Ab・de・F(エビデフ)/北品川

2019年7月にオープンしたエビフライ専門店。テレビで取り上げられて火が着いたようで、一度ウォークインでフラました。今回はきちんと予約を入れての訪問です。
思いのほか広い店内。カウンターが10席ほどにテーブル席と個室もあります。運営は「福原コーポレーション」といって、資生堂の誰かに関連したお店だそうな。
注文して数分で着丼。刮目せよ。このエビフライ定食は4,125円である。
正式名称は「ビッグリトルジョンセット」であり、世界最大級の天然皇帝海老(リトルジョン)を特注のパン粉で仕上げたもの。確かに美味しいのですが、4,125円であればそりゃそうだよね、という印象。狩野モデルで言うところの当たり前品質です。
目方は300グラムと記載れていたのですが、可食部については100グラムも無いような気がします。頭の部分については一旦キッチンに預け食べやすいように割ってくれました。レモン→自家製タルタルソース→エビフライ専用特製ソースの順で味変していくのですが、タルタルソースが一番好き。
ゴハンはとても美味しいです。一般的な定食屋のクオリティを凌駕し、きちんとした和食店で食べるそれのような味わいでした。
お漬物や
味噌汁も同様に美味。なのですが、この定食は4,125円なのだ。この定食は4,125円なのだ。
美味しいけど高いなあという印象しか持てませんでした。これならエビフライを含んだフルコースを「レストラン吾妻」で食べたい。もちろんこれは当店のせいではなく、デカいエビはそもそも高い食べ物だから、仕方のないことなのかもしれません。ライスなどベースとなる食事のレベルは高かったので、そういう意味では「特選エビフライセット」の税別1,180円、「有カツセット(豚ロース)150g」の税別1,500円などはリーズナブルでしょう。まずはランチの安いプランでどうぞ。


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品川は心からグルメ不毛の地ですね。気取った店はことごとく割高です。エスニック料理屋は割に納得感がある。

「ハイパーローカルなシティカルチャーガイド」を標榜するオシャレな本。今号のターゲットは品川です。とにかく地元に密着した情報が満載で、グルメコーナーは一見の価値あり。別冊の天王洲アイル特集など、色々と目のつけどころが面白い本です。

ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパ(La Boucherie du Buppa)/中目黒

中目黒から祐天寺方面へ。レトロな商店街のどんつきにあるジビエならびに熟成肉の専門店。もともとは「トロワピエロ」というフランス料理店だったのですが、「ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパ」と名前を改めて再出発。
コンセプトが「フランスの肉屋が営むブラッセリー」なだけあって、映画「ロッキー」のトレーニングシーンを思い出しそうな肉のぶら下がり方です(写真は公式ウェブサイトより)。ジビエの仕入れには一家言あり、狩猟時期や処理方法・年齢や性別に至るまで細かなオーダーをしているそうな。
ところで我々は一休経由で予約を入れ、「選べる乾杯ドリンク1杯」としてシャンパンが選択肢にあったのですが、案内されたのは何でもないスパークリングワインでした。こういうのはいずれバレるのでやめたほうが良いと思います。
アミューズにアシ パルマンティエ。まさに焼きたてのグツグツスタイルであり、単刀直入に美味。チーズの下にはジャガイモと鹿肉であり、その肉の旨味に鹿肉がありアミューズとは思えないほどの存在感があります。ちなみに「パルマンティエ」とはフランスの薬剤師・農学者・栄養学者であり、フランスにジャガイモを食用とする事を広めた人物ですこれ豆な。
前菜にシャルキュトリ盛り合わせ。豚肉が数種に鴨、牛のリエットなど。いずれも凝縮感があり肉々しさがあって旨い。付け合わせの根セロリやプチトマトなどもセンスを感じさせる調味です。
「志賀高原ビール」を手掛ける玉村本店の新ブランド「山伏」がありました。ヒューガルデン的フルーティーな味わいであり、酵母を感じる華やかな香りが印象的。なかなか流通していない酒であり、これを目当てに当店を訪れる方も多いとか。
バーニャカウダ。新鮮な野菜がたっぷり出され嬉しくなります。自分では中々買わないカラフルな根菜が混載されており、こういった食材を食べることができるのはレストランの醍醐味である。

なのですが、ここから次の料理まで謎に30分以上待たされ退屈しました。ネット上の口コミでも「料理を出すテンポが悪い」とのコメントが散見されるので、ズッ友のような関係で訪れないと会話が持たないことでしょう。
牛肉のタルタル。表面にはバリっと火を通しています。ソース(?)の酸味が思いのほか強烈で珍しいタイプの調味です。量はあまり多くなく、散々待たされた挙句になんだかなあという印象。
「山伏」が旨いのでもう1本。ちなみに限定品の木樽で寝かせたタイプのものは1本5千円超と凄味のある価格設定です。
メインはキジとカモ。やはりかなり待たされたので嬌声も中くらい。上手く熟成されているためか、野生肉とは思えないほど上品な味わいであり臭味など一切ありません。クセの強い肉料理を期待しているゲストにとっては物足りないかもしれませんが、ジビエを食わず嫌いしている方にとっては魅力的な調理と言えるでしょう。
デザートは伊予柑のムース(?)にオレンジの風味をきかせたチョコアイス。見た目は真っ黒なのに味わいはめちゃんこオレンジという面白い仕上がりです。
ハーブティーを飲んでごちそうさまでした。ビールで通したためお会計はひとりあたり1万円強と安く済みましたが、普通のペースでワインを飲めば1.5万円といったところでしょうか。
肉は美味しく雰囲気もあってリーズナブルなのですが、やはりあの皿出しの遅さは玉に瑕。まあまあ高い割に空気は非常にカジュアルなので(隣の客がすげえうるさかった)、フランス料理に係る金銭感覚に理解のある人と訪れなければなりません。ちょっとゲストを選ぶ店に思えました。


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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。

関連ランキング:その他肉料理 | 祐天寺駅中目黒駅

オステリアラリベラ(Osteria La libera)/恵比寿

恵比寿駅の新しいアトレ側から坂を登ったところにあるカジュアルイタリアン。1号店は代々木にあり、近くにはコスパ抜群焼肉「亀戸ホルモン」ワンオペフレンチの王者「mori(モリ)」などがあります。
奥に長い店内。軒先にはテラス席があり、冬場はガンガンにストーブを焚きビニールシートで風雨をブロックしているので、意外に寒くありません。この日は2次会での利用であり、予約せずとも「軽く1杯」で使えるのは嬉しい限り。もちろん早い時間からのフルコースもあり〼。
プレミアムモルツは650円と悪くない価格設定。イタリア直送の「モレッティ」は700円と、都内でも最安値クラスでしょう。
「前菜盛り合わせ」は2,400円と結構な価格なのですが、数人でのシェアもOKであり懐が深い。パテにブラッティーナ、サラミ、ポテサラ、エスカベッシュ、肉と食べ応えもしっかりあって、お値段以上の価値を見出しました。
グラスワインは600円台~で10種類近く。しかもその量が4~5杯取りではなかろうかというたっぷりサイズであり、心おきなく酔っぱらうことができます。ハイチェア注意。

店名の「Libera」の通り、実に自由なお店。やっぱり飲食店ってこれぐらいがちょうど良い。何万円もするお店って、客もお店側も互いにキツくって、リラックスできないですもんね。


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恵比寿も十番に負けず劣らず良い街ですよね。1度住んで、片っ端から食べ歩いてみたいなあ。よそ者ながら印象に残ったお店は下記の通り。
恵比寿を中心に話題店が整理されています。Kindleだとポイントがついて実質500円ちょい。それにしては圧倒的な情報量。スマホやタブレットに忍ばせておくと出先で役立ちます。

関連ランキング:イタリアン | 恵比寿駅代官山駅

島之内 一陽(しまのうち いちよう)/難波

難波から少し歩いて歌舞伎町的な界隈を抜けた場所にある人気の割烹。食べログは3.88(2020年2月)でブロンズメダル獲得。予約困難店なのですが、1回転目の客が出て席が空いたら電話をしてくれるシステムも採用しています。
カウンターが8席に座敷がいくつか。店主は和食の名店において12年間みっちりと修業したのちに独立。ベースは和食ですが、欧米系のテイストも混ぜ込んだ何でも屋という印象の料理構成。
酒が安い。薄はりのグラスに丁寧に注がれた生ビールが600円。冷酒も1合で一律800円。ワインも例えばシャンパーニュのボトルで1万円を切ってきます。
お通しは旬のお野菜のウニソース和え。カリフラワーの土っぽいニュアンスにウニの磯の風味がよく合います。
お造り盛り合わせ。そうそう、当店は「麻布六角」のように金額がメニューに記載されていないのですが、それは来店人数によってポーションを調整するためです。今回はひとりでお邪魔しましたが、1人前でもキレイに盛り付けてくれました。

内容はキスの昆布締めに甘エビ雲丹醤油漬け、明石のタイにタコ。キスにジットリと旨味が増しており酒が進む。甘エビはネトネトと官能的な舌触りであり、マッチョなタコの歯ごたえも印象的。
ブリカマの塩焼き。まずはそのまま頂いて身と脂の旨味を楽しみ、続いて出汁醤油をかけて酒のツマミへと変幻自在。キモも凝縮感があって良し。粗めの大根おろしでお口をサッパリ。
牛タンコロッケのマッシュルームソース。思いがけずオシャレな一皿で驚き。ただし牛タンがパサついており旨味に乏しいのが玉に瑕。マッシュルームソースも家庭料理の域を出ませんでした。
野性の猪の沢煮。たっぷりの肉と野菜をお椀で頂きます。期待以上の迫力に恵比須顔。野性の猪と言えども臭味などは一切なく、猛々しい歯ごたえと旨味のみを楽しみます。白眉はお出し。旨味の強いはっきりとした調味であり、山椒をはじめとしたエモいハーブ使いに拍手喝采。
〆にドライカレー温玉乗せ。ライスはしっかりと1膳以上あり勇猛邁進とも言うべきポーションです。思いのほか味が濃くスパイシーであるため汗が噴き出してきました。
満腹になるまで好きなだけ食べ、ビールと日本酒2合を飲んで1.2万円。これはリーズナブルですねえ。東京であれば2万円請求されてもおかしくないレベルです。高級料亭のような佇まいでありながら、好きな食べ物を気軽にアラカルト注文できるのがすごく良い。お店の方の感じもすごく良い。ひとりで行くも良し、カップルで行くも良し、グループで行くも良し。カジュアル和食の最高峰とも言うべきお店です。オススメ!


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関西も食のレベルは高い。しかも東京に比べて1~2割物価が安く、予約も取りやすいので良いこと尽くめです。印象的だった有名店をまとめました。
関西のグルメ本についてはミシュランガイドが最も優れています。どうも他のグルメ本は粉モノや串揚げ、大阪割烹など、物珍しさを優先して紹介されており、本質的な価値は置いてけぼりな気がします。

Élan.MIYAMOTO(エラン ミヤモト)/恵比寿

「シェ松尾松濤レストラン」の料理長を務めた宮本英也シェフが独立。絵を勉強するためにフランスへ渡ったことがあるという、面白い経歴です。「Elan」とは仏語で「創造・進化・躍動」の意。エクステリアがめちゃんこカッコイイ。
スタイリッシュなオープンキッチンが丸見えのカウンター席が6つのほか、空間を分けたダイニングにテーブルが数卓。こういった使い分けができるお店はありそうでない。我々はテーブル席に陣取ります。
ワインのペアリングがシャンパーニュを含んで5種5千円と良心的。気を良くした私は更に杯数の多いペアリングを所望したのですが、「料理の皿数と合わなくなるので5種のほうが良い」と、シェフは自らの売り上げを下げる提案。好きだなあ、こういう本質を追及する姿勢。
最初にこの日北海道から届いたばかりのホタテ。甘味と旨味が同居する鮨屋で出てきそうな個体であり当然に美味。周囲を彩る野菜たちも黄色に統一されており美しい。
パンが凝っている。カヌレ型に入れて焼いたブリオッシュにまさに今、生地を発行中のパン、金時イモを含んだ食パンなど、小さな個人店とは考えられないほどの拘りようです。
バターは発酵モノにクリームを混ぜてフワっとさせたもの。
続く前菜にカニ祭り。島根の紅ズワイガニとそのビスク。甲殻類の香りがプンプンに漂い胃袋が拡張します。ビーツや赤しそなど赤系統でまとめられた色彩もお見事。絵の勉強が活きているのかもしれません。人生に無駄なことなど何ひとつ無いのだ。
長崎の天然寒ブリ。マルゴット火を入れて肉厚にカット。ムシャムシャと食べる歓びが沸き起こります。また、このお皿は緑に寄せており目で美味しい食べて美味しい。
メインは青森のバルバリー鴨ロース。赤身がビンビンで噛み応えがあり、噛めば噛むほどに旨味が溢れ出てきます。紫に整えられたプレゼンテーションもお見事。実に紫式部な一皿である。
デザートはピンク。マスカルポーネを丸のままアイスに仕立てる、アーモンド風味のスープに浮かべます。見た目とは裏腹にコクのある1皿であり〆に苺の酸味で爽快感を出しました。
デザートに合わせた日本酒がマッコリ的微発泡な飲むヨーグルト風味であり個人的にツボ。アルコール度数は8%ですって。そんな日本酒あるんや。
お茶菓子にカヌレとオーガニックのカカオ(?)と用いたチョコフレーク。カヌレはちょっくら焦げてしまい苦味が目立ったのが玉に瑕。まあ、そういう日もあるでしょう。チョコフレークは市販品のものとは別物であり、サクサクと無限に食べ進めることができます。
飲んで食べてお会計はひとりあたり1.3万円ほど。ワインを5杯もつけてこの価格はリーズナブル。また、シェフ自らホールに立って料理やワインの解説をしてくれるのが凄く良い。調理についてはチームとして育っている自信の表れでしょう。次回は夜にカウンター席で、更に品数の多いコースにチャレンジしたいと思います。また、シェ松尾にもお邪魔したくなりました。きっと後進が立派に育っていることでしょうから。


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恵比寿も十番に負けず劣らず良い街ですよね。1度住んで、片っ端から食べ歩いてみたいなあ。よそ者ながら印象に残ったお店は下記の通り。
恵比寿を中心に話題店が整理されています。Kindleだとポイントがついて実質500円ちょい。それにしては圧倒的な情報量。スマホやタブレットに忍ばせておくと出先で役立ちます。

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