富貴堂(ふうきどう)/藤沢

藤沢駅北口の繁華街で人気のカレーうどん屋。もちろんイチオシはカレーうどんなのですが、うどんそのものは讃岐うどんらしく、讃岐うどん屋としてもアピールしています。
ミシュランガイドにも掲載されたようですが、もちろん星を取ったというわけではなく、無星での登場です。こう、軒先に載った雑誌や芸能人との写真をペタペタと貼りまくるのってどうなんですかね。真の実力店はそんなことしないと思うのだけれど。カンテサンスとかがやってたら、やだな。
メニュー表にはおいしそうな料理名が百花繚乱なのですが、基本的にはカレーうどんがベースであり、それに多種多様なトッピングをのせていくスタイルです。私は最もベーシックな『富貴堂カレーうどん』を注文。690円です。
注文後数分で着丼。カレーの色が白みがかっており、いわゆる古奈屋のようなミルクベースのものなのでしょう。スパイスは控えめで非常にマイルド。名古屋の伏見、うどんの千にベクトルは近い。ネギがたっぷりでネギ好きにはたまらない。豚肉も食べ応えのある量です。
うどんもそれなりに美味しいのですが、『讃岐うどん』と称するほど、それ単体で目立った特長があるというわけではなく、丸亀製麺のそれと大差ありません。
ランチタイムには丼セットなどもある模様。様々な雑誌やウェブサイトでその素晴らしさが喧伝されていますが、カレーうどんはカレーうどんであり、690円という値段相応と言ったところ。遠くからわざわざ訪れるという類のお店ではなく、たまたま近くを通りがかって、たまたまカレーうどんが食べたければ是非どうぞ。


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湘南に暮らし、日々湘南の最旬情報にアンテナをはっている「湘南スタイル」編集部が隔年でお送りするレストランガイド。あまり商売っ気が無く、湘南の良いお店を純粋に載せているという印象。その他の雑誌や食べログとは一味違った観点です。

富貴堂
関連ランキング:カレーうどん | 藤沢駅石上駅

& ecle(アンド エクレ)/表参道


表参道の裏路地、T-Placeという高級感溢れるテナント群を抜け、その突き当たりにあるルーチェ南青山という、これまた高級テナント内に入居するレストラン。
& ecle。アンド・エクレと読みます。マンダリンオリエンタル東京のシグネチャーの初代シェフとして活躍したシェフ、オリヴィエ・ロドリゲスが独立。表参道にネオ・ビストロをオープンさせました(写真は食べログ公式ページより)。
ネオビストロとは一流のキャリアを持つシェフが、サービスや店構えを簡素にし、リーズナブルな価格でトップレベルの料理を提供する業態です。とは言え温かみのある柔らかな内装であり、雰囲気も価格帯も女子ウケ間違いなしのレストラン。
スペシャリテは『クーリシャス』。シェフが米や雑穀の新たな可能性を見出し考案した米料理。日本人になじみの深い米とフレンチのソースを合わせた、野菜たっぷり色とりどりなカレー的食べ物といったところ。『クーリシャス』の種類は10近く取り揃えており、いずれも千円代半ばとリーズナブル。

「そうそう、ついにワインスクールに通い始めたの」いいねえワインスクール。若い女の子がああいう場にデビューすると、名前も知らないオッサンが自動的にめちゃ高いワインを寄進してくれ、勝手に人生の応援団になってくれる。良いこと尽くしだ。
ランチセットとして自動的に付帯するサラダ。これがオマケ品質を全く超えており、滋味溢れる味の濃い野菜の素晴らしさはもちろんのこと、盛り付けまで手が込んでおり、この時点で当店の料理に対する真摯な姿勢を感じました。

「でもね、美味しいもの食べたいなって思って連絡したらすぐにご馳走してくれるオジサンがいたんだけど、この前、突然『結婚してくれ』とか言われたわけ。マジでキモい」
こちらもセットとしてついてくるスープ。ご覧の通りに丁寧な作りであり、ビーツの野性味溢れる味わいにサーモンの旨味と塩気、ピンクペッパーのアクセントと、このまま星付きレストランのスープとして提供して通用するレベルです。

うーん、それはちょっと可哀相じゃないかなあ。少なくともちょくちょく2人でデートしてたわけでしょ?「デートだなんて。あたしが何か食べたいって言ったら、勝手に奢ってくれてただけだから。便利なサイフをひとつ無くしちゃったのは心残りだけど」
相対的にパンの味わいは低く感じてしまいますが、それはその他の料理の質が高すぎるだけであり、この価格帯としてはこのパンも相当なレイヤーに属しています。

「そうそうこの前ね、よく知らないオバサンに『え!?タケマシュランさんとお知り合いなんですか?』って物凄く食いつかれて。あたしの反応が悪かったからか、タケマシュランについて小一時間説明された上に、最終的には『紹介して欲しい』って食い下がられて大変だったんだから」

確かに最近この手の話が多く、この前なんて謎のネカマからハニートラップ(!?)を仕掛けられて肝を冷やしたところです。私なんかと繋がっても得るものは特に無いので、どうかその時間を、今あなたの近くにいる大切な人のために費やしてください。
真打登場『クーリシャス』。これは正にアート。想像していたよりも巨大であり、一般的なカレー屋のそれと同等のサイズです。選択したフレーバーはブロッコリー。お米は黒米で、トッピングはイカとブロッコリーのチリソテーです。

見た目の美しさはもちろんのこと、様々な味や食感、香りが一皿に凝縮されており、これまたこのまま星付きレストランの料理として提供しても誰も文句を言うことの無いクオリティでしょう。着色料や添加物を一切用いず、ブロッコリーの色と味をそのまま活かして仕上げたクーリ(ソース)が実に美味しい。
上質でヘルシーな料理を腹いっぱい食べてお会計は1,600円(写真は食べログ公式ページより)。これは表参道の奇跡である。次回は是非とも夜に訪れてコース料理を試したいところ。池袋にもビストロをオープンしたそうで、そちらも気になる。

お会計後はオリヴィエ・ロドリゲス自らが日本語を流暢に操りながらお見送り。これはファンになってしまいそうだ。表参道に用事があれば立ち寄りたいお店。オススメです。


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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。


六本木すずな/麻布十番

麻布十番から飯倉方面へ徒歩5~6分。ランチ焼肉の名店みやび高い費用対効果を誇るジャスミンタイなど、良いレストランが集まるグルメビルの一角にある和食店。
オープンと同時入店であったためガラ好き。しかしながら退店までこの調子だったので、普段から空いているお店なのかもしれません。カウンターが十数席に個室がいくつかと、使い勝手が良さそうです。
『旬の食材を使用したカウンター天ぷら』がコンセプト。ランチでは天丼や天せいろなどのメニューが中心です。
私は揚げ物という気分ではなかったため、天邪鬼ながらも『日替わり定食』を注文。『豚生姜焼と焼魚』 という記載であったため、何の焼魚かとスタッフに問うと、「少々お待ち下さい」との回答でした。
答えは赤魚(の西京漬け?)。淡白で上品な味わいであり、ゴハンが進みます。夜はコレをツマミに日本酒なんてのもありよりのありでしょう。
豚生姜焼。肉質はそう悪くないのですが、タレがデロンデロンに濃く繊細さが感じられない。生姜の風味に乏しく、一方で、必然性に乏しいマヨネーズが添えてあったりと、焦点が定まらない味覚です。
白米はかなり美味しい。一粒一粒がピカピカと輝いており、その偉大な食感を主張する炊き加減です。先の赤魚と食べるにピッタリのゴハンでした。
お漬物は既製品でしょうか、どこかで食べたことのある味覚であり標準的です。
味噌汁は出汁の存在感が大きく味噌はほんの一握りといったところ。好みが分かれるかもしれませんが、私の好きな味わいでした。
オマケの水菓子を食べてごちそうさまでした。

1,000円という支払い金額に見合った食事でした。ただ、料理人やサービスの印象はあまりよくないですね。食材を把握していないことについては先に述べましたが、全体を通してにこりともせず、およそ歓迎されているようには感じられない接客でした。この調子だと接待やデートでの利用は難しい。ランチで和定食を食べたくなった際での利用が吉でしょう。


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東京カレンダーの麻布十番特集に載っているお店は片っ端から行くようにしています。麻布十番ラヴァーの方は是非とも一家に一冊。Kindleだとスマホで読めるので便利です。

すい庵/藤沢

こちらのムックで大々的に取り上げられていた『すい庵』。藤沢駅徒歩4分と至便。藤沢駅周辺の住民に絶大な人気を誇る蕎麦屋です。
昼から夜まで通し営業(火曜日は15時まで)ながら、定休日は水木と強気の営業形態。それでも開店と同時にゲストが次々と訪れていたので、実力の程が伺えます。
食べログ情報によると、テーブル4席1卓、2席3卓、10席1卓、小上がり4席1卓の合計24席。この手の蕎麦屋としては空間使いが豊かに感じ、ちょっとした日本料理屋のような趣きです。私が座った席も単なる椅子ではなく畳敷きというのも風情がある。
季節限定の『牡蠣せいろ』を注文。大盛りは+300円、特盛りは+400円で、私は特盛りを注文。
特盛りであってもそれほど量は多くなく、山形で食べる蕎麦の並盛りと同等といったところです。香りを取ると、匂い立つ蕎麦の香り。これは本格派だと期待が膨らむ。まずはつゆをつけずに一口すすると、適度な歯ごたえに蕎麦の風味が大爆発。これは旨い蕎麦である。
つゆと牡蠣。ほのかに香る柚子の香りが食欲をそそります。つゆはそれ単体でそのまま高級和食店に出せるほどの品の良さであり、丸々と太った牡蠣も海の豊かさが感じられグッド。
大根おろしは辛味が強烈な個体だったので、少しづつ様子を見ながら召し上がれ。

特盛りにしたのでお会計は2,200円と、ちょっとしたごちそうになってしまいましたが、蕎麦とは元来値の張る食べ物なので、そのジャンルの中ではリーズナブルと言って良いでしょう。
胃袋に余裕があったので『鴨焼』も注文。届いて驚き、100グラムはあろうかという迫力のあるカットです。ムキムキと筋肉を感じる味の濃さに、適度な旨味と甘さを感じる脂。

他方、ネギは火の通りが甘いのか、舌先に嫌な辛味が残ってしまったのが残念。いずれにせよ、この1皿で1,350円という価格はお買い得。
当店は蕎麦屋を居酒屋使いさせることに長けているようで、魅力的なサービスメニューも並びます。
ランチの絶対額としては少し高く感じてしまいますが、旨い居酒屋という意味ではお買い得。今度は夕方に、気軽に飲みにお邪魔してみたいと思いました。


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すい庵
関連ランキング:そば(蕎麦) | 藤沢駅石上駅

オー・グルマン(Aux Gourmands)/麻布十番


麻布十番駅からは歩いて十数分。飯倉片町交差点からすぐにあるフランス料理店。オー・グルマン(Aux Gourmands)とはフランス語でフランス語で「食いしん坊」という意味であり、「明日への力を養うための料理と時間を楽しむレストラン」がコンセプトです。
ドアを開けると横崎哲シェフがにこやかにお出迎え。筋骨隆々とした体躯にスキンヘッドにヒゲという特徴的な外観。そう、彼はボクシング元ミドル級王者であり、かつては「お願い!ランキング」というテレビ番組にも出演していたので、記憶にある方もいらっしゃるでしょう。ところで五反田のヌキテパのシェフも元ボクサーだったなあ。ボクシングとフランス料理は親和性があるのかしら。
さてこれから何を食べるかというと、ラーメンなのです。公式ホームページには記載されていませんが、なんと平日ランチには1,000円前後にてラーメンを提供中。フレンチの技巧を駆使したラーメン。しかもたった千円。フランス料理ファンにもラーメンファンにも魅力的な企画。
普段はプラス100円で白米を用意し、麺を食べ終わったスープで雑炊風に食べることを推奨されているのですが、この日は運よく炊き込みご飯でのご用意。アサリと生姜風味の炊き込みご飯。プラス300円です。

生姜の量が驚くほど多く、よくできたジンジャーエールを食べているかのような味覚。旨味が強く、反発力のあるアサリもアクセントとしてグッド。全体をまとめあげる、溜まり醤油の香りも堪らない。
ラーメンのトッピングが別皿で到着。ラーメンのガルニチュール(付け合せ)というコンセプトが面白い。清澄な肉を用いた鶏ハムが文句なしに旨く、量も多い。野菜にも品の良い味付けが施されており、これ1皿で前菜として成立しています。なんならこれに白ワインで食事が完結してしまいそうです。
真打登場、茨城産蛤の潮ラーメン。スープはまさにポタージュ・クレール(フランス料理における澄んだスープ)であり、ハマグリの風味が強烈に響きます。優しい塩味に強い旨味。もちろん化学調味料など一切用いておりません。まさに完成された簡素さといった味覚であり、寒い中、鼠坂を登って来た甲斐があったと満足した瞬間、サティスファクションです。

目を引くカスタネットのように大きなハマグリも実に旨い。優しいピンク色のエロめな肉体美に、見た目の通り弾力のある食感と味覚。

ちなみにこの日は
  • 塩ラーメン ¥900-
  • 溜まり醤油の醤油ラーメン ¥900-
  • 本日のラーメン(茨城産蛤の潮ラーメン) ¥1300-
というラインナップ。この値段でフランス料理の正統的なポタージュを楽しむことができるだけでも奇跡なのに、前菜(?)や麺までついてくる。これはラーメン業界におけるコンキスタドールとなり得る1杯です。是非ともラーメン・マニアの方々に訪れて頂き、意見を伺いたいところ。オススメです。


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麻布十番にはフランス料理屋がたくさんあるのですが、残念ながら割高でハズレなお店も多い。外さない安定したお店は下記の通り。
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