ひょうたん寿司/天神(福岡)

「福岡でオススメのランチは?」と問われれば、豚骨ラーメンでも鉄鍋餃子でも水炊きでもなく「ひょうたん寿司」を推したい。福岡随一の繁華街、天神の駅すぐそば、週末はもちろんのこと平日にも行列が絶えないお店であり、日本テレビ「秘密のケンミンSHOW極」でも紹介されました。
11:30オープンで11:20から並び始めたのですが1回転目には間に合わず。「ここからは2回転目でのご案内で、40分ほどお待ち頂きます」との案内。それでもなんやかんや回転の速い店なので、都合15分程度の待ち時間で入店することができました。
お好みでの注文ももちろんOKですが、何と言っても平日のランチ定食が目玉でしょう。目の前で鮨職人が一通りにぎってくれて千円やそこらというのは世界的に見ても稀有な価格設定です。
私は「旬のおまかせにぎり」を注文。サイドメニューをふたつチョイスできるのですが、まずは茶碗蒸し。生地こそは一般的なものですが、八宝菜かと思うほどの具材に満ちており、器も一般的なモノの倍ほどの大きさがあります。
続いて「カニクリームコロッケ」。鮨屋で揚げ物とは回転寿司的であり邪道かもしれませんが、これが一番人気かと思うほど皆が注文していました。盛り付けが美しく、気のきいた洋食屋のようです。
くぱぁしてびっくり、見て下さい、このカニの量を。はちきれそうなほどカニ肉が詰まっており、また、それに負けないぐらいに濃厚なクリームが注入されています。鮨の前菜として食べるにはコッテリし過ぎている面も否めませんが、万人受けする美味しさです。
「旬のおまかせにぎり」がやってきました。先の前菜含めて2,430円とは思えないほどの豪華なラインナップです。
中でものエビとタイが抜群ですね。客単価数万円の店で出されるタネに遜色ない味わいであり、総資産1兆億円の友人も「福岡で鮨ならまずは『ひょうたん寿司』だよね」と太鼓判を押していました。
いやあ、美味しかった。ランチがお得といっても高々数百円の違いなので、待つのが苦手な方はピークタイムを外したり、何ならディナーで訪れても良いでしょう。夜専用のツマミなども用意されており、さんざん飲み食いしてもひとり1万円を超えることは絶対にありません。私は次回、姉妹店の回転寿司「ひょうたんの回転寿司」にお邪魔してみようと思います。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

酒肆SHIROKANE(しゅししろかね)/白金高輪

白金高輪の陸の孤島エリアに「酒肆ガランス」というイケてるオシャレ居酒屋があって昔かなり通ったのですが、しばらく前に南麻布に移転してしまいました。が、その跡地に殆ど名前の変わっていないお店が残っており、どういうことだと気になりパトロールにお邪魔します。
おや?店名は「酒肆SHIROKANE(しゅししろかね)」に変わったというのに内装はもちろんメニュー構成まで殆ど変わっていません。客層もハイカラな大人が中心と変化はなく、店員のノリも変わらずあげぽよです。
無国籍料理が中心のダイニングではありますが、ワインも沢山取りそろえられています。一方で、ビールやハイボール、焼酎などの居酒屋メニューも多く、多様な使い方で楽しむことができます。
2次会での利用だったので、お料理は軽くつまむ程度にチョイスします。こちらは「イカとキュウリのピリ辛マリネ」。メニュー表に価格が記載されていないのが気になりますが、最終支払金額から逆算するに、おそらく千円ぐらいでしょう。
豚ぺい焼き。お好み焼き屋さんにお邪魔すれば必ず注文する好きな料理なのですが、こんなに巨大で様式美に優れた豚ぺい焼きは初めてかもしれません。深夜にたっぷりのソースとマヨネーズという背徳感が堪らない。ちなみにもう10年も前の話ですが、この場所には鉄板焼きフレンチ「オーギャマン ド トキオ(AU GAMIN DE TOKIO)」が入居していたのです。
〆にビールを飲んでいると、「〆にはやっぱコレでしょう!ルルルル~」と、揚げたてのフレンチフライをサービスしてもらえました。好きだなあ、こういうノリ。店員の皆さんはとても楽しそうに、仲良く仕事に取り組んでおり良い職場です。
今回は2次会使いでしたが、是非改めて食事に来たいなと思いました。ガレットやブリワット、肉のメリメロや玉子焼きカツサンドあたりが気になる。また、昔メニューにあったスパイスたっぷりの「麻婆麺」や「カレー」は悪魔的な旨さがあったので、是非とも復活して欲しいところです。

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和田屋(わたや、夕食)/白山(石川)

創業は江戸時代、150年以上の歴史を誇る料理旅館「和田屋(わたや)」。白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)の真隣で営業しており、駐車場が共用なのが面白い。ミシュラン1ツ星を獲得しており、ゴエミヨにも掲載されています。
宿泊するお部屋とは別に食事処を提供してくれます。当館は全てのお部屋に囲炉裏が用意されており、その場で川魚を焼いて食べるのが特長です。釣果にも拠りますが、6月~10月は鮎、10月~5月は岩魚が中心となるようです。
せっかくなので地元のお酒の限定品を頂きました。手取川のスパークリング日本酒で、綺麗な米の甘味が特徴的な銘酒です。
先付に滝川豆腐。涼しげな味覚であり、先の日本酒にピッタリです。
お椀は当館の地下から湧き出る地下水を用いているそうで、何とも繊細な味わい。ただし私は多少パンチのある味覚を好むので、もう少し攻めてくれても良かったです。
岩魚の昆布締めとウニ。川魚は海の魚に比べると生食に適さないことが多いですが、これは抜群に美味しいですねえ。川魚のポテンシャルを再確認したひと皿です。
ツキノワグマのルイベ。上質な脂がしっとりと旨く、これは鍋でたっぷり食べたいなと思わせるクオリティでした。
囲炉裏の準備が整いました。塩を振って焼くだけというシンプルな調理ではありますが、炭の爆ぜる音や脂の香りなどが心地よく、まさに五感で楽しむ料理です。
こちらは鮎素麺。干した鮎を軽く炙って、素麺と共に頂きます。素麺の清らかな味わいと鮎の苦みが良く合う。
主役の鮎の塩焼き。金沢は犀川の鮎に富山は神通川の鮎。神通川の鮎が抜群に美味しいですねえ。天然でここまで大きくなるものかと驚くサイズ感であり、それでいて身はフワフワとエアリー。先日の琵琶湖の動物的な味覚の鮎も良かったですが、今夜の鮎の中の鮎とも言うべき味覚に思わず目を細めてしまいます。
八寸が涼しげ。グリーンを基調に旬の味覚を詰め込んでおり、何ともセンスの良いプレゼンテーションです。
こちらは茶碗蒸し的な料理であり、スッポンのエキスとその肉がたっぷり詰まっています。生姜の風味もきいておりコクが強いのに爽やか。量もたっぷりで食べ応えのあるひと品です。
ステーキは鹿肉。鉄分を感じさせるパワフルな味覚。ちなみに当館は山の珍味推しであり、秋冬はジビエをたっぷり楽しめるそうです。次回は季節を変えて訪れてみよう。
お食事は鮎ごはん。
鮎が旨いのは当然として、ごはんそのものがめちゃんこ美味しいですねえ。味噌汁の味覚についても基本動作に無駄がなく、やはり名店と言われるお店はベースの味わいがしっかりしているのだ。
2杯目は自慢のお出汁でお茶漬け風にどうぞ、なんて言われるともう最高。当館の思想や哲学を余すところなく堪能しました。
〆に小菓子を頂きごちそうさまでした。

以上のコース料理が3万円(宿泊代金は別途)。この立地で1食3万円(+酒代)となると流石に気軽にはお邪魔できませんが、それでもあの鮎の旨さは芸術の域に達しており、費用対効果のような野暮な考えを持って臨むべきではないのかもしれません。それほど記憶に残る食事でした。
何より食後はそのまま布団にダイブできるのが良いですね。もちろん食事だけして帰るという選択肢も無くはないですが、酒抜きであの鮎を食べた後に運転なんてのは私のロマンチシズムに反する。贅沢な週末の舞台として泊りがけでどうぞ。

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北陸新幹線開通前は秘境的な小京都として魅力があった金沢。開通後は客層が荒れだし、土日連休は東京のガチャガチャした人ばかりです。それは飲食店においても同様で、金曜日の夜から日曜日にかけての鮨屋など港区のちょづいた店と雰囲気は似てきています。きちんと食事を楽しみたい方は、連休を外して訪れましょう。
「大人絶景旅」と銘打ってはいますが、石川の名所をテンポ良くまとめています。グルメ情報も多くモデルルートの提案もあり、広告だらけのガイドブックとは一線を画す品質の高さです。

ONE TWO CURRY OKINAWA めし処 飯倉/おもろまち(那覇)

おもろまちにある南インド系のカレー屋「ONE TWO CURRY OKINAWA めし処 飯倉」。店名は長く、エクステリアもとりとめのないテイストであり、果たして、君、一体、何屋なんだ?
店内はラーメン屋ふうに厨房を取り囲むカウンター席に(何故か大理石)、畳敷きの小上がりが3卓あります。メニューにはカレーのメニューと居酒屋メニューがあり、何でも「めし処 飯倉」に間借りしていた「ONE TWO CURRY OKINAWA」が、コロナの影響か何かで通し営業となり、両方のメニューが併存するという独特の業態に落ち着いたそうです。
この日はカレーの気分だったので、カレーのメニューを読み込む。なんでも南インドのカレーをベースにしたオリジナルカレーだそうで、低糖質・高タンパク・塩分控えめ・グルテンフリーとSDGsな仕様です。
こちらは1番人気の3種盛り、1,400円です。「ポークヴィンダルー」は豚の脂の甘味とトマトの酸味が印象的、「蓮根と豆のキーマカレー」は根菜のホクホクシャクシャク感が美味、「チキンマサラ」はホロリと柔らかい鶏肉にやはりトマトの酸味が良く合います。
何よりライスが美味しいですね。パラパラとした独特の食感のバスマティライスがカレーの汁気を吸い、カレー雑炊さながらの食べ易さです。たっぷりのパクチーや酸味の強いピクルスなど、色んな味が盛り込まれており食べ飽きることがありません。
メニュー外に2種のカレーの用意もあるとのことだったので2種盛りでオーダー。1,200円です。手前はビーツを用いたものであり、フォションのような鮮やかな色合いが印象的。奥は「牡蠣のホワイトカレー」はコッテリとクリーミーで、フランス料理的な方向性を感じました。
怪しげな外観にスパイス主体のカレーとのことで、シュガーローフの戦いのように苛烈な辛味を覚悟していましたが、どちらかというと円みのある味わいで優しい酸味を楽しむお店でした。いわゆる居酒屋メニューでしこたま酒を飲んだ後に〆にスパイスカレーといった使い方も面白いかもしれません。物分かりの良い友人と共にどうぞ。

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1年で10回は沖縄を訪れます。1泊15万円の宿から民宿まで幅広く。
沖縄通を気取るなら必ず読んでおくべき、大迫力の一冊。米軍統治時代は決して歴史のお話ではなく、今の今まで地続きで繋がっていることが良くます。米軍の倉庫からかっぱらいを続ける悪ガキたちが警官になり、教師になり、ヤクザになり、そしてテロリストへ。沖縄戦後史の重要な事件を織り交ぜながら展開する圧巻のストーリー構成。オススメです。

フィエルテ(Fierté)/鎌倉

鎌倉駅から歩いてすぐのフランス料理店「フィエルテ(Fierté)」。食べログでは百名店に選出。今風なスタイリッシュ建物の2階に入居します。店名はフランス語で「誇り・自信」を意味します。
店内は厨房に面したカウンター席と、店内奥にテーブルが2卓(写真は食べログ公式ページより)。全面ガラス張りであり採光が最高で、すぐそこに江ノ電が走るのが見えます。

山本悠太シェフは神奈川県出身。お父様もフランス料理人だったそうで、水天宮「ロイヤルパークホテル」で経験を積んだのち渡仏。帰国後は銀座「レカン」外苑前「オルグイユ(L'orgueil)」で腕を磨き、2019年に当店を開業。
ワインのペアリングは3杯・5杯・7杯のコースがあって、相談すれば量や杯数の増減にも応じてくれ、つまり自由自在です。5杯で5千円かそこらであり、それにシャンパーニュも含まれることを考えれば大変良心的と言えるでしょう。
ちなみにこの日は走り屋の女の子が車を買い替えた記念のドライブデートであり、私の飲酒は自由に認められるという神ランチです。
アミューズにはトウモロコシを起用。甘味たっぷりのトウモロコシであり、どことなく屋台の焼きトウモロコシ風の味覚です。
暑い1日だったのでガスパチョの酸味がしっくりくる。シロエビやウニの宝石なども盛りだくさんであり、なんとも豪華な前菜です。
続いて牡蠣。しっとりと熱が入っており甘味と旨味が増しています。イベリコ豚のチョリソ(?)やクルミなども散らされており、牡蠣の味わいだけでない奥行きのある味覚です。
パンはライ麦パンとミルクパンをご用意頂けました。シンプルな仕様ですが素朴に美味しく、連れは食べ過ぎて腹くちくなってしまい、終盤は気絶していました。
稚鮎のフリット。衣は薄く、ごくごく軽く揚げられており、素材そのものの風味ががしっかりと活きています。下に敷かれた焼き茄子のペーストの苦みや玉ねぎの甘味など、日本料理における鮎の使い途に比べて複雑です。
オマール海老はバスケーズで。いわゆるバスク風の調理であり、トマトやパプリカの穏やかな甘味にオマールの濃厚な風味が溶け込みます。
お魚料理はイシダイ。いくらか熟成させたそうで、皮目は程よく硬くゼラチン質がジューシー。それでいて身はムッチリしっとりとしており、言いようのない味わいです。キュウリなど夏の味覚との対比も心地よく、心に残ったひと皿でした。
メインは豚肉。上質な素材にしっとりと熱を加え、豚肉そのものの旨味を楽しみます。美味しいのですが華やかさには欠け、ややもすると高級ハム屋のそれに近い味覚と言えなくもありません。
始まりのデザートはメロンにブランマンジェ。爽やかで青っぽい甘味とミルクのコクが良く合います。
続いてルバーブにコーヒーチェリー、白桃。味覚は親しみやすいものですが用いている素材は一般的には馴染みのないものが多く、シェフの探求心を垣間見た瞬間です。
小菓子のラインナップも凄くて、〆パフェまで付いているのが嬉しいですね。しかもちょっとしたオマケという域を超えた美味しさであり、このまま小町通りでスイーツ専門店でも出して欲しいくらいです。
ハーブティーでフィニッシュ。ごちそうさまでした。

これはすごくすごい良いお店ですね。全体を通してモダンで意欲的な料理が続き、それでいてきちんと美味しい。場所柄ヘンテコな客がおらず、真面目にシェフの料理を楽しもうというゲストに満ちた素敵なレストランです。

当店でランチを摂ってから鎌倉をブラブラ散策、なーんてデートが私は一番好きなのだ。

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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。