スリオラ(ZURRIOLA)/銀座

麻布十番から銀座に移転したスペイン料理の雄「スリオラ(ZURRIOLA)」。交詢ビル4階のグルメフロアに入居しミシュラン2ツ星で食べログではブロンズメダル獲得と、王者の風格すら漂わせています。
入店して驚き。お出迎えのレセプショニストはいるわオープンキッチンのカウンターはあるわダイニングはあるわ個室はあるわで麻布十番時代から大幅に拡張しグランメゾン化しています(写真は公式ウェブサイトより)。サービススタッフもめちゃんこ多い。

本多誠一シェフはフランスやスイスでフランス料理を学んだ後、スペイン料理へと傾倒。バスク地方で腕を磨き、帰国後は日本料理「龍吟」日本橋「サンパウ」で腕を振るいました。
ワインはスペイン料理店としてはかなり高級なラインナップ。私はスペインワインについては不勉強で相場もわからないため、ペアリング3杯セットをお願いしました。結果としてこれが大正解。エスプモーソから始まり白赤と、スペインワインのポテンシャルを感じさせる魅力的なグラスが続く。はまりそうだ。
泡に合わせて軽いスナック。豚の形をしていたり、オリーブオイルがたっぷり詰まっていたりと遊び心に溢れています。
タパス。鮎はシンプルに揚げただけですが、心地よい苦みが酒を呼びます。奥の白いのはイカであり、クリアな味わいながら甘味は強く、イカんともしがたい美味しさです。
タパス、続く。イワシを用いたひと品なのですが、これはもうべらぼうに旨いですねえ。イワシの脂がたっぷりで、食べるというよりも飲むという行為に近い、旨味ドゥヴァーでドーバー海峡クラスの美味しさでした。
旬のホワイトアスパラガスにペドロヒメネス(シェリー)で風味づけしたフォアグラ。フランス料理的な味覚であり、大向こうを唸らせる技巧が感じられます。ボリューム感のある白ワインともよく合う。
パンは穀物の風味豊かな逸品であり、燻製したホイップバターと共に頂きます。このホイップバターが旨くって、薫香が食欲を誘い、場をつなぐつもりが無限ループでパンを食べ続けてしまいました。
玉ねぎのフランはホタルイカと共に。オニオングラタンスープを茶碗蒸しにしたような味覚であり、焦がした玉ねぎとホタルイカの内臓の苦みがベストマッチ。アダルトなビターを楽しむ傑作です。
お魚料理は甘鯛のうろこ焼き。こちらもフランス料理風で、ほどよくカレーの風味が漂い親しみやすい味わいです。ところでこの皿に限って異常にテンポが悪く、前の皿から30分以上待たされたのですが(焦がしちゃったんかな)、サービススタッフから何のフォローも無かったのが残念。トラブルが生じてしまうのは仕方がありませんが、このクラスのレストランであれば、そこはチームでフォローし合って欲しいところです。
メインはイベリコ豚。え?これがイベリコ豚?私にとってイベリコ豚とは生ハムで食べる食材であり、無理に焼いて食べたりするとクセを感じることが多いのですが、当店のそれは一点の曇りもないほど清澄な味わいであり、ややもすると牛肉に近いエレガントさを感じました。チーズを用いたソースもコクがあって美味しい。達する達する。本日一番のお皿です。
もしお腹に余裕があればということでお米料理。生米から調理を開始しているのか、日本のゴハンものとはベクトルの異なる食体験であり、貝の旨味と米の歯ごたえを楽しみます。ちなみに追加料金というわけではありませんでした。
デザートは牛乳特集。ミルクのアイスにチーズのムースにミルクのキャラメル。統一感があって味覚が調和しているのが良いですね。一方で、これまでの華やかな料理に比べる地味に感じる部分もありました。
お茶菓子はカカオ特集。フランス料理店で凝ったショコラを出すお店はたまにありますが、日本のスペイン料理店という意味では初めての体験です。いずれも高品質であり、カカオとトンカ豆から抽出したエキスのジュースもオシャレな味わいです。
ハーブティーでフィニッシュ。ごちそうさまでした。

お食事代が約1万円、ワインの3杯セットが6千円強で、税サを含めてひとりあたり2万円弱。ランチとしては高価に見えますが素晴らしい食後感。ちょっとした海外旅行級の満足度であり、麻布十番時代よりも格段に進化しているように感じました。これはディナータイムが気になりますねえ。次回は夜にお邪魔したいと思います。

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