パース。世界一幸せな動物とワイナリーと刑務所と。

インド洋に面したパースに行ってまいりました。普通の日本人にとってはあまり馴染みの無い街で(ウチのオカンはたぶん知らない)、なぜANAが直行便を飛ばしているのか理解に苦しんでいたのですが、意外に観光とビジネスの需要は旺盛なようです。フライトは9-10時間にも及ぶのですが、時差が1時間というのも心理的な距離を近くしているのかもしれません。
私はANAのダイヤモンドメンバー様なので、成田空港の秘密のZカウンターからチェックインします。この、平会員と完全に隔離された空間で一気にイミグレまで進むことができる仕組みは素晴らしいですね。羽田のように、ビジネスやエコノミークラスのチェックイン行列の真横でゴボウ抜きするのは少々気まずいものがあるものです。


<パース>
■Uber
パース空港には19時過ぎに到着します。Uberでホテルまで向かうのですが、アプリの位置情報と推奨ピックアップポイントにズレがあるようで、ドライバーには申し訳の無いことをしました。見れば周囲にも私のように「あれ?おかしいな?」族が多く、Uber側のパース空港の位置設定が何か変なのかもしれません。ご利用の際はお気を付けて。ところで滞在中は何度もUberを利用したのですが、不思議とドライバーは皆インド系でした。


■治安はあまり良くない?
語学留学やワーホリ先として人気のパースですが、あまり治安は良くない印象を受けました。もちろんアメリカのように毎日どこかで乱射事件が起こるようなことはありませんが、どこか目つきの怪しい、ブツブツ言いながら変な動きをするオッチャン・オバチャンを多く見かけた気がします。ねずみ色のパーカーでフードかぶってる連中は大体危なっかしいので近寄らないようにしましょう。


■中心地はバスが無料
パースの中心地を走るバス「CAT」は全て無料と、謎の気前の良さがあります。5-10分おきにバンバン走っているので、これが結構使える。Uberの配車待ち時間とコストを考えれば、CATを上手く活用する余地は大いにあります。


■人が少ない、空いている
パースの人口は都市圏全体で約230万人であり、どこに行くにも何をするにも空いているのが良いですね。スーツケースをガラガラ引いている観光客も殆ど見かけません。街で遭う人々も程よく親切で愛想が良いです。物価は東京よりも安く、円安で日本が終わりとかいうのは全くのデマに感じました。


■レストランは予約必須
旅行中はスケジュール管理が難しいので、厳密な予約を避けたいのですが、ことパースのレストランに限ってはきちんと予約して訪れたほうが良いでしょう。アジアのようにフラっとレストランに入るといった文化が無いようで(ファストフード除く)、中~高級店は予約必須が当たり前。何夜も夕食難民になりました。そもそも飲食店の数が少なく、まともなレストランはすぐに埋まってしまうというのも理由のひとつかもしれません。
以下、私がお邪魔したレストランをご紹介。詳細は個別記事のリンクに飛んで下さい。

The Meat & Wine Co Perth
パースで一番のステーキハウスと名高い「The Meat & Wine Co Perth」。お会計はひとりあたり1万円強。これだけ上質の牛肉を楽しんでこの支払金額はお値打ち。誰だよオーストラリアは物価高いとか言った奴むしろ割安じゃないか。

Petition(ペティション)
パースの中心部にあるグルメビル「State Buildings」に入居する「Petition(ペティション)」。モダンオーストラリア料理を提供しており、朝食からディナーまで通しで営業しています。近場の勤め人から子連れの観光客まで幅広い客層に支持されています。こちらもお会計はひとりあたり10,000円ほど。この雰囲気のレストランで飲み食いしてこの支払金額は実にお値打ち。

Tiisch(ティーシュ)
ヒルトンの朝食があまりに酷かったので、さっさと見切りをつけて近場のカフェをグーグルマップで見つけてお邪魔しました。とは言えアドリブで来た割に地元民に人気のお店のようで私嬉しい。それにしても、オーストラリアのコーヒーってどうしてこんなに美味しいんだろう。

Mount Street Breakfast Bar(マウント ストリート ブレックファスト バー)
キングスパークにお散歩に行こうとグーグルマップを眺めていると、偶然目に留まった「高評価」の文字。試しに向かってみると、なるほど地元民に人気の朝食レストランであることが見て取れます。ラグジュアリーホテルの朝食と同等かそれ以上の食後感。オセアニアはこういうレストランがどの町にも普通に存在するのが素晴らしい。日本にもこういう朝食しっかり摂る系のレストランがもっと根付いて欲しいなあ。

Aspire Lounge(アスパイア ラウンジ)
パース国際空港のターミナル1出国審査・保安検査後にあるラウンジ。ANAの利用なので同じスターアライアンスのニュージーランド航空のラウンジに通されると思いきや、独立系の本ラウンジに案内されました。
ラウンジとしては独特のポジションで面白みがある。無駄にお洒落で座席や電源は多くないため、ガッツリ仕事をするには厳しい面もあるため、そのあたりはよく理解してお邪魔しましょう。


■ホテルのレベルは低い
下記の2ホテルに滞在したのですが、いずれも酷いものでした。そういえば「Hyatt Regency Sydney(ハイアット リージェンシー シドニー)」もイマイチだったので、オーストラリアの都市におけるホテルのレベルは世界的に見て低いのかもしれません。

Parmelia Hilton Perthパーメリア ヒルトン パース
1960年代後半に建設され、1979年からヒルトンが運営している老舗のホテル。史上最低クラスに酷いヒルトンでした。ハコは無個性でつまらなく、サービスもビジネスホテルに毛が生えた程度。ヒルトンはもう少しブランドとしてクオリティの均質化を図って欲しいなあ。

DoubleTree by Hilton Perth Waterfront
深夜までルーフトップバーの爆音が響き渡る最悪のホテル。絶対に許さない。


<フリーマントル>
パース近郊に位置する歴史的な港町「フリーマントル(Fremantle)」。スワン川の河口にあり、インド洋に面した美しい海岸線が特長的。パースから電車で約30分とアクセスが良く、金鉱ブームで繁栄した歴史と現代が融合した独特の雰囲気を楽しむことができます。
街いちばんの見どころは、ユネスコ世界遺産に登録された「フリーマントル刑務所」なのですが、自由に参加することは認められずツアーへの参加が必須であり、このツアーが長い長い。最短でも75分を要し、暗い感じであまり楽しありません。
フリーマントルは後述するロットネスト島行きの船が発着する港でもあるのですが、思いのほか見所が多く、刑務所見学にも長時間を要するので、ロットネスト島とは日程を分けて観光したほうが賢明でしょう。


Kailis Fish Market Cafe(カイリス フィッシュ マーケット カフェ)
100年近くにわたって西オーストラリアのシーフード業界のドンとして名を馳せているKailis家が運営するレストラン。オススメは盛り合わせプレート的なもので、これだけ盛り込んで6千円程度なのは大変お値打ち。ディズニーシーで注文すれば2万円ぐらい請求されそうです。    
観光地バリバリのレストランで大したことはないだろうと斜に構えてお邪魔しましたが、思いのほか楽しく、美味しく、リーズナブルなレストランでした


Gage Roads Brew Co(ゲージロードブルワリー)
フリーマントル駅から港の方向へ歩いて10分ほどの場所にあるブルワリー。オーストラリアで唯一の上場醸造所(ASX: GRB)であり、従業員が20%以上を所有する独立系企業として運営されています。予約不要で子連れもペット連れもOKと懐が深い。実に活気があり、港を行き交うコンテナ船を眺めながらタンクから直接注がれる新鮮なビールは格別です。


<ロットネスト島>
フリーマントルから約18km沖合に位置する人気の観光地「ロットネスト島(Rottnest Island)」。透明度の高い海と白い砂浜が特徴で、「世界一幸せな動物」として知られるクオッカ(小型の有袋類)が名物です。
主役の「クオッカ(Quokka)」。口角が常に上がっており、いつもニコニコしていることから「世界一幸せな動物」と評されるのですが、それほど笑っているようには見えません。毛並みは悪く、うっすら臭いのも気になる。運動神経は悪く、何もない所でコケたり、椅子から落ちたりします。
個人的にはビーチにいるペリカンたちのほうが興味深く感じました。だって首が180度クルって回って、トランスフォーマーみたいに変形してラグビーボールみたいになるんだぜ。ああ、文章で上手く説明できないのがもどかしい。
ちなみに島内は自転車で観光する方が多いですが、かなり起伏が多く日光を遮るものもないので、元気いっぱいの若者以外にはオススメしません。私はヘタレなのでガイド付きのバスツアーをお願いしました。島内の見所を90分ほどで効率的に周ってくれるので快適です。

Frankie's on Rotto(フランキーズ オン ロット)
ロットネスト島で最も賑やかなエリアにある「Frankie's on Rotto(フランキーズ オン ロット)」。ロットネストベーカリーの向かいという分かりやすい場所にあり、船着き場からも歩いて5-6分といったところです。
お会計はひとりあたり3,000円ほどと、ド観光地にしては悪くない価格設定です。何より食材が上質で、きちんと美味しいのが良いですね。日本の観光地、とりわけスキー場における非人道的な費用対効果を考えると良心的。円安だ何だと躊躇することなく安心して注文しましょう。


<スワンバレー>
「スワンバレー(Swan Valley)」はパースから車で約25分東に位置する、州最古のワイン産地であり人気の観光地。スワン川沿いに広がるこの地域は、温暖な気候と肥沃な土壌を生かしたワイン醸造で知られ、40以上のワイナリーが点在します。パースからの日帰り旅行に最適な場所です。

Sandalford Restaurant(サンダルフォード レストラン)
1840年設立の西オーストラリア最古かつ最大級のワイナリー「Sandalford Wines(サンダルフォード ワインズ)」。この日は醸造所に併設された「Sandalford Restaurant(サンダルフォード レストラン)」にお邪魔しました。レストランは1998年開業と、こちらも充分に老舗です。
食事の前にセラードア(試飲所)で今季のホットトピックを楽しみます。5種類試してひとりあたり12ドルを要するのですが、その場でワインを買えば試飲代は無料となる仕組み。加えてレストラン利用者は10%オフで購入できる特典もあり、けっきょく全部買ってしまうという上手い仕組みです。
しっかり飲み食いしてお会計はひとりあたり1万円強。スワンバレーというド田舎(失礼)にありながら、これだけの料理と接客をこの価格で提供できるのは見事としか言いようがありません。パース空港から車で15分ほどなので、フライトの前後にスワンバレーを観光し、〆に当館で食事を楽しむのが良いでしょう。
ところで、ヤラバレーでワイナリー巡りした時はどんなだったっけな、と思い立ち「タケマシュラン メルボルン ワイナリー」でググったところ、検索結果のAIが「タケマシュランの記事は、ワイナリーの訪問記録を淡々と記述しており、ワインに興味のない人や、時間に余裕がない人には退屈に感じるかもしれません。」とまあまあ辛辣な評価をしていて草生える。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。