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ダウン タウン ビーズ (Down Town B's)/六本木

六本木の北インド料理店「ダウン タウン ビーズ (Down Town B's)」。六本木一丁目駅から歩いて5分ほど、なだれ坂沿いに位置します。緑色の小屋というヘンテコな外観のため、すぐに見つけることができるでしょう。
店内はゲストもスタッフも皆インド人であり、異国情緒に満ちています。テーブルが3-4卓の小さなお店。その代わり(?)にテイクアウトチャネルの最大化を図っており、近隣の勤め人らしき人々がジャンジャン持ち帰りしていきます。
ランチセットには飲み物もつき、私はアイスチャイを注文。日本人向けに砂糖抜きで提供してくれるので、お茶本来の深みを楽しむことができました。
サラダはサラダというよりキャベツですね。ドレッシングの量はごくわずかであり、キャベツの味のみを純粋に楽しむことができます。青虫の気持ちがよくわかりました。
私はお店イチオシの「ビリヤニ」を注文。お好きなカレーに先のドリンクとサラダが付いて1,250円です。照明が東南アジアの野外クラブのように緑色のビカビカだったので、お料理も緑色を基調とした色合いとなっております。
ビリヤニ。スパイスの芳醇な香りとパラパラとしたお米の食感が調和しており、華やかな風味と重層的な旨味が楽しめます。ただ辛いだけでなくお米本来の甘みがベースにあるため、パンチはありながらもクセがなく、するすると食べ進められる味わいです。鶏肉もたっぷりだ。
カレーは「B'sバターチキン」をチョイス。トマトの爽やかな酸味をベースに、たっぷりの乳脂肪が用いられており、辛さは控えめ、濃厚でリッチな味わい。こちらも鶏肉は豊富なのですが、鶏肉にサっと火を通しただけのブツであり、ややパンチに欠けるのが残念。「マトンカレー」を選んだほうが面白かったかなあ。
以上のセットが1,250円。六本木のど真ん中でこの質と量のインド料理を食べてこの支払金額はリーズナブル。ちなみに根津や松戸にも支店があるようで、やや方向性を変えているようなのでそちらも試してみたい。ちなみにお手洗いは店外にあり、ちょっと躊躇するスタイルなので、他所で済ませてから訪れると良いでしょう。

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リュストル(Lustre)/六本木

六本木の路地に突如現れたカタカナ看板の「リュストル(Lustre)」。レトロな洋食屋か何かと思いきや立派なフランス料理店。店名はフランス語で「輝かしいシャンデリア」を意味するそうです。
地下に向かうとポップな外観とは大いに印象が異なる上質なインテリア(写真は食べログ公式ページより)。キッチンのライブ感を楽しめるカウンター席のほか個室の用意もあり、大きい方の個室などは下関条約でも結べそうな荘厳な空間です。

唐澤豪シェフは「モナリザ」でキャリアをスタートし、銀座の「レカン」で経験を積み、「エスキス」ならびにその姉妹店「アジル」、「ラ・クレリエール」などの名店で腕を磨いたのち、2025年に当店の料理長に就任。現在は旨味を軸に据えた「UMAMIフレンチ」を標榜しています。
ワインの値付けは高く、最も安いシャンパーニュであっても税サを含めれば2万円近い価格設定。グラスワインも3千円を超えてきます。高いは高いのですが、ソムリエは「トゥールダルジャン東京」や「アピシウス」で経験を積んでおり、安定感がありつつ当意即妙な立ち振る舞い。重要な会食は事前に彼に相談しておけば間違いなしでしょう。
アミューズが華やかであげぽよです。夏らしくスイカをあしらったタルトや山形のだしを活かした和洋折衷の試み、揚げたてのクロケットの直線的な美味しさ。この店は本物だ。もうこの時点で今夜の勝利を確信しました。
トウモロコシの冷製スープ。朝に収穫されたばかりの瑞々しく濃厚なトウモロコシの甘みを最大限に活かしており、その上で柑橘の爽やかな香りと清々しい酸味を重ねており、実に夏らしいひと皿です。
絵のようなお皿はズワイガニとアボカド。ハーブやレモンが上品に香るズワイガニの身を、薄くスライスしたクリーミーなアボカドで筒状に美しく巻き上げており、カニの旨味とアボカドのまろやかな脂分が上手く溶け合っています。芳醇で複雑な塩気と磯の香りを放つキャビアもシャンパーニュに良く合う。色とりどりのソースは可愛いだけでなくキッチリと美味しいのが素晴らしい。
この日のパンは2種の用意であり、素朴ではあるものの滋味あふれる味わい。どちらも主役の料理たちにそっと寄り添い、ソースの最後の一滴まで美味しく拭って食べさせる名脇役です。
エゾアワビはベニエに。いわゆるフランス風の天ぷらであり、サクッとした軽快な衣に歯を通すと中からアワビ特有の豊かな磯の香りと柔らかくも心地よい弾力のある食感が溢れ出します。敷かれたカブは繊細な甘みとやわらかさを持ち、アワビの力強い旨味を受け止める存在として機能しています。
マナガツオ。脂のりが良く、きめ細かくしっとりとした身質が特長的。そこへソースブールブランを┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨と注ぎ込み、これがフランス料理だと言わんばかりの味わいです。淡路島の良質な素材とフランス古典技法の模範的な組み合わせです。
メインはプロヴァンス地方のシストロン産の仔羊。肉質はきめ細かく独特の芳香と気品のある味わいに言葉を失い、そこにあるのは感動だけ。付け合わせまで抜かりなく旨く、仔羊料理のひとつの完成形と言えるでしょう。
デザートに入ります。まずはルバーブとアイスクリーム。穏やかな酸味とリッチな乳脂肪を対比しながら楽しむ仕立てであり、メインのデザートへの橋渡しにしてはクオリティの高すぎる逸品です。
メインのデザートは台湾パイナップルを軸にしており、その濃厚な甘みと果汁がギュンギュンに凝縮しています。添えられたココナッツムースも南方的なフレーバーを上手く演出しており、カルダモンの複雑なキレが加わることによって、何ともアダルトな味わいです。
お茶菓子も凝りに凝っており、え、さっきからなんかこのパティシエールすごくない?それほど大きくも無いハコでこのクラスのパティシエを置くとは、ある種の哲学を感じました。
以上のコース料理が2.2万円で、ワインとサービス料を加えて4万円強。現代的なセンスを感じさせつつクラシカルな骨格はキッチリと維持した王道主人公的フランス料理でした。こうした真っ当なレストランが港区のど真ん中で、現実的な価格設定に留まっていてくれて私は嬉しい。生まれてきてくれてありがとう。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

BIANCHI mini me(ビアんちミニミー)/六本木

超高級タイ料理店「美会(ビア)」のセカンドライン「BIANCHI(ビアんち)」が「BIANCHI mini me(ビアんちミニミー)」と看板を掛け替えランチタイム営業を再開。六本木ヒルズの向かい、六本木通りから路地を少し北側に入ったところに位置するスタイリッシュなビルの2階に入居しています。
店内は思いのほか広く、カウンターが十数席にテーブルも沢山あって、トータルでは40席ほどでしょうか。パークハイアット東京の日本料理店「梢」で8年間腕を磨いたシェフが和食のニュアンスを響かせながらモダンなタイ料理に取り組んでいるようです。
私はタイ風焼きそばの「パッタイ」を注文。1,600円で無料の麺増しをお願いし、追加の500円でパクチーサラダも付けてもらいました。
パクチーサラダが良いですねえ。他の野菜でかさ増しをせずパクチー100%でドカンと盛るのが潔い。パクチーの美味しさは当然として、ちょいピリ辛な調味も食欲を刺激する美味しさ。ビールが飲みたくなってきます。
このパッタイも凄いですねえ。値段がバリ高いのはその通りなのですが、それ以上に具材がゴージャスで味そのものも素晴らしい。もちもちの米粉麺に加え、通常のプリプリな海老だけでなく、サクラエビの芳醇な香ばしさが重なり、海鮮の旨味が何倍にも膨らみます。
また、隠し味に忍ばせているのは秋田の伝統食「いぶりがっこ」でしょうか。噛むたびに広がるスモーキーな燻製の薫りと、ポリポリとした小気味よい食感が、甘みと酸味の輪郭をグッと引き締める見事なアクセントになっています。添えられたレモンを絞って爽やかな酸味を加えたり、砕いたピーナッツの香ばしさや唐辛子のピリッとした辛みを混ぜ合わせることで、最後の一口まで複層的な味のグラデーションを楽しむことができました。
スープは鶏の出汁かなあ。クリアな風貌ながらジンワリとした旨味とコクがあり、和食のお吸い物にも通ずるような繊細さも感じられます。次回はこちらと合わせて「カオマンガイ」を注文しようと心に決めた瞬間です。
デザートも付きます。ネットリとしたプリンのような代物で、本体とソースに分かれており、底からすくってまったり濃厚な味わいです。
私は一般的な日本人に比べると頻繁にタイに出入りしているほうなので、パッタイが1,600円というのはアメリカでラーメンが3千円みたいな感覚があるのですが、なるほど価格に見合ったハイレベルなパッタイでした。他のランチメニューも気になるところだし、夜に飲みに来るのも楽しそう。また、いずれは「美会(ビア)」にもお邪魔したいところです。

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ラ クルール デテ(La couleur d'ete)/乃木坂

私の推しで、定期的に通っているフランス料理店「ラ クルール デテ(La couleur d'ete)」。閑静な住宅街の一画にある落ち着いたお店ですが、乃木坂駅の3番出口から歩いて2-3分で、六本木駅からも徒歩圏内です。
店内はシェフズテーブル(カウンター)席とテーブル席を合わせてわずか6席ほど(写真は食べログ公式ページより)。ワンオペ運営でゲスト数を絞っているため、とても親密な雰囲気。ちょっとした会食にも大活躍です。
今夜もワインはシェフに全てお任せ。当店のペアリングはシェフ自ら、自分の料理との整合性を取りながら組み合わせを考えてくれるので間違いがありません。やはりフランス料理とはワインと一体的に考えるべき食事なのだ。
2色のニンジンを用いたひと品。ニンジンの持つ素朴で力強い甘みを、多層的なアプローチで引き出しています。エビからはガーリックの芳ばしい香りが感じられ、その刺激が食欲を力強く加速させます。
初夏の訪れを告げる初ガツオ。脂が乗り始める前のカツオ特有の澄んだ赤身の旨みに焼き茄子から立ち上る香ばしいかおりが良く合う。ウドのシャキシャキとした瑞々しい食感と、春野菜特有のほのかな苦味が、全体を鮮やかに引き締めます。
極太のホワイトアスパラを生ハムでぴっちりと巻き、パイ生地で包み焼き(アンクルート)にすることで、アスパラの瑞々しい水分と甘みを内側にぎゅっと凝縮させています。ハマグリとその出汁と共に口に含むことにより、明石焼きのようなニュアンスとなるのも面白い。
シロアマダイ。立っている鱗のテクスチャーが特長的で、口に運んだ瞬間に小気味よい音を立てて砕け、芳ばしさが一気に広がります。一方で、その下にある身は驚くほどしっとりと、甘美なまでに柔らか。この対比が堪りません。ソースにはシェリー特有の芳醇な酸味とナッツのような深みをきかせ、アマダイの上品な脂をキリリと引き締めます。
メインの前のお口直し。定番の氷菓なのですが、クルっと球体になってて食べ易い。ありそうでない工夫です。
手榴弾のように巨大なアワビ。黒アワビの力強い弾力と磯の香り、そしてエゾアワビの繊細な旨味。2種の個性をひと皿で堪能できる贅沢な構成です。魂ともいえるのは、アワビの肝を惜しみなく使用したセメント色のソース。裏には焼きリゾットも隠れており、ソースと合わせて食べて日本人の琴線に触れる味わい。旨い。旨すぎる。アワビ料理として完凸した完成度です。
デザートはガトーフロマージュにメレンゲ、トンカ豆のアイスを重ねたもの。濃厚でコクのあるガトーフロマージュに対し、空気を含んだ軽やかなメレンゲが対照的なリズムを生み出します。味の決め手となるのはバニラや杏仁を思わせるエキゾチックで魅惑的な香りを放つトンカ豆のアイスクリーム。この独特の甘い香りがチーズの酸味とメレンゲの甘味を優雅に橋渡しし、全体を幻想的な余韻へと導きます。求肥っぽいレイヤーもあり、さしずめフランス風チーズ最強アイス大福といったところでしょうか。
今夜も素晴らしかった。これだけレベルの高い食材と調理技術を楽しんで、コース料理が1.5万円というのは港区の奇跡としか言いようがありません。前回は「次回は秋冬にお邪魔して、ジビエ主体に濃厚なソースをたっぷりと楽しみたいと思います」と記しておきながら、結局その季節を逃してしまったので、今年こそは必ずAWに。

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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。