世界トップ低レベルのオペレーションを誇る「スズキーマ」で打撃を受けた私。心を洗濯すべく「アオヤギ食堂」へと向かいます。場所は富山随一の繁華街、総曲輪エリア。富山駅から歩くと15分ぐらいかかるでしょうか。こちらもミシュランに掲載された実績があります。
平日の11:30に到着し、待ち行列は私で4人目だったのですが、4-5分もすれば着席することができました。「スズキーマ」での待ち時間は何だったんだ。
店内はカウンターが6席にテーブル3卓。白い壁と木目調の家具で統一されたカフェのような雰囲気です。カウンター席であても間隔にゆとりがあり、隣のおぢの肘がぶつかる、なんてことはありません。
注文を済ますと5分ほどで着丼。「スズキーマ」での待ち時間は何だったんだ。「2種盛りカレー定食」が1,600円で、追加の「チキンレッグ」が400円、「スパイス玉子」が150円の、合計で2,150円です。この大皿はライスとスパイス玉子とチキンレッグの部でしょうか。チキンレッグにソース(?)がたっぷりとかかっており、これだけでカレーとして成立しそうな勢いです。スパイスばりばりの調味であるものの、辛味よりも爽やかさが支配的。これで400円は大変お値打ち。在庫があれば必ず注文するようにしましょう。必ずです。
ライスは一般的な白米に雑穀米を混ぜ込んでいるのでしょうか。薄く紫がかっており、ほどよくドライな口当たりがスパイシーなカレーに良く合います。スパイス玉子はスパイシーな味玉といった仕上がり。こちらにもタレがたっぷりとかかっており、トッピングというよりはひとつの料理として成立する美味しさです。イカスミカレー。漆黒のルーにスプーンを沈めれば、磯の香りと鮮烈なスパイスが立ち上ります。イカが驚くほど柔らかく、甘く、カレーというよりも上質なイカの料理と評した方が良いかもしれません。真っ黒ながらスパイシーという脳が混乱する味覚も面白い。
こちらはチキンカレー。鶏肉がスパイスと旨味をたっぷりと吸い込んでおり、肉の脂のコクと合わさって、ただ辛いだけではない深みのある味わいです。とは言え先の「チキンレッグ」と方向性は似ているので、2種盛りカレーでなくイカスミカレー1本でも良かったかな。
こちらは豆のスープ。豆の優しい甘みがあり実にマイルド。スパイシーなカレーの合間に口の中をリセットするに最適で、味噌汁みたいな位置づけでしょうか。アツアツではなく、少しぬるめの温度での提供です。
こちらは野菜カレー。スパイシーなミネストローネのようなニュアンスがあり、キリっと冷やされているのも面白い。暑い夏にガバっと飲むに最高だ。以上を食べて2,150円。「スズキーマ」で傷ついた私の心を完全に癒してくれました。両店は場所が近く共にスパイスカレー専門店なため比較されがちですが、オペレーション含め飲食店として正しく成り立っているという意味で、私は完全に「アオヤギ食堂」派。オススメです。「チキンレッグ」は必ず注文しましょう。必ずです。

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富山は食の宝庫。天然の生け簀である富山湾にジビエや山菜が豊富な山々、そして米と水。レストランのレベルは非常に高く、支払金額は東京の3割引~半額の印象です。だいぶ調子に乗ってきた金沢が嫌な方は是非とも富山に。
- 鮨 大門 ←銀座の半額で味と居心地の良さはそれ以上。
- 海老亭別館(えびていべっかん) ←多皿なのにモブキャラがひとつもない。
- ふじ居(ふじい) ←非の打ち所がない日本料理店。
- 美乃鮨(みのずし) ←最も幸せパワーが発揮される価格帯。
- 吟魚のはなれ 吟チロリ(ぎんちろり) ←海鮮居酒屋の最高峰。
- ピアット スズキ チンクエ(Piatto Suzuki Cinque) ←青は藍より出でて藍より青し。
- ランソレイエ(Lensoleiller) ←フランスの田舎のレストランをそのまま持ってきたような感性。
- カーヴ ユノキ(Cave Yunoki) ←料理のほとんどを富山の食材で勝負しているのが素晴らしい。
- 日本料理 山崎 ←ミシュラン3ツ星和食がこの価格で楽しめるのは富山の奇跡。
- 天ぷら小泉 たかの ←富山駅から近く昼も夜も空いているのが旅行者にとっても便利。
- KAWAZ(カワズ) ←「レヴォ(L'evo)」でスーシェフだったムッシュ川崎淳が富山市内で開業。
- レヴォ(L'evo) ←クマがぶらさがっている。
- パティスリー ジラフ(PATISSERIE LA GIRAFE) ←サロショを席巻する予感。
待機児童ゼロ、結婚した女性の離職率の低さ、貧困の少なさ、公教育の水準の高さなど、日本型の「北欧社会」が富山県にはあると分析する1冊。10年間にわたって富山県でのフィールドワークを続けてきた財政学者の視点が興味深い。