スピローズ/六本木

都内のギリシャ料理店ではトップクラスに有名なお店です。六本木ドンキの裏手の雑居ビル2Fと、一見さんには勇気のいる店構え。
入店すると一気に広がるギリシャ感。ミコノスを思い出しましたが、当店はサントリーニをイメージしているとのこと。
レッチーナ(ギリシア固有種のサヴァティアーノに松ヤニを添加した白ワイン)があったので迷わず注文すると、店員さんが超絶ハイテンションで「おおおおーーー!ギリシャ詳しいっすかあ!?いきなりこれを注文するなんてぇぇ!!」と、盛り上げてくれます。
お通しはかわいらしいのですが、ソースが既製品のシロップのようで全然美味しくない。

プリフィクスコースを注文しようとしたところ、「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやお客さん!お客さんは超絶ギリシャ料理詳しそうなんで、アラカルトでいっちゃったほうが美味しいもの選べますし、安くすみますよ!僕が言うのも何なんですけど!」と完全に客本位です。
スペシャリテのサガナキ。ハルミチーズ(キプロスの羊のチーズ)を鉄板でこんがりと焼いたもの。溶けないのが不思議です。独特の塩気とギュっと詰まったチーズ感。どストライクでした。抜群に美味しい。
ギリシャサラダ。これはまあ普通。ちょっと高い。自分で作れるからもういいや。
ハーブ・ナッツ入りギリシャピラフのトマト詰め。抜群に美味しいというわけではありませんが、独特のハーブおよびスパイス使いが魅力的。日本人の感性じゃ作れないだろうなあ。「いやーギリシャ人ってのはとりあえずくり抜いて肉詰めてオーブンにブチ込めばいいと思ってるんすよ!」と、このヘッドウェイターは心の底からひょうきんだ。頭の中がハッピーセットでできているに違いない。店内の全てのテーブルを軽やかに駆け巡り、ずっとおしゃべりしてる。このお店のなんとも居心地の良い雰囲気は全て彼の功績です。
ローストチキンのヨーグルトソース。300g以上はありそうなチキンにこれまた独特なスパイス使いのソース。ニンニクが効いており、アリオリソースっぽくも感じました。美味しい。
そしてやはりギリシャ料理といえばムサカ!ポテト・ナス・ミートソース・ベシャメルソースの重ね焼きです。ラザーニャのマッシュポテトと捉えて頂いて結構。期待通りの味でした。

ふたりでおなかいっぱい食べて、ワインをボトルで飲んで、1万円ポッキリ。雰囲気も素敵。文句のつけようがありません。それなのに食べログ評価は3.14だなんてどうかしてるぜ。

こういうセンス良いお店があるのはさすが東京といったところ。大学生の時に知ってたらあと少しモテただろうな。



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まるや本店/名駅

鰻は関西と関東で調理方法が大きく異なることをご存知ですか?

関西風のうなぎは、腹開きにして、蒸さずに焼きます。パリッとしていて香ばしいのが特徴です。関東風は背開きにして、一度白焼きしたものを、蒸してから再び焼きます。淡白で柔らかいのが特徴です。

関西は商人の街なので、「腹を割って話す」ということで腹開き、他方、関東は武士の街なので、切腹を連想させるため腹開きは敬遠された、という言い伝えがあったりもします。

その他、串打ちや火力やひっくり返す回数にも色々と違いがあるようですが、たぶんそのあたりの違いを味のみで判断できるのは山岡さんぐらいなのでここでは割愛。ちなみに私は炭火でバリっと焼きあげた香ばしい脂に満ちたものが好きなので、断然関西風贔屓ですね。

ところで中間の名古屋はどうかというと、関西風の調理にたまり醤油と多めの砂糖のタレ、やたらと細かく刻んでひつまぶしという独自路線を突き進みます。名古屋の人ってこういうとこありますよね。
うまき。意外と一番美味しかったかも。香ばしい鰻をふわふわのあーりんで包み込む。
じゃーん、ひつまぶしー。
ひつまぶしの鰻はトンカツよりも細かい間隔で刻む。独特の食感が生まれますね。
まずはそのまま。
続いて薬味を。薬味はおかわり自由なので、贅沢にジャブジャブ使っちゃいます。
ダシを入れてお茶漬け風。ダシが薄く結果的に鰻のタレまで平準化されてしまい、イマイチだったかも。やはり蒲焼で食べるのが一番なのかもしれません鰻は。
お土産に買っていったら、単なる真空パックの鰻が入っているだけでした。こんなんやったらそこらへんのスーパーで買うのとかわらんやんけ。現実はいつも私に選択を迫る私にはそれがたまらなく嫌なのだ。



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うどんの千/伏見

私が名古屋時代に最も愛した店です。味噌煮込みうどんのような暴力的なものでなく、安定のつるつるシコシコな讃岐うどん。もはや名古屋なんて関係ありません。

信頼のおける友人に数日前に連絡しておくと、平日夜になんと4人も集客してくれていました。
たまたま誕生日だったので、「スゴク悩んで、名古屋一番人気のスイーツにしました☆」と、マカロンを頂きました。30過ぎのオッサンに。このお礼はいずれ精神的に。
讃岐サラダ。うどんを揚げたものを葉っぱに載せただけ。イマイチです。
てんぷら盛り合わせ。当店のランチでは、てんぷらとうどんをセットで注文するのがマナーであり、100回は当該マナーを実践していたので、特に美味しいというわけではありませんが、軽くソウルフード入ってます。
ホルモン炒め。こちらも夜のメニューで良く食べたもの。これは間違いなく美味しい。
カレー鍋。こんなメニューあったっけな?ということで注文したら大当たり!そう、当店のランチはカレーうどんも大人気であり、古奈屋よりも安くて美味しいのです。この鍋は、そのカレーうどんのルーを大量に使用したお鍋。つくねなどが美味しかったですが、何よりやっぱこのルーですよルルルー。思わず鼻歌を歌ってしまうほど美味しかった。
満腹でしたが〆のうどんは必須。私はこれを食べに来たのである。みんなミニサイズにしていましたが、後悔だけはしたくない、たとえ満腹であってもゥチ達は節理も無く禍殃を語る人に心を許さぬ。齊しく、其れを辯疏する亊にも。フルサイズいったったぜ!

いやー、満足しました。一見さんからするとただの「うどんが美味しい居酒屋」止まりなのでしょうが、私にとっては懐かしさがちょっとしたスパイスとなってしまい、冷静な判断ができません。こういうお店をたくさん自分の中に確保しておくことこそ幸福なのでしょう。スタンプラリー的に有名店を食べ散らかし、悪口ばっかり述べている日々の生活を少しだけ反省しました。少しだけね。


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山本屋本店/名駅

以前、色々あって名古屋のホテルに年間200泊していたことがあったのですが、その際に郷に入れば郷に従え系で、一通りの名古屋メシは制覇しておりました。今回は久しぶりに名古屋の街にお邪魔することになったので、まずはやっぱり味噌煮込みうどん!
最初に供されるお漬物。おかわり自由。あれれ?こんな嬉しいシステムあったっけな?山本屋には何度も来たはずなのに覚えてない。
相変わらず挑戦的なハミ出し具合。4年半ぶりじゃ。蓋を開けると
卵ちゃん。そして相変わらず暴力的な赤味噌スープ、ゴムのように硬い麺。特に美味しくはありませんが、なんとも感慨深いものがありました。

ただ、漠然とした違和感があったので調べてみると、なななななんと、「山本屋」は2系統あって、「山本屋本店」と「山本屋総本家」が王将的に罵り合っていたのです!

いやーびっくりしました。恐らく私は山本屋総本家でした食べたことなかったのでしょう。あんなお漬物、知らないもん。

というわけで、なんだか嬉しい誤算でした。まだまだ知らない名古屋メシがあるだなんて得した気分。ただ、味はどちらであっても判別できないぐらい下品なものなので、そういう意味でお漬物がつく「山本屋本店」のほうがお得かもしれません。たぶんまた4年半ぐらい食べることは無いと思うけど。


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野田岩/東麻布

創業200年の超老舗。東京の鰻屋ではトップクラスの有名店。
なんとも風格のある佇まい。
すぐ近くには別館があり、こちらはテーブル席のみ。予約の電話をしたら昼も夜もしばらくいっぱいと言われたので、開店直後のフリー席を狙い、運よくファーストロットに滑り込みました。
鰻重で一番ボリュームの大きい「桂」を注文。あれれ?思ったよりも量が少ない。もっと爆盛りかつミルフィーユみたいなのを期待してたのに。鰻マニアの連れに尋ねると「まあ、どこもこんなもんだよ」とのこと。山椒の香りが素晴らしく、山ほど振りかけてしまった。
お漬物と
大根おろしがついてきます。特に印象ナシ。
あと肝吸いね。こちらも別に。ノーマネーでフィニッシュです。

そうだ、忘れてた。私は鰻がそんなに好きじゃなかったんだ。友人が絶賛していた尾花を訪れた際も、特に感動はなかったっけ。まあ、ミシュラン1ツ星の超老舗の料理が6,000円で済むと考えれば悪くない。

そうだ、若い会社員はヘンなダイニングバーとかで8,000円とかかけて合コンするんじゃなくて、昼に野田岩で鰻重食べてから芝公園でシート広げて酒屋で買ったワインをみんなで飲む、そんな合コンの方がイケてるなあと、ぼんやり妄想してしまいました。
帰り道、東麻布の商店街を歩いていると偶然見つけたいかにも美味しそうなジェラート屋。1カップに2種盛りで300円と格安。そして全然美味しくないという。どうしてこんなことになってしまったんだ。

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和食は料理ジャンルとして突出して高いです。「飲んで食べて1万円ぐらいでオススメの和食ない?」みたいなことを聞かれると、1万円で良い和食なんてありませんよ、と答えるようにしているのですが、「お前は感覚がズレている」となぜか非難されるのが心外。ほんとだから。そんな中でもバランス良く感じたお店は下記の通りです。
黒木純さんの著作。「そんなのつくれねーよ」と突っ込みたくなる奇をてらったレシピ本とは異なり、家庭で食べる、誰でも知っている「おかず」に集中特化した読み応えのある本です。トウモロコシご飯の造り方も惜しみなく公開中。彼がここにまで至るストーリーが描かれたエッセイも魅力的。

五代目 野田岩
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麻布永坂 更科本店/麻布十番

堀井が経営破綻して外部の再建団体の手に渡り、「永坂」というキーワードを手に入れた麻布永坂 更科本店。創業の地の「永坂」が他人の手に渡るなんて、そうだ…この世界は…残酷なんだ。ただ、現代人の我々にとって、その歴史を紐解きなぞるのも楽しみのひとつなのかもしれません。
 まさに永坂の脇にあります。商店街からはちょいと離れる。でもいつも空いているし、堀井に比べて品が良い。店員さんは皆、和装で雰囲気あり。
 ゆず切りそば。ゆずの香りが爆発。歯ごたえも良く、実に美味しい。
 三色蕎麦。奥から卵切り(らんぎり)、茶そば、スペシャリテの更科。卵切りは柔らかめで歯ごたえがなくイマイチ。茶そばは特に印象なし。更科は噛みごこちも喉ごしも素晴らしく、堀井よりも好きかも。
嬉しいことに、そばつゆの追加は無料。堀井も無料だったなあ。更科系は太っ腹なのかもしれません。あとワサビがすりたてで香り豊かでした。

いつも混んでいて行列しているのは堀井ですが、私は永坂のほうが好きかもしれません。あと、メニューが豊富でちょっとした和食屋みたい。今度はじっくり真剣に食事と日本酒を楽しみに来たいなあ。


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サーラアマービレ/銀座

眉毛が茶色いギャルにお誕生日祝いでお連れ頂きました。アロマフレスカ系列。アロマクラシコカーザヴィニタリアアムール、カッフェクラシカ、アロマフレスカ名古屋と、何気にたくさん行ってるなあ。アロマフレスカそのものが未経験なのはなんとも絶妙。
 入った瞬間の開放感。採光がすばらしく、スタッフも清潔感があって爽やかです。
 ランチ限定のフリーフローコースにしてもらいました。プレモルで乾杯!
 アナゴのフリットにトリュフを散らしたもの。アロマ系らしいなー。ムリにイタリアイタリアしてなくて、日本人の嗜好にあわせてる。うまいっす。
 カツオのカルパッチョ。戻り鰹らしく脂が感じられ良かった。
 パンはまあまあ。ゴマのが上々。
 フォアグラのフラン(茶碗蒸し的)にリンゴジャムとトリュフ風味のポップコーンを散らしたもの。ギャレットやポップ!に宣戦布告するような態度。美味しいです。
 これ、5杯は飲んだ。
 ワタリガニのカペリーニ。味噌が効いていて日本人好み。
 白子のムニエル。どれもこれもわかりやすくOCです。
 バーニャカウダも場つなぎに置いておいてくれるので気楽で良い。
 車海老にカダイフと、、、ソースはわかりませんでしたがオリエンタルな風味を感じました。もうちょっと海老は大きいほうが良いかも。
 金華豚。これには面食らいました。もはや何料理かわからない。でもいいですよねこういうふうに開き直るのって。アクアパッツァにしろ、日本で一世を風靡したイタリアンは、日本人の心を捉えるコツを知っているような気がします。
 これ、4杯は飲んだ。
 タコのミートソースに九条ネギ。こちらも日本人の日本人による日本人のためのパスタです。
 カリフラワーとチーズのリゾットにトリュフを散らしたお皿。これとかもさー、イタリアンと見せかけて、〆の雑炊ですよね発想が。どう考えても美味しい。大満足です。
 ドルチェはモンブランを選びました。気をきかせてくれてメッセージも。いくつになっても嬉しいですよねお誕生日って。私は幸せだ。
 連れはコーヒーゼリー。こちらも美味しそう。
小菓子と共に
エスプレッソでごちそうさまでした。

いやー、大満足です。アロマ系で今のところ一番お気に入りかも。食べログでも4.11と好評価。そのコメント大体が「フリーフロー最高!」。のんべえが昼間から正々堂々とお洒落に飲めるお店としての地位を確立しております。
プレゼントにTORIBAのコーヒーを頂きました。嬉しいなあ。じっくり楽しみたいと思います。

素敵な休日でした。ごちそうさまでした!



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十年近く愛読している本です。ホームパーティがあれば常にこの本に立ち返る。前菜からドルチェまで最大公約数的な技術が網羅されており、これをなぞれば体面は保てます。