ミシュラン星付きレストランを300軒食べ歩いた結論

お邪魔したミシュラン星付きレストランの数が300に達しました。

記念事業的に全記事1,300本を見直し、「★★★(感動的)」「★★(季節ごとに行きたい)」「★(記憶に残る)」の3つの観点で整理しました。

「高級レストラン"また行きたい"偏差値」と整合が取れていない部分もありますが、「また行きたい」感情と、「感動的」「季節ごとに行きたい」「記憶に残る」感情は別物なんだなと、あまり深く考えないで頂ければ幸いです。

高級レストラン"また行きたい"偏差値

  • フレンチ イタリアン 中韓焼肉 和食 その他 
  • アルファベット表記は海外
  • 客単価1万円以上 or ミシュラン星獲得
  • 主観的な"また行きたい"偏差値です。味や店の格付けではありません。
70 ガストロノミー ジョエル・ロブション 

麻布十番グルメまとめ

  • 金額は1人あたりの食事代+サービス+税。酒は除く。
  • フレンチ イタリアン 中韓焼肉 和食 その他 に色分け。
  • ★はオススメ。取り消し線は閉店。
【ディナー】
<10,000円~>
★ALLIE ★嘉YOSHI グリグリ  エレネスク ル クラヴィエール 有栖川 HAL PINOT ブルガズアダ エルブランシュ  
ピアットスズキ ケ パッキア   
富麗華
★かどわき ★ふくだ ★あらいかわ 哲庵 よこ田 畑中 たきや 幸村 秦野よしき 尾崎幸隆 東郷 おざき 割烹喜作   

<5,000~9,999円>
★カラペティ・バトゥバ! ★ラリューン ★麻布れとろ ★RRR ★ルエ ヴェル ロール イグレック モワルーズ ChezTAKA スペード ポトローズ マルシェデジュウバン ビストロコティディアン
★カーザヴィニタリア ★プリンチピオ アルティジャーノリック ヴィノヒラタ イル・マニフィコ 
★ナポレオンフィッシュ ブルズ コソットsp 石頭楼 飄香
★嶋家 旬菜本多 あそこ はじめ いぐち 中目黒いぐち上ル 鶏繁 りゅうの介 あら喜 あみ城 瀬尾
★鉄板バンビーナ ★ワカヌイ ワカヌイラムキュイジーヌジューバン ウルトラチョップ インティライミ Chef's Table  旬熟成 TERRA ヒツジサンライズ アパッペマヤジフ   

【保存版】高級レストランでナメられないためのマナー集

高級レストランには一種独特の雰囲気があります。「なんだか店に値踏みされているようで居心地が悪い」と感じる方が多いかもしれませんが、その通り、店は客のことを値踏みしています。

「お客様は平等に扱う」なんてのは大ウソです。レストラン業界には『ソワニエ(大切におもてなしするべき客)』という言葉があるくらいであり、一流の客や金払いの良い常連・重い客に対しては恭しく接し、どう見ても場慣れしていない一見客に対しては、人間だもの、おざなりな対応になるものです。

そこで、「高級レストランにあまり行ったことは無いが、ナメられたくはない」と考えるワガママな貴方のために、高級レストランにおけるマナーを整理しました。結構な長文となってしまったので是非ブックマークして頂き、必要に応じて読み返して頂けると幸いです。

十牛庵/高台寺(京都)

ひらまつグループが初めて手がける和食料亭。老舗料亭「土井」のハコをそのまま譲り受け、数寄屋造りの匠である中村外二工務店がリノベーションを手がけての開業です。
八坂神社と清水寺の中間に位置し、観光客にとっては便利な立地。何人ものスタッフの方が軒先で出迎えて下さり、まるで私がベリーベリーインポータントパーソンになったような錯覚にとらわれます。
いくつかの個室がありますが、我々はライブ感覚が味わえるカウンター席に通して頂きました。 草喰 なかひがしのようにギュウギュウに詰めれば10人以上並べそうなものですが、今回は6人での利用と実にゆとりのある空間使いです。
いくぶん空に明るさが残っていたので障子を開けて頂きました。眼前に広がる二千坪の庭園。明治41年に数寄屋造りの名工・上坂浅次郎ならびに北村捨次郎により建築された館と、庭師七代目小川治兵衛が作り上げた庭園を有する日本でも有数の歴史的建築物とのこと。
酒の値付けが支離滅裂。この瓶ビールは1,200円でありサービス料が15%に消費税が8%と、世界でもトップクラスに割高なエビスです。日本酒も1合3,000円を超えるものが主体で軽く引く。一方でワインが格安。ドンペリの06と09がいずれも19,000円と小売価格と同等、サロンに至っては40,000円〜と、アリババの洞窟のように財宝に溢れています。

和食には日本酒と決めてはいるものの、こうもワインが割安だと、うっかりワインに目が向いてしまう。店側も気を利かせて併設のフレンチレストランのワインリストまで持ってきてくれ、これが火に油を注いでしまい、何を飲むべきか今世紀最大級に悩んでしまいました。妻からは「飲みたいならさっさと注文しなよ。ただ、あんたが和食には日本酒だ、テロワールだ、って常日頃ごちゃごちゃ言ってることは指摘しておく」と毒にも薬にもならぬアドバイス。
えんどう豆のスープに旨味の強いジュレ。野太いホワイトアスパラガスの上に良い香りのするホタテを載せ、ウニ先輩とキャビア先生をトッピング。これはもう、誰が何を言っても旨いですね。ひらまつらしくフランス料理のエスプリもあるなあと一瞬思いましたが、この皿は何料理とかそういう話ではなく、食べ物として本質的に美味しいです。
お椀は出しの旨味が峻烈。非常にわかりやすい味付けで、脊髄反射で美味しい。具材は揚げた鯉なのですが、素材特有の臭みなどは一切感じられず、素材の良い点だけを抽出しております。
刺し身は沖縄のマグロにタイ。これはまあ中くらい。美味しいは美味しいのですが、2万円の料理であれば当然といったクオリティです。それでも芽ネギと山葵のフレッシュさが心に残りました。
焼き物は長崎のアマダイ。目の前で串を打って塩をふって炭火で焼いてくれるのですが、それだけのシンプルな調理なのになぜここまで旨いのか。長崎に嫁いでアマダイ漁師になるのも悪くないなと思わせるほどの旨さでした。ポーションも大きく、下手な焼き魚定食よりも食べごたえがあります。オリーブには味噌を詰め込む一工夫。
端午の節句にちなみ、ちまきと柏餅。シュルシュルと紐を解くと、
ちまきには小さなごはんに鯛の昆布〆(?)。笹の香りとタイの旨味が渾然一体となり、シンプルながら実に美味。
柏餅には穴子。ぷっくりと膨れ上がったその身の表面は香ばしく焼き上げられており、食欲をそそる旨さです。
肉料理として松阪牛。ううむ、間違いなく美味しいのですが、唐突に脂が強く、ヒステリックに感じてしまいました。もっと違うシチュエーションで食べたいこの料理は。
そうそう、お酒の話なのですが、散々悩んだ挙句に結局日本酒をお願いすることにしました。十牛庵という京都のお酒だったので、これは当店のPBでしょうか。1合で3,000円と人生トップクラスに高価な日本酒でしたが、味はまあそれなりといったところ。
こちらを振り返っているのは稚鮎。素揚げしてマルゴット頂くと実にビターな大人の味で、生の息吹が感じられます。その苦味を全面的に受け止めるのはやはり濃いめの旨い出汁。好きだなあ、ここの出汁。湯葉やミョウガなどの脇役陣にも抜け目なし。
お食事前にお漬物。このお漬物のレベルが非常に高く、決して食事のサイドストーリーでなくこれ単体に心から美味しい。酒のツマミとしてあっという間に食べきってしまうと、何も言わずにスっとおかわりを出して下さいました。よく食べる客に気持ちよく出す店。心が通じ合った瞬間である。
赤出汁には生麩。生麩って無条件に美味しいですよね。生麩屋に嫁いで生麩職人になるのも悪くないなと思わせるほどの旨さでした。
鯛めし。ひとりあたり約1合とたっぷりのボリュームです。食べきれなかった分は持ち帰れるかと相談すると、ここのところ気温が高く傷んでしまう恐れがあるためNGとの回答。

私はひらまつグループの株主であり、言ってみればこの店のオーナーだ、食あたりになったとしてもそれは全て私の責任であり、当局に駆け込んだりするようなことは絶対にしないから、何としてでも持ち帰らせてくれ、さあ、いますぐ弁当箱を持って来い、と強要したというのは真っ赤なウソであり、黙ってその場で全部食べ切りました。
ゴマやショウガの香りが強烈で、ややもするとカオマンガイチキンライスのようなオリエンタルな風味が感じられます。米の質も炊き加減もパーフェクト。日本料理の美点ってこういうところだよなあと、ひとり納得する美味しさでした。
水菓子には苺。一粒500円はしそうな巨大植物であり、ジャクっとした食感が堪りません。グラニテを敷き詰める試みも興味深い。
お菓子はカキツバタをイメージしたもの。美しくはあるのですが、ひたすらに単調な甘さが続く割に量が多く途中から飽きてしまいました。まあ、和菓子とはそういうものである。
〆にお抹茶。まさにジャパニーズ・エスプレッソといった味覚であり、口腔内に強烈なカフェインが満ちてきます。
お会計はふたりで5万円強と決して安くはありませんが、これだけ趣のあるハコの中でしっとりと落ち着いて食事ができるのだから、非日常の体験という意味を含めてリーズナブルと判断します。みなさんの京都の料亭のイメージをそのまま具現化したようなお店であり、外人を連れて行けば死ぬほど喜ばれることでしょう。

目の前の料理人には威圧的なところは全くなく、とても居心地良く食事を楽しむことができました。そういう意味で、料亭の入門編として利用するのも良いかもしれません。京都旅行で勝負の和食を1つ挟む場合、当店を選べば外れることはまずないでしょう。

次回は、お隣のフランス料理店にお邪魔してみたいと思います。飲めなかったワインをたっぷり飲むのだ。


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京都はとにかく和食がリーズナブルですね。町全体の平均点が高いのはもちろん、費用対効果も良いことが多い。その文化に影響を受けてか、欧米系のレストランにも目が離せない魅力がある。
JR東海「そうだ京都、行こう。」20年間のポスターから写真・キャッチコピーを抜粋して一冊にまとめた本。京都の美しい写真と短いキャッチフレーズが面白く、こんなに簡潔な言葉で京都の社寺の魅力を表せるのかと思わず唸ってしまいます。

関連ランキング:懐石・会席料理 | 祇園四条駅

海老麺総本家 地元家/高岳(名古屋)

麻布十番に税サを請求する職業意識に欠けたラーメン屋があり、なんだかんだで1杯1,500円を要するのですが、驚くべきことに名古屋へも出店しています。
麻布十番店とはコンセプトが大きく異なり、当店は一般的なラーメン屋といった趣き。券売機で食券を買うというシステムであり、もちろん野放図に税サを追加請求することはありません。
麺のメニューは十番店とほぼ同じですが、大きく異なるのはその料金。十番では1,500円近くするラーメンが、いずれも1,000円以下で食べることができます。

ただし、もちろん麻布十番店との対比という意味では安く感じるのですが、名古屋のラーメン市場という意味では高い部類に入ります。それを受けてか、21時前というラーメン屋としてはゴールデンタイムに近い時間帯であっても、客は私ひとりだけでした。
「こだわりの食べ方」として、最後にスープの中へ〆のライスを入れておじや風にして食べることが推奨されているのですが、驚くべきことにライスが売り切れていました。閉店まであと2時間近くあるというのにのにこの営業方針は解せません。インドであればセポイの反乱を引き起こしかねないミステイク。
海老味噌麺が到着。海老の香りがぷうんと漂い食欲をそそるのですが、麻布十番店に比べるとパンチが弱い気がしました。他方、スープの量は麻布十番店の倍以上あり、これはたっぷりと飲むことができて楽しかった。
麺は弾力のある中太麺でなかなか美味しいです。
トータルとしては中々美味しいラーメンではあるのですが、「えびそば 一幻」や「五ノ神製作所」などの海老推しのお店のレベルに到達しているかというとまだまだです。これで900円というのは名古屋にしては高いなあ。

『ミシュラン星付き「みえ田」料理長三枝氏監修こだわりのスープで作る究極の海老麺。
ついに名古屋上陸!』と、虎の威を借るキャッチコピーも疑問。過去の栄光に縋る者はいずれ行き詰まる。


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仕事の都合で年間名古屋に200泊していたことがあり、その間は常に外食でした。中でも印象的なお店をまとめました。

食通たちが鰻の魅力とこだわりを語り尽くす一冊。よしもとばなな、沢木耕太郎、さくらももこ、椎名誠、村上龍、村上春樹、島田雅彦、五木寛之、遠藤周作、群ようこ、などなど最強の布陣が送るアンソロジー。

関連ランキング:ラーメン | 高岳駅尼ケ坂駅車道駅

イル プレージョ(il Pregio)/代々木上原

「ねえ、今度のランチ、イルプレージョとシャントレル、どっちがいい?」どちらも興味あるから任せるよ、と返す。数分後「イルプレージョにした!ただ、どうしても食べたい料理があったから、ランチだけど夜コースお願いしといたよ」ランチだけど夜コースの注文。実に玄人筋である。
さて当店の岩坪滋シェフは広尾アクアパッツァ出身。2003年~2006年までイタリアでイタリア全土に渡って研鑽を積み、帰国後いくつかのレストランを経て2012年に当店をオープン。ミシュラン1ツ星です。
グラスのフランチャコルタは1,800円と割高。その他、ワインペアリングなどもありましたがランチで飲むにはギョッっとする価格設定でした。
アミューズ。奥は新玉葱のエキスを膜に閉じ込め球状に仕立てたもの。口に含むと大地の旨味と甘味が大爆発。右は北海道産のモッツァレッラでシンプルに美味。左はアンチョビ風味を効かせながら生地を焼いたもので、美味しいのですが口の中の水分がめっちゃ持っていかれます。
山芋のゼッポレと桜海老。ゼッポレとはイタリアの郷土料理で、ピザ生地を一口サイズに丸め油で揚げたスナック。滑らかな山芋がツルリと口の中に忍び込む。海老の風味や海苔の香りがスポーティな味わい。
フォカッチャなどパン類は標準的。先週お邪魔したオストゥのほうが記憶に残った気がします。
藁で燻した初鰹にパッションフルーツとマンゴーのソース、つけあわせにはアスパラソバージュとからし菜です。

カツオには藁で燻したモックモクな香りがしっかりと塗布されており食欲をそそります。味わいも健康的な鉄分を感じグッド。ちなみにパッションフルーツは新潟産であり、温泉の地熱を利用した何かで栽培しているそうな。
「これこれ、これがどうしても食べたかったの」と目を輝かせる彼女。「カボチャとフォアグラ 濃厚に軽やかに」という料理であり、当店のスペシャリテです。

なるほど素材はわかりやすい味覚ながら、実に巧妙に設計された一皿です。まず、フォアグラの質が実に高い。滑らかで官能的な舌触りに中毒性があり、濃厚な肝の風味がクセになる。エスプーマされたカボチャにローズマリーの泡も面白い試み。
山菜のタヤリン。卵入りの手打ち麺が濃厚なチーズの味覚を身に纏い、万人ウケする味わいです。山菜の苦味が大人の味を演出し、心に残ったパスタ料理でした。
赤ワインをグラスで頂きます。後から明細を見ると1杯2,000円近い請求だったので、イタリア料理屋としては強気の価格設定です。
2皿目のパスタはカヴァティエッリ。プーリア州の手打ちパスタであり、モチモチとした食感が実に美味しい。全体としてシイタケの香りが支配的であり、濃厚な鴨の旨味に思わず唸る。炭水化物というよりも酒のツマミという印象が強い興味深い一皿でした。
メインは北海道産仔牛のコトレッタ。コトレッタとは所謂カツレツを指すのですが、当店のそれはパン粉を分離しトマトの風味を付与しパラパラと振りかける再構築系です。仔牛に雑味がなく清澄な味わいであり、メインだというのにスイスイと軽やかに胃袋に収まります。トマトの風味も清々しく、加えてグリーンペッパーの爽やかさも心地よい。食後感が素晴らしい一皿でした。
口直しにセロリのアイスにリコッタチーズのムース(?)。連れはセロリが苦手なのですが、「嫌いな食材の割にはトップクラスに美味しい」とのこと。
思いがけず華やかなプレートが登場。「いつもありがとね。今日は感謝のしるし」と片目を瞑る彼女。全く予想だにしていなかった突然の出来事に味覚がついて来ず、味わいについては健忘症状態ですスミマセン。後からメニューを見返すと「ダマスクローズコンポートした枇杷 そのジュレ グラッパのジェラート・檸檬のグラニテ」と記載されていました。
行儀正しいエスプレッソでごちそうさまでした。

さっきのデザートプレート、ありがとう、それにしても、突然どうしたんだい?と、連れに尋ねる。「素直にあなたに感謝してるのよ。上手く言えないんだけど、あなたと付き合うようになってから全てが好転してる。すごく前向きで、一緒にいて楽しい。得るものが多い。まさにニューリッチ。やっぱ遅くまで残業して焼鳥屋で愚痴ってるリーマンなんかじゃダメだわ」

あなたは私の太陽よ、と優しく微笑む彼女。畢竟、人と誠実に付き合うとは、こういうことである。


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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
十年近く愛読している本です。ホームパーティがあれば常にこの本に立ち返る。前菜からドルチェまで最大公約数的な技術が網羅されており、これをなぞれば体面は保てます。