上野駅と稲荷町駅の間に位置するフランス料理店「キエチュード(Quiétude)」。店名はフランス語で「平穏、静けさ」を意味し、すぐ近くにある下谷神社の存在が何処か示唆的です。
店内はカジュアルな雰囲気で、ドレスコードも無いためジャージ姿の家族などもいました(画像は公式ウェブサイトより)。この敷居の低さからか子連れのゲストが多く、お子様向けのセット(?)の用意もあるようです。
酒は高くなく、グラスワインやノンアルコールドリンクも充実しており、やはりファミリー層でも安心して楽しむことができるでしょう。荒木栄朗シェフは熊本県出身で、「ひらまつ」や「エスキス」などで腕を磨き、渡欧経験もあるそうです。
アミューズはホタルイカのピサラディエールにパイ生地のクリ−ムチーズと生ハム、グジェール。いずれも美味しく、とりわけホタルイカの濃厚な肝の旨味には心を奪われるのですが、すげえ仕事が遅いですね。作業スピードというよりも段取り不足。開始15分で不吉な予感しかしません。
馬肉とシラスとアボカドをクレープで手巻き風に楽しむひと品。こちらも見た目通りの味わいなのですが、どうしてこんな料理、というか素材をポンポン置いていくだけのものに長時間を要するのかがわからない。スタッフはウジャウジャいるのに作業は任せられておらず、みんなでシェフの一挙手一投足を見守っています。まるでお料理教室のような光景である。
明らかにシェフがボトルネックとなっているのに、シェフ自ら直々にパンをカットしてくれます。こんなもんホールの新入りにやりゃせりゃいいのに。私の心は「平穏」どころかささくれ立って来、また、他のゲストも暇そうにスマホばっかいじっています。ベビーカーの赤ちゃんはずっと泣き叫んでいる。わかるよ、僕も泣きたいぐらいだ。
スッポンをミネストローネ風に楽しみます。これもリヒートするだけじゃんか。どうしてこの料理が出るのに30分かかるのか理解不能。このスピード感で大箱でも働いてたって大丈夫かな。当時の先輩の怒りが手に取るようにわかります。
お魚料理はヒラスズキ。何となく見えてきたぞ。各ゲストは予約時間はバラバラなのに、魚料理や肉料理の調理タイミングは同じであり、イクときは一緒ってやつか。それならそうと一斉スタートにすればいいのに。港区の2回転の高級店は給食みたいで情緒が無いなあと思う一方、ここまで提供速度が遅いと情緒もへったくれもないので、何事もバランスが大事だと勉強になりました。
結局、肉料理は全テーブルで揃って頂きます。早い時間の予約客はグラーヴェで、遅い時間の予約客はアダージョ。私のようにせっかちなタイプの方は遅い時間に予約を入れたほうが、テンポ良く食事を楽しむことができるでしょう。ちなみに肉の味は忘れました。
図々しくもチーズを進めてくるのですが、早く家に帰ってポケモンの続きをやりたかったのでパス。なのですが、けっきょく他のテーブルでチーズの注文が入ったため、シェフはチーズの開封の儀とご奉納の儀に手を取られるため待機民が爆誕。ちなみにこちらはお口直しのアイスなのですが、味は中くらいなのでピノをひと粒づつ配ってくれた方が効率的に感じました。
デザートはタルトタタンにフロマージュブランを用いたクリーム。この時わたしの怒りは頂点に達しているのですが、シェフはニコニコと終始朗らかな雰囲気なので人としての器が大きすぎる。この強靭なメンタリティは一朝一夕で身につくものではない。実家太いのかな。きっと余裕のある人生を送ってきたに違いありません。
小菓子とハーブティーを口に放り込んで逃げるように退店。私がこれまで訪れたフランス料理店の中でもトップクラスに仕事の段取りが悪い店でした。一方で、料理自体はそこそこ美味しく、この質と量のコース料理を1万円程度で楽しめると考えれば悪くないディールです。
私のような狭量な人間が行くべき店ではなく、子連れのママさんたちが高級ファミレス行く、みたいな使い方であれば本領を発揮できそうです。ここは精神と時の部屋。心にゆとりをもってどうぞ。
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