恵比寿 たれ焼肉のんき

自家製のタレにこだわり、下味をしっかりつけたお肉を焼いてからたっぷりタレに絡め、炊きたての白米と一緒に豪快に食べるという焼肉の原点回帰をコンセプトにした「たれ焼肉のんき」。以前は浜松町店で大変満足したのですが、このたび恵比寿にもオープンしたとのことでお邪魔してみました。恵比寿駅から歩いてほんの数分です。
店内は4人掛けのボックスシートが8卓ほどでしょうか。引き戸のついた個室もひとつあるようです。焼き台まわりはピカピカに磨き上げられており、箸やトングも個包装と、私の知る限り世界でもトップクラスに清潔な焼肉店かもしれません。

運営は株式会社ネクストグローバルフーズであり、経営者のムッシュ荻野貴匡は俳優・芸術家であるムッシュ片岡鶴太郎を父に持ち、弟さんは赤坂「おぎ乃」の荻野聡士シェフという何だかすごい一族です。
アルコールにつき、プレモルが680円に中瓶が780円と立地を考えれば悪くない価格設定です。とは言え後述する白米が旨すぎて腹パンなので、あまり液体を飲む余地は無いかもしれません。
テーブルチャージはひとりあたり330円を要するのですが、お通し代わりに生卵が用意されるのが面白いですね。すき焼きのように肉を浸けて食べるも良し、卵かけゴハンのようにして楽しむのも良し。切りっぱなしのキャベツのようなお通しよりも余程ハッピーです。
まずはベジファーストで白菜キムチ。辛味と酸味は控えめで、野菜の甘みと漬け込みのコクを楽しみます。釜炊きの白米は注文を受けてから炊き始めるので、序盤は肉とビールのお供に必須でしょう。
たれ焼肉を謳う当店において、敢えて最初に楽しみたい「上タン塩」。程よい厚みがあるためサクッとした心地よい歯応えがあり、清らかな脂と旨みが溢れ出してきます。ちなみに普通のタンにはニンニクやらネギやらが大量投下されたバージョンもあるようです。
赤。いわゆる赤身の盛り合わせです。タレで揉み込んでいるため網に乗せるとタレが焦げる香ばしい匂いが立ち上がり食欲を激しく刺激します。赤身と脂身のバランスが良く、決してパサつくことはありません。
白。こちらはホルモンの盛り合わせで、レバーやハチノス、マルチョウあたりが盛り込まれているようです。タレがしっかりと揉み込まれているためかホルモン特有の臭みは一切なく、あるのは部位ごとのユニークな食感と脂の甘みだけ。ゴハンが進むのなんのって。
ゴハンが炊き上がりました。蓋を開けた瞬間に立ち上る甘い香りと湯気は、最高の調味料。注文を受けてから個別の釜で丁寧に炊きあげているためか、ひと粒ひと粒が立ち、宝石のように輝いています。ふっくらとしつつも程よく粘りがあり、とても美味しい。何でも「八代目儀兵衛」というブランドものを用いているそうです。
カルビ。焼肉の王道であり、きめ細やかなサシが入った部位を、たっぷりのタレで味付けしています。熱々の網に置いた瞬間に脂が溶け出し、タレと混ざり合ってパチパチと弾ける。やっぱり焼肉っていいなあ。
たれハラミ。こちらもシッカリとタレが深くまで染み込んでおり、脂と肉汁と綯い交ぜになって口の中で爆発的な旨みを形成します。ハラミらしい「肉を食べている」という野性味のある満足感がありつつも食感は非常に柔らか。
たれミノ。牛の第一胃であり貝柱のような食感が魅力的。程よく飾り切りも入っており、火通りの良さと歯ざわりの良さが両立しています。淡白になりがちな部位ではありますが、そこは当店自慢の濃厚なタレの出番。お酒のアテにはもちろん、白米を加速させる破壊力も抜群です。
成程これこそが「焼肉の原点回帰」そのものといえる体験でした。タレの染みた肉を白米の上でバウンドさせ、豪快にかき込む。そこにあるのは理屈を超えた極めて身体的な喜びです。トリュフや金箔を合わせる現代の焼肉シーンへの静かなる異議申し立て。それは単なる懐古趣味ではなく、日本人が普遍的に抱いてきた「当たり前」の幸せを再確認させてくれる一時なのかもしれません。

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