グランド ハイアット 東京(Grand Hyatt Tokyo)/六本木

六本木ヒルズの旗艦施設「グランド ハイアット 東京(Grand Hyatt Tokyo)」。安倍元首相が年末年始に1週間近く滞在することで有名。部屋数は400近くレストランも10はあり、ビジネスでも観光でも利用される、東京を代表するホテルのひとつと言えるでしょう。
1階ロビーは大混雑ですが、スタッフにクラブフロアに滞在する旨を伝えると、10階のクラブラウンジへと案内してもらいチェックイン手続きを進めます。カードキーが無いとアクセスできない(エレベータに乗れない)仕組みであり、ロビーでスタッフにひと声かけなければならないのはちょっと面倒かもしれません。

スタッフは良くも悪くもハイアットっぽくなくビジネスライクな印象です。一般的なハイアットの接客はラクロス部の後輩のような気さくさが特長的ですが、当館は日系キャビンアテンダントのような距離感。
お部屋へと向かいます。他のハイアットと異なり「掃除の後は誰も入っていませんよ」という未開封シールが貼られていました。
「グランドハイアット福岡(Grand Hyatt Fukuoka)」はキャナルシティ博多のポップな印象をホテルに引き継いでいましたが、当館は木製のインテリアを中心としており、六本木の派手派手な印象からは程遠い、非常に落ち着いた雰囲気です。
窓から外を眺めると、港区を切り取った景色が広がります。ただし他のビルの窓から丸見えで、朝日や夕日やらビルからの反射光やらで忙しく、結局ブラインドを下ろしていることが殆どでした。
2003年開業と歴史は長いので、設備は若干古く感じます。テレビは薄型大型ではありますが、クロームキャストなどのハイテク機能は付随しません。
こういうこともあろうかと、自宅からFire TV Stickをお持ちしていました。PCデスクの脇にあるHDMI端子に差し込みネットを繋げて無事に投影完了。ただしネットの速度は下りで30Mbpsほどであり、web会議程度であれば問題はありませんが、動画を流しっ放しだと所々ひっかかるかもしれません。
シーツはイタリアの名門、フレッテ社のもの。絹のような肌理の細かさ滑らかさであり、昼寝が捗ります。
ウェットエリアはデビューから20年近いだけあって、やや歴史を感じます。どうしてこの時代にできたホテルって、ガラスでスケスケもしくは半スケを好んだのでしょうか。備え付けられたTVについては骨董品とも言える分厚さで、大英博物館に寄贈したくなるレベルです。
今回は5階のスパを利用していたので、お部屋のバスルームは使用しませんでした。アメニティはフランスの「バルマン(BALMAIN)」のもので統一。
お手洗いは独立型。このお部屋については木製のドアでピッタリしていましたが、別の部屋では、すりガラスの半スケバージョンもあり、数センチ足元が空いており音も丸聞こえ。一体どういうつもりで設計したのか理解に苦しみます。
ミニバーはお馴染みのラインナップ。ネスプレッソやお茶の種類も豊富です。
人心地ついたので5階のフィットネスセンター「NAGOMI スパ アンド フィットネス」へと向かいます(撮影NGのため写真は公式ウェブサイトより)。入会金だけで150万円という都内屈指の高級クラブであり、安倍元首相も来れば3時間近く運動していくそうです。
プールは小さく窓も無く、「パークハイアット東京(Park Hyatt Tokyo)」の開放的な造りとは真逆の設計思想なのですが、これはこれでありよりのありですね。ジャクージが迫り出した独創的な誂えであり、これが20年も前に作られた設備とは考えられないほどのスタイリッシュさです。
17:00からはクラブラウンジでカクテルタイム。子連れもOKなのですが、皆パブリックエリアにおけるマナーをきちんと守っており、おそらくは名門幼稚園受験組が殆どなのでしょう。瀬良垣大阪とは雲泥の客層で、宿泊費用とゲストの質は比例するという不都合な真実を突き付けられました。
お酒のラインナップもクラブラウンジにおける飲み放題という意味ではセンスが良く、ヒルズと共に六本木のどチャラい文化を育んできた矜持が感じられます。
ビュッフェエリアは手指の消毒にマスク・手袋の着用必須。一方通行のためのロープを張り、入り口には門番を立たせるなど感染症対策は万全。お料理もクラブラウンジにおけるスナックという割には手が込んでおり、食事としても充分に耐えうるクオリティでした。
こちらは翌日の朝食。悪くないラインナップですが、オンデマンドの卵料理が無いのは少し寂しい。一方で朝っぱらからビーフカレーが用意されており、これが結構いやかなり美味しい。重厚なコクがありつつもスパイスも感じられ、ホテルのビュッフェのカレーとしてはかなり攻めた調味でした。
ランチはホテル内ダイニングの「六緑(ろくろく)」へ。鮨屋としては珍しくガラス張りの内装で、テーブル席もあり子連れもOK。ランチは税サを含めて6千円~。最近の予約困難を演出したバカ高く威圧的な鮨屋とは真逆の価値観で、「まわらないお鮨屋さんって何か怖い」といった初心者にも優しいです。詳細は別記事にて
良いホテルでした。都市型のホテルとしてはトップクラスに私好みであり、週末どっぷり引きこもっても飽きの来ない居心地の良さです(写真は公式ウェブサイトより)。

最低でも1泊4万円近くを要し一見高く感じますが、最も小さい部屋でも40数平米もあり一般的なビジネスホテルの2~3倍の広さであることを考えると妥当でしょう。サービスや立地・ブランド力まで考えると寧ろ割安に感じるほどです。

加えてビジターと宿泊客との動線の切り方も上手く、良い意味で排他的でプライバシーが確保され居心地良し。次回は年末年始に、安倍元首相のスケジュールに合わせて滞在してみようかしら。

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六本木は難しい街です。おっと思えるリーズナブルな店から、高くてギラギラしてるだけのハリボテのようなお店も多い。私が好きなお店は下記の通りです。
レストランの在り方に迫るというよりは、六本木の今にクローズアップした特集。ラグジュアリーで儚い夜の街へと誘うガイドブック。紙媒体は売り切れちゃうのでお早めに。

名前のないイタリア料理店/松山

食べログにつき、松山の欧米系レストランでダントツの高得点を誇る「名前のないイタリア料理店」。百名店に選出されているのですが、旧店名「バールマツダ」時代に酸鼻を極めた炎上事件があり、怖いもの見たさでお邪魔します。
入店に至るまでの廊下にある張り紙「小さなお子様をお連れの方は10年後にお待ちしております」に胸が高鳴る。
店内は奥に広く、厨房に面したカウンター7~8席にテーブル席がいくつか。30席近くはありそうです。シェフならびにマダムは大変親切で、常ににこやかな雰囲気です。あの炎上騒ぎは何だったんだろう。
酒は安く、グラスワインはいずれも千円かそこらであり気持ちよく飲み進めることができます。ビールやカクテルなどもあり、気楽な雰囲気です。
アラカルトで自由に注文できるのが嬉しい。まずは大浜(今治あたりの漁場)のタイのカルパッチョ。最旬の時期に訪れることができ、これはもう、べらぼうに旨いですね。日本料理店などでは数切れだけ食べて後ろ髪を引かれる思いをすることが多いのですが、当店ではアラカルトのフルポーションで食べることができたので、私は幸せものです。
地元の魚介類シリーズで、タコのタリオリーニ。気前よくジャンジャンとタコが放り込まれており、タコの旨味に淫します。パスタは自家製の手打ちであり、タコの旨さと相俟って、きっと10年後も覚えている料理です。
お肉料理には「媛っこ地鶏」をチョイス。歯ごたえはマッチョでゴリゴリながら脂のノリも良く、肉そのものの味が旨い。シンプルな調理で、素材の本質を楽しむことができる1皿でした。ただ、このひと皿で4千円近い価格設定はちょっとたけぇなあとも思う。
飲んで食べてひとりあたり1.5万円ほど。素材ひいては料理そのものの味は文句なし。松山の家賃を考えるともう少し安いと嬉しいな。ところで普通に居心地の良いレストランでもあり、ネット上の噂などアテにならんなとつくづく思いました。こういった張り紙のセンスも私は好きだ。

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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。

日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。

久しぶりにディズニーを訪れたらファストパスという概念が廃止されていた話

久しぶりディズニーランドへ。「コロナ渦における東京ディズニーランドが快適すぎる件」に記した通り、前回お邪魔したのは2020年の夏。当時は入場者数が1.5万人に制限されており大変快適に過ごせました。今回はオミクロンがひと段落しマンボウが明けたタイミング(2022年3月)であり、どのような運用に変わったのか興味津々で訪れます。
公式には9:00開場の日であり、念のため8:30にリゾートに到着したのですが、オープン待ちが多すぎてパーク前の広場にゲストを収容することができず、立体駐車場まで列が伸びるという異常事態。結局8:40頃にぞろぞろ列が動き始めたので、現場の判断で開場を少し早めたのかもしれません。私にとっては嬉しい誤算ですが、高いコストをかけてアーリーエントリーしているゲストはどう思うのだろう。
入場前のヒマな時間にスタンバイパスが取れるかどうか試したところ弾かれました。そのあたりきちんと管理されています。
さて新出単語の「スタンバイパス」。平たく言うと公式アプリでゲットできるファストパスであり、このパスが無い限りはどんなに並んでもアトラクションなどに参加できないという斬新な仕組みです。
入場してすぐに最優先課題である新アトラクション「ベイマックスのハッピーライド」のスタンバイパスをゲットでき、3時間後頃に訪れれば入場できる権利を得ました。これは大変便利な仕組みですね。以前のファストパスをゲットするために園内を走り回るという手間が大きく省かれています。他方、パーク全体で歩きスマホ率が上がり場面で危ないので保護者達はお子様の動向に注意を払うようにしましょう。
指定時間になるまでは近場のアトラクションで時間を潰します。おお、本当にファストパス発券機とその待ち時間表記が黒塗りされています。なお、この日のスコアは20万点弱であり少し調子が悪かった。
スペースマウンテンの待ち時間は35分。スタンバイパスという仕組みのおかげかどうかは何とも言えませんが、パーク全体の待ち時間は全て圧縮されている気がします。アプリからアトラクションの待ち時間を確認できるのですが、50分を超える待ち時間は見たことがありませんでした。
指定時間となったので「ベイマックスのハッピーライド」へ。QRコードを読み込んでから20分ほど待つので、ファストパスほどファストではありません。しかしながらファストパスは本当にファストすぎてライドに辿り着くまでの世界観がすっ飛ばされてしまうので、これはこれで風情のある適度な待ち時間に感じました。
肝腎の「ベイマックスのハッピーライド」ですが、これはびっくりするほどつまらんですね。単なるレトロフューチャーなコーヒーカップであり、「新しいアトラクションが楽しいとは限らない」との格言が心に浮かんだ瞬間です。ベイマックスに触ってみたら何かカチカチに硬くてイメージと違うし。
次のスタンバイパスをゲットできる時間になったのでアプリを開いてみると、何とびっくり目玉の大型新作アトラクション「美女と野獣“魔法のものがたり”」が売り切れてるじゃないですか。これはTBS。仕方なしにスプラッシュ・マウンテンのスタンバイパスをゲットします。だがしかし、よくよく考えると「仕方なしにスプラッシュマウンテン」とは贅沢な話である。
気を取り直して「ミッキーのマジカルミュージックワールド」へ。こちらも新作であり、こういったショー系は「スタンバイパス」ではなく「エントリー」という仕組みを用い、要するにアプリから応募して当選すれば座席まで指定された案内が来るという仕組みです。
カンテサンス級に予約の取れないレストラン「ザ・ダイヤモンドホースシュー」もアプリからスっと予約できました。ただこれは公式アプリの効用というよりかは、食事中にキャラクターが登場し盛り上げてくれるディナーショー形式が休止されていることが原因かもしれません。
ところでスタンバイパスが必要なのは新作や期間限定の演出など特殊に人気が出ているアトラクションのみであり、その他のアトラクションはスタンバイパス無しでも普通に並んで楽しむことができます(写真は並び時間調査のカード。私は人がいいのでよく協力を依頼される)。
  • バズ・ライトイヤーのアストロブラスター
  • スペース・マウンテン
  • ベイマックスのハッピーライド
  • スター・ツアーズ
  • スプラッシュ・マウンテン
  • イッツ・ア・スモールワールド
  • ホーンテッドマンション
  • ミッキーのマジカルミュージックワールド
  • プーさんのハニーハント
  • ビーバーブラザーズのカヌー体験
  • ウエスタンリバー鉄道
  • 蒸気船マークトウェイン号
  • 美女と野獣“魔法のものがたり”
この日われわれが楽しんだアトラクション等は上記の通りですが、日曜日に訪れてこれだけ遊べれば大したもの。公式アプリに基づく新しい仕組みにより、需要と供給の平準化が上手くなされているように感じます。
ところで結局「美女と野獣“魔法のものがたり”」にもお邪魔することができました。公式アプリからスタンバイパスの空き状況をちょくちょく確認していると、時々キャンセル分や追加分が開放されることがあり、OMAKASEの予約争奪戦よろしく早い者勝ちでゲットできるのです。
主題の「美女と野獣“魔法のものがたり”」ですが、これはかなりいいですね。ディズニーランド久しぶりの新設大型アトラクションであり、乗車に至るまでの空間設計や世界観の作り込みには目を瞠るものがあり、オリエンタルランドのマジを見た気がします。
平たく言うとタワーオブテラーとハニーハントが合体したような乗り物であり、BGM含め美女と野獣推しには堪らないアトラクションです。今回わたしは一発目のスタンバイパスにベイマックスを選び美女と野獣を逃すという失態を演じ肝を冷やしましたが、賢明な読者の皆様には、まず最初に美女と野獣パスをゲットすることをオススメします。

公式アプリのインストールならびにスタンバイパスの取得についてはグループの代表者ひとりでOKなので、子供や老人とのデジタルディバイドを気にする必要もありません。他方、代表者のスマホの電池が切れれば全てが終わるので、予備のバッテリーをお忘れなく(レンタルサービスもあります)。

次回もスタンバイパスを駆使し、新アトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」を目当てにディズニーシーを訪れてみたいと思います。日本としては新アトラクションですが、私はカリフォルニアのディズニーで体験済というのが密かな自慢です。


【2022年秋追記】
現在、当記事にある「スタンバイパス」は事実上廃止され、代わりにUSJのような有料ファストパス制度へと移行しています。詳しくは「またディズニーのルールが変わって、今度はファストパスが有料になっていた話」をご参照下さい。


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ザ・ダイヤモンドホースシュー/東京ディズニーランド

東京ディズニーランドのウエスタンランド(ビッグサンダーマウンテンのあるエリア)のショーレストラン「ザ・ダイヤモンドホースシュー」。ショーレストランとは食事中にキャラクターたちがじゃんじゃん踊って楽しませてくれる飲食店のことで、「カンテサンス(Quintessence)」よりも予約が難しいお店です。
なのですが、コロナ中はリゾート内のショーレストラン全般が休止となっており、当店も単なるウェスタン調のレストランと成り下がっていました。予約も難しくはなく、私も当日ディズニーのアプリからスっと予約できたほどです。
まずはウェルカムドリンクとして「フロンティア・パンチ」が供されます。何でも西部開拓時代の夕日をイメージした飲み物だそうで、グレープゼリーにオレンジジュースを流し込んでおり、しょんどい甘さです。これ、他の飲み物にチェンジとか、プラス何百円かでビールに変えてくんないかな。
前菜のサラダ。協賛のプリマハム謹製生ハムを中心に20種類近い食材が盛り込まれており、テーマパークの食事としてはかなり頑張っていると言えるでしょう。巷のカフェのサラダぐらい美味しい。
蹄鉄型(ホースシュー)のパンはスーパーで売っているパンの中で一番に美味しいぐらいの美味しさであり、下手なレストランよりも質は上。また、パンはお代わりOKとのことで、フルサービス型レストランの矜持といったところでしょうか。
5,000円の「ステーキセット」と5,500円の「コンビネーションセット」があって、こちらは前者のステーキ。うーん、これ、ステーキなのか?表面は謎のカリカリが塗布されておりハーブが効いて香ばしいのですが、ステーキというよりもローストビーフっぽいニュアンスを強く感じました。量は多く、テーマパークの食事としてはかなりの食べ応えです。
こちらは「コンビネーションセット」。肉の量を減らしオマール海老が添えられています。ひと口頂きましたが、このオマール海老が中々、いやかなり美味しく、「オマール・プレッシャー」と呼ばれる都市伝説も強ち間違えではないのかもしれません。
デザートはプリンに生クリーム、イチゴにミッキー型をしたチュロスが添えられます。プリンそのものの質および量は悪くないのですが、雑な砂糖の味が支配的。全体的に大味で、途中から食べ疲れしてしまいました。

食事だけを見れば、まあテーマパークのレストランだよねという印象ですが、平常運行時であればミッキーたちとの触れ合いも楽しめるわけで、それはそれでお値打ちかもしれません。客層も大変良く、港区の予約の取れない新進気鋭の鮨屋などよりは余程居心地が良いです。ショーが再開した際に是非どうぞ。

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