蕎麦懐石 義(ぎ)/恵比寿

恵比寿駅の動く歩道を抜けたとこから歩いて5分ぐらいと、駅からは地味に遠い「蕎麦懐石 義(ぎ)」。住宅街の中にある近代的なオフィスビル(?)のような建物の地下にあり、隠れ家というか完全に隠れています。
地下ではありますが採光が良く地下にいるということを全く感じさせません。いわゆる和モダンな空間で、とっかかり易い割烹料理店のような雰囲気。

齋藤義展シェフはニューヨークの3ツ星「雅」で研鑽を重ね、帰国後は「賛否両論」で料理長を務めたのち当店をオープン。この日は平日ランチながら予約で満席と恵比寿の隠れた実力店です。
人気の理由のひとつにその費用対効果の良さが挙げられるでしょう。ランチコースは飲み物が1杯ついて4千円ポッキリ。しかもただ蕎麦が出るだけじゃなく、かなり手の込んだ割烹料理も続くのです。
最初に焼き茄子豆腐。おお!なんだこの料理は!焼き茄子のフレーバーが豆腐に練り込まれた(どうやって作っているんだろう)ものに旨味の詰まった牡蠣をトッピング。鼻から抜ける香ばしい焼き茄子の風味が堪りません。
舞茸の天ぷらにトリュフのコロッケ。蕎麦の前菜(?)でトリュフのコロッケってのが面白いですね。黒いダイヤの使用量は必要にして充分であり、ジャガイモの美味しさを引き立たせる上品な使い方です。
お椀は地鶏つくねにマツタケをトッピング。スープはアジコイメでわかりやすく万人受けする味覚。マツタケの香りが備考をくすぐり、品の良い鶏肉でホロリと〆る。魅力的なお椀です。
お造り3種。手前のモミジダイは成長にして筋肉質な味わい。お隣のカマスには火を入れており旨味がましています。奥のカツオの脂の乗り具合もちょうどよく、まさか4千円のランチでこのクオリティのお造りが出るとはね。
蕎麦はお腹の具合に合わせて大中小のいずれかから選択することができるのですが、私は当然に大盛り。オーソドックスなつゆにゴマダレを蕎麦湯で割ったつけだれも供されます。
蕎麦が旨い。キンキンに冷えた水でザザっと冷やし、パンチャパンチャと輝く極細の逸品。細いながらもしっかりとコシがあり、蕎麦の香りや旨味も文句なし。これまでの料理の良さに気を取られていましたが、そういえば当店は立派な蕎麦屋であったと再認識した瞬間です。
デザートは4種の用意があり、こちらもお腹に余裕があれば全種類注文OKと気前が良い。わらび餅、抹茶のブリュレ、サツマイモの羊羹(?)に蕎麦とコーヒーを用いたアイス最中。抹茶のブリュレの濃厚にしてなめらかなタッチにアイス最中の気の利いた味覚が心に残りました。

以上を飲み食いして4千円ポッキリ。最高か。きょうび調子に乗った蕎麦屋はざるを2~3枚食べただけで似たような金額を請求することを考えると当店ては見事な食後感を誇ります。ニューヨーク帰り賛否両論育ちということで珍奇な料理を覚悟していましたが、決してそんなこともなくしっかりと美味しい。これは良いお店を見つけました。今度は夜に来てみようっと。

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