西麻布の「ISSEI YUASA(イッセイ ユアサ)」。湯浅一生シェフはイタリアで経験を積み、帰国後はサローネ系のレストランで厨房を預かり、恵比寿の「湯浅一生研究所」を経て当店のシェフへと就任。港区きっての高級イタリアンとして話題となりました。住所は西麻布で、六本木駅から徒歩10分程度です。
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食とアートを融合させたコンセプトが特長で、店内は様々な絵画が飾られさながらプライベートギャラリーのような雰囲気(写真はOMAKASE公式ページより)。ゲストはピエール・ジャンヌレの椅子に腰掛け、美術館レベルの芸術作品に囲まれながら、総大理石のカウンター越しに繰り広げられるシェフのライブパフォーマンスを鑑賞することになります。
ペアリングのワインは、個人的にはかなり首を傾げました。基本はトスカーナ料理と理解していたのですが、なぜかフランスワインが多く、コンセプトとの整合性は私には読み取れません。料理との相性も、少なくとも私の口には合いませんでした。
アミューズはサヨリ。サクサクとした生地に春の訪れを告げる淡白で上品な旨味が置かれ食欲を刺激します。
続いて鮮やかな色味のサクラマス。しっとりと低温で火入れされ、口の中でとろけるような脂の甘みが広がります。その上に重ねられたフレッシュなトマトの酸味が、サクラマスの濃厚な旨味を爽やかに引き締め、程よいバランスを保っています。玉ねぎのソースからは自然な甘みが凝縮されており、魚の持つ風味を優しく包み込みます。
極細麺のカペリーニ。コシアブラの独特な苦みと鮮烈な香りを纏っており、またパセリの清涼感ある香りが全体を上品にまとめ上げています。小柱の凝縮された海の甘みもいいですね。
炙ったタイラガイと豚の脂をピアディーナで挟んだもの。ピアディーナとはクレープのような平焼きパンであり、タイラガイと豚の脂と共に楽しみます。温度変化によって変化する脂のコクと貝の弾力が心地よい。
「耳」の形をしたプーリア州伝統のパスタ、オレキエッテ。ホタルイカに空豆と春の食材をふんだんに抱き込んでおり、空豆のホクホクとした食感と春らしい青い香りが、ホタルイカの力強い磯の風味と共鳴します。
リゾットはホワイトアスパラガスの甘みとほろ苦さを主軸に組み立てており、そこに、熟成されたパルミジャーノ・レッジャーノの濃厚なコクと香りが加わり、クリーミーでリッチな味わいを形成します。添えられた生ハムの塩気は全体を引き締める重要なアクセント。
卵をふんだんに使った手打ちのタリアテッレ。そこに繊細な肉質と甘い脂身を誇る金華豚のラグーが贅沢に絡みます。一緒に和えられたホウレン草は豚の脂の甘みを吸収し深い味わいになり、色鮮やかな緑が視覚的にも美しさを添えています。
メインは神戸牛のランプ。赤身と脂のバランスが良く、炭火でじっくりと焼き上げることで外側は香ばしく、内側は清らかな脂と力強い肉汁を保っています。添えられたラディッキオの力強い苦みが、和牛の脂の甘みを引き立てるとともに、口内をリフレッシュさせる役割を果たしています。
デザートはミルクのジェラートにマスクメロンのソース(?)。新鮮なミルクのコクを楽しむことができ、また、上質なメロンの果汁と高貴な香りが印象的。素材の純度を大切にしたひと品です。
小菓子をハーブティーと共に楽しみ、ごちそうさまでした。以上を食べ、ペアリングを付けてお会計はひとりあたり5万数千円。文句なしに美味しいですが文句なしに高いですね。すぐ近くには推しのイタリアン「merachi (メラキ)」があり、そちらであれば半額以下で済みます。価格差を正当化する理由が、私には最後まで見つけられませんでした。
コース料理が2.2万円なのは納得なのですが、ペアリングを付け、ペアリングと言いつつ乾杯の泡は別料金であり、最終着地点5万数千円まで誘導される構造は、港区らしくよく練られていると感じました。お疲れさまでした。
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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
- ウシマル(Ushimaru)/山武市(千葉) ←ちょっとした海外旅行に来たような満足感。
- ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山) ←我が心のイタリアン第1位。
- Totto(トット)/宜野湾市(沖縄) ←テロワール、テロワール、テロワール。
- prospero(プロスペロ)/新栄町(名古屋) ←炭水化物の王者。
- シンポジウム(SYMPOSIUM)/新根塚町(富山) ←富んだ山を体現。
- プリズマ(PRISMA)/表参道 ←高価格帯のイタリア料理という意味では東京で一番好きなお店かもしれない。
- 三和(さんわ)/白金台 ←直球勝負で分かり易く美味しい。
- merachi (メラキ)/西麻布 ←質実剛健ながら日本的な繊細な感性も感じられる。
- Il Lato(イル ラート)/新宿三丁目 ←お魚料理のひとつの究極系。
- Orchestra (オルケストラ)/参宮橋 ←ラヴィオーロが旨すぎてビル建ちそう。
- ヴィンチェロ(Vincero)/新宿御苑 ←どのような大食漢が訪れたとしても満足すること間違いなし。
- リストランテ ラ・バリック トウキョウ(La Barrique Tokyo)/江戸川橋 ←無冠の帝王。
- アロマフレスカ(Ristorante Aroma-fresca)/銀座 ←好き嫌いを超えた魅力。普遍性。
- オステリア セルヴァジーナ(OSTERIA SELVAGGINA)/駒込 ←シェフの食に対する執念に近い情熱が、皿の上ですべて報われている。
- ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 仙石原/箱根 ←最高の家畜体験。
- クッチーナ(CUCINA)/大垣(岐阜) ←何でもアリの旨いもの屋。
イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。
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