まだ北半球で消耗してるの?酷暑の東京を避けてオークランドへ

昨年に引き続き、避暑のためにニュージーランドに滞在していました。今回はニュージーランド最大の都市であるオークランドでのんびりと過ごし、たまにワインリゾートである「ワイヘケ島」に遊びに行ったり、「ロード・オブ・ザ・リング」の舞台である「ホビット庄」を訪れたりと、絵にかいたようなリア充を演じてきました。
直行便で向かいたかったため、今回はニュージーランド航空を利用しました。とは言え当該エアラインはスターアライアンスメンバーの一員なので、ANA SUITE LOUNGEを利用することができます。5月にお邪魔した際に鮨は無かったと記憶しているのですが、この日はその用意がありました。
初めてニュージーランド航空のプレミアムエコノミーを利用しました。これが結構、いや、かなり快適。私は寝相がとても良いのでファーストクラスの設備は移動手段としては明らかに過剰であり、10時間程度のフライトならプレミアムエコノミーで充分なのかもしれません。個人的にはエコノミークラスでも全く構わないのですが、客層が途端に悪くなるので注意が必要です。
オークランド空港は小さな空港で、税関を抜け建物を出るとすぐにUber乗り場があります。滞在中はUberばかりを利用したのですが、ドライバーの殆どはインド系で、寡黙に運転に徹する方が多く実に快適。東京のタクシー運転手たちは第二種運転免許を取ったはずなのに、どうしてあんなに運転がヘタクソで道も知らないんだろう。
オークランドの象徴的なニックネーム「シティ・オブ・セイルズ(帆の街)」は、この街のアイデンティティそのもの。オークランドはひとりあたりのボート所有率が世界一であり 、海沿いの至る所に船が係留されています。
気になる気候ですが、8月は日中の最高気温が15-6℃で、夜は10℃弱といった程度。昼間はコート無しでも快適に過ごすことができ、たまに半袖のニイチャンもいます(画像はWeatherSpark.comより)。また、このあたりは裸足の文化があり、街中やスーパーを裸足でうろついているオッサンがいたりもします。
オークランドはヨーロッパ系、アジア系、マオリ、太平洋諸島系など、多種多様な民族が暮らす、世界で最も多文化な都市のひとつ。人口の約40%が海外生まれであり、街を歩けば様々な言語や文化に触れることができます(写真はTakapunaという街の日曜市)。マオリ語の挨拶「Kia Ora(こんにちは)」が日常的に使われているのが胸熱。ただ、人種が交わって楽しく暮らしているというよりは、個別の人種がそれぞれのコミュニティを作っているという印象を受けました。
道は丁寧に舗装されており、ゴミひとつ落ちていません。日本の都市と変わらない清潔さであり、そこらじゅうにゴミ箱が配備されているぶん旅行者にとっては居心地良く感じます。スーパーのレジやバス停など、公共の場ではきちんと列に並ぶことが徹底されており、車の運転や自転車・電動キックボードのマナーは東京よりも良いくらいです。
他方、治安はあまり良いとは言えません。世界基準で見れば良好とされていますが、ホームレスや薬物中毒者(?道端で叫んでる)はかなり多く、統計上の安全性と体感との間に大きな隔たりが存在します(画像はNew Zealand Policeより)。老若男女問わず夜間の独り歩きは控えたほうが良いでしょう。
ところで、ニュージーランドは「世界一アイスを食べる国」と言われ、国民ひとりあたりの年間アイスクリーム消費量が20リットルを超えます。アイスクリーム屋が街の至る所に存在し、大人も子供も季節や昼夜を問わずパクついているのが面白い。
また、コーヒーに懸ける情熱もかなりのもの。特にオークランドにおけるカフェの存在は、単にコーヒーを飲む場所という機能を超えており、人々が集い、語らい、リラックスするための重要な社会的インフラの役割を担っています。エスプレッソ系の飲料の種類は10近くあり、私のお気に入りはオセアニアで生まれたとされる「フラットホワイト」です。
ある日はワイヘケ島(waiheke island)まで足をのばしました。ハウラキ湾に浮かぶリゾート地であり、オークランドのフェリーターミナルから船で小一時間ほどという手軽さ。観光地として整備されており、往復の船とセットでのホップオンホップオフバスの利用が便利。島内の要所を効率よく周ることができます。
ワインの産地としても有名で、20以上のワイナリーが点在し、美しいブドウ畑を眺めながらのワインテイスティングが楽しいです。私のイチオシは「ストーニーリッジ・ヴィンヤード」の「Larose」という赤ワインで、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体としたボルドースタイルで、凝縮した黒系果実の豊かなアロマ、力強い骨格と複雑で深みのある味わいが特長的です。
またある日は地元のバス会社(?)が開催するツアーに参加し、ツチボタルで有名な「ワイトモ・グローム・ケイブス(Waitomo Glowworm Caves)」や、「ロード・オブ・ザ・リング」の舞台である「ホビット庄」を訪れたりもしました。
印象的だったのは、同じツアーに参加している大陸系の中国人が、どの国の誰からも嫌われていたことです。特にシンガポールやマレーシアの華人からは「あいつらは別の生き物だ、一緒にしないでくれ」と言わんばかりに当たりが強いのが興味深い。
大陸系の中国人は海外へ出ても大陸の文化や価値観を強く保持したままであることが多く、現地文化への適応度や社会契約に対する考え方の違いから、同じ中華の血を分かつ者たちからも一線を画されています。同じルーツ、されど異なる国民性。中華界隈も色々と難しいのだ。


<ホテル>
前半はハイアット、後半はヒルトン、帰国前日は空港直結のノボテルに滞在するという三部構成です。

Park Hyatt Aucklandパークハイアット オークランド
つまらないホテルでした。ハコは悪くないですがサービスはがらくた同然で、「パークハイアット」というハイアット系列最高峰のブランドの価値を明確に棄損してます。当館の管理職たちは他国のパークハイアットをひと通り泊まり歩いて恥を知るべきでしょう。一方で、高級ホテルとは何たるかを知った支配人が着任すれば、劇的に変わるかもしれないというポテンシャルを秘めています。

■Hilton Auckland(ヒルトン オークランド)
ダイヤモンドメンバーであっても次々と追加料金を要求され、何か罰でも受けているかのような気分を味わうことができるホテルです。もちろんこれは当館のルールというよりは、近年のヒルトングループ全体での取り組みであるため諦めるほかありません。

つまり、ニュージーランドのヒルトンにおいてダイヤモンドメンバーとしての特典は何もないに等しいので、仮に貴方がヒルトンのステータスホルダーであったとしても、ヒルトンブランドに縛られることなく好きなホテルに泊まることをお勧めします。そのほうが納得感がある。

■Novotel Auckland Airport(ノボテル オークランド エアポート)
オークランド空港の国際線ターミナルを出てすぐ、というか数メートルの横断歩道を渡ったところにある「Novotel Auckland Airport(ノボテル オークランド エアポート)」。空港内ホテルを除き、別の建屋でここまで空港までの距離の近いホテルは珍しいでしょう。
ところで空港近くに「Mānawa Bay」というアウトレットモールと「Auckland Airport Shopping Centre」というショッピングセンターがあり、いずれも空港近辺での暇つぶしに最適なので、時間に余裕があれば是非どうぞ。前者は一般的なアウトレットでは見かけない地元ブランドのものが多く、とりわけアウトドアギアが充実。後者は市中のスーパーなどよりも値付けが安く、バラマキ土産を買うに最適です。


<飲食店>
オークランドの物価はそれほど高くなく、円安とは言えディナーに要する費用が1万円を超えることは少ない。生活の全てが東京よりも2-3割は安くつく感覚です。飲食店につき、東京のようにガチガチに予約が必要というわけでなく、ウォークインもしくは当日予約でもOKなところが殆ど。また、日本と同様に無料の水が提供される店が多く、ドリンクを注文しなくても特に何も言われません。スレッズ上の飲み物を頼まれないで発狂している日本の飲食店界隈がどのように反応するのかが見ものです。

■Amano(アマノ)/ブリトマート
https://www.takemachelin.com/2025/08/amano.html
オークランドではトップクラスに人気のレストランであり、ニュージーランドの生産者や農家から仕入れた「季節ごとの、持続可能で、地元の食材」を分かち合うことを使命としています 。
飲んで食べて1万円。気持ちの良い立地と空間で、これだけの食事を楽しんでこの支払金額はリーズナブル。料理はイタリア風フュージョンで雰囲気で食べさせるスタイル。料理そのものというよりはトータルコーディネートを楽しむつもりで訪れましょう。

■The Occidental(オキシデンタル)/CBD
オークランドで、いや、ニュージーランドで最も有名なベルギービア・カフェでしょう。オークランド中心部の歴史あるVulcan Laneに位置し、日本人の旅行記やvlogにおいても必ず言及される人気店です。
飲んで食べてひとりあたり6-7千円といったところ。都会のど真ん中で新鮮な魚介類を腹いっぱい食べてこの支払金額はリーズナブル。ネット上には観光客向けだと苦言を呈するの口コミが散見されますが、この記事を読む貴方も観光客なので気にすることはありません。私も旅行者であり、とても満足できました。

■Botswana Butchery(ボツワナ ブッチャリー)/CBD
以前お邪魔したクイーンズタウンの「Botswana Butchery Queenstown」が良かったので、オークランドの本店(?)にもお邪魔してみることに。
飲んで食べて2人で分けて総額260ドル。アメリカで似たような食事をすれば2-3倍は必要となることを考えると大層お値打ち。もちろん東京で食べるよりもリーズナブルです。

■Tony's Original Steak & Seafood Restaurant(トニーズ)/CBD
オークランド屈指の老舗ステーキハウス「 Tony's Original Steak & Seafood Restaurant(トニーズ)」。1963年の創業以来、200万食以上のステーキを提供してきたと豪語する、街の食文化の生きた歴史そのものであり、オークランドの象徴的な存在です。

■Tony's Lord Nelson Restaurant(トニーズ ロード ネルソン レストラン)/CBD
https://www.takemachelin.com/2025/08/nelson.html
先日訪れた「Tony's Original Steak & Seafood Restaurant)」が良かったので、その派生店(現在の経営母体は別)である「Tony's Lord Nelson Restaurant(トニーズ ロード ネルソン レストラン)」にもお邪魔してみることに。ちなみに元祖の「Tony's」は1963年の開業で、最盛期にはオークランド市内に7店舗もの「Tony's」が存在したそうです。
こっちの店の方が空いており、予約ナシでパっと食べるには便利かもしれません。上手く使い分けて訪れましょう。

■Onemata(オネマタ)/Park Hyatt Auckland(パークハイアット オークランド)
「パークハイアット オークランド(Park Hyatt Auckland)」のメインダイニング「Onemata(オネマタ)」。当館はマジでつまらないホテルであり、メインダイニングで朝食を提供するあたりコンテンツの少なさを象徴している気がします。ただ、退屈の極みを体現したホテルでしたが、朝食のひとときだけは神懸かった奇跡の一幕のようでした。

■FISH Restaurant(フィッシュ レストラン)/Hilton Auckland(ヒルトン オークランド)
「Hilton Auckland(ヒルトン オークランド)」のメインダイニング。ヒルトンの一員としてだけでなく、飲食店そのものとして評価の高いレストランです。
飲んで食べてひとり1万円ほどで、外資系ホテルのメインダイニングでしっかり飲み食いしてこの支払金額はお値打ち。タイ風や日本風の調味はご愛敬ですが、素材の質そのものは高く、それらの良さを上手に引き出すメニューを選択すれば満足度は非常に高くなるでしょう。シンプルな料理をどうぞ。

■Szimpla: All-Day Eatery & Gastro Bar(シンプラ)/オークランド空港近く
オークランド空港から歩いて15分ほどの場所にある「Szimpla: All-Day Eatery & Gastro Bar(シンプラ)」。ホテルの「ibis」に併設する朝から晩まで通しで営業するオールデイダイニングです。結論から申し上げると、たまたまグーグルマップで見つけたにも関わらず、魅力的なレストランでした。

■Best Ugly Bagels(ベスト アグリー ベーグルズ)/市内のいたるところ
オークランドで絶大な人気を誇るベーグル専門店。モントリオールスタイルの製法で、職人が生地をこね、大きな薪窯で一気に焼き上げているそうです。ただ、写真のベーグルサンドが21ドルというのは高杉で、そもそもベーグルそのものがそれほど美味しくない気がする。

■ニュージーランド航空オークランド・インターナショナルラウンジ
ノボテルは素泊まりとし、朝食はニュージーランド航空のラウンジで摂ることに。しかしながらこれが大失敗。広さ2,100平米に437席というスペックを誇るのですが、それを凌駕する混雑ぶり。料理は数えるほどしかなく野菜は皆無。コーヒーを淹れてもらうのでさえ行列で難儀します。酒の種類だけは豊富なのですが、朝からアルコールというのもねえ。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。