アリゴトゥール(Aligoteur Que du bonheur)/恵比寿

恵比寿駅からすぐの場所にあるビルに入居する「アリゴトゥール(Aligoteur Que du bonheur)」。紹介制のお店であるためフラっと入ることはできず、いったん電話してからエレベータを操作してもらうというコツが要る仕組みです。
今回は特別にランチで伺いましたが通常は夜のみの営業。鮨屋のようなカウンター6~8席に個室もあるとのこと。

田口浩平シェフは「レストラン フウ」「レフェルヴェソンス」「アムール」などフレンチ名店で腕を磨き、また、フランスでワイン造りも学ぶなど守備範囲が広い方。基本はフランス料理でしょうが、ラーメンが出たり担々麺が出たりカレーが出たりと話題の尽きないお店です。
ワインリストが立派でシャンパーニュは一番安いものでも13,800円。他方、お料理の代金は実にお値打ちなので(後述)、トータルで考えれば問題とはならないでしょう。

お店は2マンセル体制の息の合った名コンビ。ゲストを待たせることなく効率的にタイミングよく料理が提供されます。小箱の醍醐味である。
まずは前菜3種盛り合わせ。手前は生のお魚(何だっけ?)と黒米ですが、黒米の素朴な風味が印象に残る。中央のプリプリのホタルイカは問答無用の美味しさ。奥は生のエビにキヌアをまとわせ、ねっとりと官能的な味わいです。
スペシャリテのコンソメスープ。このコンソメはすごいですねえ。今あなたが想像しているクノールのスープの10倍澄んでいるのに10倍は濃い味わい。このスープの制作には5日間も要するようで、なるほどその手間暇にも納得の美味しさです。量がタップリなのも嬉しい。
イノシシのタタキ(?)でしょうか。このイノシシはめちゃんこ美味しい。鉄砲で撃ったものではなく罠にかけて獲ったものだそうで、実にクリアな味わい。ブラインドで食べれば野生動物と恐らく気づくことはできず、牛でもない馬でもない、じゃあ何なのかという気付きのある料理でした。部位は2種類でそれぞれ量もたっぷり。
アリゴトゥール流のカキフライ。いったん殻のまま蒸した後、身を取り出してからサラっと揚げます。フワフワとした食感にジューシーな磯のエキス。食感から味覚まで牡蠣の美点を余すところなく伝える揚げ物でした。
お魚料理はクロダイ、ホタテ、ホッキ、カニなど海の幸がてんこ盛り。具沢山どころではないほどリッチなブイヤベースであり、魚だけで腹が膨れるという贅沢な1皿でした。
おや、パスタだ。パーフェクトな茹で時間でギュっと冷水にしめられたカッペリーニ。味付けはスダチとコショウに青唐辛子とシンプルな仕様ですが、これがサッパリと美味しい。肉料理の前のお口直しよろしく清涼感あふれる逸品。
メインはラム。骨2本分という大容量サイズ。我々がお店を訪れる前からじっくりじっくりと火を入れられていたものであり、礼儀正しく正統的な味わい。パクチーなど爽やかなハーブがたっぷり散らされている一方で、ソースはジュを煮詰めただけという、バスター気味のバントのような1皿。おなかもいっぱい。率直に美味しかった。
デザートはシンプルにピュアなアイスクリームのみ。だがしかしこれが驚愕の旨さなのである。ハチミツと乳の風味がきいた出来立てのものであり、大人のゲンコツほどのびっくりポーション。しかしながら空気をたっぷりと含んでおり舌ざわりは最高。エアリーでスイスイと夢中で平らげてしまいました。

コースをひと通り食べ、1.5万円のシャンパーニュをふたりで1本飲んでお会計はひとりあたり1.5万円ほど。これはナイスな費用対効果。前述の通りワインの値は張りますがお料理の価格設定は非常に良心的。美味しいを突き詰める旨いもの屋。西麻布「TAIAN TOKYO(タイアン トウキョウ)」元麻布「エクアトゥール(L'equateur)」に近い食後感。今度は夜にワインペアリングでお邪魔しようっと。


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