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ザ グレートバーガー(THE GREAT BURGER)/神宮前

南カリフォルニアの世界観に拘る「ザ グレートバーガー(THE GREAT BURGER)」が百名店に選出。印象的なガラスの大箱と派手派手なエクステリアが目印です。最寄りは明治神宮前駅で、原宿駅からも歩いて10分弱といったところ。
行列すると思いきや、平日正午ごろであっても客は6-7割の入りであり、その多くは外国人ゲストです。明るく開放的な空間が特長的で、アメリカンダイナーらしい雰囲気です。ただ、ところどころ清掃が行き届いておらず、スタッフの服装もダボダボで飲食店としてだらしない印象を受けました。
クラフトビールが充実しており、一番大きなサイズで1杯お願いするのですが、期待していたよりもサイズが小さい。これで1,540円という値付けには割高感を覚えました。ちなみに当店は価格表記が税抜きであり、お会計の際にちょっとした不意打ち感があります。
ベイビーケールサラダ。苦味が少なく柔らかいベイビーケールを主役にアボカドやナッツなどをあわせたヘルシーなひと品。味は悪くないのですが、これだけで2,200円という価格設定はやりすぎに感じました。所詮は葉物野菜のサラダであり、それなりのドレッシングやトッピングが添えられていたとしても、この値段を正当化するには少々無理があるように感じます。
ダブルチーズバーガーは2,365円。焦げ茶色のバンズが特長的で、フワフワとした独特の食感が心地よい。ほんのりとした甘みがあり、ジューシーな肉々しいパティの強い旨味に負けない存在感があります。
パティはシズル感たっぷりで食べ応えもバッチリ。肉の繊維感を残すように粗挽きに仕立てられており、ステーキを食べているかのようなワイルドな咀嚼感を楽しみます。溶けたチーズを接着剤としてバンズとの調和も完璧です。
ポテトは細切りか皮付き厚切りかを選ぶことができ、私は前者をチョイス。サクサクとした軽やかな食感が心地よく、思い切りの良い塩気もビールを誘います。もうちょっと量が多いと嬉しいんだけどな。また私が食べ終わるのを見張っていたのか、最後の1本を持ちあげた瞬間に光の速さで皿を下げられ、当店の辞書に余韻の二文字は無いのかもしれません。そのくせ外国人ゲストに対してはウェットに付き合っており、ハワイ在住の日本人みたいな接客スタイルです。
以上を食べてお会計は6,105円とバリ高い。加えて「シートチャージ」なるものを追加で110円加算され、何やねんそれ聞いてへんぞ案件。別に110円くらい構いませんが普通に不愉快なので、最初から値上げして料理の代金に含めておいて欲しい。高級店で買い物したのに紙袋代金を取られるストレスに似ている。

けっきょく消費者が本当に嫌うのは「値段が高いこと」よりも「払う覚悟のできていない出費」なのかもしれません。透明性こそが信頼であり、小さな不意打ちが店への印象を大きく損なうことを改めて認識させてくれた学びのあるランチでした。

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パンツェロッテリア(PANZEROTTERIA)/松濤

渋谷区松濤にあるパンツェロッティ専門のイタリアン「パンツェロッテリア(PANZEROTTERIA)」。パンツェロッティとはイタリア南部発祥の揚げピザのことを指し、生地で具材を包んで揚げる料理。彼の地ではファストフードとして親しまれるものを食事として丁寧に仕立て直しています。
店内は落ち着いたグリーンと白のカラーコーディネーションにストライプやミラーで彩られたモダンな雰囲気。カウンター席がいくつかにテーブル席の用意があり、看板犬のお出迎えに思わず頬が緩みます。
ビールやグラスワインはいずれも千円強といったところ。ワインはイタリアのものが多く、オーナーのシニョーレ西正博はミラノやニューヨークで約25年間を過ごしたそうで、帰国のタイミングで当店を開業したそうです。
熟成ハム各種盛り合わせ。個性の異なるハムが揃い、それぞれの塩味・甘み・脂の旨みの違いを食べ比べます。添えられた白いのはニョッコ・フリット。小麦粉生地をひと口大に揚げたものでハムと合わせて食べると熱でジワりと脂が溶け出し、ワインが進むのなんのって。
トロマグロのタルタルステーキと野菜サラダ。脂の乗ったマグロの濃厚な旨みと滑らかな舌触りを楽しむひと皿。野菜には敢えてドレッシングを用いず、コショウ、白バルサミコ酢、オリーブオイルをテーブルでセルフにかけるスタイルです。
旬のフランス産ホワイトアスパラガス。パンツェロッティ生地で包んでふかすという当店流の調理です。ホワイトアスパラガスの強い甘みと瑞々しさをそのまま閉じ込めており、生地はアスパラガスのエキスを余すところなく吸い込んでおり美味。たっぷりとのせられた生ハムが塩気と深みを加え、アスパラガスの甘さと心地よい対比を生みます。
パンツェロッティは数十種類のフレーバーが用意されているのですが、今回は「5種類のキノコとチーズとクリームソース」を選択。個性豊かな5種のキノコを、芳醇なクリームソースとチーズとともに生地に包み、揚げることで中はとろりと濃厚なフィリングに仕上がります。ファーストフードの枠を超え、「食事」としてのパンツェロッティの真髄を体験できる看板メニューと言えるでしょう。
以上を食べ、軽く飲んでお会計は1万円強。オーナーの気さくな人柄と看板犬の存在が、店全体に柔らかな空気を漂わせています。渋谷の喧騒から少し離れた立地が、この居心地の良さを守っているのかもしれません。次は肉料理や魚料理にも手を伸ばしてみたいところ。それでも最後は、チーズたっぷりのパンツェロッティで締めると決めています。

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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。

魚料理 のじま/渋谷

渋谷は並木橋交差点近く、創業1910年(明治43年)の鮮魚店がルーツの「魚料理 のじま」。100年以上の歴史を持ちながらランチタイムは未だに行列が絶えない怪物店です。モットーは「天然もののみ使用、冷凍・養殖は一切なし」であり、目利きのいい魚屋の経験を活かし、その日の新鮮な天然魚をシンプルに調理した昔ながらの魚料理を提供しています。
店内はカウンターが7-8席とテーブルが少し。2階にはお座敷があるようです。人気の料理は売り切れ御免のため、お目当てがある場合は開店時間の11時に合わせて訪れると良いでしょう。
私は「本日の定食」の「ぶりかま煮」を注文。1,500円です。渋谷のど真ん中でこのボリューム感の定食を楽しんでこの支払金額は、食べる前から満足度はマックスです。
主題の「ぶりかま煮」は、まずその圧倒的なボリュームと、宝石のような美しい照りに目を奪われます。天然のぶりを使用しているため、身は驚くほどしっとりと柔らかく、箸を軽く入れるだけでホロリと解けるのが特長です。特にカマの部分は魚体の中で最も脂が乗っている部位であり、トロリとした濃厚なゼラチン質と、噛むほどに溢れ出す旨味が口の中で溶け合います。
味付けは老舗の歴史を感じさせる深みのある甘辛い醤油ベース。長時間じっくりと煮込まれているため、身の奥深くまで秘伝のタレが染み渡っており、ゴハンが進むのなんのって。青魚特有のクセは全く感じられず、皮目のプルプルとした食感から、骨の周りの一番美味しい身まで余すことなく堪能できる、魚好きにはたまらない定食です。
お味噌汁にはしっかりとしたアサリが含まれており、単なる付け合わせの域を超えた、主役級の満足感を与えてくれる一杯です。豊かな磯の香りと芳醇な味噌の香りが鼻腔をくすぐり、ひと口啜れば五臓六腑に染み渡るような滋味深く力強いコクを感じさせます。これが日本の定食だ。
なお、小鉢もいくつか用意されており、これらはメインの魚の脂をリセットし、食事全体にリズムを生み出す役割を担っています。
美味しかった。居酒屋でこのクラスのブリを食べることを考えると、当店の定食で1,500円というのは実に良心的な価格設定。他にもメニューは色々あって、次回は看板メニューの「ぶり丼」を試してみよう。脂の乗った天然ブリを醤油・わさびベースのタレでヅケにしているそうで、あまりの人気に12時過ぎには売り切れてしまうこともあるそうです。

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焼売酒場 小川(しゅうまいさかば おがわ)/渋谷

渋谷駅の東側、ウインズ渋谷の通りに並ぶ「焼売酒場 小川(しゅうまいさかば おがわ)」。自称「某星付きフレンチ店にて修行を積んだシェフ」が手掛ける、焼売を軸とした中華テイストの居酒屋です。
店内はテーブル席が中心にカウンター席が少し(画像は食べログ公式ページより)。飲み放題プランがあるためか、手を叩き合って盛り上がるパワー全開のグループが多いように感じました。お手洗いも清潔とは言い難く便座も割れており、私の心もブロークンです。
さて、食べログ公式ページや関連記事では、「星付きフレンチ店(または星付きフレンチレストラン)で長年腕を振るった」「某星付きフレンチ店で」「以前、星付きフレンチにて腕を振るい」などと紹介されており、料理のベースがフレンチであることが示唆されています。ただ、具体的な店名を挙げずにぼかした表現が一貫して使われており、実績に自信があれば具体的な店名を出すことで集客のフックにするのが一般的ですから、店名が伏せられていることについては疑問を抱いてしまいます。「琉球餃子マニア」にせよ、中華風の居酒屋はこのようなスタイルが流行っているのでしょうか。
生ビールは円柱型でサイズが大きく飲みごたえがあります。しかしながらこの1杯は千円を軽く超えてくるので払い応えがあります。これなら飲み放題付きのプランにすれば良かったかなあ。なお、有償のお通しとしてきんぴらごぼうも付くのですが、こちらは食べ応えがありませんでした。
鶏のしぐれ煮とピーマン。生のピーマンに甘辛く煮付けた鶏のしぐれ煮を添えたひと品。苦くないピーマンにしぐれ煮の濃いめの味付けが組み合わさっており、スピードメニューとして悪くありません。
燻製加工を施したさんまの切り身と、ガリをあわせた創作的なおつまみです。青魚の風味を燻製で抑えつつ、甘酢の刺激で後味を整えることを意図した構成になっています。土台には芋が用いられており、思いのほか腹に溜まりました。
名物の焼売。岩中豚を使ったものが基本であり、鶏や鴨、仔羊など創作的なフレーバーが用意されています。肉は粗挽きで肉々しく美味しいのですが、このひと粒がマックのハンバーガーより高いのかと考えると、色々と思うことがありました。
コチラは豚の焼売を揚げたもの。外側の皮は加熱により硬めの食感に変化し、香ばしさが増しています。油のコクが加わることでより重めの食べ応えとなり、プレスされて平べったく登場するので、焼売とは別の料理と理解して臨んだほうが良いでしょう。
おでん盛り。コブミカンを用いて風味付けしていると主張があるのですが、私の鈍感な味覚では上手く感じ取ることができませんでした。つまりはコンビニのおでんと大差ない味わいであり、沖縄のおでんが基準の私にとっては物足りなさを感じてしまいます。
麹漬け鶏もも唐揚げ。麹の作用により肉質を柔らかくし、麹由来の塩気と甘みが下味として付いています。普通に美味しいのですが、このひと粒がマックのハンバーガーより高いのかと考えると、色々と思うことがありました。
〆にラー油チャーハン。ラー油の辛味と油分が支配的なのは良いのですが、焦げの苦味が強く感じられるスタイルでもあり、賛否が分かれるところでしょう。1,100円という価格設定についても、それじゃあ直接材料費率は何パーなんだと興味は尽きない。
以上を2人でシェアし、軽く飲んでお会計はひとりあたり7千円近くに達しました。うーん、これは高いなあ。それでも2.5時間飲み放題込みのコースは5千円ポッキリで用意されているので、我々の注文戦略に誤りがあったのかもしれません。ツマミは程々にガンガン飲みに行く、みたいな飲み会に向いたお店でしょう。「某星付きフレンチ店」がどちらのお店で、どのようなポジションを任されていたのかが気になるところです。

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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。

本場志向で日本人の味覚に忖度しない中華料理が食べたい方へ捧ぐ書。東京の、中国人が中国人を相手にしている飲食店ばかりが取り上げられています。ある意味では中国旅行と同じ体験ができる裏技が盛りだくさん。

ビストロ バー ア ヴァン コダマ(Bistrot Bar a vin Kodama)/渋谷

骨太で本格的なフランス料理と豊富なワインリストでコアなファンを維持する「ビストロ バー ア ヴァン コダマ(Bistrot Bar a vin Kodama)」に、2年ぶりにお邪魔しました。渋谷から宮益坂を登り切ったあたりに位置します。
店内はカウンター席とテーブル席があり、1〜2名でも利用しやすい雰囲気。ワインを飲むことが前提の店であるため、良く飲み良く食べるゲストにフィルタリングされており、みんな仲間な雰囲気に満ちています。
予約の電話口で「ワインは飲まれますか?」との確認が必ず入り、ノンアルコールはおろかビールすら認められません。これは決して排他的な選別ではなく、店のコンセプトや世界観を最大限に共有できる顧客を招くための誠実なフィルタリングであると解釈しましょう。ワインの殆ど(全部?)はフランス産で、8千円台~青天井と幅が広いリストです。
サバのエスカベッシュ。脂の乗ったサバを揚げ、酢と香味野菜の漬け汁に浸した地中海沿岸の料理。日本でいう「南蛮漬け」に近い調理法であり、脂の乗ったサバの強烈な旨味を、ビネガーのキリッとした酸味が引き締めています。
マグロのコンフィのサラダ。南仏の定番「ニース風サラダ」の構成要素をベースにしつつ、マグロを前面に押し出したひと皿。オイルで低温調理(コンフィ)されたマグロはシットリとしていて旨味が逃げておらず、ホロホロと崩れる絶妙な食感。そこに塩気の効いたアンチョビ、ブラックオリーブ、トマト、ゆで卵が加わることで、酸味・塩味・甘味のバランスが整います。
ナスのキャビア仕立て。ナスをじっくりと焼き、ペースト状にしてハーブやオリーブオイルで調味した南仏プロヴァンス地方の伝統料理です。キャビアのような見た目と濃厚な食感からこう呼ばれるそうです。ナスの凝縮された甘みと香ばしさにブッラータを大胆に合わせており、ナスのトロッとした舌触りとブッラータから溢れ出るミルキーなクリームが口の中で調和する。
パテドカンパーニュ。粗目に仕上げられており、レバー特有の濃厚なコクと脂の甘みがスパイスの香りと一体化。臭みを感じさせず、むしろワインを呼ぶ力強い味わいになっています。素朴で質実剛健なひと品です。
アンディーブとハムのグラタン。冬の家庭料理の定番であり、独特のほろ苦さを持つアンディーブをたっぷりのベシャメルソースとチーズで楽しみます。熱で苦味は和らぎ甘みに変わり、ハムの塩気と合わさることで複雑で奥深い味わいに。リッチな白ワインによく合う。
牛のバベットステーキ。ハラミに近い部位で繊維質で噛みごたえがあり、噛めば噛むほど赤身肉の強い旨味が溢れ出します。鉄の風味がエシャロットの酸味と絡み合い華やかな味わい。ビストロの真骨頂とも言える肉料理です。
〆にカスレ。フランス南西部の郷土料理であり、白インゲン豆とお肉を鍋で煮込んだボリューム満点のひと品。お肉は豚肉のソーセージと鴨肉で、肉のエキスが白インゲン豆のひと粒ひと粒にまで染み渡っており重厚オブ重厚。冬のフランス料理の醍醐味だ。
デザートにクレームブリュレ。スプーンでカツカツと叩いてカラメルを割ると、中からはバニラの香りが漂う濃厚なカスタードクリームが登場。焦がした砂糖のほろ苦さとジャリッとした食感、そして卵と生クリームのコクが凝縮されており、当店らしい濃厚な締めくくりでした。
以上を皆でシェアしながら食べ、ひとり1本ペースで飲んでお会計はひとりあたり2万円弱。ただしこれは高めのワインを楽しんだ結果であり、手頃なボトルもしくはペアリングプランなどを選択していれば1.5万円程度に落ち着くでしょう。全体的に茶色なビストロ料理が続くので、インスタ映え命なアッパラパーが居ないのがいいですね。美食家でなく食いしん坊。良く飲み良く食べる仲間たちと一緒にどうぞ。

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日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。