実伶(みれい)/丸太町(京都)

御所南エリアの割烹の中でもトップクラスに評判の良い割烹「実伶(みれい)」。基本はアラカルトでの注文で、50近いお品書きからアラミニュイットで提供するスタイルが評判です。ちなみに店名は画家のジャン=フランソワ・ミレーにちなむそうです。
店内はカウンターが8席に奥に個室のテーブル席が1卓(写真は食べログ公式ページより)。重々しい日本料理店というよりはフレンチやイタリアンのカウンター形式のお店のような居心地の良い雰囲気です。店主を含めスタッフの殆どが標準語なのが印象的。

中尾雄三シェフは長崎出身で、北陸や京都の旅館や祇園の割烹で腕を磨いた後、2016年に独立。ミシュラン1ツ星で、食べログではブロンズメダルや百名店にも選ばれています。
ビールは千円を切り、日本酒も1合で1,500円前後と、この手のレストランとしては悪くない価格設定です。東京の背伸びしたい居酒屋が似たような値付けという意味では良心的と言えるでしょう。
先付。左奥が卯の花で、いま貴方が想像しているようなおから料理とは5段階レベルが高い美味しさ。右手前はタケノコをすりおろし、うすい豆を混ぜ込んで揚げた、ありそうでない一品。揚げたてなのがとっても嬉しい。
すりながし。こちらもうすい豆を軸に春野菜をたっぷりと含み、季節を感じさせる美味しさです。こういう料理を毎日食べて暮らしたい。
蛸やわらか煮。旨味の強い食材ですが、それに負けない強い調味が酒を呼びます。とは言えお出汁のジュレで全体を上手く中和させるなど心憎い演出も。
伝助穴子は白焼きで頂きました。目の前で串が打たれ、そのまま炭火で丁寧に焼かれるライブ感。割烹料理店の醍醐味です。
蛤春野菜しゃぶしゃぶ。ブリブリに肉厚のハマグリをごっそり頂き至福のひと時。特に調味は行わず、貝の塩気と野菜のエキスでどうにかなってしまうのが素晴らしい。
あじフライ。そのままお造りでも食べることができそうなビンビンの個体をじっくりと深く揚げていきます。香ばしく深みがあって美味。ビールの苦味がとても良く合う。
ポテトサラダはいま貴方が想像しているようなジャガイモ料理とは5段階レベルが高い美味しさ。芋そのものの味わいが濃厚で、ところどころお漬物(?)が組み込まれておりキュムキュムといった歯ごたえが心地よい。
唐すみ餅。周りのみんなたちが皆、旨そうにかぶりついていたので、ハミゴは良くないと我々も慌てて注文。カラスミの旨さは当然なのですが、お餅が玄米を用いて作られており、その深みのある味わいに心をうたれました。
自家製の京あげ。こちらも目の前の焼き台でこんがりと焼き進められ、目で既に美味しい。削りたての鰹節も風味が良く、素朴な料理ながら小高い味わいです。
甘鯛ゆばあん。ムッチリとした食感でクリアな味わいの甘鯛に心を惹かれます。白眉は湯葉で、思いのほか厚みがあり、決して脇役ではない存在感のある味わいです。
和牛ビフカツ。鉄板焼き屋で食べれば万単位の金額を請求されそうな肉塊を、ザブっと気持ちよく揚げていきます。ただ揚げるだけでなく、いったん引き上げたのちアルミホイルで休ませてからもう一度揚げるなど、料理係る愛情を感じさせる調理です。
〆のお食事に毛がにと新生姜の釜御飯をチョイス。いかにも旨そうな甲殻類の香りとショウガのスパイシーな香りが食欲を刺激します。
ゴハンの美味しさはもちろんのこと、赤出汁やお漬物の状態も素晴らしい。パーフェクトと言える締めくくりでした。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり2万円強。東京在住者としては信じがたい費用対効果の高さです。この質および量で、東京の話がつまらない日本料理店よりも安くつくとは悪い冗談としか思えません。

店主を始めスタッフのみんなたちも気持ちの良い接客で、常連客が多めではあるものの一見に対しても分け隔てなく接してくれるのが嬉しいですね。インバウンド勢に遠慮して暫く京都通いを控えていましたが、再開する意欲を掻き立ててくれたディナーでした。

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