1953年と、那覇でも屈指の歴史を誇る酒場「民芸酒場 おもろ」。もともとは桜坂で創業し、現在は壺屋のサンライズ通りに暖簾を掲げています。
店内は木の香りが強く雰囲気抜群。多くの器や写真などが展示されており、当店において文化人や知識人が集い、議論を交わしてきた歴史を感じさせます。座席はカウンターが7-8席に加え、テーブル席もいくつか用意されていました。
飲み物も料理も何もメニューが無く、値段も不明なので背筋が伸びます。アルコールは泡盛、しかも古酒(クース)が中心で、支払金額が全く読めません。特に何も注文せずともツマミが並びます。ニガナの白和えにハンダマの酢味噌和え、カマボコ。このカマボコは美味しいですねえ。魚の風味がビンビンに伝わって来、なるほど練り物は魚であったことを思い出させてくれます。
ここからが辛い。もずくが出るまでに30分も要しました。味は悪くないのですが、袋から器に移すだけの行為になぜ30分もかかるのか理解に苦しむ。このあたりで精神と時の部屋系の店だと理解し始めます。
県産の本マグロ。ネットリとした口当たりに程よく酸味があって美味。
ミミガーは一般的には冷えてコリコリのスタイルが多いですが、当店は煮込んだばかりなのか温かくトロトロとした口当たりです。
クーブイリチー。「クーブ(昆布)」と「イリチー(炒め煮)」を意味する郷土料理であり、昆布を炒めた味がします。
ドゥルワカシー。名前の由来は「泥沸かし」で、田芋を煮る様子が泥のようだから。味は悪くないのですが、この時点で入店から100分が経過しています。お腹の具合は未だアミューズなんだけど。
ウムクジプットゥルー。「ウムクジ」(芋くず=サツマイモのでんぷん)を水やだしで溶き炒め煮したもの。プットゥルー(ぶよぶよした食感)が名前の由来ですが、やはり先の料理から30分も間隔があり、ぷよぷよであれば20ゲームはできたことでしょう。
からし菜のチャンプルー。なんと先の料理から40分も待ちました。しかもこのタイミングで入店してきた客にはいきなりこの料理を出しており、ちょっと良く分からないシステムです。「龍口酒家(ロンコウチュウチャ)」のように今ある料理を出すスタイルなのかなあ。
〆はじゅーしー。終わってみれば、その辺の定食屋で食べるセットのランチぐらいの量であり、何でこんなに時間を要するのか意味がわかりません。タイタニック観れるぞ。しかも、少しも急いでいる風もないのが原辰徳。
とは言え歴史ある酒場であるのは確かであり、恐らく食事を摂る店ではなく、ゆんたくを楽しむ店なのでしょう。お店の仕組みを事前に調べないままお邪魔した我々が悪い。小説を持ち込んで泡盛片手に読書するつもりであれば悪くないですが、普通に飲み食いを目的とするのであれば、相当の覚悟を持ってお邪魔しましょう。おつかれさまでした。
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