高級レストラン"また行きたい"偏差値【2023年1月最新版】

  • フレンチ イタリアン 中韓焼肉 和食 その他 
  • アルファベット表記は海外
  • 私の主観的な"また行きたい"偏差値です。味や店の優劣ではありません。
  • 閉店分を削除するなどメンテしました(2021年2月)。過去版はコチラ


【保存版】高級レストランでナメられないためのマナー集

高級レストランには一種独特の雰囲気があります。「なんだか店に値踏みされているようで居心地が悪い」と感じる方が多いかもしれませんが、その通り、店は客のことを値踏みしています。

「お客様は平等に扱う」なんてのは大ウソです。レストラン業界には『ソワニエ(大切におもてなしするべき客)』という言葉があるくらいであり、一流の客や金払いの良い常連・重い客に対しては恭しく接し、どう見ても場慣れしていない一見客に対しては、人間だもの、おざなりな対応になるものです。

そこで、「高級レストランにあまり行ったことは無いが、ナメられたくはない」と考えるワガママな貴方のために、高級レストランにおけるマナーを整理しました。結構な長文となってしまったので是非ブックマークして頂き、必要に応じて読み返して頂けると幸いです。

ぎおん 阪川(さかがわ)/祇園(京都)

祇園の街並みにしっくりと溶け込む「ぎおん 阪川(さかがわ)」。京都財界の重鎮から愛されつつ、ミシュラン1ツ星獲得、食べログ百名店にブロンズメダルも受賞と、各種メディアからの評価も高い日本料理店です。
1階はカウンター席に個室、2階には畳敷きの個室もあります(写真は食べログ公式ページより)。常連客が多く落ち着いた雰囲気で、豊胸くるくるぱーみたいな客は一切いません。大人のお店です。

坂川浩和シェフは「割烹なか川」で腕を磨いた後、当店を開業。丁寧で実直なお人柄が滲み出ており、料理人の鏡とも言える姿勢です。女将さんや若手の料理人たちも皆とても感じが良いです。
飲み物メニューはありませんが、最終支払金額から逆算するにビールは千円前後で日本酒も1合千円台でしょう。店主に相談すれば料理に合うものを提案して頂けます。
入店してものの数分で料理が並べられます。このスピード感すち。左は自然薯と卵白を昆布締めにしたもので、右はアワビを炊きモズクと合わせませました。いずれも軽い口当たりでありながらビールを飲ませる逸品です。
梅肉をハモで巻き込み揚げたもの。これまでの人生においてハモを揚げて食べる機会に恵まれなかった私ですが、なかなかどうしてこれもアリですね。梅肉の酸味とザクっとした衣が良く合い、やはりビールが進みます。
お造りはタイ、タコ、マグロ、ウニ。このタイはべらぼうに美味しいですねえ。歯を押し返すような歯ごたえがあり、実に健康的な旨味が乗っています。こんなに旨いタイはなかなかありません。
スッポンの煮凝りを湯葉で包みます。ミチっと凝縮感のある湯葉を開くとパンチのあるスッポンエキスがジュワリ。湯葉がいいですね。湯葉ってヘナチョコてろてろした硬度で使われることが多いですが、こちらはしっかりとした生地感のある味わい深いものでした。
ノドグロの塩焼き。特大の切り身を豪快に炙り、クリスピーな表面からジューシーな皮ぎし、ムッチリとした身の部分と味わいのグラデーションを楽しみます。
ハモとマツタケの土瓶蒸し。マツタケの高貴な香りを楽しみつつ、エレガントな味覚のスープを楽しみます。マツタケもハモもたっぷり用意されており、それらの食材で腹を膨らませるだなんてまあ贅沢。
まだまだハモが続きます。店主自ら目の前で次々と炙ってくれ、こんなにハモを食べた日は淡路島の「こゝちよ(ここちよ)」以来かもしれません。
イチヂクの酒蒸し。熟しつつも上品な甘味に、この白いタレは何だろう。思わず目を閉じる豊かな味わいに、イチヂクのボディとの黄金比とも言える調和が感じられます。これはフランス料理界隈であっても学ぶべき点が多くある。
子持ち鮎の煮付け。真っ盛りの塩焼きも良いですが、とろりと解れる卵をたっぷり口にするのも乙な味。実山椒のクールな風味とも良く合い、粘り強い旨さです。
茄子の揚げ出し。ジュワジュワとしたエキスを湛える茄子を揚げて旨味を閉じ込めつつ、(写真からは見えづらいですが)旨味の強い海老をトッピング。お出汁もパンチのある調味であり、酒の進むひと品です。
お食事は鯛茶漬け。どれだけ入っとるんやと心配になるほど鯛に溢れた茶漬けであり、四捨五入すると鯛かもしれません。海苔の風味も良くお出汁の旨さもズバリ。およそ考えられる限りではパーフェクトな鯛茶漬けでした。
水物で気分を落ち着けごちそうさまでした。以上を食べ、そこそこ飲んで3万円強。食材の質および量を考えれば大変にお値打ちであり頭が上がりません。錦衣玉食とも言える贅沢な食事でありながら嫌味にならない雰囲気づくりも素晴らしく、前日がチャラチャラした割烹で大いに不満だっただけに、余計に凄みを感じました。

常連の皆さま方は単品で好きなものを自由自在に注文しており、私もああいう大人になりたい。次回はアラカルトに挑戦したいと思います。

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京都はとにかく和食がリーズナブルですね。町全体の平均点が高いのはもちろん、費用対効果も良いことが多い。その文化に影響を受けてか、欧米系のレストランにも目が離せない魅力がある。
JR東海「そうだ京都、行こう。」20年間のポスターから写真・キャッチコピーを抜粋して一冊にまとめた本。京都の美しい写真と短いキャッチフレーズが面白く、こんなに簡潔な言葉で京都の社寺の魅力を表せるのかと思わず唸ってしまいます。

タイ・イサーン料理 ヤムヤム/恵比寿

地下鉄の恵比寿駅から歩いて5分ほど、恵比寿公園の近くにある「タイ・イサーン料理 ヤムヤム」。2023年夏にオープンしたばかりであり、飲茶が自慢の中華料理店「ル・パルク 恵比寿店(Le Parc)」のお向かいに位置します。
タイの屋台を詰め込んだかのような賑やかな店内。プラスチックのチープなイスが良い味を出しています。ちなみに当店は「イサーン料理」といって、タイ東北部の郷土料理を主軸に置いているようですが、一般的に馴染み深いベーシックなタイ料理も取り揃えられています。
ランチセットにはミニ生春巻きが付いてきます。具材はキャベツとキュウリが支配的で、ひと口サラダといった位置づけでしょう。甘酸っぱいソースとピーナッツがタイ感を深めています。
ランチメニューは10種類ほど用意されているのですが、私は「チムチュム」を注文。イサーン地方の鍋料理でたっぷりの野菜とハーブが入ったスープです。酸味が強く結構辛い。これぞタイ料理といった甘酸っぱ辛い味覚です。
野菜やハーブだけでなく、お肉も結構入っています。春雨もしっかりと組み込まれており、中々に腹に溜まります。
ライスは由緒正しきタイ米で、香り高く先のスープにピッタリ。プラス330円でミニガパオライスも追加できるとのことで激しく心を揺さぶられましたが、これだけでも中々の量だったので次回のお楽しみとしましょう。
これが正しい用法なのかどうかは存じ上げませんが、〆はライスをスープにぶち込み雑炊風にして頂きます。水分飛び目のタイ米がジュワっとスープを吸い込んでとても美味しい。
以上のランチセットが980円。恵比寿という立地を考えれば良心的な価格設定であり、その質も上々。タイ人シェフのニコニコとした表情にも心温まるものがあり、近所であれば何度でも通い詰めたいところです。

恵比寿のタイ料理ランチと言えば「ブルーパパイアタイランド 恵比寿店(Blue Papaya THAILAND)」が最強と信じていたのですが、当店にも見逃せない魅力を多く感じました。

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恵比寿も十番に負けず劣らず良い街ですよね。1度住んで、片っ端から食べ歩いてみたいなあ。よそ者ながら印象に残ったお店は下記の通り。
恵比寿を中心に話題店が整理されています。Kindle Unlimitedだと無料で読める。それにしては圧倒的な情報量。スマホやタブレットに忍ばせておくと出先で役立ちます。

クオーレ フォルテ(Cuore forte)/下北沢

下北沢北口の一番街商店街にある「クオーレ フォルテ(Cuore forte)」。知ったような書き方をしておりますが、私が下北沢という街を訪れるのは人生で2回目であり、2019年に「ユリイカ(EUREKA)」にお邪魔して以来です。
駅から歩いて7-8分に位置し、随分と若者の多い街だなあと感心していたのですが、当店はこの街の中では高めな飲食店であり、また、主力はナチュラルワインとややこしいコンセプトなので年齢層はかなり高め。ドーンと長いカウンターに10席強、テーブル席もいくつかあります。
グラスワインがたくさん開いており、その殆ど(全て?)が所謂ナチュラルワインです。若い女の子がそれぞれを説明してくれるのですが、きちんとした知識を備えており、彼女は将来、大物ソムリエールとなってワインバーを開業するでしょう。私の予想は結構当たるし、結構外れます。
アミューズにブルスケッタをお願いしたのですが、これはホットドッグですかというサイズ感で登場し、喚声が揚がります。ドルチェ(甘いタイプのこと)のゴルゴンゾーラサイズもかなりの厚さで塗りたくられており食べ応え抜群。
ツマミにトリッパのフリットを注文。思ったよりも臭みが強く途中から食べ疲れしました。この素材を用いるのであれば、普通にトマト煮込みのほうが良いかもしれません。
スペシャリテの「鶏バター」。バターで焼くというよりも煮るに近いバターの量。鶏そのものは綺麗な味わいの胸肉なのですが、何か罪を犯しているかのような気分にさせる背徳的な味覚です。
ウサギ肉のラグーのパスタ。これは正直微妙ですね。あっさりした味わいだとは覚悟していましたが、妙にシャバシャバとした口当たりでありレトルトのシチューを食べているかのようです。自家製のサルシッチャとかのパスタにすれば良かった。
フレッシュポルチーニは自家製のフェトチーネで。これはエリンギですかというほどのサイズ感でポルチーニを食べると言う稀有な体験。この夜わたしは恐らく世界で一番ポルチーニを食べた漢として歴史に記録されることでしょう。
ティラミスが中々、いやかなり美味しい。冒頭のブルスケッタ同様に常識外れのチーズクリーム量であり、コッテリねっとり至福のひととき。
以上を2人で食べ、結構飲んでお会計はひとりあたり1.5万円ほど。この日は割に派手派手に飲み食いしたためこの支払金額となりましたが、常識的な飲食量であれば1万円でお釣りが来るでしょう。料理によって当たり外れが大きい気がするので、何度か通って審美眼を養いたいところ。何なら常連に連れて行ってもらうのが手っ取り早いかもしれません。

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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。

日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。

餃子の店 もも/昭和町(大阪)

大阪は昭和町駅から歩いてすぐの路地裏にある「餃子の店 もも」。食べログでは百名店に選出されており、こんな所にこんなお店がと小さな衝撃を覚えます。
カウンター7席のみの小さなお店。ゲストの殆どが常連のようで、スナックよろしくおかみさんとのトークに花が咲きます。それでもおかみさんの手が止まることはなく、ワンオペながら実にスピーディーな運用です。
ビールは恵比寿の樽生。中々の飲みごたえであり、この量のエビスが600円で飲めるお店は珍しいと言えるでしょう。
「餃子焼けるまでちょっと待ってな~」と、サービスで豆苗のサラダをお出し頂けました。ベジファーストで望むところである。
イカの沖漬けが半解凍状態なのはご愛敬。手元でのんびりと溶かしながら酒を楽しみます。
さらにオマケで野菜スティックもお出し頂けました。ワンオペで調理に臨んではいるのですが、間が持たないと感じる前につくりおきの小皿をサっと出す。酒飲みにとっては堪らないシステムです。
餃子が焼き上がりました。1人前はひと口サイズで10個入り。焼きムラなくパリっと仕上がっており、食欲をそそる歯ざわりです。餡は思いのほかたっぷり詰まっており、タレなどつけなくてもそのままで美味しい。他の客はひとりあたり2枚3枚は当たり前に注文していました。
スープは生姜や胡椒などのスパイスがたっぷりきいており、パクチーも乗って東南アジアの屋台料理を食べているかのような気分です。
注文は出揃ったのちにもサービスでツマミをジャンジャンだしてくれます。トマトをコチュジャン(?)で漬けているのか程よく辛く、トマトの酸味と溶け合い新しい味覚です。
「セロリだいじょぶ?」と塩昆布で和えた一品もお出し頂けました。この夜わたしはビール・沖漬け・餃子・スープしか注文していないのに、この充実度合いです。
お会計をお願いすると冷凍庫からスっと出てくるピノ。完全にオカンのノリである。
お会計は2千円。ちょっと信じられない支払金額であり、注文した品数よりもオマケのほうが多かったという奇跡の餃子店。近所にあったら週に数回は通ってしまいそうです。ゲストのほとんどはひとり客であり、君たちとは仲良くなれそうだ。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。