とんかつ檍のカレー屋 いっぺこっぺ/大門

私は「とんかつ檍」系列のトンカツとはあまり相性が良くないのですが、カツカレー専門店(?)という面白い業態で活躍しているという噂を耳にしたのでお邪魔することに。11時オープンで10分前に到着。ポールポジションを獲得し、10:55には入店前に先行してオーダーを取って頂けました。
店内は思いのほか広く、十数席はあるでしょうか。床がヌルヌルすることを除いては清潔であり、サッパリとした内装のラーメン屋のようです。私は「上ロースカツカレー」を注文。
着席後十数分で着膳。ふつうのカツカレーだとカレーの上にキャベツとカツがそのまま盛り付けられるのですが、「上ロースカツカレー」は上級国民らしく別皿のグリーンシートでの提供です。ガリっと茶色い高温揚げが印象的。
おお!美味しい!「とんかつ檍」を訪れた際は妙に脂身が多く後半胸が焼けたものですが(その時はリブロースカツだったからかも)、当店の上ロースカツは身と脂のバランスが良く、脂が程よく旨味と甘味、ジューシーさを湛えており、思わずガツガツと食べてしまいました。
別皿でカレーライスが届くのですが、これは普通のカレーというか、家庭料理の延長ですね。特筆すべき点は何もなく、私のオカンが作るカレーと大差ありません。ルーの大盛プラス200円をお願いしなくて良かった。
福神漬けは真っ赤っかであり恐らくは既製品で印象に乏しい。カツを食べるためにトンカツソースのほか、様々な岩塩が用意されているのが面白かった。
あのクオリティならびにあの量のカツにカレーがついて税込1,800円というのはリーズナブル。繰り返しますがカレーはイマイチなので、普通に「特上ロースカツ定食」などを注文するのが勝ち組なのかもしれません。「とんかつ檍」に比べると不思議と行列も短いようですし。あくまでトンカツを楽しむつもりで訪れましょう。


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私は「とんかつ」という料理をそれほど好みません。だって、豚肉を脂で揚げるだけじゃないですか。それなのに、行列するは調理に時間がかかるわ結構効高価だわで、積極的に取り組もうとしないのです。したがって、私は物凄く「とんかつ」ならびに「とんかつ屋」について、検察官のようにシビアに評価しています。思い入れが無い分、信憑性は高いかもしれません。
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とんかつを「超一流の大衆料理」として、グルメ業界の重鎮たちがひたすら議論を重ねる本。よくもまあとんかつでこれだけ語れるなあと呆れます。ここに記された「殿堂入り」のお店はさすがに外しません。

関連ランキング:カレーライス | 大門駅浜松町駅芝公園駅

元永(もとなが)/博多

博多の赤坂駅から徒歩15分。スタイリッシュな中華料理屋のような字体を掲げる「元永(もとなが)」。食べログは3.81(2020年3月)でトップ5000入りしています。
ご夫婦で営むカウンター6席のみの小さなお店。バーやスナックのような雰囲気であり、手を伸ばせば届く距離に大将がいるため、自然と会話が生まれる雰囲気の良いお店です。
1番手にトラフグの白子。バリっと炙って餡をかけ、ネギやスパイスを散らします。白子の美味しさは当然として、少し濃いめの調味や種々の香辛料のピリっとした風味が楽しい。
塩じめのサバ。シメサバはその酸味に好みが分かれるところですが、こちらは塩を主軸に置き、酸味に惑わされることなく、サバの旨味がギュギュギュと凝縮しております。日本酒によく合う。
赤貝にぬたのソースを並べ、ヒゲのついたピーナッツやグルグルのネギなどを彩り良く並べました。なるほど「新和食」を標榜するだけあって、欧米系のプレゼンテーションに足し算の味わいが感じられました。
他方、タケノコはごくごくシンプルに素材の味をそのまま楽しみます。木の芽の爽やかな風味が心地よいアクセント。
牡蠣にも豪快に味を重ねていきます。これはもう、六本木一丁目「エディション コウジシモムラ」あたりで出てきてもおかしくないテイストですね。個人的には牡蠣が苦手な人にお出ししていたホタテのほうも気になった。
蟹しんじょうと大根のおでん。こんな豪華なおでんがあるか?見た目だけでなくビンビンに蟹の風味が立っており、欠食児童のように貪りついてしまいました。
トラフグを湯引きして、やはり味を重ねます。そうそう、このあたりになって気づいてきたのですが、ポン酢系のタレにネギ+ゴマという組み合わせが続いている。どうせ重ねるのであればもっとバラエティ豊かな調味にしても良いかもしれません。
子持ちカレイと空豆に、ちょいとシャレをきかせてカレー風味に。これは美味しいですねえ。カレイのツブツブな食感に、郷愁を誘う甘めのカレーのスパイス。緑の強い空豆も美味しい。
メインはフィレ肉。この値段で(後述)このクオリティの肉が出ることに驚きであり、そのシンプルながら力強い味わいに二度驚きです。トッピングはネギだけでなく、ガリやラッキョウも忍ばせており面白かった。
お食事はタケノコごはん。ふたりで1合以上のボリュームであり、食べきれない分はオニギリにして持ち帰りです。
足し算の和食から一転して、〆は素朴で優しい味わい。これまでの料理、美味しかったなと余韻を楽しませてくれる炭水化物です。
味噌汁はエビの風味が強く、和風のアメリケーヌソースとも言うべき味わい。
デザートは和三盆と抹茶のムース(?)に地元のあまおう。〆のゴハンに続いて素朴でほっとする味わいでした。

さてお会計。なんと、これだけ食べて1万円ポッキリなんですよ信じられますか?もちろん酒と税金は除いての価格ですが、同じ料理を東京で食べれば2~3万円は下らない価値を感じました。ここでの食体験に慣れた人が東京に来ると怒り出すに違いない。驚愕の費用対効果の和食店でした。


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和食は料理ジャンルとして突出して高いです。「飲んで食べて1万円ぐらいでオススメの和食ない?」みたいなことを聞かれると、1万円で良い和食なんてありませんよ、と答えるようにしているのですが、「お前は感覚がズレている」となぜか非難されるのが心外。ほんとだから。そんな中でもバランス良く感じたお店は下記の通りです。
黒木純さんの著作。「そんなのつくれねーよ」と突っ込みたくなる奇をてらったレシピ本とは異なり、家庭で食べる、誰でも知っている「おかず」に集中特化した読み応えのある本です。トウモロコシご飯の造り方も惜しみなく公開中。彼がここにまで至るストーリーが描かれたエッセイも魅力的。

関連ランキング:割烹・小料理 | 赤坂駅桜坂駅薬院大通駅

産直屋たか/神泉

渋谷は円山町のラブホゾーンの地下にある海鮮居酒屋。渋谷エリアでも屈指の予約困難店なので、気合いを入れて予約に臨みましょう。
最初に生ビールが出て、その後はひたすら日本酒が、というか日本酒しか出ないお店です。19時一斉スタートの1回転であり、お酒は実質飲み放題。ただし水と酒はセルフで注ぐ必要があります。
まずは貝の浜焼き。卓上でカキとハマグリをグツグツ煮た後に、仕上げでバーナーで表面を炙ります。カキがプックリと膨らみ実に美味しい。
魚介の出汁で炊いたダイコン。美味しいのですが、ダイコンはダイコンです。加えてこれになぜ20分も待たされたのかは原因不明。
小さめの黒アワビをひとりあたり丸々ひとつ。付け合わせの昆布などと混ぜ合わせて頂きます。美味しいのですが、この料理にも信じられないほど待たされたので、そんな間延びの後には美味しさも半減である。
カマスの一夜干し。普通に美味しいですが、その辺の定食屋の焼き魚定食と大きな差は見当たりませんでした。加えてやはり待たされ、暇なのでケータイに目をやると電波が届いていない。
エゾバフンウニ。料理というよりも素材であり当然に美味しいのですが、なぜこういった一皿が出るのに20分近く待たされるのかがよくわからない。
トラフグの湯引きにアンキモポン酢。これは美味しいですねえ。特大のアンキモを崩しながらトラフグに混ぜ合わせ、何とも身体に悪い逸品です。
ホタルイカは生のままと酒蒸しの2種。後者のほうが凝縮感があって個人的にタイプ。脇にあるセメント色のペーストはカニミソです。
鳴門のわかめ。暇つぶしとしては悪くありませんが、20分待って食べる一皿にしてはパンチが弱い。
マダラの白子をたっぷり海苔に巻いて一口で。口の中で広がるクリーミーな大人の味覚。
魚介の雑炊。ってもう終わり!?刺身とか無いの!?雑炊そのものとしては悪くありませんが、ちゃんこ鍋の締めで食べるそれと同等であり、量が3口ぐらいしかないので不満足です。
ヤリイカ塩辛。こちらも当然に美味しいのですが、あくまで酒のツマミであり料理としての満足度は低い。漁師料理とはよく言ったものですが、単なる雑な家庭料理です。

お会計はひとりあたり1.1万円。日本酒が飲み放題とは言え、食事の量があまりに少なく、その質も中くらい。皿出しのテンポもすこぶる悪い。これならデパ地下で魚介類を買い込んで宅飲みしたほうが満足度は高いでしょう。日本酒についても特にマリアージュを意識しているというわけではなく、とにかく量で押すという作戦。どうしてこんなに人気があるんだろう。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

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鮨 長島/白金高輪

白金高輪駅からグルメな通りを恵比寿方面へ。「アルゴリズム」や「あき山」などのお店の近くにある新しいお鮨屋さん。新井智晴シェフは鹿児島は長島で漁師として働いたのちに上京し、「おのでら」系列を経て独立。
カウンター8席のみのちょうど良いサイズ感。一斉スタートの2回転など無粋なことはせず、大将もゲストもそれぞれ思い思いのペースで鮨をつまんでいます。カジュアルな雰囲気で客層は若め。ニューリッチなテイストです。
酒のメニューは無く不明瞭会計。つくづく思うのですが、どうして日本の和食特に鮨屋はこういうスタイルが多いのでしょうか。客にとっても店にとってもお互い不幸だと思うのだけれど。
気を取り直して1品目はハマグリ。特大のハマグリからシンプルに旨味を引き出し、コミュコミュな歯ごたえと共に楽しみます。
カワハギ。細切り(?)されたカワハギとそのソースが割にたっぷり入っており食べ応え抜群。クリーミーな肝のソースが心地よい。
閖上(ゆりあげ)の赤貝にボタンエビ。ゆうべの「猪股」でもそうでしたが、高級な鮨屋は閖上の赤貝を珍重するきらいがある。個人的にはそれほど好きなタネではないので、何ならボタンエビをダブルでもらえたほうが嬉しいかも。
ノドグロはホンノリと熱を入れ甘味が頂点に増した瞬間をパクり。これは旨いなあ。ノドグロは味が強すぎる素材だと思うので、このようににぎりではなくツマミで出す方が良いのかもしれません。
イワシの磯辺巻き。脂の強いイワシをショウガなどと共にギュっと海苔で巻き付けます。実に一体化した逸品であり大好き。
アンキモ。和風フォアグラともゆうべき上品な味わいであり、プリンのような食感がどこまでも優しい。ワインが欲しくなりました。
キンメダイにも凝縮感があり、肉そのものが旨い。トッピングは鰹節なのかな?ありそうで無い試みです。
トラフグ。アンキモ同様に丁寧に丁寧に調理された逸品であり、口の中で官能的な味覚が爆ぜる。コチラに関してはシャリと共に口の中で白子リゾットを作りたかったかも。
にぎりに入ります。まずは春子鯛から。当店のシャリは赤酢であり、味濃いめの私好きタイプです。頻繁にシャリを取り換えており、シャリに対する愛情を感じました。
ガリは塊を目の前でスライスして置いてくれる方式。シャリと同様にアジコイメカタメであり、やはわり私の好きなタイプです。
コハダ。強めに占められており、これがコハダだと言わんばかりの王道な味わいです。外人にコハダを説明する場合はこれを食べさせれば良い。
スミイカ。小ぶりで素直な味わい。シンプルに美味。

アワビの肝のソース。おおお、これは濃厚ですねえ。確かにアワビの身と一緒に食べるよりも味の強さが際立つかもしれません。本日のアイデア賞。
鮑そのものは程よい弾力を保っており、滋味あふれる味わい。うん、やっぱり肝のソースと一緒じゃなくて良かった。
マグロは有名仲卸「やま幸」から。この赤身は美味しいですねえ。雑味などは一切なくマグロの美点のみが口の中に飛び込んできます。
トンボ。先の赤身と一転、クリアで若々しい味わい。
背トロ。背筋の部分でマッチョながらも脂はしっかりと乗っており、バランスの良い味わいです。
中落ちはジュブジュブと口の中で溶けていく。マグロってやっぱ美味しいよな。そんなことを思い出させてくれる1カンでした。
太刀魚、北寄貝、沢庵、奈良漬けで箸休め。といっても酒は進むので内臓は休まることはありません。
鹿児島は出水のアジ。私の最も好きな魚のひとつであり、やはり本日一番のにぎりです。ガッチリマンデーな食感なのに脂も乗っており、その甘みが強い。
スミマセン私がチンタラしていたら転んでしまいました。サヨリなのですが、トッピングされた昆布(?)が、淡泊になりがちなサヨリの味わいにナイスなアシストを決め込んでくれています。
エビはやはりどうやったって美味しいですね。インスタ風に言うと「出会いに感謝キャハ」です。
イセエビにウニを重ねるという道楽的な一品。これはちょっとやりすぎかなあ。ウニの美味しさは次でわかるので、エビ推しとしては純粋にイセエビの味を確かめたかった。
手巻きと言うべきか何巻きというべきかウニバーガーというべきか、いずれにせよ大量のウニです。これはまあ、反則的な味わいですね。スタン・ハンセンのウエスタン・ラリアットを想起させる暴力的な味覚です。
魚介の香りが漂う濃厚なお椀を頂き、ラストスパートへと向かいます。
アナゴを塩で。調味がシンプルであるためアナゴそのものの美味しさが直に伝わります。
続いてタレで。2種の食べ比べは誰でもできそうですが誰もできない芸当。先のアワビの肝にせよ、大将はちょっとした工夫をひょいとやってのけるセンスがあります。
しっとりとしたギョク。控えめサイズではありますが存在感のある味わい。
追加でトロタク。マグロの美味しさは既に実証済みですが、やはりタクアンのカリカリとした食感と大葉の香りがたまらないですね。
カンピョウ巻きはシャリよりもカンピョウのほうが多いんじゃないかというほど、これでもかというくらいに詰め込んでくれました。
杏仁プリンで〆てご馳走様でした。
お会計はひとりあたり2.7万円でした。冒頭に記した通り内訳は良くわからんのですが、悪くない支払額です。お店の雰囲気は良いしツマミもにぎりもバランス良く出してくれるので、良い鮨屋の入門編としてオススメ。ところで細かいですが、トイレのハンドソープがイソップと見せかけて中身が全然違うのは、ある種の産地偽装なので止めたほうが良いと思いました。


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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。

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