a.ligne(アリーニュ)/新栄町(名古屋)

壺中天」や「ビストロ ダイア」、「ビストロ バッカス」などお気に入りのフレンチが揃う新栄町エリア。本日は「a.ligne(アリーニュ)」へ。2018年5月オープンと割に新しいお店です。
店内は薄いグレーでシンプルに。安藤忠雄設計の美術館のように開放的でスッキリとしています。入店時の手洗い必須、テーブル間隔を保ち消毒液を常設、従業員はマスク着用と新しい生活様式にピッタリのお店です。
高松章浩シェフは京都のフレンチや割烹で経験を積んだのち渡仏。トゥールーズのレストランで腕を磨き、帰国後は料理人としてだけでなくパティシエとしても活躍。ランチであればペアリング付きで税サ込8,470円(一休より)と良心的な価格設定です。
5種のアミューズ。わおー、小規模な個人店でこの品ぞろえには頭が下がる。12時にある丸っこい記事の中にはコーチンが詰め込まれておりとても美味しい。その他の1口も大変手が込んでおり、これだけでかなり飲める1皿です。
冷たいスープのベースはゴールドラッシュ(トウモロコシ)。大地を感じる強い甘味が印象的。新玉ねぎの甘味も組み合わさっており奥行きのある味わい。極めつけはゴロゴロと入ったホタテ。オマケという立ち位置では決してなく、むしゃむしゃと食べ応えのある1皿です。
サラダと見せかけて中には新鮮なアジがたっぷりと詰まっている。野菜と見せかけて魚を山ほど食わせる一皿。アスパラ主体のグリーンも高品質であり、毎朝食べたくなるヘルシーさです。
パンはシンプルながらも凝縮感があり美味。全体を通してソースがしっかりしているので、これぐらいの素朴さ加減がちょうどよかった。
ロッシーニ、ではなく牛肉の代わりにアナゴを用いています。アナゴはどうしてもウナギの下位互換のように扱わることが多く影が薄い食材ですが、この1皿に限っては別格。牛肉で食べるよりも遥かに美味しく、アナゴの未来を感じました。
アマダイはシンプルにブールブラン(バター)ソースで。付け合わせのお野菜がくるりんちょとしていて見て良し食べて良し。この店を好きでない女はもはや女ではない別の生き物だ、と、断定する根拠はありませんが、そうとしか思えない麗しさがここにはあります。
お口直しに季節のスロージュース。この日はケールを主体とした緑の野菜であり、メインに望むべく口の中をザザっと洗ってくれました。
メインは神戸豚。脂はそこそこ多いのですがスッキリと上品な甘味と旨味であり全体としてのバランスがとても良い。かなりの量なのですが、スイスイと食べ切ることができました。
デザートはバスクチーズケーキ。フォークを入れるとドバドバと流れ出るチーズの芳醇な香り。塩の風味を感じるアイスとの取り合わせも抜群であり、どこぞの商売人が作る名前だけの5千円チーズケーキよりも数段レベルは上に感じました。
小菓子まで恐ろしく手が込んでおり、それがいちいち旨い。アミューズにせよミニャルディーズにせよ、デザートにせよ、そのへんの緻密な作業クオリティが抜群です。シェフは料理人としてだけでなく、パティシエとしても大成したのではあるまいか。
アマゾンカカオティーで〆てごちそうさまでした。飲んで食べてお会計はひとりあたり1万円強と費用対効果の良さに瞠目します。コスパはさておき空間設計や客あしらい、料理の華やかさや本質的な美味しさなど私のツボにハマる部分が多く、名古屋いや日本においてもトップクラスに好きなフランス料理でした。

次回は是非夜に。ただしランチとしての完成度が高すぎてディナーではどうなってしまうんだろうという贅沢な不安もあります。オススメ!

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