千葉駅近く、そごうの裏あたりにある「エピセ(épicer)」。フランスの3ツ星レストランで経験を積んだシェフが手掛けるフランス料理店であり、食べログでは百名店に選出されています。ちなみに旧店名は「セレナ デ ナチュラーレ」だったそうです。
店内はカウンター席にテーブル席に個室があり、トータルでは20席ぐらいでしょうか(写真は食べログ公式ページより)。白と木を基調とした明るく温かみのある空間で清潔感があります。
阪口善則シェフはホテル勤務を経て渡仏。「タイユヴァン」「アピシウス」「ジョルジュブラン」などの有名どころで研鑚を重ね、帰国後はリーガロイヤルホテル東京のメインダイニング「ガーデン」の料理調も務めたそう。とは言え華々しい経歴から想像されるような堅苦しく威圧的な雰囲気は全くありません。
ワインのペアリングは3杯で3千数百円、5杯で5千数百円と良心的。料理に寄り添う王道のセレクションで好感が持てます。
アミューズは豚肉のリエット。サクサクと小気味よい生地に豚肉の旨味が詰まったなめらかなリエットがたっぷり。これから始まるコースへの期待感を高めるひと品です。
ハモとイベリコ豚のチョリソ。いわゆるハモン・イベリコであり(違う)、ハモの繊細な旨味とチョリソの力強い風味が意外に合う。マイクロリーフのフレッシュな苦味が全体を引き締め、上手くバランスを保っています。
天然のスズキのムニエル。皮目はパリッと香ばしく身は驚くほどふっくら。天然のスズキが持つ繊細でクリアな旨味を最大限に引き出しています。ソースも濃厚で実にリッチ。これぞフランス料理というひと皿です。
自家製のライ麦パン。ライ麦特有の素朴で少し土のような香りがふわり。濃い焼き色の外皮と対照的に内側は密度が高くシットリもっちり。高級ハンバーガーのバンズにしても良さそうだ。
メインは黒毛和牛のロティ。美しいロゼ色に仕上げられており、ナイフを入れると、その断面からは肉汁が静かにあふれ出ます。和牛ならではの上質で甘い脂が口の中でとろける。ソースも実にクラシックで王道の味わいです。
リゾットも出ます。お米(雑穀?)の独特の食感と芳醇な風味が心地よく、舞茸も組み込まれており、野趣あふれる豊かな香りが印象的。チーズの濃厚なコクと塩味も脇役主人公といった味覚です。
抹茶のテリーヌ。抹茶特有の品格ある香りと心地よいほろ苦さ。ねっとりと濃密でなめらかな口溶けも見事であり、丸ごと買って自宅の冷蔵庫に在庫したいくらいです。
以上の「シェフ スペシャルランチコース」が税込で7,400円 。料理の質を考えれば信じがたい費用対効果であり、都心であれば倍請求されても納得も得心もするでしょう。こんなフランス料理店がターミナル駅すぐ近くにあるだなんて、千葉市民は豊かだ。

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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
- オトワ レストラン(Otowa restaurant) ←本気でフランスの料理文化に取り組んでいる。
- ガストロノミー ジョエル・ロブション (Joel Robuchon) ←やはり完璧。
- La couleur d'ete(ラ クルール デテ) ←選んだ孤独は良い孤独。
- アピシウス ←東京最高峰のレストラン。
- ナリサワ ←何度訪れても完璧。
- elan(エラン) ←表参道のナポレオン。
- 銀座 大石 ←自分が働くならこういう職場。
- ナベノイズム ←世界観がきちんとある。
- ル・マンジュ・トゥー ←接客は完璧。料理は美味そのもの。皿出しのテンポも良く、とにかく居心地の良いお店。客層も好き。
- エルヴェ(eleve) ←アラカルトでもコースでも自由自在。
- TAIAN TOKYO(タイアン トウキョウ) ←流行り廃りに捉われないマッチョな料理。
- アサヒナガストロノーム ←そこらのフランス料理店とは格が違う。
- エステール(ESTERRE) ←料理もサービスもパーフェクト。外せない食事ならココ。