ブラボーチキン/目黒

山手通り沿い、目黒と中目黒の中間地点にある「ブラボーチキン」。目黒二郎とかあのへんであり、昼は弁当屋、夜はテイクアウトと立ち飲み屋というコロナ時代に適した業態。たまたま通りかかったのでフラりと立ち寄りました。
店内は台風が過ぎ去った後のように取っ散らかっており、お世辞にも清潔とは言えません。軒先に東京都の感染防止徹底宣言レインボーステッカーが貼られていたのですが、検温も消毒依頼も何もありませんでした。
酒は500円均一と明朗会計。近くの常連らしき客が勝手知ったる様子で奥からガチャガチャと灰皿を出してきました。どうやら喫煙OKのようです。
お通しのキクラゲとキュウリでしょうか。中華料理風の味付けであり、鶏肉が組み込まれているのが店名らしいです。

このときカクヤスの配達がやってきて、店主が代金を現金生ハンドべたべたジャパン。そのまま手洗いはなくパクチーを刻み始めました。
ないわー、このパクチー。鶏肉もコンビニのサラダチキンのような味わいで全然美味しくなく、妙に辛いソースで舌が痺れただけでした。
唐揚げは1つ100円なのですが、ピンポン玉ほどのサイズで実に侘しい。味は悪くありませんが、それでもそのへんの定食屋レベルであり、これで1個100円は高杉晋助である。
お会計は1,750円。妙に高いと思い内訳を訊ねると、お通し代が400円とのことでした。この店構えで立ち飲みで注文してもいないお通しが400円は無いわー。加えてステッカーの意味など無いに等しいことをよく学んだ夜でした。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

あら木 /札幌

まさにすすきの、ピンク色の街のど真ん中にある天ぷら「あら木」。青山「えさき」で修業した荒木啓至シェフが札幌に戻り開業。今ではドーイチ(北海道で一番)の天ぷら屋と誉れ高く、食べログでは4.00(2020年8月)でミシュラン2ツ星と勢いのあるお店です。ちなみにドーイチとは私がさっき思いついた新出単語です。
お店に入った瞬間、まわれ右して帰りたくなる。店内は鬼常連とウォータービジネスの同伴客だらけであり、その隙自語トークは暗黒のファンファーレと化し賑やかを通り越して騒音と呼ぶに等しいデシベルです。一斉スタートは全員が同じ船の乗組員。誰かが好き放題すればそれがお店の評価に直結してしまう。
酒が安い。薄はりのグラスに丁寧に注がれたマスターズドリームは700円。これ多分、日本でトップクラスに安く美味しくマスターズドリームが飲めるお店ではなかろうか。日本酒も悪くない価格設定であり、ワインを除けばそれほどアルコールの価格は気にしないで大丈夫でしょう。
羅臼のブリ。客はすぐにタグ付けしてくるタイプばかりですが、食事の味は間違いがありません。ブリの旨さは当然として、キノコのヌルっとした舌ざわりもセンスを感じさせるアクセントです。
ペダントな方々の議論がうるさくて聞き取れませんでしたが、貝か何かのようです。たぶんアワビじゃないのですがその味覚はアワビに比肩するものであり美味しかった。
さっそく吸い物が出てきました。メヌケ(後述)の出汁をきかせた液体であり、ツルっともずくも潜んでいます。
ギンナンで準備運動し、天ぷらを食べる準備が整いました。基本は塩・すだち・天つゆなのですが、大将が調味をした上でお出し頂けることが多く、まるで鮨屋で食べるような感覚です。
まずは足から。何もつけずに海老の風味だけを楽しみます。大人のかっぱえびせんである。
続いて胴体を塩、さらには天つゆで頂きます。ところで天ぷら職人は「油の声を聴く」とか言って割に寡黙な方が多いと聞いていたのですが、当店の大将は常連と一緒になってゴルフの話で大盛り上がりしていたので都市伝説なのかもしれません。
アオリイカ。しっとりとした質感を残し甘味が強い。
キスはかなりの肉厚で、揚げたてをそのままザブンと天つゆに漬けてくれます。ザックザックほっくほっく咀嚼する愉しみのある天ぷらであり、これはこれでありよりのあり。
京まんじゅう茄子は20分も揚げ続けていたそうで、塩で食べればテロに近い温度帯です。やはりザブンと天つゆに浸すのですが、鰹節や木の芽で味変を試みており飽きさせません。
ムラサキウニは自家で塩漬けにし、まずはそのまま頂きます。もち米のアミロペクチンで旨味をしっかりと受け止めるのがとても良い。
そのウニを天ぷらに。私はウニを天ぷらにするのは味がぶっ壊れて勿体ないなあと思う派なのですが、当店のそれはしっかりと塩漬けされているからか最後までウニの主張が強く、説得力のある味わいでした。
先のスープの身の部分、メヌケです。厚くカットされており外皮から中心にかけて火入れのグラデーションが楽しめます。
上富良野の松茸。へー、あのへんってマツタケ獲れるんだ。ツルンとした状貌であり食感も強い。マツタケってしわくちゃのおじいちゃんみたいな存在ですが、健康的な青少年を思わせる力強い味わいです。
ホッキ貝。うわー、これはめっちゃんこ美味しいですね。ホッキ貝を天ぷらとして食べるのは初めてですが、それはさておきホッキ貝の料理として人生最高の美味しさかもしれません。肉感的な歯ざわりにジューシーなエキス。じゅるり。
フルーツトマトの酢の物で奥地を整えます。こういう配置転換も天ぷら屋としては珍しく面白い試みです。
トウモロコシは芯の部分は取り払われ、美味しいところだけをじっくりと揚げています。とても甘く、とても甘い。
アナゴ、と思いきやウナギでした。ホッキ貝もそうですが、ウナギを天ぷらにして食べるのも初めてかもなあ。しかもこれが結構、いやかなり旨く、はっきり言って池袋「かぶと」で食べたどのウナギよりも美味しかったかもしれません。
食事は天丼・天茶・天むすからの3択だったので深く考えずに天丼にしたのですが、隣の常連が食べている天むすが超旨そう。旨そうもそうですが量も天むすのほうがダブルに近いものがあり、お腹に余裕がある方は天むすをチョイスしたほうが良いかもしれません。
食後のデザートはプラムのみと潔いフィナーレでした。

お会計で驚き。それほど飲まなかったのもありますが2万円でお釣りが来ました。実に名古屋「にい留」の1/2~1/3の支払金額です。というか、費用対効果という意味では私的世界1位の天ぷら屋かもしれません。

でもなあ、客層がなあ。たまたまかもしれませんが、私がお邪魔した際の雰囲気はその辺の居酒屋よりも低俗であり、場所柄と片付けてしまえばススキノの民に申し訳なく、しかし悔しいが旨いという複雑な感情を抱えながらの集中できない食事でした。

今後行かれる方は同伴客が居なくなるであろう2回転目を狙い、できれば常連客に連れて行ってもらいましょう。お行儀よくしたもん負け主導権を握ったもん勝ちのお店です。貸し切りで行けたら最強だろうな。

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天ぷらって本当に難しい調理ですよね。液体に具材を放り込んで水分を抜いていくという矛盾。料理の中で、最も技量が要求される料理だと思います。
てんぷら近藤の主人の技術を惜しみなく大公開。天ぷらは職人芸ではなくサイエンスだと唸ってしまうほど、理論的に記述された名著です。スペシャリテのさつまいもの天ぷらの揚げ方までしっかりと記述されています。季節ごとのタネも整理されており、家庭でも役立つでしょう。

アッカ/恵比寿

恵比寿駅から徒歩7~8分にあるイタリアンレストラン。「海南鶏飯食堂2」「MASA'S KITCHEN(マサズキッチン)」のちょうどお向かいあたりにあります。
変わった間取りで、入って3テーブル並んだのちにカウンター席がぐるりとある設計。予約なしのフリー客、おひとりさまも受け入れており、イタリアンレストランというよりもワインバーという雰囲気です。
我々はお食事のコースにワインのペアリングをつけてもらいました。結論から述べると食事は凡庸ですがワインはいずれも素晴らしく、凝ったワインバーに来たと思えば1万円という支払金額は悪くなかったかもしれません。
前菜は牡蠣にカポナータ、生ハムメロンにモッツァレッラ・ディ・ブーファラ・カンパーナ。先の泡が瞬で空いてしまいます。
お魚はタイ。野菜やアサリも添えられているのですが、うーん、ちょっとこれは家庭料理と大差ないクオリティです。
バゲットも普通。その辺のスーパーで売られているのと変わりません。
ナスのグラタンも悪くないのですが、わざわざ外食してまで食べるクオリティかというとちょっとどうでしょう。
牛ホホ肉は美味しいですね。肉の質も良く凝縮感があり、サイズ以上に食べ応えがありました。
さて次は〆のパスタかなと思いきや、チーズが出て終わりでした。スイーツもなく、これでジ・エンドです。ちょっとびっくりしたなあ。イタリア料理店でパスタが出なかったのは生まれて初めてかもしれません。
先にも述べましたがお会計はひとりあたり1万円でした。確かに5杯出されたワインはいずれも素晴らしくむしろ割安に感じるのですが、やはり私は夕方からの予約でありしっかり食事をするつもりだったので、最高値コースを予約してこのボリューム感ではやはり物足りなく感じました。使い方を間違ったのかなあ。まあまあしっかりした食事の出る2次会使いのワインバーとしてどうぞ。

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恵比寿も十番に負けず劣らず良い街ですよね。1度住んで、片っ端から食べ歩いてみたいなあ。よそ者ながら印象に残ったお店は下記の通り。
恵比寿を中心に話題店が整理されています。Kindleだとポイントがついて実質500円ちょい。それにしては圧倒的な情報量。スマホやタブレットに忍ばせておくと出先で役立ちます。

レストランMINAMI/札幌

札幌にも展開する「ひらまつ」の系列店「レストランMINAMI」。もともとは「イル・チェントロ ひらまつ」というお店だったのですが、シェフの名を冠しリニューアルオープンです。場所は札幌駅近くの赤れんがテラス4階。
一面の大きな窓が印象的。重要文化財である赤レンガ庁舎や銀杏並木を見渡すことができ、何とも健康的な眺望です。まずは昼に訪れてこの景観を楽しみたいところですね。店内は広くバンケットも可能で個室も完備。「ひらまつ」らしい多種多様な使いみちがあります。
「ひらまつ」はインポーターであるためモノによってはとてもリーズナブルにワインが楽しめます。南大輔シェフは北海道出身。広尾「ひらまつ」を皮切りに各店で腕を磨いたのち札幌に戻り、当店を凱旋オープン。
グジェール(チーズを混ぜた風味の良いシュー皮)は仄かに温かく、またかなりサイズも大きく旨味もたっぷりで美味。泡にぴったりのおつまみです。
冷製のスープ?ムース?パプリカ主体の溌剌とした味覚であり、トマト風味の爽やかな酸味が心地よい。かなりしっかりと泡泡した舌ざわりが残っており、暑い夏に最適の1品でした。
種々の夏野菜にジャガイモのソース、シェリー酒と出汁のジュレ。鮮やかな緑色が目にも美味しく、実際に食べても旨い。ソースやジュレも美味しいのですが、素材そのものの力強さを感じた1品でした。
これはフォカッチャ?シンプルを通り越してプレーンな味わいであり、パンそのものにもうちょっとややこしい味覚があっても良かったかもしれません。でもまあ、次の料理のソースがしっかりしてたから良いのか。
お魚料理はアイナメ。写真からはわかりづらいですが、かなり身が大きくシャケ弁のシャケの倍くらいのサイズがあります。身そのものは淡泊な味わいですが、魚介の出汁とサフランを用いたソースがコッテリとしており、全体として重厚な味覚です。
メインは黒豚。低温長時間調理であり、しっとりと水分を湛えています。が、調理法はさておき、肉そのものがかなり美味しかった。白眉は付け合わせのトマト。中サイズのトマトが丸ごと1個用いられており、中身はバジルを中心としたソース(?)が詰め込まれており、メインの食材を喰うほどの存在感でした。
デザートはマンゴーやキウイなど旬のフルーツを中心にヴェルヴェーヌのシャーベット、ヨーグルトのタレ。やはり夏向きのサッパリとした味覚であり、超高級かき氷といったところです。
小菓子とハーブティで〆。ごちそうさまでした。やはりきちんとした企業グループなだけあって、安心安定の味わいでした。料理はもちろんサービスや空間設計に至るまで抜かりなし。ただ、もう少しシェフの個性は尊重したほうが良いかもしれません。せっかく個人名を冠するのだから、より属人的な料理であっても良いのではないか。どの料理も無難に美味しいですが、披露宴料理に近い印象もあり作者不明のきらいがありました。

いずれにせよ、この舞台とサービス、料理を味わって6千円前後というのはリーズナブル。一番安いランチコースは3千円からあるようなので、先輩が後輩OLちゃんにおごっちゃうぞな会にも良いかもしれません。まずはランチでどうぞ。

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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。