La Panza restaurante español arrocería/銀座


アロセリア ラ パンサ。連れに当店を指定され、ネット上で情報を探っても情報が出てこない。入店すると、おや、どこかで見かけたイケメン店主だ。しかもアロセリア(米料理専門店)?もしかしてサルイアモールに関係する店?と連れに確認すると、「そうそう、オープンしてまだ3週間みたい」。
カヴァで乾杯。この日の東京の最高気温は5℃。おまけに雨。こんな日に限って用事が多く東京を縦横無尽に駆け巡りクッタクタだったので、泡が大変に美味しく一気飲みしてしまいました。
真イワシの酢漬けとエスカリバーダ。真イワシは期待通りの爽快感。適度に脂がのっており旨味も抜群です。白眉はエスカリバーダの茄子。エスカリバーダとは焼き野菜のマリネのことなのですが、茄子にビッシリと火が通されスモーキーな香りを醸し出し食欲がそそられます。
モルテルエロのサラダ 。モルテルエロとはラ・マンチャ地方の郷土料理。豚肉の身と様々な部位を中心にニンニクやハーブなどを練りこみペースト状にしたパテです。内臓特有の風味にクミン(?)を中心とした豊かなスパイス。初めて食べた料理ですが、幸せで充実する味わいです。
モルテルエロをパンにたっぷりと塗り、野菜をアクセントに一口でかぶりつく。「ほんこれ美味しいわ」と連れもバクバクとバケットに取り組む。あまり炭水化物を食べたがらない女の子にそのようにさせるのはモルテルエロの美味しさがなせるワザでしょう。
モルテルエロのスパイシーな味わいに敬意を表しガルナッチャ主体。サラダから赤ワインに突入するのは勇気が要りましたがこれがもうピッタリで嬉しくなる。
小ヤリイカの鉄板焼きとイカのコロッケ。想像していた料理と全く異なるものが登場し連れと顔を見合わせる。 コロッケを口の中へ放り込み奥歯で噛み締めると旨味が爆ぜる。鼻から抜ける潮の香り。ワインをガブリ。最THE高。

イカスミのソースがとにかく絶品で、ヤリイカの身にたっぷりと塗りたくり至福のひととき。イカを一通り食べ終わった後も、連れと競うようにソースをパンで拭い、ワインを飲む。レストランでパンをおかわりしたのは久しぶりだなあ。
真打登場。アロス・コン・ボガバンデ。オマール海老が丸々一匹入った汁気のあるパエリャです。濃密な海の香りが鼻腔を満たし食欲がスイッチオン。

筆舌に尽くし難い美味しさでした。海老を食べるよりも海老の味が濃い。私は死ぬときはエビに食われて死にたいぐらいエビが好きだし遺骨はエビに撒いてほしいぐらいエビが好きなので、私にとっての幸せを具現化したものがまさにこの料理でした。
もう少し胃袋に余裕があったので、ケソ・マンチェゴ(スペインの羊のチーズ)にカリンのジャム。塩気の強いケソ・マンチェゴは安定した味わいなのですが、興味深いのはカリンのジャム。甘さがほとんどなく、一方で果実の凝縮感が目立ちスイスイと食べ進む。
デザートワインにモスカテル。過熟したマスカットの甘いワインです。後述のブルーチーズのデザートの塩気と溶け合います。
カブラレスのタルト。カブラレスとはスペインのブルーチーズであり、現物を見ると引いてしまうぐらいおどろおどろしい迫力があるのですが、なるほど料理にしてしまえば見た目は気にならないですね。味わいは思う存分カブラレスが用いられており濃厚に次ぐ濃厚な一品。もはやデザートではなく酒のツマミでした。

銀座の地でテーブルにはクロスが張ってあったりと、代官山に比べると品の良い雰囲気ですが、客が和気藹々と会話を楽しみながら飲み食いする空気感は健在です。

料理は代官山に比べると塩気が控えめで、全般的に洗練されている印象でした。とは言えそれでも味は濃いほうなので、お酒を飲まずに水で通す人は当店の真骨頂を味わえないかもしれません。

嬉しいのは値段。代官山とそう変わらないんですよね。銀座って家賃高いのに同じ値段で大丈夫ですか?と店主に聞いてみると「家賃が高いかどうかは店側の都合ですから」と志が高い。

「渋谷あたりで女子会するんだけど、どこがいい?」と訊ねられると私は十中八九サルイアモールと答えるようにするのですが、「銀座あたりで女子会するんだけど、どこがいい?」の場合は当店をオススメしたいと思います。


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