は全種類制覇を目指して1人1種1粒づつ注文していきます。手間のかかる客で申し訳ありません。
まずは小籠包。肉の風味がしっかりとした芸風です。
「海老入り蒸し餃子」「たらば蟹と海老のクリスタル蒸し餃子」「トリュフときのこの蒸し餃子」。海老なだけで私は満足なのに、たらば蟹まで加えてしまうとは割と最強系です。トリュフの扱いも上手く、ブワっと香る黒いダイヤに舌鼓。2019年は5回も香港を訪れ飲茶の有名店を食べ歩きましたが灯台下暗し、当店の点心が一番美味しかった。
「帆立の蒸し餃子」「鮑をのせた豚肉と海老の焼売」。前者は素材そのものの味わいが強烈であり良い出汁が出ています。後者は闊達自在な組み合わせであり、それぞれの素材がいちいち美味しく白旗を挙げてしまいました。
「海老とニラ入り餃子の香り焼き」。こんなに美味しいニラ饅頭は食べたことがありません。しかもどの点心にもいちいち海老が入っているのが嬉しい。エビマシュランとしては至福のひとときである。
「牛カルビの黒胡椒蒸し」。味は悪くないのですが、ちょっとヴィジュアルがイケてませんね。味の濃い箸休め程度に捉えることとします。
大根餅が絶品。大根餅って、大根と言いつつ全然大根の味が感じられないことが多く、メロンソーダはメロンの味がしないという方程式に似ているのですが、当店の大根餅は大根が原型を留めた形で焼き込まれており、質の高いおでんを食べているかのような錯覚を覚えました。もちろん素材としてはカニやエビなどには敵いませんが、こと大根という素材の料理としては東大理Ⅲ級の偏差値です。
「豆苗と東星ハタの蒸し餃子」。東星ハタとは沖縄原産の希少な魚だそうで、ハタ特有の弾力に矛盾するようですがフワフワとした食感が感じられデイドリーミングな美味しさでした。
「海老すり身と野菜の湯葉まきオイスターソース蒸し」。うひょひょ、えっちだねえ、コッテリとしたソースを纏った湯葉の中にはまた大量の海老が入っています。これまでの点心とは芸風の異なる、かなりジューシーな一皿でした。
「蒸し豚スペアリブブラックビーンソース」はさっきの肉と同様に映えません。こういう料理はドカっとした量で、ゴハンと共に食べるとまた印象が違ったかもしれません。
「海老入り揚げワンタンのスイートチリソース」。くどいようですが、海老です。ワンタンがバリっと高温で揚がっており、ザクザクとした食感が楽しい。それ単体でしっかりと甲殻の味が感じられたのでソースはつけませんでした。
「季節の野菜入り蒸し餃子」はその名の通り野菜だらけの餃子なのですが、これまでのAB連打プレイとはまた違った印象を持たせるものであり、これはこれでかなり旨い。
「鶏モミジの豆鼓蒸し」はミスターコラーゲンといった方向性。日本では中々お目にかかれない料理であるため、異文化コミュニケーションとしての楽しさがあります。
「叉焼包」は終盤に食べるにはキツめの生地の厚さですが、内部のとろとろチャーシューは絶品。この中身だけゴハンにかけたりしたら最高なんだろうな。
連れの内臓が絶滅の危機に瀕していたため、彼女お気に入りの点心をおかわりしてフィニッシュです。ふたりが合意に至った結論は「たらば蟹と海老のクリスタル蒸し餃子」「トリュフときのこの蒸し餃子」が天下無双ということでした。
「最後にお食事ものなどはいかがでしょうか?」と店員が煽ってくるスタイル。望むところだ、と、「鶏肉と干し貝柱の蒸しご飯 蓮の葉包み」をシングルプレイ。干し貝柱の出汁がお米にたっぷりと沁み込んでおり、鶏肉のジューシーでミンチーな食感も堪らない。終盤でこの美味しさを感じさせるとは恐ろしい子。
他方、「香港麺の焼きそば」は大して美味しくありませんでした。麺が細すぎコシやコクというものが感じられません。
連れがお誕生日プレートを用意してくれました。添えられるスイーツが月餅など中華風のものなのが面白い。ロウソクが2本立てられていたので、「健康」と「安全」のふたつを祈念して炎を吹き消す。
通常のデザートの杏仁豆腐もついてきます。これがまたきちんと美味しく、この日は暴力的な食べ方をしてしまいましたが、次回は夜にコース仕立てで楽しみたいなと期待を持たせるフィナーレでした。
大大大満足のランチでした。あれだけ香港に通い詰めた結果、日本の飲茶が一番とは実に複雑な心境です。しかもお好きなものをお好きなだけとか最高かよ。ただしアルコールは市価の5~6倍と信じられないほど高価なので、そこは飲茶の形式に則り手の込んだお茶をポットで飲むのがコスパ最強説かもしれません。お腹を空かせてどうぞ。


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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
1,300円としてはものすごい情報量のムック。中国料理を系統ごとに分類し、たっぷりの写真をベースに詳しく解説。家庭向けのレシピも豊富で、理論と実戦がリーズナブルに得られる良本です。

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