1976年創業の日本最古級スペイン料理レストラン「エル カステリャーノ(EL Castellano)」。当然に百名店に選出されており、日本在住のスペイン人も太鼓判を押すお店です。渋谷駅から宮益坂を登った青山学院大学の少し手前に位置します。
スペインらしく(?)賑やかで楽しい雰囲気。テーブルがギュウギュウに詰め込まれており圧迫感がありますが、特有の活気や熱気、客同士の一体感を生み出すための意図された演出の一部と考えましょう。平たく言うとスペイン料理の居酒屋であり、静かな食事には全く向かない環境です。
接客姿勢は人によってバラツキがあり、料理ひとつひとつを丁寧に説明してくれる方もいれば、黙ってポーンと置いていくだけの感じ悪い奴もいて困惑しました。どうせ労働時間は変わらないんだから、もっと楽しく働いたらいいのに。
まずは生ハム。程よい厚みがあり、噛みしめるほどに熟成された肉の旨味と脂の甘みが口の中に広がります。軽い泡にピッタリだ。
チョリソやサルチチョン、チーズの盛り合わせ。チーズは羊、山羊、牛のミルクから作られたスペイン各地のものが用意されており、日本でスペインチーズを食べる機会は中々ないので私嬉しい。
具沢山のサラダ。レタスやトマト、といった基本的な野菜に加え、ツナ、オリーブ、ゆで卵などがふんだんに使われる、スペインの伝統的なスタイルです。調味はごくごくシンプルで、素材の味そのものを楽しみます。
こちらはボケロネスでしょうか。骨を取り除いたイワシを酢で締めており、たっぷりのオリーブオイルと共に楽しみます。イワシ特有の風味は残りつつも、酢の酸味とオリーブオイルのコク、ニンニクの香りが調和し、キリッと冷えた白ワインに良く合う。
マッシュルームのアヒージョ。オリーブオイルとニンニクでじっくりと煮込まれており、キノコの持つ独特の旨味と香りがオイルに染み出し、またマッシュルーム自体もオイルを吸ってジューシーな食感に仕上がります。
こちらはエビのアヒージョ。グツグツと煮立った状態で提供され、鷹の爪のピリッとした辛味がアクセント。ニンニクの香ばしさとエビの出汁が凝縮されたオイルにパンを浸して至福のひととき。
タラのコロッケ。ジャガイモのような一口サイズのコロッケの中には塩抜きしてほぐした干しダラの身がギッシリと詰まっています。サクサクとスナックのように連続的に楽しむことができ、酒のツマミにピッタリです。
ジャガイモのオムレツ。スペインの国民食であり、外側はしっかりと焼かれ中はジャガイモのホクホク感と玉ねぎの甘み、そして卵の優しい味わいが一体となっています。食べ応えたっぷりで腹が徐々に膨れて来る。
お肉もシンプルな調理であり、バルサミコ酢やシェリー酒を煮詰めたような、甘酸っぱくコクのあるソースが脂の甘みと上手く調和します。添えられたピーマン(?)のほろ苦さと時折感じるピリッとした辛味が、味わいの良いアクセントになっています。
看板メニューのパエリア。魚介の出汁をたっぷりと吸った米が上手く、見た目は派手派手ですが米そのものが旨いひと品。芯がわずかに残るアルデンテに仕上がっておりポクポクと軽い口当たり。鍋にへばりついたオコゲの部分も見逃せない美味しさです。
デザートは全然美味しくないですね。コンビニスイーツと大差ない味覚であり、出さない方がマシなレベルです。これまでの料理は普通に美味しかったのに、どうしてこうなった。以上を食べ、ワインをひとり1本ペースで飲んでお会計はひとりあたり1.2万円。スペインの定番料理のオムニバスを腹いっぱい食べてこの支払金額はリーズナブル。良く食べる男子たちが一様に腹パンになっていたので、そのボリューム感も魅力のひとつでしょう。仕事の打ち上げなどワイワイやる飲み会に最適。お腹を空かせて行きましょう。
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- アロセリア ラ パンサ/銀座 ←サルイアモールの分店。リーズナブル!
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世界を席巻するスペイン料理につき、その美味しさの秘密を明文化。家庭料理から郷土料理、伝統レストランの逸品までが家庭のキッチンで疑似体験できるようになります。














