鮨屋のうおきん 目黒

みんな大好き「魚金」グループが展開する新業態「鮨屋のうおきん」。都内にいくつか店舗があって、目黒店は目黒駅からすぐ、「蒙古タンメン中本」の並びに位置します。

予約時間ピッタリにならないと絶対に入店させない謎ルールがあり、5分前行動を心掛ける善良なゲストたちが敷居を跨ぐ度に追い返されている光景が草生える。ちなみに私もそのうちのひとりです。
店内はカウンター席が10ほどに個室もあるようです(写真は食べログ公式ページより)。大胆にも一斉スタートの三回転制なのですが、言わんこっちゃない、予約時間ピッタリルールのせいでドリンク場がいきなり大渋滞です。こんなに手際の悪い一斉スタートは初めてだ。
私は日本酒を8勺で注文したのですが、これ、本当に144ミリリットルもあるのかなあ。全く飲みごたえが無かったので、その後は間違いが無いであろう瓶ビールばかり飲むことにしました。おかげでお腹ぽんぽんです。
ドリンクが揃うと作り置きらしきツマミがバババと並べられます。左から鯛の子・真鯛の刺身・タコの柔らか煮・ワカメとキュウリ。いずれも酒の進む味覚です。
続いて茹で牡蠣。期待したプリッとした食感や濃厚な磯の香りはどこへやら、口に含むと水っぽくて生ぬるい、まるで薄めた塩水に浸かったゴムのような口当たりです。
早速にぎりに入ります。まずは本マグロの中トロ。なるほど流石は魚金グループ、魚介類の取扱量は抜群で、結果として上質なブツがまわってくるのでしょう。素直に美味しかったです。
ホッキ貝あぶり。ガスバーナーで炙ったホッキ貝をヒョイヒョイヒョイとバッチ処理でシャリにトッピングしていきロマンに欠けます。程よく生臭く、ほのかな焦げの苦味すらその臭気をカバーすることができません。
マアジ。こちらは美味しいのですが、このサイズの小ささは何なんでしょうか。私の乳首よりも小さい。いや流石にそれは言い過ぎたかもしれません。
アオリイカもタネそのものは悪くないのですが、ビー玉にカマボコを載せたようなビジュがよくありませんね。また、当店は職人たちが握る前に手のひらをパンパン叩くのが流行っていて、まるでフラメンコのパルマに立ち会っているかのようでテンションが上がります。
イカの一夜干し。これはちょっと無理無理の無理ですねえ。今日び、そのへんの居酒屋でももうちょっとマシなプレゼンテーションで臨むでしょう。脇のマヨネーズは何なんだ。そろそろ帰りてえ。
車海老も味は良いのですが、なんせ小さい。こんなに小さな車海老をお目にかかったのは人生で初めてです。おっと、またパンパン手を叩いてる。のってきたぞ。
メバチマグロのすき焼き。部位はハランボと呼ばれるお腹周りだそうで、なるほどスキヤキ風に調理して丁度良い塩梅です。
先の車海老の頭の唐揚げ。うーん、やっぱり小さいなあ。私の乳首よりも小さい。
カツオ。こちらは鉄っぽくありながらも清澄な味わいで、キレイな美味しさです。大きさも私の乳首2つ分ぐらいありました。
バイ貝のうま煮。先のイカの一夜干しと同様、ロマンに欠けるプレゼンテーションです。やはり当店は鮨屋というよりも、鮨も出る居酒屋と捉えたほうが良いのかもしれません。
イワシ。決して高くはない魚を、よくもまあここまで小さく切りつけたなと、変な方向から感心してしまいました。ンーパンパン・ンーパンパン・3拍子手拍子入たくなっちゃう、と思ったらすぐに戻る何で?
マダイ。こちらも味は悪くはないのですが、また手をパンパン叩いている。パンパンパンパンポケモンパン!フレッシュブレッド伊藤パン!松たか子!松たか子!ヤマザキ春のパンまつり!
マグロのスキミに海ぶどうをトッピング。生臭さの極みとも言える味覚であり、マグロの繊細な味わいはどこへやら。超別々に食べたい。
ウニはそこそこ美味しい。ウニってすげえな、何とか場を持たせるパワーがある。
赤貝のヒモを紫蘇と共に細巻きに。隣のにいちゃんは1つ食べて後はナチュラルに残していて草生える。ところでヒモが出てきたのは良いのですが、本体が出てこないのが気になります。本体どこいった。
玉子も変に生ぬるく、森永のハイソフトのようなサイズ感も堪りません。私が自宅で焼く出汁巻きのほうが余程美味しい。私は鶏卵を自宅で週に10個は食べるので、玉子にはうるさいのだ。
あなご。こちらも小指ほどの大きさであり、こんなことして品数を稼いで、君は一体何がしたいんだ、というお気持ちです。
場の雰囲気が明らかに盛り下がってきたからか、中トロが再登板。なるほど、そこそこ旨い。マグロってすげえな、何とか場を持たせるパワーがある。
〆は甘エビの昆布締め。味は悪くありませんが、妙ちくりんな盛りつけであり、鮨としては有史以来一度もない姿とも言えるかもしれません。目を付けたらミャクミャクです。
シジミの味噌汁。これまでの傾向から予見したとおり、砂のジャリジャリとした舌触りが堪りません。不思議と気持ちがいいのはなぜだろう。
デザートはイチゴアイス。唐突にハーゲンダッツ級に美味しく、どぎまぎしました。本日一番のお皿です。

以上を食べ、軽く飲んでお会計はひとりあたり1.2万円。これはちょっと無いなあ、半額の6千円でも無理。むりむりむりむりかたつむり。一見、品数は多く感じるものの、サイズ感は既に述べた通りであり、チリが積もってもチリのまま。おなかすいたー。これなら近くの「回し寿司 活 美登利(かつ みどり)」で腹いっぱい食べたほうが余程満足度は高いでしょう。コストも3分の1程度で済むでしょうしおすし。

魚金のこの業態はどういった客層をターゲットとしているのだろう。魚金という親しみやすいブランドイメージからはかけ離れた存在でありつつ、でも中身はやっぱり魚金で、それでいて結構高い。現場の従業員は誰も悪くなく、コンセプトの定義に混乱をきたしているように感じました。パンパン。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
すしのにぎりについての技術を網羅した決定版的な書籍。恐らくはプロ向けの参考本であり資料性の高い便覧でしょうが、素人が読んでこそ面白い傑作。写真がとても美しく、眺めているだけでお腹が空いてきます。