目黒駅から歩いて4-5分、権之助坂商店街に位置する「そうめん酒場はやし」。つまんで呑んでそうめんで〆る、をコンセプトとした新しいタイプの居酒屋です。以前は「立飲ビストロシン(Bistro-SHIN)」があった場所だと記憶しています。
奥に細長い店内。壁に沿ったカウンターと小さなテーブルが数卓あるのみであり、グループというよりは1-2人で訪れるに適したお店です。予約は必須というわけではありませんが、場面で混雑するので念のためにどうぞ。
ビールやハイボール、サワー類は600-700円といったところであり、気楽な居酒屋らしくアルコールの値付けは悪くありません。ただ、日本酒が90ミリリットルで700円は高めに感じました。限定商品のネギマ。贅沢にも本マグロを用いており、オーブンで焼かれることで刺身とはまた違った印象に。これだけのマグロを1本500円かそこらで提供してくれるのは私嬉しい。
ほうれん草と小松菜のからし和え。一般的な居酒屋の倍ほどのサイズで登場し、実質的にはサラダです。ほうれん草のやさしい甘みと柔らかな食感、小松菜のほのかな苦味とシャキシャキとした歯触り。味の決め手となる和からしが、ツンと鼻に抜ける爽やかな辛味と風味を加え、全体の味わいをキリッと引き締めます。
和牛モツの煮込み。プリプリとした食感かつ柔らかいモツは上質な脂を有し、噛むほどに甘味と旨味があふれ出します。お出汁でじっくりと煮込んでおり、その深いコクの中に唐辛子のピリッとした辛さが酒を呼ぶ。なお、こちらも一般的な居酒屋の倍ほどの量があります。
〆の素麵は色んなフレーバーがあって、私は「山椒肉ラーそうめん」を冷やで注文。ラー油が効いたピリ辛のつゆに思いのほか肉がたっぷり。山椒が舌に心地よい痺れと爽快感を加え、味わいに鮮烈な奥行きを与えます。温玉やたっぷりのネギ、ゴマ、海苔も嬉しい。
素麵につき、手延べそうめんの名産地として知られる奈良県・三輪の「誉(ほまれ)」という銘柄を採用しているそう。一般的な素麺よりもコシと弾力が感じられ、濃厚なスープや個性的な具材と合わせても、その主張を失うことがありません。1束でも2束でも同料金というのが泣かせてくれます。
以上を食べ、軽く飲んでお会計は5千円弱。ツマミは普通の倍量、素麺も2束と確実に満腹になれる店であり、「そうめんでいいよ」とは言わせない迫力のある酒場でした。飲み放題付きのプランもあるのですが、お店のキャパ的にグループで訪れづらいのが残念。よく飲みよく食べるおぢ2人組でどうぞ。

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目黒は焼鳥やトンカツ、カレーにラーメンと生活に密着した飲食店が多く、そのいずれのレベルも高い。地味ですが豊かな食生活が約束されている街です。
- レストランユニック(restaurant unique) ←ジビエが自慢。
- クロデグルメ(Clos Des Gourmets) ←1万円でお釣りが来るミラクルなフランス料理店
- 立飲ビストロシン サンテ(SHIN Sante) ←普段使いの最高峰。
- 手づかみDining 東京ハンズ(Tokyo Hands) ←大好きだ愛してる。
- リナシメント(RINASCIMENTO) ←前菜の盛合せ。ぐわー!なんだこりゃ!
- 和創作 太(わそうさく た) ←これをお買い得と言わずして何と呼べば良いのでしょうか。
- 鳥しき ←焼鳥界のレジェンド。
- LAND(ランド) ←目黒のカレーはコチラでキマリ。
- 薬膳スープカレーシャナイア(Shania) ←でもスープカレーならこっち。
- 支那ソバ かづ屋 ←下手な中華料理屋に行くよりも余程上質。ワンタンメンはマスト。
- 鶏そば きび ←まるで上質な水炊き屋のような味わい。
- とんき ←80年の歴史は伊達じゃない。
- タイ料理 みもっと ←ここはガチでやばたにえん。
市や区など狭い範囲で深い情報を紹介する街ラブ本シリーズ。2015年の『目黒本』発売から約4年の年月を経て、最新版が登場!本誌は目黒に住んでいる人や働いている人に向けて、DEEPな目線で街を紹介するガイドブックです。