行きもしないのに万博の悪口を言っている連中は、文化祭でも非協力的なチー牛だった。

「2025年日本国際博覧会」に2日連続でお邪魔しました。結論から述べると大変すばらしい博覧会であり、次回はいつ行こうかなと既に計画しているレベルです。仮に私が関西在住であれば、100%通期パスを買っていることでしょう(写真は公式ウェブサイトより)。
予約システムの不便さについては折に触れて聞いていたので、恐る恐るパソコンから購入を試みるのですが、何のトラブルも無くチケットを押さえることができ、拍子抜けしました。もちろん超使い易いというわけではありませんが、まあ、こんなもんじゃない?という感想です。「ローチケ」と大差ない使用性であり、「えきねっと」よりは全然マシです。
「ID登録時に指紋やSNSのパスワードまで入力しなければならない」みたいな騒ぎもありましたが、実際のところそんな処理は全く無く、何なら偽名と捨てアカでも購入できるんじゃないかと思えるほどです。あの騒動は何だったんだろう。
アプリの乱立と使い勝手の悪さも度々指摘されていますが、私はアプリをただのひとつもインストールせずに臨みました。そもそも入場の2、3日前に「お、今週末予定何も無くね?」と思い立って決意した訪阪なので、パビリオンやイベントの予約などハナから期待しておらず、装備は印刷した公式マップのみ。「空いているパビリオンに行き当たりばったりで凸する」という姿勢なので、要するに無敵です。
初日は16時に入場。夜間券で16時から入場できる「トワイライトキャンペーン」が始まっており、3,700円で6時間も滞在することができます。この時間からの入場だと手荷物検査もスムーズで、これからの暑い季節に活用したいところです。
なお、各通信会社の臨時の基地局が配備されているためか、通信が悪いと感じた瞬間は一度もありません。東京の昼時のほうがよっぽど電波悪いです。
当博覧会の象徴である「大屋根リング」は見事としか言いようがありません。世界の名建築、例えばサグラダ・ファミリアやタージ・マハル、オペラハウス、エッフェル塔に比肩する存在感であり、会期終了後も解体せず永久保存するよう署名活動したいくらいです。リング上から臨む景色も圧巻で、2日間で3周も散歩しました。また、日差しや雨を防ぐことができるのはもちろんのこと、柱に番号が順にふってあって、「リングの〇番あたり」と直感的に位置を特定できるの機能性も地味に良い。
パビリオンに入らず、適当にダラダラ歩いているだけでも結構楽しいです。道端で様々なイベントがゲリラ的に開催されるし、ミャクミャクを模した滑り台やら何やらの子供向け広場もあり、小難しい知識など無くとも直感的に楽しむことのできる仕掛けが多い。写真はドライアイスのモクモクがブワーっと地面から出て来る場所で、もうこれだけで子供たちは大盛り上がり。大人もジャニーズ気分を味わうことができ、皆、笑顔です。
「適当にダラダラ歩いているだけでも結構楽しい」理由のひとつとして、建築物の壮観さが挙げられるでしょう。世界的な巨匠から新進気鋭の若手建築家まで、多様な才能が集結する建築の祭典という側面もあり、各国の文化や技術、持続可能性へのビジョンが具現化されています。私は万博というものにお邪魔するのは初めてなのですが、連れは「愛・地球博」への参加経験があり、「建築物のレベルが格段に上がっている」と評していました。
「建設に数億円を要した」「すぐに詰まって使用不能」「デザインばかりで実用的でない」など、トイレに関するいくつかの問題が盛んに報じられていましたが、普通のトイレも山ほどあります。普通に用を足したいのであれば普通のトイレを使えば良いだけです。少なくとも我々(女性含む)はトイレの使用につき1秒も待ったことがありません。
「飲み物の持ち込み制限による熱中症の恐れ」についての報道も多かったと記憶していますが、そのへんにいくらでも自販機やコンビニがあり、値付けも街中のそれと変わりません。何ならドラッグストア的な店舗では市価よりも安く販売されています。どうしてあんな危険地帯みたいな言われ方をされているのかがよくわからない。なお、無料の給水スポットもいくつかありますが、謎に行列しているので、普通に自販機で買ったほうが効率的でしょう。
先に「アプリをただのひとつもインストールせずに臨みました」と記しましたが、Chromeなどのブラウザで開く普通のウェブサイトで事足りました。入場後はひと昔前のディズニーのファストパスのようにチョイチョイ予約できるし、予約が必要なパビリオンであっても空いていればスっと入れてくれたりするので、事前の綿密な計画など無意味です。また、予約が必要なパビリオンだから質が良いかというと、必ずしもそうではないのが面白いところです。
ところで、「並ばない万博」を標榜していましたが、これは全然ウソですね。普通に全然並びます。金曜日の16時入場時は確かに並ぶことはありませんでしたが、土曜日の9時入場時は予約があるにも関わらず、手荷物検査で30分ほど行列しました。一方で、2日間お邪魔して最も長く待ったのがこの30分なので、単発の大規模イベントでこの程度で済むのであれば、オペレーションとしてはとても良く練られていると思います。
なお、アメリカ館やフランス館など予約不可で2時間待ちは当たり前のパビリオンもいくつかありますが、特定のパビリオンに数時間拘束されると折角のセレンディピティの機会を無駄にすることになり、それは万博の趣旨とも違うんじゃないか、というのが私の意見です。
残念ながら、コモンズ館はいずれもパッとしません。単独でパビリオンを建設する資金や規模を持たない国や地域が共同で展示を行うための施設であり、だからこそ、そういった国の方々と意見交換したいと意気込んでいたのですが、「とりあえず出展はしましたからね」とパネルだけ残し、あとは日本人のバイトに任せている国が結構多く、これはかなり印象が悪い。
いずれ私が超偉い人になり、他国の万博への参加を議論する際には「やるならやるで全力でやれ。乗り気じゃないなら出展するな」と主張することに決めました。
食事は流石に割高で、大して美味しくないですね。慣れない仕入先から得た材料を慣れないキッチンでスピーディーに提供する必要があるのだから、当たり前と言えば当たり前です。
また、危険地帯であるがゆえ訪問が叶わない国の料理を楽しもうと私は張り切っていたのですが、自国の料理をきちんと提供できる厨房を兼ね備えたパビリオンは非常に限られており、結果として日本人にとって馴染みの深い大国の料理が殆どでした。それならそのへんの街にいくらでもあるやんけ、というお気持ちです。
印象的だったのは、「お!山田さん来た来た、こっちこっち!」という具合に、普通に飲み会の場として万博を活用していた地元の年配の方々。豊かな老後である。このように、通期パスを持ち何度も何度も訪れる万博の達人みたいな方々の食事の楽しみ方は例外で、普通に1-2日だけ訪れるアマチュアはパビリオン巡りで忙しく、ゆっくりと食事を楽しむ時間など無いものだと覚悟しておきましょう。
営業時間は9-22時とされていますが、各パビリオンやレストランの営業時間はそれぞれが勝手に決めているようで、20時を過ぎると片付けモードに入り、見どころが殆ど無くなってしまうので気を付けましょう。私は金曜日・土曜日とも22時まで居るつもりでいたのですが、けっきょく両日とも21時前にはゲートを出ていました。
いずれにせよ、最高に楽しい2日間でした。下手な海外旅行よりも余程楽しい。実際、私はオーストラリアのパースから帰ってきた3日後に万博を訪れているのですが、パースで過ごした1週間よりも万博の2日間のほうが断然楽しかったです。これを半年で終わらせるのは勿体ないなあ、せめて3年ぐらい続けて欲しいなあ。
ところで、行きもしないのに万博の悪口を言っている連中には気を付けたほうが良いですよ。もし貴方の周りにそういう輩がいれば、きちんと記憶しておきましょう。いますよね、人が楽しそうにしているとケチをつけるタイプ。いましたよね、文化祭に非協力的で舞台脇から石を投げて来る奴ら。ひとたびトラブルが生じれば鬼の首を取ったかのようにネガティブキャンペーンを展開する粗探しの人生。そういった奴らは、将来あなたが何か新しいチャレンジをする際に、必ず足を引っ張る抵抗勢力となるので要注意です。本当です。

各種メディアからの情報やネット上の書き込みは一旦全て忘れてしまい、実際に訪れ、自ら体験してから万博の価値を判断することをお勧めします。行かない理由を熱弁する時間があるなら、とりあえず行ってみましょう。私は万博の関係者でも何でもありませんが、絶対に後悔させない自信がある。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。