パーク ハイアット ニセコ HANAZONO

私は5年に1度だけ滑るヘナチョコスノーボーダーなのですが、今年はその5年目にあたります。「コロナ禍は鎖国しているのでニセコに外人が溢れておらず快適」との噂を聞きつけ「パーク ハイアット ニセコ HANAZONO」に早速予約を入れました。住友不動産のシティタワーのような外観がスタイリッシュです(写真は公式ウェブサイトより)。
前夜は小樽に滞在し、小樽から在来線で1時間かけて俱知安(くっちゃん)駅へ。そこからタクシーで10分ほどです。このあたりのタクシーは「冬季割増料金」なるものがあることを初めて知りました。事前に行程を伝えていたのでチェックインは実にスムーズです。
さっそくお部屋へとご案内。「キングスイート」という魅力的な響きの部屋に予約を入れていたのですが、ホワイエの時点でその広さが感じられます。
広い。81平米と、正直ふたりで過ごすには持て余すサイズ感です。こちらはリビングエリア。ソファは2人用のベッドに化けるそうで、最大4名で泊まることができるそうです。
ベッドルーム。重量感のあるベッドであり文句なしの寝心地の良さです。このお部屋にもテレビが備え付けられており、クロームキャストでお気に入りの動画を流しながらうたた寝できるという、人をダメにする構造です。
ダイニングラウンジ。床から天井まで全面のパノラマウィンドウが圧巻。ゲレンデビューではなく駐車場ビューなのが残念ですが(ゲレンデビューは「プレミアム・スイート」といってより高級な位置づけ)、ゲレンデが美しい時間帯はゲレンデにいるから、夜は真っ暗だから、と自分に言い聞かせます。
ネスプレッソ・TWGのお茶・ミネラルウォーターは無料。アルコール類は有料なのですが、ビールの中ビンが600円とホテルのミニバーとしては格安。圧巻はワイン類であり、ルイナールのブランドブランが1万円と、下手なワインショップよりも安い場面がありました。
ウェットエリアでは当然とばかりにダブルベイシン。また鏡にテレビが埋め込まれており、メイクやブローに何時間もかかるギャルにとっては丁度良い暇つぶしになる工夫があります。
マスターのバスルーム。ちょっとした子供部屋ほどの広さがあり、ハンドシャワーもレインシャワーも感度抜群なのですが、共用設備として温泉大浴場があったりプールがあったりしたので、結局このバスルームは使用しませんでした。
バスアメニティはパークハイアットお馴染みの「LE LABO SANTAL 33」。わざとらしくない香りがお気に入り。また、髭剃りのハンドルは木製であったり、歯磨き粉は「MARVIS(マービス)」であったりと、アメニティ類に力を入れているように感じました。
ウォークインクローゼットは4畳半近くあり、クローゼットというよりも部屋に近い広さで、動線も良く申し分のない使い勝手です。ちなみに玄関入ってすぐにはスノーウェアを仮置きする場所があったり、ゲスト用バスルームの近くにもゲスト用クローゼットがあったりと、専有面積の1-2割近くが収納に感じました。
こちらはゲスト用のバスルーム。序盤に記した通り4名2家族でも宿泊可能なのでウェットエリアが2つもあるのでしょうか。我々は2人で滞在するのにベイシンは3つもあるという間違った贅沢です。
ゲスト用にも独立したシャワーがあります。マスターのバスルームよりも取り回しが良く、スノボ後にサっと汗を流したい場面で活躍。
ネットの速度は中々のものですが、ライティングデスクが無いのが残念ですね。ソファやシャワー、洗面台にトイレは何個もいらんから作業台がひとつ欲しいところです。
共用設備に参りましょう。こちらはウインタースポーツ用のロッカールーム。1部屋にひとつ割り当てられルームキーと共用で開閉します。レンタル用品は使用日の前日15時から翌朝10時まで1日料金で借りることができ、前日にサイズ合わせをしつつ試し滑りし、本番では丸一日めいいっぱい雪山を堪能することができます。

ちなみにこのロッカールームにはパークハイアットのスタッフが常駐しており、ブーツを履いているとストックや板などは外まで持って行ってくれ、また帰投時にはグッズの雪を払いつつロッカーに収納してくれ、ブーツまで干してくれます。まさに至れり尽くせり。そんなサービス今まで受けたことないので最初は困惑したけれど、慣れればとても快適です。
ところで当館のお膝元であるHANAZONOエリアはとにかく品が良いですね。最新鋭のゴンドラにはレザーシートが配備されており、1グループ1ゴンドラ貸し切りと実に快適。スキーヤーとボーダー、若者と家族連れも上手く共存しており、まさに金持ち喧嘩せずな印象を受けました。
趣向を変えて泳いだりもしました(写真は公式ウェブサイトより)。何も雪山に来てまで泳がなくても、と連れには呆れられましたが、雪を見ながらのクロールというのも風情がある。コタツでアイスを食べるような感覚ですな。

ところで管理者がおらずコースロープも張られていないのが気になりました。このままでは事故や喧嘩が生じる虞があるのですが、まあ、冬季は利用者が少ないのでその程度のリスクは受容しようという割り切りなのかもしれません。
こちらはフィットネスルーム(写真は公式ウェブサイトより)。マシンやウェイトが充実しており、何も雪山に来てまで筋トレしなくても、と呆れてしまうぐらい充実した設備です。
温泉大浴場はイマイチですねえ(写真は公式ウェブサイトより)。ハードとしては悪くないのですが、予約を取るくせに現場では管理者がおらず、結果として誰も予約時間を守ることがありません。奇声を発する子供などはまだ良いほうで、バタ足を繰り広げるガキどもも居り、小児用プールと化する場面もありました。
ダイニングはリゾートホテルとしては素晴らしいラインナップですねえ。こちらはイタリアン「オリヴィオ(Olivio)」。こちらは前菜盛り合わせなのですが、この量で3,400円って安ない?味も本格派を通り越して本物であり、東京のヘタなイタリアンよりも満足度が高いです。詳細は別記事にて
「モリエール モンターニュ(Molière montagne)」は北海道のフランス料理界を長く牽引する 「モリエール(Molière)」のプロデュースであり、当館で最高級かつ最も人気の高いレストランです。リゾートホテル内のテナントであることを感じさせない、このまま東京に持って来てもトップクラスを争えるほどのクオリティであるのが素晴らしい。昼はパウダースノーを堪能し、温泉で汗を流して至高のフランス料理に舌鼓。ごちそうさまの後はそのままベッドにダイブしておやすみなさい。これぞ究極のウインターリゾートと言えるでしょう。詳細は別記事にて
「ザ・ラウンジ(The Lounge)」での朝食も中々のもの。卵料理はオーダー制で、その他の食事はビュッフェでどうぞというスタイル。このビュッフェのラインナップがリゾートホテルのものとしては中々で、「アンダーズ 東京 (Andaz Tokyo)」の朝食の品揃えの良さを思い出しました。詳細は別記事にて
総括すると、ハコの立派さや空間づくり、ダイニングの種類の多さと費用対効果はリゾートホテルとは素晴らしいものの、従業員のレベルやそのオペレーションについては他のハイアットに比べるとクオリティが低く感じました。「パークハイアット」と名乗ってはいますが、京都新宿とはまるで別物と捉えたほうが良いでしょう(価格も京都の半額だ)。
とりわけスタッフのサービスレベルは課題ですね。ニコニコと愛想は良いのですが、いちいち声をかけてくる割に役に立たないことが多く、上長に助けを乞うこともしないので、けっきょく私が色んなスタッフに何度も何度も同じ説明をするハメになり二度三度手間です。

ハウスキーピングやターンダウンの質も低く、全体的にレベルが低いのであればまだ理解できますが、日によって作業者によってクオリティがバラバラなのも困ったものです。世界中のありとあらゆる海で運行し、従業員の国籍や文化的背景も多種多様であるにも関わらず品質が高いレベルで均質化されている「プリンセスクルーズ」って凄いな、と改めて感服しました。
客層については「ハイアット リージェンシー 箱根 リゾート&スパ」に似ています。家族連れやグループ客が支配的でアッパー系。アダルトなカップルがしっぽり、という雰囲気ではなく、パパ活などは間違いなく後ろ指を指されるのでご注意を。「コロナ禍で外国人が少ない」とは聞いていましたが、それでも3割程度は外国の方のように見えました。
色々と愚痴っぽいことも書きましたが、(レジデンス棟を含めると)200室を超える大箱リゾートホテルであれば仕方のない面も多く、どうしても気になるのであれば同じニセコで50室のみで展開する「東山ニセコビレッジ リッツ・カールトン・リザーブ」や、近くに点在する10室以下のスモールラグジュアリーを選べという話です。ええ、ターゲット違いの私が悪いのです。

むしろ「家族でスキーに行きたいんだよね、どこがいい?」と尋ねられれば、当館のことは積極的にオススメしたい。「家族連れだとちゃんとしたレストランに行けないんだよね」という悩みの解消にも繋がり一石二鳥です。あえてオフシーズンにダイニングを楽しみに行くという選択肢もアリかもしれません。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。