ロテュス(le Lotus)/高岳(名古屋)

住宅街の中に程よく佳店が点在する泉エリアに開業した「ロテュス(le Lotus)」。2019年にオープンしたばかりの新しいお店ですが、食べログでは百名店に選出されています。
エクステリアが素敵ですが、内装はもっと素敵。壁はシックなグレーなのであり、カウンターやテーブルなどは対照的に温かみのある木材を多用しています。テーブル間隔は広く居心地抜群。採光も最高で実にヘルシーな雰囲気です。

井口佑シェフは愛知・神奈川・大阪のレストランで経験を積み、寝台列車「瑞風」の厨房を預かったのち、2019年に当店を開業しました。
暑い日だったのでまずはビール。私の好きなイネディットが千円ポッキリと良心的。そういえばミネラルウォーター代も取られておらず、全般的に気前の良いお店なのかもしれません。
アミューズが楽しい。右からナポリタン、エビフライ、ひつまぶし、小倉トースト、味噌カツと、名古屋めしをイメージした面々なのですが、決して企画モノというわけではなく料理としてきちんと美味しいのが素晴らしい。きっとシェフはものすごく凝り性なのでしょう。
地元のタコにブロッコリー。タコは焼いたり揚げたりと多彩な調理であり、口当たりに変化が生まれてナイスです。ソースは自家製のマヨネーズ。ビビッドな酸味が全体の味覚を上手く取りまとめていました。
こちらも愛知県産の鶏肉。焼いただけでバリ旨いお肉にフレンチの技巧が重なり、要するに最強です。こちらも豆によって食感が移り変わり食べて楽しいひと皿です。
パンが美味しいですねえ。どこか有名なパン屋さんから取っているっぽいのですが、穀物の豊かな風味が折り重なり、たっぷりの発酵バターと共にもうこれだけで立派なごちそうです。
お魚は黒ムツ。シェフの親族が五島列島にゆかりがあるそうで、そちらからの直送品。皮目はバリっと香ばしく、身はふんわりとエアリーな食感。濃密なホワイトアスパラのソースも含め、記憶に残る魚料理でした。
メインは北海道産のジャージー牛。薪の香りを上手に与えており(凝り性だ)、赤身の力強い味覚に香ばしいアクセント。付け合わせのタケノコやジャガイモも滋味あふれる味わいであり心に残りました。
デザート本編に入る前のひと皿はイチゴ。フレッシュなものもあればドライフルーツ化したものもあり、シェフは複雑な食感をひと皿に盛り込むのが好きなのかもしれません。オリーブオイル風味のシャーベット(?)もオシャレな味わいです。
メインのデザートはチョコレート特集。確か4種の形態のチョコレートを並べており、やはり凝り性な漢である。クレームブリュレのアイスクリームからは不思議とカラメルの焦げた風味が感じられ、大人ビターな美味しさです。
小菓子もしっかり付いてきて、それがいちいち美味しい。紅茶と共に余韻を楽しみごちそうさまでした。

以上を食べ、コース料理だけで1万円を切ってきます。何この費用対効果信じられない。東海の食材を積極的に起用する姿勢も魅力的で、東海3県の食材をプレゼンテーションするメディアとしての役割を果たしているのも好印象。加えて殆どの料理をアラミニュイットで提供する点にも料理人としての矜持が感じられ、この店を悪く言う人は絶対に居ないと思います。次回はディナーに訪れて、しっかりワインと合わせてみよう。オススメです。

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