魚屋きいもん/恵比寿

恵比寿駅から歩いて7-8分ほど、あいおいのビルの裏手の路地にある「魚屋きいもん」。富山出身の店主が繰り広げる海鮮居酒屋で、磯丸水産的な賑やかさを感じさせるファサードです。
お店は2階建てで、1階に厨房とカウンター席にテーブル席、2階にも珍しくカウンター席があり、懐かしの「長谷川稔」のような誂えです。飲食物用のエレベーターを駆使してはいるのですがパっとしない運用であり、スタッフの気もききません。
アルコールは生ビール660円と一見良心的に見えるのですがジョッキは全く小さく飲み応えがありません。加えて欠品が多く、瓶ビールが売り切れとは居酒屋として一体どういった了見なのでしょう。
料理もジョッキと同様に小さく、例えばこの「わさび菜おひたし」は790円でこのサイズ感で悪いムードが一層募る。きょうびチェーンの居酒屋の500円のお通しでも、もうちょっとマシな小鉢を出すような気がします。
刺盛り2人前は悪くないボリュームで、いずれも結構美味しい。なるほど当店ではコンセプトの通りにお魚一直線で楽しんだほうが良さそうです。
当店の名物はお魚の串焼き。牡蠣・銀むつ・イワシといずれもふくよかな味わいであり、身がしまっています。
他方、「なすとしらすのアヒージョ」は塩気ばかりが強く素材の風味が活かしていません。パンもコンビニの食パンを網で焼いた程度の味覚であり、これで990円は高杉で公民権を停止してやりたいくらいです。
気を取り直して「あんこう肝みそ煮込み」。なるほどコチラにはあんこうの身と肝がたっぷりと溶け込んでおり、それに負けないくらいの味噌もぶち込まれており暴力的な味わいです。
アジのフライ。身はふっくらと厚く素材の良さがビンビンに伝わってきます。やはり当店は魚の店であり、我々もようやく使い勝手がわかってき始めエンジョイ勢へと育ちつつあります。
節分が近かったので恵方巻も注文。節分の恵方巻は妖怪ウォッチのブームのように終わりを告げつつありますが、目の前にあればつい注文してしまいます。具材はタイ・エビ・カニ・ネギトロ・玉子・サーモン・カンピョウとちょっぴりけばけばしく感じました。
以上を食べ、軽く飲んでお会計はひとりあたり8千円強といったところ。魚そのものは悪くないのですが、その他の飲食物の存在感が郵便ポストのようであり総合的な印象はあまり良くありません。メニューがどうにもTMIで頭に入ってこないのも作戦のうちなのかもしれません。お疲れさまでした。

食べログ グルメブログランキング

関連ランキング:居酒屋 | 恵比寿駅広尾駅


関連記事
恵比寿も十番に負けず劣らず良い街ですよね。1度住んで、片っ端から食べ歩いてみたいなあ。よそ者ながら印象に残ったお店は下記の通り。
恵比寿を中心に話題店が整理されています。Kindle Unlimitedだと無料で読める。それにしては圧倒的な情報量。スマホやタブレットに忍ばせておくと出先で役立ちます。

まちノ食堂/日吉(横浜市)

日吉駅から徒歩3分、中央通りから少し脇に入ったところにある「まちノ食堂」。ランチタイムはその名の通り食堂で、かなりの待ち時間が生じるほどの人気店。ディナータイムは創作系のツマミが多い居酒屋として営業しています。
行列を避けて開店と同時にお邪魔しました。それでも正午が近づくにつれてすっかり満席となり、人気のほどが伺えます。ご近所の方なのか、お子様連れの家族客が多く見受けられました。
私は「とろとろ牛スジ定食」を注文。1,100円です。小さな丸盆にギュウギュウ詰めでやってくるので迫力があります。
主題の牛スジ。おお、この煮込みはかなり私のタイプです。かなり甘く、またしょっぱく味付けてあり、ジャンキーな味覚です。これは酒が欲しくなる。スジ肉のゼラチン部分が程よく溶け込みネットリとした口当たり。薬味もタップリでベリーナイスです。
400円で追加したハーフサイズのチキン南蛮。こちらも調味の思いきりが良く、甘酢だれの心地よい酸味に卵たっぷりマヨたっぷりなタルタルソースのどっしりとした味覚。ゆうべのチキン南蛮がイマイチ乗らなかっただけに捲土重来を果たしました。
小鉢として肉団子も付きます。こちらは先の煮込みやチキン南蛮と違って優しい調味であり、肉の挽き方も細かく滑らかな口当たりです。
玉子半分にお漬物なども付いて来ます。玉子はメニューの写真だとラーメン屋の味玉のようで美味しそうなのですが、実態は単なるゆで卵に近い物質であり、ちょっと下がりました。
ご飯は大盛り無料ですが私は大人なので普通盛りで。だがしかし、先の煮込みやチキン南蛮など味の濃い料理が続いたため、やっぱり大盛りにすれば良かったと少し後悔。少しだけね。
味噌汁は大根たっぷりなのですが、他の料理に比べると穏やかな調味であり印象に残りませんでした。
定食が1,100円に追加のチキン南蛮ハーフが400円で合計1,500円。日吉の定食屋としては少し高めの価格設定ですが、その価値は充分にあり、全メニューを制覇したい魅力があります。

料理の味が濃く酒を呼ぶので、次回は夜に飲みに来たいな。飲み放題が付いて4-5千円程度だそうなので、良く飲む仲間と共にお邪魔したいと思います。

食べログ グルメブログランキング

関連ランキング:居酒屋 | 日吉駅


人気の記事
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

東京最高のレストラン2024
価格:2,420円(税込、送料無料) (2024/1/6時点)


「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

ゴーディーズ オールド ハウス (GORDIES OLD HOUSE)/(沖縄)

砂辺(すなべ)の大人気ハンバーガー専門店「GORDIES(ゴーディーズ)」の2号店「ゴーディーズ オールド ハウス (GORDIES OLD HOUSE)」。国道58号線沿いにあり北部に向かう際に立ち寄るのに丁度良いのですが、駐車場の取り回しが倉庫番のパズルのように最悪なので覚悟して訪れましょう。食事中に車の移動をお願いされるのは食事が冷めてしまうので本当に勘弁して欲しい。
砂辺の本店に比べると広々としており、テーブル席が沢山にカウンターがいくつか。内装は古き良きアメリカンなグッズに満ちており無骨な印象です。嘉手納基地のすぐ近くであるため米軍関係者も多く、彼(女)らはハンバーガーだけでなく「スペシャルプレート」なるアメリカンダイナー系(?)の料理も注文していました。通である。
まずはアペタイザーのチキンナゲットがやって来ました。チェーン店特有の何の肉だかわからないものを寄せ集めて成型したものとは一線を画し、明確に鶏肉であり鶏肉そのものの味わいを楽しむことができる逸品です。私はチキンナゲットという料理に詳しくはありませんが、それでもこのレベルの高さはハッキリと感じられました。
こちらは「ダブルベーコンチーズバーガー」で、追加料金でフライドポテトを「プーティーン」に変更して頂きました。
「ダブルベーコンチーズバーガー」からは炭火の香りがプンプンと漂っており食欲が刺激されます。パティはゴリゴリの粗挽きで歯ごたえがあり、ハンバーガーというよりもステーキを食べている感覚に近い。カリっとしたベーコンの食感に強い塩気と旨味、全体を取りまとめるチーズ。素晴らしい完成度のバーガーです。
「プーティーン」とは悪の枢軸の支配者の名のことではなく、フライドポテトにグレイビーソースとチーズを塗したカナダ料理。これはまあ、いま皆さんが想像している通りの味わいであり、追加料金で変更してもらうほどでは無かったかもしれません。
ハンバーガーだけでなくサンドウィッチも絶品。こちらは「クラシック オールドハウス サンドウィッチ」であり、ハンバーガーのパティをサンドウィッチに仕上げたものですが、サクサクとしたトーストの歯ざわりとゴリゴリの肉が調和し、ややもするとハンバーガーよりも美味しく感じたかもしれません。ハンバーガーに比べて圧倒的に食べ易いのも良いですね。
フライドポテトはオーソドックスなものであり、ジャガイモのホクホク感がダイレクトに伝わって来ます。冒頭のチキンナゲットについてきたバーベキューソースにディップしても大変美味しい。
どっちゃくそ旨かった。むかし砂辺の本店で食べた時よりも美味しく感じることができ、「昔の思い出は美化される」だなんて嘘っぱちなのでしょう。久茂地「LITOR(リッター)」のような変化球系も楽しいですが、やはり当店のような直球なハンバーガーも犯し難い魅力がある。北部へお出かけする際のランチに、または北部からの帰りのディナーに是非どうぞ。

食べログ グルメブログランキング

関連ランキング:ハンバーガー | 嘉手納町


関連記事
寒い季節は沖縄で暮らしているので、旅行やゴルフだけで沖縄に来る人よりかは一歩踏み込んでいるつもりです。沖縄の人ってネットに書き込みしないから、内地の人が知らない名店が結構多いです。
沖縄通を気取るなら必ず読んでおくべき、大迫力の一冊。米軍統治時代は決して歴史のお話ではなく、今の今まで地続きで繋がっていることが良くます。米軍の倉庫からかっぱらいを続ける悪ガキたちが警官になり、教師になり、ヤクザになり、そしてテロリストへ。沖縄戦後史の重要な事件を織り交ぜながら展開する圧巻のストーリー構成。オススメです。

アラビアレストラン ゼノビア(Arabian Restaurant Zenobia)/広尾

広尾の商店街の奥の地下に位置する「アラビアレストラン ゼノビア(Arabian Restaurant Zenobia)」。シリアを中心としたアラビア料理店です。麻布十番「ゼノビアカフェ(Zenobia Cafe)」の系列で、⾁類は全てハラルを使⽤しており、豚⾁・豚製品は⼀切使っていないとのこと。
店内は従業員もゲストも皆、外国人であり、異国情緒溢れるというか異国です。あちらのテーブルではアラビア語、お隣はフランス語、基本的なやりとりは英語と、各国の大使館が集まる広尾ならではの光景です。スタッフの誰かのお子さんが店内を走り回り、下膳やテーブル拭きを手伝ったりと心和みます。
シリアはイスラム圏なのでお酒はNGなのかなと思いきや、普通に置いてありました。こちらは隣国レバノンのビールであり、軽めのピルスナーでスイスイ飲めます。その他ワインなども用意されており、いずれも良心的な価格設定です。
2,900円の「ケバブコース」を注文。まずはサラダで独特の酸味が感じられクセになる美味しさです。ザクロのツブツブ感も心地よい。
これは何のスープだろう。豆っぽい穀物のザラつきが感じられモッタリと思いのですが、不思議と酸味も感じられます。スパイシーというわけではないのですがフラリと香る異国の風味が乙な味。
「ナン」と呼称していましたが、いわゆるインド風のバターがリッチなナンとは異なり、サッパリと軽い口当たりです。どこかで「ジャバティ」という表記を見かけたのですが、もしかするとインドの「チャパティ」と語源は同じなのかもしれません。
こちらは私も知っています。フムスです。いわゆるヒヨコ豆のペーストですが、ゴマやナッツの風味も感じられ実に濃厚。ヘルシーなピーナッツバターのような味覚で美味しい。
メインはシシカバブ。マトンの挽肉のハンバーグといった方向性であり、スパイスやハーブがふんだんに練り込まれており食欲をそそります。備え付けのゴハンは日本のお米と違って長細くパラッパラで、先日お邪魔したご近所の「イラン レストラン アラジン(Persian Restaurant Aladdin)」のそれと同じニュアンスを感じました。
以上を食べ、軽く飲んでお会計はひとりあたり4千円前後といったところ。ちょっと普通じゃない環境の中で興味深い食事を摂り、しかも結構美味しくて、この支払金額は実にお値打ち。それほど香辛料を使わず素材の持ち味を生かす芸風であり、思いのほか日本人の口に合う気がしました。韓国料理や辛い中国料理よりも余程距離が近い。

次回は大勢で訪れて、アラカルトでもっと色んな種類を試してみたいと思います。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
広尾は初デートに良い街です。謎にハイセンスな雰囲気と下町的な親しみやすさが同居する。飲食店も都内トップクラスの名店が比較的リーズナブルな価格設定に落ち着いています。
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

東京最高のレストラン2024
価格:2,420円(税込、送料無料) (2024/1/13時点)

「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

島キュイジーヌ あーすん/金城(那覇)

小禄駅から歩いて5分ほどの場所にある「島キュイジーヌ あーすん」。ゴエミヨに掲載された話題のフランス料理店です。イオン那覇近くの住宅街にあって、バブル期に建てられた個人の大邸宅を改装したそうです。
玄関で靴を脱ぎ、使い捨てのスリッパに履き替えてダイニングへと向かいます。このあたりの動線は完全に個人の家であり、奇妙な居心地の良さを感じます。全体として内装は明るくグリーンも映えるので、ランチタイムにお邪魔するのも良さそうです。

小林拓真シェフは東京のイタリアンや日本料理店で経験を積み、オーストラリアでも腕を振るっていたようです。帰国後は「星のや竹富島」の厨房を預かったのち、当店の料理長に就きました。
ディナーは8,800円で、ドリンクのペアリングを付けても13,000円と大変お値打ち。ソムリエは料理に合わせた面白いワインを発掘しており、やはりワインは値段だけで語れない部分が大いにあります。
アミューズは揚げたての小さなコロッケ。あちこーこーなベシャメルソースが詰まっており、中には島ダコが組み込まれています。島ダコのグニグニとした食感が食欲を刺激します。
久米島産の車海老は半生状態で。月桃で軽く包んで香りを移しつつ、エビの甘味を楽しみます。
チラ汁。「チラ」とは豚肉の顔を指し(チラガーのチラね)、たっぷりのキャベツと共に頂きます。豚肉のコクにキャベツの甘味が溶け合い、優しい優しいひと品です。
県産の旬野菜の盛り合わせ。このひと皿で20近い食材が組み込まれており、いずれの野菜も力強い味覚。ペースト状のものも含めてオシャレな味覚であり、当店の象徴的な料理と言えるでしょう。
今帰仁アグーのハンバーグ。ミッチリと密度の高い肉な味に舌鼓。トッピングのゴボウの土っぽさも合っていて、このひと品を300グラムぐらい大量に食べたい衝動に駆られます。
優しく火を入れたサワラ。かなり分厚いカットで肉のような食べ応えがあります。エビのお出汁を用いたスープやイナムルチー(沖縄の白味噌)を用いたペーストなどの工夫もあり、記憶に残る魚料理です。
メインディッシュは今帰仁アグー。バリっと実直に焼き上げたものであり、赤身の逞しさと脂の繊細な甘さを同時に楽しみます。付け合わは「タカアンダー」という在来品種の大豆だそうで、レンズ豆のような口当たりがフランス料理的で面白い。
デザートにはやんばる産のみかんを用います。ジューシーな果肉が印象的で、上品な仕上がりのソルベと共にエレガントなひと品です。
お茶菓子はちんすこうと心憎い演出。ハーブティーと共に楽しみごちそうさまでした。以上のコース料理が8,800円で、ワインのペアリングも付けてひとりあたり1.3万円と大変にお値打ち。「Maison de Fujii(メゾン ド フジイ)」に勝るとも劣らない費用対効果です。
ちなみに奥には和室もあって、個室として利用することも可能だそう。那覇空港からも近いので、旅行者の到着直後や出発前の利用にも便利。沖縄の食材をたっぷり楽しみましょう。オススメです。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
寒い季節は沖縄で暮らしているので、旅行やゴルフだけで沖縄に来る人よりかは一歩踏み込んでいるつもりです。沖縄の人ってネットに書き込みしないから、内地の人が知らない名店が結構多いです。
沖縄通を気取るなら必ず読んでおくべき、大迫力の一冊。米軍統治時代は決して歴史のお話ではなく、今の今まで地続きで繋がっていることが良くます。米軍の倉庫からかっぱらいを続ける悪ガキたちが警官になり、教師になり、ヤクザになり、そしてテロリストへ。沖縄戦後史の重要な事件を織り交ぜながら展開する圧巻のストーリー構成。オススメです。