ユネスコ世界遺産にも登録されたアミール・ティムールの生誕地、シャフリサーブスにある「Kish-mish oilaviy restoran(キシュミシュ ファミリーレストラン)」。ウズベキスタン経済・財務省と国連開発計画(UNDP)の共同プロジェクトによって支援されているという、鳴り物入りのレストランです。旅行者に頻繁に利用される「Hotel Kesh Palace(ケシュ・パレス・ホテル)」から歩いてわずか4分、フスンコール通り沿いに店を構えます。
「家族の憩いの場(oilaviy dam olish maskani)」を標榜するだけあって、店内には三世代の大家族が巨大なテーブルや「トプチャン」と呼ばれる高床式の座席を囲んでワイワイとやっています。イスラム圏の家族向けレストランらしく過度なアルコールの提供は控えられており、皆でお茶やジュースを飲みながら食事を楽しむという健全な空間です。
まずは店の名を冠した「Kish Mish salati(キシュミシュ サラダ)」。フレッシュな野菜に加え、色んなお肉がたっぷりと組み込まれた力強いサラダ。チーズやフルーツも含まれており食べ応え抜群です。全体的にフルーティーな酸味でまとめ上げており、洗練された甘じょっぱさを堪能しました。表参道みたいな味覚です。
続いて「КЎЗАЧА(クザチャ)」。小さな陶器の壺(クザ)を使って調理される、ウズベキスタンの伝統的な煮込み料理です。壺の中には羊肉を中心にニンジン、ジャガイモ、タマネギなどが詰まっており、ハーブを閉じ込めじっくり時間をかけて熱を通すことで旨味が凝縮されています。肉はスプーンで簡単に崩れるほどホロホロと柔らかく、野菜から出た甘い出汁が、濃厚で深みのあるスープを作り上げます。
「КАВКАЗ ҚИЙМА(カフカス・キイマ)」は、中央アジアやカフカス地方で愛される、ひき肉(キイマ)の串焼き料理です。じっくりと炭火で焼き上げられた羊肉に玉ねぎや数種類のスパイス、そして細かく刻んだ脂身を混ぜ込むことで、ジューシーでコクのある仕上がりになっています。塊肉のシャシュリクよりも食感が柔らかく、旨味がダイレクトに伝わってきます。ああ、ビールが飲みたい。イスラムの人たち、よくこんな味の濃い料理を酒抜きでやってけるなあ。
食事に自動的に付随する炭水化物はウズベキスタンの食卓に欠かせない伝統的なパン「ナン」。タンドール(土窯)の熱で焼き上げられた外側はパリッと香ばしく、内側は密度が高くもっちりとした、噛み応えのある食感が特長的。余計な装飾のない素朴な塩味と小麦本来の甘みがスープや肉汁によく合う。
以上を食べてお会計はひとりあたり2千円ほど。現地の一般的な食堂に比べれば値は張るそうですが、これだけのクオリティの伝統料理を清潔で快適な空間で楽しめることを考えれば、信じがたいほどの費用対効果です。シャフリサーブスを訪れた際、中途半端な観光客向けレストランで妥協するくらいなら、間違いなく当店のような地元民向けのレストランに足を運ぶべきでしょう。ガストロノミック・ツーリズムの真髄ここにあり。オススメです。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。






