Il Lato(イル ラート)/新宿三丁目

「OSTERIA ORIERA(オステリア・オリエーラ)」で腕を振るったシェフが新宿の地に凱旋。場所は新宿三丁目、伊勢丹近くの雑居ビル4階。2021年2月という天歩艱難なタイミングでの開業ですが、ゴエミヨ2022に早速掲載されており、人気のほどが伺えます。
店内は厨房をぐるりと取り囲むカウンター席にテーブル席が3卓(写真はヒトサラ公式ページより)。木材を多用したインテリアで、ややもすると割烹料理屋のような凛とした空気が流れます。

古井繁規シェフはピエモンテで腕を磨いたのち、「OSTERIA ORIERA(オステリア・オリエーラ)」や「リストランテ ペガソ(PEGASO)」などの人気店の厨房を預かった後、独立。
ワインはもちろんイタリア中心で、最多価格帯が1万円前後。ワインリストは無くソムリエールと相談しながら選んでいくスタイルなのですが、彼女の感じがすごく良いので思わず本数を重ねてしまいます。
名刺代わりにとカツオ。そう、当店の目玉は魚介類であり、のっけから主役級の厚みでの登場です。パワフルなカツオの旨味に思いきりの良い調味。スパークリングワインがスパっと進むひと皿です。
サラダは香り高いハーブが百花繚乱。葉っぱによって風味が異なり、ひと口ごとに味覚が移り変わります。仄かな苦みが食欲を刺激する。
オリエーラ時代からのアイコンとも言えるタコパン。デザート時のドラえもんの皿にせよ、シェフはひょうきんな方なのかもしれません。
続いてはホッキ貝。鮨屋で食べると独特の臭みが気になる場合がありますが、当店は上手く調理されているためか貝の美点のみが強調されベリーナイスです。プリン状態にあるのはホワイトアスパラで、ジューシーな甘味がホッキ貝のコクに良く合う。
ミネストローネが優しい。巷間に流布するミネストローネとは一線を画し、刺々しさは1ミリもなく「滋味深い」という表現がピッタリの味わいです。夜食とか朝ごはんに常備したい。
お魚は甘鯛。自身のお出汁で蒸しただけという究極にシンプルな料理ですが、なんとも優雅で繊細緻密な味わい。プルンとしたゼラチン質に脂の甘味。日本料理のようにキリリとした味覚です。
こちらは金目鯛。甘鯛から転じてソースはクリーム調ですが、やはり無欲恬淡とした魅力があり、ソースと魚が調和します。コッテリしたワインに良く合う。
肉厚なメヌケとズワイガニのコラボ作品。オリガルヒ級の贅沢なひと皿であり、メヌケの面妖な味わいにズワイガニの強靭な旨味が補強され美味しさは青天井。
パスタはしっかり2種出て来ます。まずはホタルイカ。大人の苦みが食欲を刺激し、あと一口もう一口と食べる手を止めさせません。麺そのものも実に美味しく、畢竟、麺料理とは手打ちに限ると納得した瞬間です。
お肉のパスタも出ます。ミルキーでセクシーなフレーバーがインプレッシブで、それはつまり日本語に訳すと快哉を叫びたくなるほどの美味しさでした。何なん魚介料理が得意とか言って肉もパスタまで旨いとかチートじゃね?
お肉料理は「但馬玄(たじまぐろ)」。自然の中で育てた健康的で上質な脂と赤身の深い風味はまるでマグロのようである、との事で命名された超高級ブランド牛ですが、16,500円のコースで出てくるってやばない?

前置きはさておき、やはり肉そのものが超然とした味わいで、アメリカ系の赤身推しの肉ともまた違った美味しさ。かなりの皿数でパスタを2種楽しんだ後だというのに光の速さで完食です。
デザートの主役はイチゴ。フレッシュなイチゴとそのソースが爽やかな酸味を湛えており、濃密なミルクのジェラートの甘味とマッチします。アクセントのピスタチオの香りもグッドです。
続いてシュークリームにプリン。まさに王道3時のオヤツといった味わいであり、ノスタルジックな魅力にあふれています。
小菓子とお茶までシッカリ出ます。先の但馬玄は異例としても、これだけの質および量をズバズバ出してお食事だけなら16,500円というのは大変お値打ち。気を良くしてガバガバ飲んで今回はひとりあたり3万円を超えてしまいましたが、常識的な酒量であれば2万円強あたりに着地することでしょう。
お金の話はさておき、魚介類の取り扱いについてはイタリアンというジャンルを超えた魅力があります。食材の本質を突き詰めた往生際の良い料理であり、食べて全く疲れない。連れは小食なのですが余裕でスルスル完食していました。

お魚料理のひとつの究極系。魚介類が自慢のイタリアンレストランは、そう自称する前に当店を訪れ身の程を知っておくべきでしょう。オススメです。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。

日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。