軍鶏丸(しゃもまる)/恵比寿

創業30年を超える、恵比寿でも屈指の鳥料理店「軍鶏丸(しゃもまる)」。恵比寿駅から歩いて7-8分、目の前には防衛装備庁の艦艇装備研究所のすぐ近くにあり、戦艦大和のコンセプトモデルが試作された地と言われています。これ豆な。
店内はカウンター6席に小上がりが3卓。古き良き昭和の居酒屋感に満ちており、女将さんの丁寧な接客を含め、なんとも居心地の良いお店です。焼き物はお皿に盛ってお持ちして下さり、また、鍋物は全てお店のスタッフが調理してくれます。
ビールやハイボール、各種サワー類は700円程度であり、日本酒も1合千円かそこらです。我々は大勢でお邪魔しボトルで日本酒やら焼酎やらを楽しんだのですが、さんざん飲み食いしてもひとり1万円程度でした。
お通しにササミのキムチ和え。キムチのピリッとした辛味と酸味が、ささみの淡白な旨味を引き立てます。箸休めや酒のつまみに最適だ。
モモ、ネギ、ナスの3種焼き。主役のモモ肉は、皮目がパリッと香ばしく、噛み締めれば力強い旨味の肉汁がジュワッと溢れ出します。合間の焼きネギは、香ばしい焼き目の中から、熱で凝縮された蜜のような甘さがトロリと現れるのが特長的。ナスは炭の香りを纏いながら、旨味のタレと自身の水分で驚くほどジューシー。
串焼きに入りまして、まずは「ぼんじり」。脂の乗った尾肉を炭火で丁寧に焼き上げており、ジューシーで弾力のある肉質が心地よい。とろけるような濃厚なコクと、後を引く豊かな味わいに舌鼓を打ちます。
手羽先をカラッと揚げたひと品。外はパリッとした食感で、香ばしいかおりが食欲をそそります。噛むと肉汁が溢れ出し、ほのかなスパイスの風味がアクセント。我々は20年前に連日鳥貴族で盃を重ね合った仲なのですが、皆、偉くなったもんだとしみじみします。
野菜スティックとレタスも出ます。梅肉や味噌で味変しながら味蕾をサッパリ整えます。
こちらはポン酢和えでしょうか。しっとり柔らかい繊細な肉にポン酢の爽やかな酸味が心地よい。ほのかな醤油のコクが旨味を深め、口当たりは軽やかでサッパリ。
ササミの梅しそ焼き。淡白ながらも旨味のあるササミ肉。しっとり柔らかな食感と繊細な甘みが、梅のほのかな酸味と紫蘇の清涼感ある香りに引き立てられます。炭火の香ばしさがアクセントとなり、軽やかな味わいながら奥深い旨味が広がります。
レバ。表面は炭火で香ばしく焼き締められ、中はしっとり滑らかでクリーミーな食感。濃厚なレバーのコクとほのかな甘みが広がり、独特の臭みは皆無。レバーが苦手な人にこそ試してほしい、その真価がわかる一串です。
卓上に炭火が熾された七輪が並び、鍋料理が始まります。目玉は鶏のお団子であり、鍋に入れる直前に目の前で成形されていきます。つなぎには卵のみを使用しており、他に類を見ない驚くほどふんわりとした食感が生みだします。
スープは鶏の出汁が効いた澄んだ味わいで、その他の具材は主役の味を邪魔しないようネギと焼き豆腐というシンプルな構成 。卓上に置かれた山盛りの大根おろしと共に頂きます。上品な出汁の中で火を通したつくねを口に含めば噛む間もなくほろりと崩れ、鶏肉本来のピュアな旨味と卵の優しいコクだけを残して、すっと消えていくようです。
コースの最終章は、それまでの全ての食材の旨味が溶け込んだスープを用いて締めくくります。我々はハーフ&ハーフでお願いし、まずはお茶漬け風に楽しみます 。
続いてうどん。徳島県産の手延べうどんを用いており、つやつやと美しく滑らかな口当たり。太さは不揃いで食感にリズムを与えます。

以上を食べ、しっかり飲んでお会計はひとりあたり1万円。酒代から逆算するにコースは6千円くらいでしょうか。だとすれば暴騰に暴騰を重ねる東京焼鳥界隈に疑問を投げかける存在です。仕事は価格ではなく、どれだけ心を込めたかだ。

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素人にとっては単に串が刺さった鶏肉程度にしか思えない料理「焼鳥」につき、その専門的技術を体系的に記しています。各名店のノウハウについても記されており、なるほどお店側はこんなことを考えているのかという気づきにもなります。