みつき/鳥取駅

鳥取駅から徒歩数分にある歓楽街「末広温泉町」。無料案内所などピンク系のお店が多く、妙にオッサンがウロウロしているエリアに位置する日本料理店「みつき」。ミシュラン2ツ星です。
光井祐樹シェフは東京などで長く修行し、2013年に故郷の鳥取で独立。店外のいかがわしい通りの雰囲気とはかけ離れた静謐な空間。カウンター6〜8席に個室と、ちょうど良いサイズ感です。
さて鳥取と言えば松葉ガニ。ズワイガニの雄のことを山陰地方では「松葉ガニ」「松葉かに」と呼んでいます。当店はカニ専門店というわけではありませんが、私はどうしてもカニを食べたかったので、予約の時点で「松葉ガニを用意してほしい」とお願いさせて頂きました。
まずは茶碗蒸しで身体を温めます。具材はハマグリ。大ぶりでムニっとした食感がグッド。カニづくしのコースながら爪痕を残した一皿です。
白魚と空豆の天ぷらでビールをゴクゴクやります。いやあ、なんとも贅沢なツマミです。
さっきまで生きていた松葉ガニをバキンバキンとしばき倒し、まずはササっとお刺身で。とろりととろける蟹の身にオーバーシュートする身の甘み。まさに悶絶。
ちょっと炙ったシビマグロ。マグロの幼魚で、これが旨い。一般的なマグロのクリアな味わいに比べて味が濃く、肉々しい味わいです。辛味大根の爽快感もバッチグー。
トラフグの白子を炙り、フキノトウと共におじやとして頂きます。これはナイスアイデアですねえ。ふだん白子を食べる際、「ごはんがあればリゾットみたいになって美味しいだろうにな」と思うことが多かったので、望み通りの結果となりました。
お椀に炊いたタケノコに大量のカニのほぐし身。松葉ガニの美味しさは当然として、タケノコがすこぶる好調。それほど好きな食材ではありませんが、こちらに限っては頬っぺたが落ちました。
生の数の子に葉ワサビ、赤こんにゃく。一般的に流通している数の子は冷凍モノらしいのですが、こちらの数の子は非冷凍の生モノとのこと。
ここからは焼ガニ。ジャンジャカ焼いて頂けます。
やっぱカニって人に調理してもらってナンボですよね。いくらカニが出るからといって、自分でゴチャゴチャやらんといかん場合は美味しさも半減である。
ホワイトアスパラのすり流しにアワビ、カニ。アワビやカニの高級感はさておき、すり流しそのものが抜群に美味しいですねえ。滋味あふれる春の味。
火鉢でカニの甲羅を炙り、出汁でカニミソを溶きながらカニの脚をしゃぶしゃぶします。なんなんだこれは。「私は何も味付けしてませんえへへ」と笑う大将に頬ずりしたくなる美味しさです。濃厚にして濃密。ああ、思い出しただけでも涎が溢れてくる。
蟹の身を食べ終わった後は酒を注いでカニの甲羅酒の完成。もはや道楽。世界はコロナで大変ですが、常に、どこかしらで太陽は輝いているのである。
マナガツオを揚げてキンカンと共に食す。美味しいのですが、さすがにあれだけの最強軍団に濃厚接触した後では影は薄くなってしまいます。全部カニのせいだ。
松葉ガニ再登板。今回はフライ。カニミソをたっぷりつけて日本酒をクイ。いや、ビールもいい。ええい、両方おかわりだ!
締めのお食事ゎカニごはんだょ。ぐぁーなんだよこの迫力イーサン・ハントかよ。どこにこれだけの量のカニ肉を隠し持っていたんだと問い詰めたくなるカニの量であり、それに負けないカニミソの量量量!この時わたしは絶頂に達しました。
ハッハッハッ。美味しい。ちなみに牛肉のしぐれ煮や赤出汁なども用意してくれてはいるのですが、このカニめしの前ではやはり影が薄くなってしまいました。全てはカニの責任、松葉ガニの優越的地位の濫用である。
デコポンのゼリーでお口を整えてごちそうさまでした。

以上、飲んで食べてお会計はひとりあたり2万円強。都心の調子に乗った和食店の半額以下であり、2020年第1四半期ベスト費用対効果賞は当選確実。「ちょっと高くなってすみません。でも、この質のカニをこの価格で提供できるのは地の利ですかねぇ」とはにかむ大将。ぐはぁ、これは良いお店を見つけました。何といっても、食べログ3.10(2020年3月)で、口コミは僅か4件なのだから。


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