万博で残念だったレストランたち

万博メシで最大の話題をさらったのはイギリス館の5,000円アフターヌーンティーで間違いありませんが、確かに私がお邪魔した限りにおいても結構、いや、かなり酷い飲食店が散見されます。

もちろん慣れない仕入先から得た材料を慣れないキッチンでスピーディーに提供する必要があるのだから当たり前と言えば当たり前なのですが、そのハンディキャップを差し引いたとしても、信義則に反する食事を平気で提供するパビリオンが点在する。

本稿では、私の口や価値観に合わなかった飲食店を記録しておきます。私と趣味嗜好や価値観が似ている方はお気をつけて。なお、こういったネガティブな情報が苦手な方は画面をそっ閉じするか、「万博で良かったレストラン2店」へとジャンプして下さい。


■シオック!カフェ(Shiok! Café)
イギリスパビリオンと同じぐらい悪質に感じているのが「シオック!カフェ(Shiok! Café)」。シンガポールパビリオンに併設されている飲食店であり、パビリオンに入館していなくても利用することができます。店名の「Shiok(シオック)」とはシンガポールで「おいしい!最高!」という意味をもつスラングだそうです。
メニューを見る限りはラクサ1,800円、チキンライス2,000円と高価ですが「万博やし、しゃあないか」とギリ許容できる範囲。しかしながら、パビリオン併設レストランとしては妙に空いていることを異変と感じ取れなかったことが終わりの始まりでした。
見てください、1,800円のラクサです。メニュー写真との落差が物凄まじい。サイズはカップ麺ほどしかなく、スープはココナッツミルクのまろやかさが欠け、代わりに人工的な旨味が鼻をつきます。スパイスの香りも乏しく、ただ唐辛子の辛味だけが舌を刺す。全体的に調和がなく、雑に作られた印象が拭えません。成城石井で600円程度の「シンガポール風ラクサ」のほうが余程レベルが高いです。
メニュー写真にあった海老が見当たらないなと思い天地返ししてみると、グダグダに伸びた麺とシナシナのモヤシしか出てきませんでした。流石にコレはちょっとアレではなかろうか(優良誤認表示、景品表示法第5条1号)。麺もすっかり伸びていて、持ち上げるとグズグズと崩れるほど柔らかく、コシも歯応えもありません。
特殊なイベントでの出展なので、待ち時間が長いことや高価であることは許容できますが、量が極端に少ない上に不味いというのは我慢ならない。シンガポールパビリオンのテーマは「ゆめ・つなぐ・みらい」だそうですが、目の前の郷土料理ですら満足に作ることができないくせに夢や未来を語らないで欲しい。どうした明るい北朝鮮、君たちの実力はこんなもんじゃないだろう?


■ポーランドパビリオン
「空いている」という理由だけで飛び込んだポーランドパビリオン併設のレストラン。ベジタリアンかそうでないかの2種類のセットのみの提供で、いずれも4,900円。料理は全体的に酸味が強く、グズグツに煮込まれたものばかりで、美味しくないを通り越して不味かった。
2人で2種類のセットを注文し食べ比べしましたが酸味にマスキングされ違いはわからず。飲み物も別料金なので、なんやかんやで1万数千円。やはり待ち時間が長いことや高価であることは許容できますが、純粋に不味いというのは我慢なりません。


■マレーシアパビリオン
いずれの料理も1品2千円と万博としては控えめな価格設定。しかしながら、まずビジュが全然ダメですね。量も少なく味もパっとしません。周囲のゲストも眉をひそめており、しょっちゅうマレーシアに行く身としては「マレーシア料理ってこんなもんじゃないから!」と私が弁解して周りたいくらいでした。
ロティチャナイ(カレーとナンみたいなやつ)は1,814円もするのですが、こんなもん現地であれば数百円で楽しむことができ、質も量も数段上。「万博なんだから仕方ない」では済まされないクオリティの隔たりを感じます。
東京や大阪などの大都会であればマレーシア人が営むマレーシア料理専門店はいくらでもあるので、万博においてわざわざ食べる必要のない料理に感じました。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。